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今回は、あるシェアハウスの運営会社が書いた記録を深掘りしていこうと思います。
舞台は、新宿の歌舞伎町。そこのワンルームマンションで、家賃、体能、住人は行方不明、で、部屋はもう荒れ放題っていう。
いや、普通に考えたらもう最悪の状況ですよね。
で、普通ならもう損失を確定させて、現状を回復して終わりっていう話なんですけど。
ですよね。
でも、この話が本当に面白いのはここからなんですよ。この会社は、この状況をただの問題としてじゃなくて、新しいビジネスを試すための、なんていうか、実験場として捉え直したんです。
なるほど。ただの現状回復っていう守りの一手じゃなくて、事業開発っていう攻めの一手に変えたと。
そういうことなんです。
いや、その発想の転換点がどこにあったのか、すごく気になりますね。まず、ことの始まりは一本の電話だったそうですね。
管理会社からの、よくある家賃滞納の知らせです。
でも、ここからが普通じゃなかった。
そうなんです。現地に行ってみると、郵便ポストは手紙でパンパンにあふれてて、電気メーターも止まってる。これはまずいこと。
最悪の事態もちょっと頭をよぎりますよね。
それで、安否確認も兼ねて部屋に入ったら、幸い人はいなかったんですが、ただ、荷物はそのままで部屋はもうひどい状態だったと。
まさに、もぬけの殻っていう。
はい。理由は何も分からない。ただ、支払いが止まって、連絡が途絶えて、荒れた部屋だけが残ったっていう厳しい現実だけがあったわけです。
普通に考えたら、もう即解約して、損失を最小限に抑えたいところですよね。
ですよね。
時間もお金もかかる厄介ことを、なぜわざわざ抱え込むことにしたのか。正直ビジネスの判断としては、ちょっと深いに思いますけど。
そこにですね、実は10年前に遡るちょっと特殊な事情があったんです。
10年前ですか?
ええ。もともとこの部屋は、事業撤退する同業他社の社員さんが住んでいて、その方がどうしてもここに住み続けたいと希望したそうなんです。
それで、今回の運営会社が、いわば人助けのつもりで契約を引き継いであげたと。
へえ。利益度返しのほとんどボランティアみたいな行為じゃないですか。
そうなんですよ。当時の不動産屋さんにも、住んでる人は正直信用できないけど、あなたの会社なら貸しますとまで言われて引き受けたそうです。
うわあ、そんな経緯が。
だから10年前のちょっとした善意が、10年越しに重い責任として返ってきたっていう。
なるほど。
だからこそ、ただ元に戻すだけじゃ申し訳ないっていう思いがあったようなんですね。
ああ、なるほど。そういう義理人情があったわけですね。
でも、それだけで動くのもビジネスとしてはなかなか難しい。何かこう、別の決定打があったんじゃないですか。
まさに。そこが重要なポイントなんです。
はい。
この会社は、この厄介事が、実は新しい挑戦をするための理想的な条件を備えてるってことに気づくわけです。
理想的な条件ですか?あの荒れた部屋に?
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ええ。まず何と言っても人が集まる新宿っていう圧倒的な立地。
まあ、それは間違いないですね。
次に、ワンルームなので、もし失敗したとしてもリスクが限定的であること。
ああ、なるほど。
それから更新費用がかからない契約だったこと。
そして最後に、運営会社の責任でこの部屋をかなり自由に活用できる状態だったこと。この4つですね。
はあ、普通これだけの好条件って探してもなかなか揃わないですよね。
そうなんです。
新宿の一等地でリスクが低くて、しかも自由に使えるなんて、偶然とはいえ、これはもう見つけたっていうより授かったチャンスに近いかもしれない。
まさに。そこで思いついたのが、最近すごく注目されている新しい賃貸の形なんです。
新しい賃貸の形?
はい。例えばユニットっていうサービスのように、自分が部屋を使わない日は家賃が安くなるみたいな、ホテルと賃貸のハイブリッドのようなサービスですね。
ああ、聞いたことあります。
これなら、新宿っていう立地を最大限に活かせるんじゃないかと考えたわけです。
面白い。問題から生まれたからこそ、既存の枠にとらわれないアイディアが出てきたんですね。
ええ。それで具体的なプロジェクトが始まるんですが、このコンセプトがまた秀逸で、アーバンカームプロジェクト。
アーバンカームプロジェクト。
つまり、歌舞伎町のあの喧騒のど真ん中にあるからこそ、静けさそのものを商品にするっていう逆転の発想です。
うわー、なるほど。都会のど真ん中で静かさを売る。
ええ。だからDIYのデザインも、ただオシャレってだけじゃなくて、グレーと木綿を基調にして徹底的に押し付きを演出してるんです。
外の世界との断絶を意図してると?
そうです。床にヘリンボーン柄を取り入れるのも、空間にリズムと上質さを与えるための戦略的な選択ですね。
しかもこれ本業の傍らで、スタッフの方たちが自分たちでやるんですよね。
そうらしいです。夜中に近隣に迷惑かけないように静かにこっそりと。
いや、むちゃくちゃな話に聞こえますけど、それだけの熱量が一体どこからくるのか。
おそらく、やらされているんじゃなくて、自分たちの手で価値を想像しているっていう実感があるからじゃないでしょうか。
あー、なるほど。
マイナスからのスタートだったからこそ、プラスに転じた時の喜びも大きいというか。
家賃滞納っていうフノイさんが、10年前の縁と視点の転換によって、未来のビジネスモデルを生む実験場に変わろうとしている。
いやー、一つの出来事も捉え方次第で見える景色が全く違ってきますね。
そうですね。事実そのものに良いも悪いもなくて、価値っていうのは常に我々がどう解釈してどう行動するかで決まるんだと。
それを教えてくれる非常に資産に富んだ記録だと思います。
最後にあなたに一つ問いかけてみたいのですが、もしあなたの身の回りにある問題とかちょっとした厄介事を全く違う視点から見つめ直してみたらどうでしょう。
そこに思いがけないチャンスが隠れているとしたら、それは一体何だと思いますか?