ヴァイオリン職人への道
はい、今回も始まりました。草とか石とかのラジオ。このポッドキャストは、自然界で好きなもの、気になるものについて深掘っていく番組です。
パーソナリティのJasonです。そして4回目の登場になります、アサヒさんです。よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
で、改めて4回ももう出ているんですけれども、あんまり語ってこなかったんですけど、アサヒさんってヴァイオリン職人なんですよね?
はい、そうです。
で、普段自然のテーマについて話しているんですけど、ちょっと違いますけど、ヴァイオリンについて深掘って聞いてみようかなと思います。
はい、よろしくお願いします。
お願いします。
で、アサヒさんってヴァイオリンのこの仕事というか、職人としての仕事ってどれくらいやってるんですかね?
僕はもう10年ぐらいはやっているはずなんですよね。
あ、10年ですか。
もうちょっといくと。もう10年ちょっとですね。
あ、結構やってるんですね。
はい。
それなんかアサヒさんがカナダにおられた時からやってるとかそんな感じですかね?
いや、僕はカナダにいる時は全然違う仕事をしていて、日本に帰ってきてから職人になろうみたいな感じで、はい。っていうところなので。
ヴァイオリンの職人っていうとイメージ的には高校卒業したらとか、専門学校行って、10代の後半とか早い人だと20歳前後ぐらいから修行を続けてっていうような感じがイメージとしてはあるかもしれないんですけど、
私はもう結構遅くて、30越えてからなので。
それまでもヴァイオリン自体は弾いてはいたってことなんですかね?
そうですね。小さい頃、小学生の頃なんですけど、ヴァイオリンのレッスンとか、楽器のレッスンはちょいちょい行かせてもらっていて、っていうところですね。
なので、ヴァイオリンに触れる機会っていうのは結構あったんですけど、いざそれを生業としようってなったのは結構立ってからなので。
なるほど。そうなんですね。でも、カナダから帰ってきて楽器店とかに勤めて、そこからヴァイオリンを作ったり修理したりする仕事に入っていくって感じですかね?
そうですね。カナダ帰ってきてからですね。そこから一応専門学校というか職業訓練というか、何と言ったらいいんでしょうね。
2年ぐらいのそういう学校があって、そこに通って本当に初歩的、基礎的な技術とか知識っていったのをそこで習得をして、
その後は弦楽器の専門店に入って就職をして、そこで経験を積んで、いよいよ独立してっていう感じですね。
そんな感じなんですね。ヴァイオリン職人って、ヴァイオリンを修理するとか、ヴァイオリンを一から作るとかいろいろあると思うんですけど、
浅橋さんの仕事の比重的にはどっちが多いものなんですか?
そうですね。僕は結構その調整をしたり修理をしたりっていう方がメインではやっているので、なのでウェイトで言うとその調整メンテナンスとか修理、レストレーションとかその辺が8とかそんな感じで、製作の方が2っていうくらいですかね。
この比率はもう本当人それぞれで結構ばらつきがあるので、製作だけで食べてるっていう人もいますし、製作はせずにずっと本当にメンテナンスばっかりとか、っていうような職人もいるし、様々でいろいろあるんですけど。
浅橋さんの場合は両方、比重は修理が多いけれどもって感じなんですね。
そうですね。
僕もだいぶ前、小学校1年ぐらいから4年ぐらいかな。それぐらいの時、ヴァイオリンをちょっとやっていた時期があったんですけど。
本当ですか。
それで、中高生ぐらいにもうちょっとやってみたいなって思って、一瞬安いヴァイオリンを買ったことがあったんですよね。
ちょっとやって、ある程度忘れてても弾けるっちゃ弾けるじゃないですか。
調整・修理の仕事内容
それで、またちょっとやっぱりむずいわって思ってやめておいて、ヴァイオリンをしまってたんですけど、最近実家に帰ったらそのヴァイオリン、相変わらずあって。
でも、それだけ長い間放っておくと、結構傷んでくるというか。
弦とか弓をある程度緩くはしているんですけど、切れたり、コマっていうと説明がしにくいんですけど。
弦が張っている板がコマですよね。
そうですね。弦の下で立っているやつですね。楽器のボディの中心、中央あたりで立っているやつですよね。
コマが倒れてて、適当に弦を買ってきてコマを立て直して張り直したんですけど。
一応弾けるかなみたいな感じだったんですが、これって例えば朝日さん的にはあんまり良くなかったりするんですかね。
どれくらいのもの、どういう状態かっていうのは見てみないとわからないんですけど。
良い悪いで言うと、できればちゃんと専門的な技術とかを持っている人に一回見せてもらって、
しっかりとしたコマの位置とか、あとは昆虫とかっていうのを聞いたことがあるかもしれないんですけど、魂の柱って書くやつ。
バイオリンの上の板と下の板にくっついている棒みたいなやつですよね。
そうですそうです。あれが楽器の内部に一本立っているんですけど。
コマとか昆虫とかは接着されているわけではなくて動くわけじゃないですか。
なのでコマも倒れちゃうしとかあるので、その辺の位置をしっかりと楽器のサイズだったりとか、
そういったところでしっかり立てられる人に見てもらって立て直してもらう位置の調整をしてもらうとかでもいいと思うんですけど。
あとはコマ自体の健康状態が果たして。
健康状態?
はい。なのでコマも木でできているので、弦がコマの上部に4本乗っかっているわけじゃないですか。
そうですね。
そうすると結構な張力というか荷重がかかっているので、コマ自体もやっぱり劣化してみたりとか、
あとは本当だったら真っ直ぐ立ってたいんですけど、変な方向に力がかかっているとコマが曲がってしまったりとか、
いろいろ出てくるので、そういったところが健康状態として大丈夫かどうか。
あと目に見えない亀裂っていうか、ひびったりとか。
そういったものももしかしたらあるかもしれないので、その辺はしっかりと見てみたいなという感じは今話を聞いている限りでも思うところはありますね。
なるほど。
僕バイオリンは当時も持っていたし弾いてたんですけど、あさひさんの修理っていうのはいまいちイメージがつかなくて。
っていうのもピアノとかでたまに調律師っていらっしゃるじゃないですか。
ピアノって鍵盤を押すとポンって音が鳴ると思うんですけど、その中の様子って素人だと触れないじゃないですか。
だからそれを触る仕事って必要だなっていうのはよくよくわかるんですけど、
バイオリンの場合はさっき言っていたコマの立て方とかそういったところを調節するっていうのはあさひさんのお仕事になるっていうことなんですかね。
そうですね。基本はその辺が一番やっぱりメインといえばメインの仕事になってくるのかなとは思うんですよね。
やっぱりバイオリンって皆さん想像すると多分金属が使われているとかネジとかボルトが使われているって感じはしないと思うんですよね。
そうですね。
基本は本当に木と、それほとんど木材なんで、構造的にすごくギリギリのところっていうか、
もろいといえばもろいし、すぐ木なので伸びたりしない、ねじれたりとかがあるんで、そういうところで少し楽器自体も動くような。
湿度を吸ってみたいなことですかね。
そうですね。あとは弦が張ってあるのでその張力に引っ張られて、ちょっと楽器が動くっていうか、反ってくるとかねじれてくるとか、へこんでくるとかね、いろいろあると思うんですけど、
そういったのがあるので、その辺はもし起こっているのであれば直してあげたいし、このセットアンプでいくといずれそういったことが起きるかもしれないぞっていうことであれば、
その辺はしっかりと張力に寄付できるというか、張力に対して耐性がつくようなセッティングとか補強みたいなことをしてあげたりとか、
そういうのは必要かな。構造的にしっかりと長い間使っていけるものにしておく。もしくはそれでちょっと下手ってきているのであれば直すとか。
そういったのも一つ、修理というか調整というかね、メンテナンスの部分の一つの仕事かなっていうのはあります。
木の歪みが出てたらそれをちょっと直したりとか、歪まないようにどういうふうにするかみたいな、そういうところも調整で入ってくるってことですかね。
そうですね。あとは調整で言うと、音のコントロールみたいなところもやったりはするので。
音のコントロール?
そうですね。そのコマの、あとコマ、さっき言ったコマと昆虫と、あとその辺の位置関係とか、あとはコマも昆虫も、これもまた一緒で木でできてるんですけど、
そのコマの高さとか厚みとか、木もやっぱり密度が違うので、コマであれば大体メイプルっていう木を使うんですけど、
メイプルもやっぱりそれぞれのコマで密度分布が違ったり密度が違ったり、あとはどれくらいの質量を持たせてあげるか、
そこを削ってあげると、やっぱり音がいきなり開いてくるっていうか、それまで閉じてたところの楽器として出てくる音が閉じてる。
もしくは外に向いてないっていうのがワッと開いてみたりとか、昆虫の位置もちょっと動かしてあげたりすると、
要因であったりとか、響きの具合とか、あとは楽器の反応っていうんですかね。
反応。
ヴァイオリンの場合は右手で弓っていうのを持って弦の上を擦るじゃないですか。
そうですね。
で、その時擦った時にその楽器から出てくる音、その音の立ち上がりとかのスピードを昆虫とかそのコマとかでコントロールができるんですよ。
なのでその辺の部分を調整してあげたりっていうのが、もう一つの大きな仕事っていう意味ではあるかもしれないですね。
僕もだいぶ小さい時ですけどヴァイオリンやってて、うまく弓で弾くとすごい共鳴して大きな音が出るというか、なるじゃないですか。
あの共鳴のし具合をコントロールするみたいなイメージですかね。
そうですね。なので演奏性っていうかプレイアビリティとかって言ったりもするんですけど、その辺のコントロールとかいうのが必要かな。
ピアノもそういうのって実はあって。
そうなんですか。
そうなんですよ。鍵盤を押す時の重さとか。
重さ。
鍵盤を下に押すわけじゃないですか、指で。
あの時のどれくらいの沈み方をして欲しいのかとか。
あとはハンマーが戻ってくる時のスピードとか。
音のコントロールとピアノ調律との比較
跳ね返りじゃないですけど。
そうですね。とかハンマーが弦を叩くわけじゃないですか。下の方がボンって。
そのハンマー自体のあれにフェルトっていうのが巻いてあるんですけど、貼ってあるって言ったりとか。
なのでそのフェルトの硬さを変えてあげたりとか。
そういう風にするとやっぱり音色も変わるし。
その辺の弾いた時のこの指の、例えばすごい速い曲を弾く、パッセージとか速いメロディを弾きたい時に、
鍵盤がちゃんとしたスピードで戻ってきてくれないと次の音を出せないじゃないですか。同じ音とか。
そうですね。
その辺のコントロールをしたりとかっていうのはやっぱり調律師さんもするんですよね。
あとはずっとピアノもずっと弾いていくと、さっきのハンマーっていう弦を叩く部分の話で言うと、
フェルトっていうのをずっと叩いてると硬くなってくるんで。
そうなんですか。
なのでそのフェルトをほぐしてあげて、もともと出荷された時の状態の柔らかさにしてあげると、
音色が少し大雑把に言うと柔らかくなるっていうか。
そういうことですね。
そういうのもコントロールする。コントロールっていうのかな。その辺も変えてあげたりとかっていうふうなことをするので、
周りに関しても同じような音色のこと、あとは演奏性っていうかプレイアビリティの部分っていうのを演奏者と一緒に、
どういう音が出したいですかとか、どういう風な楽器の反応とか要因とか、そういうのが必要なんですかっていうのをしっかりヒアリングをして、
求める音、演奏性っていうのを実現していくっていうのが大きな仕事かなっていう。
なるほど。
今の話を聞いていると、バイオリンを使っている人がこういう演奏がしたいっていうのはなかなかないと朝日さんに注文って難しいようなイメージがあって、
朝日さんに持ってこられるお客さんっていうのは結構プロの方とかかなりバイオリンに詳しい人が多いんですか。
初心者とか高校生でやってますとか、そういう感じではないんですかね。
もう僕は基本は来る方拒まずなので、
小さい時って分数楽器って言って、バイオリンってちっちゃな楽器あるじゃないですか。
大人の人が使うよりもちっちゃな楽器。
ああいう風な子供さんもいるし、あとは大人になってからバイオリンを始めました。
僕はこういう言い方あんまり好きじゃないですけど、レイトスターターとかって皆さん言うんですけど、
そういう方もいますし、もうガチのプロの人とかっていうのもいるので、
もうそれぞれなんですけど、僕が一貫して頭の中に入れてるのはやっぱり音色と演奏性の両立とか、
そこがしっかりとしていくとすごく楽器が寄り添ってくれるようになるので、
弾いていて楽しいし、っていう感じになってくると。
例えば子供さんとか、まだそんなにね、始めたばかりで初心者ですっていう人に、
どういう音が欲しいですかとか言ってもたぶん分からないと思うので、
この辺に関しては、そこをいきなり僕が聞くわけではなくて、
こういう風な音色の違いっていうのがこの楽器でも出るし、
自分がじゃあどういう音が好きなのかとか、
例えば好きな演奏家さんいます?とか、
どういう音色が好きですか?とか、
簡単なところで言うと明るい音が好きなのか、
暗い、もしくは渋めの音が好きなのかとか、
あとは何だろうな、音としても鋭く音の輪郭がある、
パーンとしたこういう音がいいのか、
もしくはこうバーッと広がっていくような要因であったり、
響きみたいのがしっかりとある、そういう音が好きなのか。
僕がよく言うのは、
ドランペットみたいなパーンって音にしたいのか、
ホルンのようなモワーって言ったら
ホルンを弾いてる人に怒られちゃうかもしれないですけど、
要因が残る感じですかね。
柔らかい感じの音がいいのか、
その辺をどういう風なのが好きなのかなとかっていうのを
自分の中で考えてみてくださいとかって言うと、
結構イメージがつきやすいみたいで。
なるほど。音的にはそんな感じなんですね。
そうですね。やっぱり自分がどの音に対する解像度っていうか、
その辺がある人はすごいはっきりしてるんで分かりやすいし、
なければそういう風な捉え方をすると、
より演奏の幅は広がっていくと思うし、
もっと深いところまで楽器を楽しんでもらえるかなと思うので、
そういったところのお手伝いっていうか、
できたらなと思いながらやってるっていうところですね。
そうですね。ちょっとアホみたいな質問をしたいんですけど、
僕小学校のとき、4年間もバイオリンやってると結構上手くなるじゃないですか。
でもしばらく空いて高校生ぐらいになると、久しぶりだからちょっと忘れてるんですよ。
そのときに思ったのは久しぶりにやると、バイオリン弾くの難しくないかなって思うんですよね。
ピアノって鍵盤を押したらポンって音が鳴るじゃないですか。
初心者への対応と演奏の難しさ
バイオリンは弓を弦に直角に横切るように動かさないと綺麗な音が出ないというか、
他の弦と当たっちゃうと綺麗な音が鳴らないじゃないですか。
バイオリンって弾くのは改めて難しい、ちょっと技術がいるなって思ってるんですけど、
簡単になるような調整とか、簡単に弾けるものとかってあったりするものなんですかね。
そうですね。一番やっぱり難しい、最初っていうか初心者、ビギナーさんとかで難しいなっていうのは、
やっぱり隣の弦に当たるっていう部分がすごい難しい部分。
弓をコントロールするっていうのがすごく難しい部分だとは思うんですけど、
そこの部分に関しては調整で弾きやすく、隣の弦に当たらないように、
コマって弧を描いてるじゃないですか、弦が一番上っているところ。
あそこの弧の部分、弧っていうか円周っていうか、あの部分を少しカーブをきつくしてあげたりとか、
そういうふうな形で調整してみたりすると、少し弾きやすくなる。
ああ、そうですよね。
方向には持っていけるかなと思います。
確かにコマが真っ直ぐに、上の部分が真っ直ぐに近いとどうしても他の弦に当たりやすくなるけど、
それが広くなったり角度があるとちょっと離れてて当たりにくいってことですよね。
そうですね。なので、その辺の弧を調整したりとか。
あとはコマもカーブがあって弦が乗ってるんですけど、木なのでだんだん弦ってこう食い込んでいくんですねコマに。
そうすると、どうしても4本の線が横並びっていうか、角度がどんどんどんどん。
分かりました、分かりました。
っていうのもあるので、結構溝が深くなってしまっていて隣の弦に当たりやすくなっている。
特にアー線って言って2番線なんですけど、4アルチの2番目の線ってすごく沈みやすいんです。
食い込みやすい弦に。ん?弦じゃない、コマに。
そういう弓の弓じゃない、弦の太さが細かったり太かったりすると食い込みやすさが変わってくるってことですね。
そうですね、はい。
なるほど。
2番線がすごいコマに食い込んでしまっているので隣の弦に当たるとかなってくると。
それも一気に食い込めちゃうわけではなくて、何ヶ月とか年単位でこうだんだんだん食い込んでいくわけじゃないですか。
そうすると、だんだん知らず知らずのうちに、なんか始めた頃は隣の弦当たらずに弾けるのに。
最近おかしいなぁとか言って私ってどんどん下手になってるのかしらっていう風に勘違いされる人もいるんですよ。
なるほど。
なのでその辺をこう直してあげると、私の腕じゃなかったんだみたいな。
楽器がしっかりと調整されてなかったから上手に弾けなかったって言って、ちょっとホッとして変えられる方とかもいるので。
そうなんですね。
そういったところも仕事の一つかな。
不安とか、本当にヴァイオリンって弾くの難しいので嫌になっちゃう人もいると思うんですけど、
その辺の不安とか悩みをそういったところから解消するっていうのも一つの仕事っていうかね、かもしれないなと思います。
やっぱり僕も今話してて、ヴァイオリン難しかったなっていう記憶が蘇ってきたんですけど。
ここまでヴァイオリンの回、前編になります。
お聞きいただきありがとうございます。
次週後編もありますので、良ければお聞きください。
それではまた次回。