1. セミラジオ ~生き物とサブカル~
  2. 50回記念!藤子・F・不二雄特集
2022-08-03 1:17:07

50回記念!藤子・F・不二雄特集

聴いていただける皆さんのおかげで、セミラジオが50回を迎える事ができました。ありがとうございます!
記念すべき50回は、僕の原体験とも言える作品を生み出したクリエイター「藤子・F・不二雄」さんの作品について特集しました!

・全てをバラバラに!「分解ドライバー」
・のび太「誰でもいいからバラバラにしたいぞ」
・21エモン「ゼロ次元の恐怖」が描くディストピア
・F先生の珠玉の短編
・食う者と食われる者の関係を描いた「ミノタウロスの皿」
・亡くなったはずの同級生がさまよい歩く…?
 ほろ苦いSF短編「おれ、夕子」

【帰ってきた変ドラ】『合体バラバラの世界』後編~『分かいドライバー』の章
http://hen-dora.com/disassembly-screwdriver/

ドラえもん18 藤子・F・不二雄大全集(分解ドライバー収録)
https://amzn.to/3BUqOvp

amazonプライムビデオ 21エモン(ゼロ次元の恐怖は31話です)
https://amzn.to/3oQIXSV

お~い!車屋さん(アニメ21エモン主題歌)
https://www.youtube.com/watch?v=ZpvzxCzUz4c

藤子・F・不二雄大全集 少年SF短編 1 (おすすめです!)
https://amzn.to/3OUPNS6

藤子・F・不二雄SF短編集<PERFECT版>1 ミノタウロスの皿
https://amzn.to/3oOMFMX

ミノタウロスの皿: 藤子・F・不二雄[異色短編集] ※文庫本です
https://amzn.to/3OUPDtY

生物をざっくり紹介するラジオ ~ぶつざく~
https://open.spotify.com/show/49gxSX2mksh6yeqjwdW9mT

イラストレーターすすむさんに、せみやま作・ものしりトリケラトプスTシャツをご購入&着ていただきました!(写真)
https://twitter.com/semibloger/status/1553013926203650048

すすむさんの SAVE THE OCEANグッズ
https://stores.jp/search?q=save%20the%20ocean&store=megaghost

加持 岳志さん(かもさん)のブログ内の、ぶつざく&セミラジオをご紹介いただいた記事
https://kamosan.ti-da.net/e12286579.html

FMみやこ
https://www.fm-miyako.com/

蝶華学さんのLINEスタンプ「おきつねにゃんこ」
https://store.line.me/stickershop/product/19542514/ja


【お便り&グッズ】

セミラジオお便りフォーム
https://forms.gle/e356yHPcm8P2Qy2A8

せみやまのツイッター
https://twitter.com/semibloger

せみやまの持ちキャラ・ものしりトリケラトプスが登場する漫画
https://semiyama.com/stygimoloch/

LINE着せ替え「ほのぼの恐竜」
https://store.line.me/themeshop/product/35870988-c65c-4426-954a-86d50f4dbc0c/ja

せみやま作・古生物のグッズ(suzuri)
https://suzuri.jp/semiyama

00:00
みなさん、こんにちは。自然を愛するウェブエンジニア、セミヤマです。
今回はセミラジオ50回記念ということで、僕の原体験となった作品群を生み出したクリエイター、藤子F・不二雄さんの作品についてご紹介したいと思います。
2021年の12月末に始めたこのセミラジオも、今回で50回ということで、オープニングのジングルも今回変えてますけども、
オープニングの曲は、ツクツクファンファーレというツクツク帽子の鳴き声をイメージしたうちの奥さんのバク子が作曲してくれた曲になります。
いつの間にかの50回、もうそんなにやったかなという感じですね。
今でこそいろんな方に聴いていただけて、ポッドキャストを通じていろんな方と交流させていただいているんですけども、
実は最初期の頃は割と不安定な時期がありまして、以前もお話ししたことがあると思うんですけど、
いつもこのラジオで話題に出させていただいている、生物をざっくり紹介するラジオぶつざくというポッドキャストの番組がありまして、
毎週楽しみに聞かせていただいてるんですけども、僕はこのぶつざくを知るまで継続的に聞いているポッドキャストというのがなくて、
ぶつざくを知って、ポッドキャストってめちゃくちゃ面白いじゃん、可能性あるじゃんという感じで勢いで始めたところがあったんですね。
勢いでセミラジオを始めてみたはいいものの、最初の頃思ったほど再生されないわけです。
まあ自分がそれまで何千何万とあるポッドキャスト番組を聞いてきたのかっていうと聞いてなかったわけですから、考えてみれば当たり前なんですけどね。
まあそれでもとりあえず自分が面白いと思うことを語り続けるしかないかなぁと思って地道に更新していたわけです。
結構こうしているうちに今年の2月にぶつざくに送っていたお便りを読んでいただきまして、
ぶつざくでバクを紹介してもらえたら嬉しいですというお便りを送っていたんですが、バクをざっくり紹介という回を配信していただけて、
その回ではセミラジオやセミブログのこともすごく詳しく取り上げていただけて、
本当にありがたいことにそれをきっかけにセミラジオを聞いていただける方も増えて、
この番組でもよく話題に挙げさせていただいているイラストレーターのすすむさんもぶつざくからセミラジオを知っていただけた方ですし、
そこから少しずつ聞いていただける方が増えていったんですね。本当にありがたいことだと思います。
03:03
つい最近もツイッターでハッシュタグセミラジオで検索してみたら、
宮古島にお住まいのカモチたけしさんという方が、ご自身のブログでぶつざくと一緒にセミラジオのことをご紹介していただいてまして、
いやーすごく嬉しかったですね。カモチさんはご自身のブログでカモさんと書かれていたので、
カモさんと呼ばせていただきたいと思うんですが、カモさんセミラジオを聞いていただいてブログでもご紹介いただきまして本当にありがとうございます。
このカモさんなんですがすごく多才な方で、このセミラジオをご紹介いただいたブログも2013年から更新されてますし、
僕もブログやってるんですが、僕のセミブログは2016年からなのでブロガーとしても大先輩ですね。
ブログやツイッターの方も拝見させていただいたんですが、
FM宮古という宮古島のFMラジオ局の番組アシスタントもされている方なんですね。
ブログを読ませていただいた限りでは、このFM宮古の月曜から金曜の17時から19時に放送している
りなこときらりないと宮古島という番組の主に木曜と金曜にアシスタントとしてメインパーソナリティのりなこさんとお話しされているみたいなんですね。
カモさんもし違ったらごめんなさい。
民放のラジオでお話をされている方にセミラジオを聞いていただけるなんてすごく光栄です。
FM宮古もパソコンやスマホでリアルタイムに配信しているものを聞くことができるので、
今度カモさんがお話ししているところを聞いてみたいなぁと思っています。
29日の金曜日もカモさんが出演されているかなぁと思いまして、
FM宮古のりなこときらりないと宮古島聞いてみたんですが、
その回はメインパーソナリティのりなこさんがお一人でお話しする回だったみたいです。
カモさんのブログでは宮古島での生活やご趣味のジョギングのことをすごく精力的に更新されていて、
宮古島にはヤギの刺身の自販機があるというお話も書かれていてすごくびっくりしましたね。
僕沖縄は行ったことがなくて、宮古島でヤギの刺身を食べる習慣があるというのも知らなかったんですよね。
ただ多分僕結構ヤギの刺身は食べたら好きになる気はしてるんですよ。
ヤギの肉はちょっと癖があると聞いてるんですが、そういう食べ物を割と好きなんですよね。
僕の地元の山梨県は馬肉の生産が盛んなんですが、馬肉の専門店もありまして、つい先日の夕飯は馬肉のロースのお刺身でした。
06:10
めちゃくちゃ美味しかったですね。話が逸れましたが、カモさんのブログもラジオもこれから楽しみにさせていただきます。
概要欄にリンクを貼っておきますので、ぜひチェックしてみてください。
それと前回のラジオで、セミラジオのカバーアートになっているトリキャラトプスのライン着せ替えとTシャツを販売中ですとお伝えさせていただいたんですが、
とてもありがたいことにライン着せ替えもTシャツもご購入いただいてましてありがとうございます。
いつもセミラジオを聞いていただいている絵描きさんの超賀まなぶさんはライン着せ替えをお買い上げいただきまして、ツイッターでシェアもしていただきました。
まなぶさん、いつもありがとうございます。
まなぶさんはお狐にゃんこという猫と狐のハーフのキャラクターのラインスタンプを販売されてまして、これもすごくかわいいんですよね。
僕このスタンプは結構使わせていただいてます。
お狐にゃんこスタンプ概要欄に貼っておきますのでぜひチェックしてみてくださいね。
ライン着せ替えもTシャツもどなたがご購入されたのかは販売者にはわからないようになってまして、
Tシャツはスズリというサイトで販売してるんですけども、このスズリってシャツの製造や配送まで実務的なことは全部運営さんの方でやってくれるんですよ。
出品者がやることは基本的には絵を登録するだけで、なのであなたのTシャツを誰かが買ってくれましたっていうメールが届いてとてもありがたいんですけども、
どなたが買ってくれたかはわからないんですね。
そんな中先ほどもお名前を出させていただいたイラストレーターのすすむさんからメッセージをいただきまして、
メッセージで写真を送っていただいたんですが、その写真、すすむさんが僕の描いたトリケラトプスのTシャツを着ている写真だったんですね。
あ、すすむさんが買ってくれてたんだとそこでわかってすごく嬉しかったですね。
すすむさん改めてありがとうございます。
すすむさんはご自身の超絶描き込まれたかっこいいイラストのTシャツをご自身のネットショップメガゴーストでも販売されていて、
以前お会いした時もご自身のイラストのTシャツを着られていて、そういうイメージがあるんですけども、
そんなすすむさんが僕のとぼけた顔をしたトリケラトプスを着ていただいているということで、
なんと言いますか、ギャップ萌えですよね。
このすすむさんがトリケラトプスのTシャツを着ている写真なんですが、
09:03
ツイッターに許可をいただいてあげさせていただきましたので、ぜひチェックしてみてくださいね。
Tシャツについては他にもマンモスのTシャツや恐竜のTシャツをどなたかにご購入いただいてまして、本当にありがとうございます。
話が行ったり来たりしてしまうんですが、Tシャツといえば以前ご紹介したすすむさんのセーブジオーシャンTシャツ。
僕もご購入させていただきまして先日届きました。
ペットボトルの中泳ぐクジラというスタイリッシュなデザインがめちゃくちゃかっこよくて、最近ヘビーロッテで着てますね。
パソコンの画面で見てもすごく素敵な絵だなと思っていたんですが、
やっぱりプリントされたものを見るとその書き込みの凄さがより伝わってきてすごくかっこいいんですね。
セーブジオーシャンTシャツも改めて概要欄に貼っておきますので、こちらもぜひチェックしてみてくださいね。
それではそろそろ本編に行きたいと思います。
今回フジコFフジオー特集ということで、フジコFフジオーは誰もが知っているドラえもんの原作者ですね。
本名藤本ひろしさん。
富山県のご出身で、少年時代は同郷で幼なじみの浴子本夫さんと一緒に漫画家を志す漫画少年でした。
当時絶大な人気を誇った漫画の神様手塚治に憧れて、富山の少年二人で漫画家を目指していたんですね。
この二人は高校在学中にフジコフジオーという共同ペンネームで漫画を発表し、天使の玉ちゃんという作品でなんと高校生にして漫画家デビューを果たすんですね。
ただ一旦デビューはしたものの、藤本さんと浴子さんは高校卒業後、藤本さんは製画会社に、浴子さんは新聞社にそれぞれ就職します。
この藤本さんと浴子さん、漫画が大好きという共通点はもちろんあったんですが、わりと性格的には真反対なんですね。
浴子さんは結構コミュ力が高くて、新聞社でも得意のイラストを武器に順調に仕事をこなしてたみたいなんですが、藤本さんの方は結構内に秘めるタイプで、入社したばかりの製画会社をなんと3日で退職するんですね。
このあたりのエピソードは浴子さん、つまり後の藤子藤雄栄さんの手がけた自伝的作品漫画道で詳しく書かれています。
藤本さんの退職の理由は、製画工場で不良の事故で漫画家が描けなくなることを恐れてのことだったそうです。
12:01
藤本さんは浴子さんを誘って上京し、本格的に藤子藤雄としての作品発表をスタートさせるわけです。
そして藤本さんと浴子さんは、それぞれドラえもんだったり忍者ハットリ君だったりヒット作に恵まれながら、二人三脚で作品制作を続けていくわけなんですけども、
1987年に二人はコンビを解消し、藤本さんは藤子F藤雄、浴子さんは藤子藤雄Aという単独のペンネームを使って、それぞれの作品を発表していく道を選びました。
これはドラえもんなど生活ギャグ漫画をメインに発表し続けた藤本さんと、笑うセールスマンなどブラックユーマーを描くようになっていた浴子さんとで、作風の隔たりが大きくなってきたということが一因と言われています。
それぞれの作風の違いから浴子さんは黒い藤子、藤本さんは白い藤子と呼ばれることもあったそうです。
なんですけども、藤本さんは白い藤子、確かにそうかもしれないんですが、その白さの中には恐ろしいまでに客観的な視点や鋭い目線が含まれていると思うんですね。
藤子藤男Aさんの作品って、笑うセールスマンとかもそうですけど、ダークで悲劇的なことを描いていても、どこかでご本人の人間への信頼感というか人懐っこさみたいなのが出ているなと思うんですよね。
根っこの部分にパッションというかお祭り感覚みたいなのがあるなぁと思っていて、それに対して藤本さんは藤子F藤男さんの作品は特に後でご紹介する短編の中では恐ろしいほど遠くから世界や人間を見てるなっていう感じがするんですよね。
客観的に見ると人間のこういう感情ってこうだよね、みたいな。日常的な感覚から受け入れがたいことを真顔で突きつけられている感じがするんですね。その切れ味の鋭さ、本当にすごいんですよ。
かと思うと、これもこの後お話しするドラえもんのぶっ飛んだ道具とか狂気を感じさせる回なんかもあったりして、芸の幅の広さを感じさせる人でもありますね。ざっくりではありますが、そういうあたりが僕の藤子F藤男感になります。
この藤子藤英さんと藤子F藤男さんの作品の違いはどちらが優れているとかいうお話ではなくて、それぞれ個性的な作家というふうに考えています。ここからは藤子F藤男さんの発表されてきた数ある作品の中から印象的な作品や回についてご紹介したいと思います。
15:18
まずご紹介したいのは藤子F藤男さんの代表作であるドラえもんより分解ドライバーという回です。この話はですね、ドラえもんの一番スタンダードな単行本である天灯虫コミックスには収録されていない作品で長らく日の目を見ることがなかったんですが、
2009年から2014年にかけて刊行された藤子F藤男大全集の18巻に収録されまして、今ではKindle版も購入することができます。この分解ドライバー、内容を見るとなぜ天灯虫コミックスに収録されなかったかすぐにわかるんですね。
全体に濃厚な狂気を感じさせる内容になっていまして、ちなみに今回も前編ネタバレありでお話ししていきます。
ドラえもんは各回のタイトルが秘密道具になっているというのが定型なんですが、この回もそうでして分解ドライバーという道具を使って野人がいたずらをしてとんでもない騒ぎが巻き起こると。
そういうドラえもんによくある話の定型にはなっているんですが、絵面のヤバさとか登場人物の思考回路の読めなさの度合いが他のエピソードと違っていて、そのあたりが狂気を感じさせる原因になっているかなと思います。
どんな話かというと、ある日野人が普通のドライバーを使って時計を分解してるんですね。
でドラえもんが何してんの?と聞くと、壊れた時計をもらったから分解しようと思って、と言うんですね。
この野人の行動は僕も経験がありまして、小学校高学年くらいだったと思うんですが、おもちゃをドライバーで分解するのにはまったことがあったんですね。
分解するだけで元通りに直せないので父に怒られてたんですけど、ただ野人のもらった時計は結構作りが複雑でなかなか分解できないんですね。
でドラえもんは、じゃあいいものを貸してやると言って、4次元ポケットから分解ドライバーという道具を出してくれるんです。
これは何でも簡単に分解できる道具なんですね。
で早速野人の時計に分解ドライバーを当ててみると、あっという間にパーツ単位でバラバラになるんですよ。
ただいきなりバラバラになっちゃうんで、元通り組み立てることができなくて、野人はドラえもんに文句を言うんですね。
18:06
ドラえもんはそんなこと言われても知らんけど、みたいな顔をしてるんですけど、その時ちょうど野人のママが、ゴミを捨てに行くから手を貸してって呼ぶんですね。
でも野人は時計の組み立てに夢中で手が離せなくて、そこでドラえもんが何をしたかっていうと、ここが本当に狂ってるんですけど、手を貸せば文句ないんだと言って、
分解ドライバーで野人の体をパーツ単位でバラバラにして、左手だけママのところに持っていくんですよ。
はいどうぞとか言って野人の手をママに渡すんですけど、その手もなんかゾンビ映画みたいにひくひく動いてるんですね。
で野人のママは気絶しちゃうんです。この辺りのドラえもんの行動、本当に狂ってますよね。
でこの分解ドライバーで人をバラバラにすると、その生命を維持したままバラバラになるんですね。
なのでドラえもんにバラバラにされた野人も生きていて、首とか手とか足とかもぞもぞ動かすことはできるんですね。
でパーツとパーツでくっつくことができるんですよ。
で野人は頭部と胴体に手が1本と足が2本くっついた奇妙な姿になるんですね。
腰はくっついてないので単独で床に転がっているのと、左手の代わりに足が生えてたりするんですけど、
この絵面も藤子F先生のシンプルな絵柄だからいいですけど、リアルな絵柄だったら相当やばいと思いますよ。
でなんか変な感じにくっついちゃったんでもう1回自分を分解してやり直そうとするんですけど、
ふと待てよーっと野人が言い出して、これはこれで面白いじゃないって言い出すんですね。
この体の各パーツが足りなかったり変なくっつき方をしている自分とか状況を、
これはこれで面白いじゃないと言って受け入れちゃうわけなんですよ。
で遊んでこよーっととか言ってその姿のまま外に飛び出しちゃうんですね。
で一本足でぴょんぴょんと街を移動する野人は何か分解したいぞ。
何でもいいからバラバラにしたいぞって言い出すんですね。
このセリフもやばいですよね。
テントウムシコミックスに収録できなかった理由がお分かりいただけるかなと思うんですけども。
で街をプラプラしてるとペットの犬と猫が喧嘩して困ってる女の子がいるんですけど、
21:02
のび太はニヤニヤしながら僕に任せてと言って犬と猫を分解して犬の首を猫の胴体に、猫の首を犬の胴体にくっつけちゃうんですよ。
犬も猫も状況を飲み込めなくてすごい表情をしてるんですけど、
のび太はそれで釣り合いが取れると思うけどと言って一仕事終えたみたいな感じでその場を立ち去っちゃうんですけども。
でその後でジャイアンにバッタリ会って分解ドライバーの話をするんですね。
そしたらジャイアンがそのドライバー面白そうだからよこせと言って追いかけてくるんですよ。
このあたりはドラえもんでよくある展開ですよね。
一方その頃のび太の家ではドラえもんと残されたのび太の腰にのび太の左手が足みたいにくっついたもう一人ののび太がいるわけです。
もう一人ののび太はジャイアンに追いかけられている方ののび太とは独立して動く存在になっていてドラえもんと一緒にのび太を探すんですね。
でドライバーを持っている方ののび太はジャイアンに追いつかれて揉み合っているうちに2人ともドライバーが当たってバラバラになっちゃうんですね。
ですでにバラバラになることに慣れていたのび太はいち早くジャイアンの体のパーツとくっついて余ったのび太のパーツとしかくっつけなかったジャイアンを圧倒するんですね。
なんですけどジャイアンにドライバーは取られてしまってジャイアンはドライバーで人の車や自転車をバラバラにするというひどい悪戯をするんですよ。
で当然ながら自転車や車を壊された大人は怒って犯人に弁償させようと言い出すんですけどやばいと思ったジャイアンはのび太にドライバーを返す代わりに自分の体を返してもらって
のび太に責任を押し付けて逃げちゃうんですよ。で大人たちはのび太に車やら自転車を弁償させようと追っかけてくると。
そんな大金持ってるわけないだろうとのび太は青くなるんですけどもそんな時にちょうど誰かの話し声が聞こえてくるんですね。
えっこのビルの壊し金が500万円っていう声がしてそっちを見てみるとビルを壊してマンションを建てたい地主さんと解体業者が話し合ってたんですね。
このビル解体するのに500万円くらいかかりますよと。で500万円は高いなあ400万円にならないみたいな交渉をしてるんですよ。
のび太は締めたこれだと思って僕なら自転車と車一台で壊してあげますと言って分解ドライバーでビルを粉々に解体するんです。
でその解体料金で車と自転車を弁償してめでたしめでたしという話でした。
24:05
この分解ドライバーなんですが正直結構F先生のネジが緩んでたのかなという印象がある作品で後半ののび太のいたずらも酷いんですけど
やはり序盤のドラえもんのママの手を貸してに対する反応が本当に狂ってるなと思いますね。
ドラえもんが手伝いに行けば丸く収まる話だったのにのび太をバラバラにして手だけ持っていくというこの展開はすごいとしか言いようがないですよね。
そんな分解ドライバーでした。続いてご紹介したいのはアニメ21エモンの第31話
目玉と口が散歩するエモンゼロ次元の恐怖という回です。
F先生は連載作品についてはドラえもんやおばけのキュー太郎など日常の中に非日常的な存在が紛れ込むという組み立ての生活コメディ漫画を得意としていたんですが
21エモンという作品はそれらの生活コメディとは少し毛色が違っていて
未来という非日常を舞台にさらにその中でもより一層非日常的な場所である宇宙へ旅をするという展開も含めたSF漫画になっています。
物語は21世紀の地球。今現在が21世紀なわけですが
この作品の原作が描かれたのは20世紀の1960年代の後半でその時点から想像する21世紀なわけです。
作品内の地球は外宇宙の他の星との交流が進んで星々の間の連合、星間連合にも加盟していて
いろんな星から宇宙人の観光客が訪れて地球は大いににぎわっているんですね。
この作品内の21世紀の東京にはつずれ屋という旅館が開業していて
これは江戸時代から続く老舗の旅館なんですが隣接する豪華なホテルに押されて
宇宙人の観光客にも全然見向きもされず倒産の瀬戸際に立たされています。
21エモンはそんなつずれ屋というホテルの後取り息子なわけですが
ホテル経営には興味がなくて宇宙パイロットになって宇宙を冒険したいという夢を持ってるんですね。
で、潜ろうしている不思議な力を持った宇宙生物のモンガーや
防衛として働いている芋掘りロボットのゴンスケと一緒に
つずれ屋に訪れる風変わりな異星人のお客さんが持ち込むトラブルに対応したり
時には宇宙に旅に出たりするわけです。
27:01
家業のホテルの運営と宇宙への旅という2つのラインで物語が展開していくわけですね。
今回ご紹介する目玉と口が散歩するエモンゼロ次元の恐怖なんですが
実はこれ僕が子供の頃にアニメ版の21エモンでリアルタイムに見てたんですね。
で、これが非常に恐ろしいいわゆるトラウマ界だったんですよ。
もちろん原作の漫画にもこのエピソードは存在してるんですけども
個人的に幼少期にトラウマを植え付けられたという意味で非常に印象に残ってる回なので
この話についてはアニメ版をベースにお話ししたいと思います。
ちなみにこのアニメ版21エモンなんですが
1991年から92年にかけて放送されました。
で、主題歌を歌っているのは忍者というグループなんです。
忍者って皆さんご存知でしょうか?
僕も当時このグループ全然認識してなかったんですけど
この忍者ってジャニーズのグループなんですよ。
1985年から1997年にかけて
少年忍者から忍者に名前を変えながら10年以上活動していたグループなんですけど
どうでしょう?
正直僕は21エモンの主題歌を歌っていたということでしか認識したことはないんですよね
で、そんな忍者が21エモンで歌う主題歌も結構エキセントリックで
ミソラヒバリの車屋さんという曲をロック調にアレンジした大井車屋さんという曲なんですね
この時代のアニソンにありがちなんですが
この曲の歌詞が21エモンの内容に全然合ってないんですよね
伝わるかどうかわからないんですが
ルローニケンシンのそばかす並みに合ってなくて
なんですけど、僕この大井車屋さんっていう曲は無駄にノリが良くて結構好きなんですよね
概要欄に貼っておきますのでぜひ一度聞いていただけると嬉しいです
ゼロ次元の恐怖に話を戻すと
この話は先ほどお話しした21エモンの宇宙冒険会で
オートマ星という科学が発展した星が舞台です
21エモンたちは星に降り立つんですが
不思議なことに歩いている人が一人もいないんですね
で、どこからともなく話しかけられるんですけど
なんと空中に目と口だけが浮いて喋ってるんですよ
30:04
しかもその喋る目玉と口のセットがたくさんいるんですね
この時点で結構気味が悪いんですけど
これどういうことかというと
もともとこの星の住人は地球人とほぼほぼ同じ姿をしてたんですが
ある時から肉体の管理を完全にコンピューター任せにするようになったんですね
肉体は自分の家に置きっぱなしにして
目玉と口で好きな場所に行けるようにもなったと言うんですよ
肉体はコンピューターが完璧なアルゴリズムで適切に管理してくれているので
何百年も何千年も生きられるようになったと言うんですね
そんなオートマ星人の中でも一際年を取った2000歳の老人が
21エモンたちに声をかけて自分の家に案内してくれるんですけども
ちょっと気になることを言うんですね
今日コンピューターが200歳以上の人間はゼロ次元に送ることを決定したんじゃ
みたいなことを言うんですよ
21エモンたちはいまいちピンとこなくて
そうなんですか じゃあそのゼロ次元から戻ってきたら
またいろいろと教えてくださいと言って老人の自宅を後にするんですけど
その2000歳の老人は分かっとらんのみたいなことを言うと
すごく不穏な空気が漂うんですけど
結論から言うとこのゼロ次元に行くというのは
肉体が消滅するということを意味してるんですね
つまりこのオートマ星を管理するコンピューターが
どういう理屈かわかりませんけど
200歳以上の人間は不要だから消滅させることにしましたと
そういうことなんですね
この後の描写がとても恐ろしくて
砂漠の真ん中にゼロ次元へのゲートがあって
そこにはすごく長いベルトコンベアーが敷かれていて
人間の体が一定間隔でお行儀よく座らされていて
一人ずつ真っ黒なゼロ次元に飲み込まれていくんですよ
みんな特に抵抗することもなく静かに消えていくんですね
21エモンたちに色々と話をしてくれたおじいさんも
そのベルトコンベアーに乗せられていて
21エモンたちは降りてくださいと説得するんですけど
2000年も生きてもう生きるのにも飽きたわいみたいなことを言って
逃げようとしないんですね
その生きるの飽きたみたいなセリフも
淡々と言っていてゾッとするんですね
33:02
でついにはそのおじいさんもゼロ次元に
ブニューンと恐ろしげな効果音とともに飲み込まれていくんです
オートマ星人としてはまだ若い200歳くらいの人たちが
目玉と口の状態で慌てていて
最近全然体に戻ってなかったから
自分の体がどれかわからないみたいなことを言ってるんですね
文字通り肉体と精神が乖離しているわけなんですね
文明とかITの発達によって
割と現代人って精神を酷使して
体の発する警告に気づかずにバランスを崩してしまいがちだと思うんですけど
このオートマ星人はその極限の形を描いたものかなと思いましたね
でおじいさんを助けようと粘っていた21エモンたちも
ゼロ次元に飲み込まれそうになるんですが
宇宙生物のモンガーが超能力のテレポートで助けてくれるんですね
ただ芋掘りロボのゴンスケだけはいなくて
モンガーはうっかりゴンスケを置き去りにしてしまったと思って号泣するんですけど
実はゴンスケだけ地下にテレポートしてるんですね
ちょっと座標がずれちゃってて
でモンガーに対してあの狸がみたいに毒づいてるんですけど
よく見るとゴンスケの周りにはゼロ次元の建物に繋がるケーブルが張り巡らされていて
このゴンスケは芋掘り用に作られたロボットで
あらゆる価値基準が芋掘りになっていて
そのケーブルをでかい芋のツルだと思ってぐいぐい引っ張るんですね
そしたら実はそれはゼロ次元の建物に電源を供給するプラグで
ゼロ次元へのベルトコンベアを停止して
まだ死にたくないと言っていたオートマ製の若者たちは助かるわけです
でこれからは機械に全部任せるのはやめて
自分たちの頭で考えることをしていかなくちゃなと
気持ちを切り替えて生きていくことにするんですね
最後は前向きな感じで終わってはいるんですけど
やっぱりベルトコンベアで人間の体が闇に飲み込まれていく描写とか
2000年も生きりゃ十分じゃもう十分生きたという諦めのセリフとか
子供心には相当なトラウマでしたね
この回アマゾンプライムビデオで改めて見てみたんですけど
やっぱりとんでもないディストピア回だなと再確認することになりました
そんな21エモンのゼロ次元の恐怖でした
ということでここまではF先生の連載作品である
36:04
ドラえもんと21エモンからぶっ飛び回やトラウマ回をご紹介させていただきました
ここからはですね
F先生の膨大な作品群の中でも
僕が子供の頃から今に至るまでずっと愛読している短編作品についてお話ししたいと思います
F先生といえばやはりドラえもんとか
キテレツ大百科など長編作品が有名だと思うんですけども
実はキテレツ大百科に関しては漫画の原作は3巻までしか出ていなくて
ほとんどがアニメオリジナルストーリーなんですけどね
ただ個人的にはF先生の真骨頂は短編にあると思ってるんですね
長編漫画に関してはご本人曰く
何を書いてもドラえもんになってしまうと悩まれていったそうなんですが
短編ということであればそういう定型から飛び出したものも書けるということで
ご本人もきっと筆が走っていたんじゃないかなと想像しています
藤子F藤男先生の短編って読んだことがない方にはあまりピンとこないと思うんですが
実は結構な数を発表されてまして
小学館から藤子F藤男SF短編パーフェクト版という
一冊が辞書みたいに分厚い全8巻のシリーズが出てまして
僕の自宅にもあるんですが
このシリーズだけで全部で112話が掲載されています
一冊300ページ以上ある本が8巻で112話入っているということで
かなりの物量なんですよね
このSF短編少年誌に載ったものも青年誌に載ったものもあるんですが
そうしてシリアスな内容の作品が多いですね
単発の短編でドラえもんのような
ちょっとした事件が起きてそれを丸く収めるという内容だと
印象も薄くなると思いますし
きっとF先生も連載作品のある1話を書く時と
短編を書く時とでは完全にスイッチを切り替えて書かれていたんだろうと思います
このF先生の短編なんですが
お気に入りの作品が本当にたくさんありまして
今回ラジオを撮るにあたって
Amazonで色々とチェックしていたんですが
つい今しがたなんですが
すごい本を見つけてしまいました
この本今見つけたばかりなので僕は持ってないんですが
藤子F藤代大全集 少年SF短編1という本がありまして
39:04
これF先生の短編の中でも僕の特に好きな作品が
まとめて収録されてるんですよ
収録作品を読み上げると
ポストの中の明日
ひとりぼっちの宇宙戦争
俺ユーコ
未来泥棒
流血鬼
二人ぼっち
宇宙船製造法
山寺グラフィティ
恋人製造法
どれもすごく面白い作品なんですよね
いやー知らなかったです
こんな本が発売されていたなんて
2010年に発売されていたみたいなんですけど
まあ手元に今挙げた作品が全部収録されている
パーフェクト版もありますし
文庫本とか単行本サイズの本も
いろいろ持ってはいるんですけども
このラインナップは心を揺さぶられてしまいました
もし今手元に藤子F藤雄の短編が
載っている本が一冊もなくて
興味があるけどどれを買ったらいいかわからない
とりあえず一冊だけ買ってみたいという方には
現時点ではこの
藤子F藤雄大全集少年SF短編1がおすすめです
概要欄にリンクを貼っておきますので
チェックしてみてくださいね
今回はF先生の主力の短編の中から
特に個人的に印象深い2作品について
お話ししたいと思います
まずご紹介したいのは
ミノタウロスの皿という作品です
この作品は1969年小学館のビッグコミックに掲載されました
原稿の依頼が来た時
F先生は子供向け作品ばかり書いてきたから
と最初は断ったそうなんですが
当時の編集長の熱意に説得されて
書くことになったそうです
この作品が非常に好評を得まして
それ以降F先生は青年誌やSF雑誌に
短編を発表するようになったそうです
少年誌に短編を発表するようになったのも
このミノタウロスの皿以降なんですね
F先生の短編の原点と言える作品だと思います
物語は宇宙船による宇宙艦の航行が可能になった未来です
主人公の青年は事故を起こした宇宙船の中で
一人だけ生き残り
かろうじて地球型の惑星に不時着します
地球に救難信号を送るんですが
助けに来るまで23日かかると言われて
42:02
一方的に言われて通信を切られてしまうんですね
で幸いその不時着した星には
酸素もあれば地球人とよく似た姿の人間も住んでいて
ミノアという女の子が
生き倒れになっていた主人公を見つけて助けてくれるんですよ
その星は文明もあって文化程度や服装の雰囲気は
ギリシャとかローマの時代に近い感じなんですね
でご飯も食べさせてもらえて
ただそのご飯は草や好みばかりの質素なもので
主人公は地球に戻ったらうまいステーキをたっぷり食ってやるぞと
密かに胸に誓うんですね
主人公がミノアに美味しい料理だったありがとうと言うと
ミノアは意外そうな顔をして料理?
あー餌のことねみたいなことを言うんですよ
主人公はその言葉にびっくりしながらも
育ちが悪いんだなぁかわいそうにと解釈するんですけども
で主人公を助けてくれたこのミノアという女の子は
実は特別な子なんですね
今年のミノタウロスの皿という栄養を与えられているというんですよ
ミノタウロスの皿が何かというのは後々わかってくるんですけども
ある日主人公はミノアと外に遊びに出かけて
二人で池のほとりに座ってのんびりしてるんですね
で主人公はなんかいい雰囲気だぞと
暴走して軽薄にミノアにキスしようとするんですけど
ミノアに口をつままれて軽くあしらわれちゃうんですね
でミノアはアッハッと笑ってどこかに逃げちゃうんですよ
主人公はミノアを探すんですけど見つからなくて
でそのうちやっと出てきてくれて主人公ももうあんなことをしないよと謝って
ミノアは仲直りの印にどうぞって花を渡してくれるんですけど
その花にトゲが生えてたんですね
ミノアの指に小さなトゲが刺さってしまって
そうするとミノアがこの世の終わりみたいな感じで騒ぎ出すんですよ
で主人公をほったらかして家に駆け込んで
家族もなんて軽はずみなことを
もうお前一人の体じゃないんだぞみたいなことを言って
なんか大事になっちゃうんですよ
でお医者様に見てもらわなきゃみたいになって
たかが小さなトゲが刺さったにしては大変な大騒ぎになるんですね
そこへお医者さんが来てくれるんですけど
そのお医者さんが喋る牛なんですよ
主人公はひっくり返るほど驚くんですけど
45:02
でその牛のお医者さんはミノアの指を見てくれて
大したことなくてよかったよみたいなことを言うんですよ
そしたらその牛の医者が主人公に
君みかけん顔だが何号車の所属かねみたいなことを言ってくるんですよ
主人公は僕は地球から来たんだと言うんですけど
地球?何それ?みたいな感じで話が噛み合わないんですね
そしたらその牛の医者が飼い主も心配してるから
ワシと一緒においでみたいなことを言って
主人公を無理やり連れて行こうとするんですよ
主人公はその言葉にキレて
人間をバカにすんなと牛の医者を殴り倒しちゃうんですね
そしたら牛の兵士がやってきて主人公は牢屋に入れられてしまうんです
で他にも喋る牛はたくさんいるんですけど
牛たちも困ってしまってて
どうもこういう凶暴な牛は見たことない
突然変異ですかなぁ
労働種にしては痩せっぽちだし
愛顔種にしては可愛げがない
食用種にしてはまずそうだ
みたいなことを主人公に対して言ってるんですね
で主人公はずっとロケットで地球から来たんだと主張してたんですが
実際にロケットの残骸が見つかって
喋る牛たちも
天から来たというのは本当だったんだと驚いて
ようやく主人公は解放されるんですよ
どういうことかというと
主人公の不時着したこの星では
人類は地球でいう牛の姿をしていて
牛は地球でいう人間の姿をしてるんですよ
でその星の人間からすると
主人公はあまりにも牛に似てたんですが
他の星の人類であるということがわかったので
人類と同等に扱ってくれるようになった
ということなんですね
で牛の姿をした人間の一人が
いろいろと主人公に親切にしてくれて
ミノアについてもいろいろと教えてくれるんですよ
ミノアは今年のミノタウルスの皿に選ばれました
彼女は宿縁の大皿に乗せられるのであります
ミノアは血統の優れた食用種ですよ
と言うんですね
つまり祝いの席でミノアは
牛の姿をした人間に食べられるんですよと
そう言ってるわけなんです
主人公は飛び上がらんばからに驚いて
ミノアを助けようと行動を開始します
一緒に森に隠れて助けが来るのを待とうと
ミノアに言うんですけど
肝心のミノアが全然ピンときてないんですね
ここにいたら食べられちゃうんだぞという主人公に
48:01
地球では食べられないの?と回してきます
当たり前だ牛が人間を食うなんてと主人公は叫ぶんですが
ミノアはまあもったいないみたいな感じで
全然危機感がないんですよ
さらにただ死ぬだけなんて
何のために生まれてきたのかわからないじゃない
と畳み掛けてくるんですね
この価値観のすれ違いが恐ろしいんですよね
でミノアに直接行ってもダメだと思った主人公は
この星の人類
牛の姿をした人類の有力者に
主人公を曰くこの残虐な風習をやめさせるために
熱弁を振ることにするんです
でみんな話は聞いてくれるんですけど
ピンとくる人は一人もいないんですね
牛が人間に食べられる
それの何が悪いのかと
そんなことに疑問を持つなんて
おかしな人だなぁみたいな感じで
このあたりを読むと僕はいつも結構考えちゃうんですよね
フリートークでも馬刺しが美味しかったという話をしましたけど
普段肉を食べるときに無意識に深く考えないように
してることを色々と考えてしまうんですよね
例えば人は牛や豚や鶏を食べますけども
仮に人間より強い存在がやってきて
この人間って美味いなぁと言って
人間をバクバク食べ始めた時
どうなっちゃうんだろうって想像したことないですか
この話あんまり人に話したことないんですけど
僕はこのミノタウロスの皿を読むたびに
そのことを考えるんですよね
まぁあんまり考えると怖くなっちゃうので
そうなってほしいとは一ミリも思わないんですけども
物語に話を戻しますと
散々熱弁をふるったあげくトローに終わった主人公は
ミノアの家に戻ってきます
でミノアに語りかけるんですね
君の本心が知りたいんだと
明日食べられて死んじゃうことがさ
本当に恐ろしくないのと質問するんです
するとミノアは
怖いわと答えるんですよ
主人公はやっぱりと言って
それなら早く逃げようとミノアを連れ出そうとするんですが
ミノアは
いや体裁の栄養を失う方がもっと怖いわ
と言うんですね
小さい頃虫歯を抜いたの
とっても怖かった
同じことよ
と言うんですけど
それを言う表情とかがすごく静かで
それが逆に恐ろしく感じてしまいます
そしてついにミノタウルスの皿の当日がやってきます
51:00
ミノアは体裁の大皿に乗せられてしまいます
主人公はミノアが調理される前に
レーザー銃を使って
無理やりミノアを連れ出そうとするんですが
祭りの音楽にかき消されて
主人公の声はミノアに届かないんです
この声が届かないという状況
言葉が通じてもあまりにも価値観が違いすぎて
理解してもらえない
主人公とミノアの状況の宿頭にもなってるんですね
ミノアは来てくれたのね
嬉しいわ
お皿の近くに座ってね
うんと食べなきゃ嫌よ
みたいなことを主人公に言います
主人公は助けてと言ってくれ
と叫ぶんですが
その声もミノアには届かず
そうでしょ?美味しそうでしょ?
と返されます
そしてミノアの乗った大皿は
祭壇の前に運ばれ
そこには巨大な刃物を持った
黒い牛の姿をした人間が待っています
ミノアはふかぶかと頭を下げて
牛の姿をした人間たちの喝采を浴びます
主人公はミノアがいる最後のフロアには
足を踏み入れることができませんでした
で門番に
どうするの?入るの?入らないの?
閉めますよ
と言われて
宴の扉は静かに閉められます
そして地球からの迎えのロケットが来て
主人公は回収されます
最後のコマは
待望のステーキを頬張りながら俺は泣いた
というステーキを食べながら涙する
主人公の姿で締めくくられます
普段日常的に何気なくやっている
肉を食べるという行為も
相対的に見るとこういうことですよね
って真顔で突きつけられてるような
感じのする作品で
その徹底して客観的な目線が
F先生の短編の
一つの大きな特徴としてあると思うんですね
F先生の最初のSF短編にして
その客観性の極致とも言えるのが
このミノタウロスの皿という作品になります
ミノタウロスの皿は
藤子F藤代SF短編パーフェクト版の一環や
小学館文庫から出ている
藤子F藤代異色短編集
ミノタウロスの皿などに収録されています
概要欄に貼っておきますので
ぜひチェックしてみてください
今回最後に取り上げたいのが
SF短編からもう一作
オレユーコという作品になります
54:00
ミノタウロスの皿は
恐ろしいまでの客観性をもって
人間の常識を相対解して
描き出して見せた作品だったんですが
F先生の短編の全てが
そういう目線で描かれているわけではなくて
よりコミカルな雰囲気の作品もあれば
温かい視点や感情を揺さぶる作品などもあって
本当に多彩な面を持った
ストーリーテラーなんだなぁと思っています
そんな中でオレユーコは
1976年に少年サンデーに掲載された
F先生の短編です
物語は主人公の少年佐藤くん
多分高校生が
自分の部屋で
怪事件だと叫ぶところから始まります
このイントロ結構意表をつかれる感じで
印象的なんですよね
朝自分の部屋のベッドで目覚めた佐藤くんは
自分の首に女性向けのネックレスが
かかっていることに驚いて
怪事件だと叫んだわけなんです
続けて佐藤くんは
ユーコのだと言います
夕方の夕に子供の子でユーコ
タイトルにも入っているユーコという
女の子の名前が
ここで早速出てくるんですね
ここで吹き出しではなく説明文のコマが入って
ユーコというのが誰なのかが語られます
この説明文も完全に客観的な説明文じゃなくて
主人公の佐藤くんの主観による
小説で言うところの字の文なんですよね
字の文というのは
例えば主人公の一人称で書かれた小説で
セリフ以外のところで
ボクの名前が書かれた小説で
ユーコの名前が書かれた小説で
セリフ以外のところで
ボクは頭がクラクラするのを感じたみたいに
状況や感情を描写することがあると思うんですけど
そういったセリフ以外の部分のことですね
俺ユーコでは
この字の文を作品の要所要所に挿入することで
文学的な味わいを作品に与えることに
成功していると思います
佐藤くんは自分の首に
亡くなったユーコさんのネックレスが
かかっていることについて
ひょっとしてあの時無意識に持ってきちゃったのかな
これはユーコのお父さんに返さなきゃいけないな
と言ってユーコさんの家に返しに行きます
ユーコさんの家に着くんですが
ここでまた字の文で注釈が入ります
ユーコの親父嫌いだ
得体の知れないところがある
57:00
勤めにも出ずブラブラしている
昔は大学の研究室で
将来を期待された科学者だったとも言うが
本当かどうか
古い家柄で食うには困らないらしい
佐藤くんはこういうふうに
ユーコのお父さんのことを表現しているわけです
何を考えているかわからない
得体の知れないところのある人物
という印象ですね
佐藤くんはインターホンで
ユーコのお父さんを呼び出して
正直にネックレスのことを話すんですね
信じてもらえないかもしれませんけど
わざと取ったんじゃないんです
みたいな感じで
するとユーコのお父さんは分かっています
と一言だけ言ってネックレスを受け取るんですけど
なぜか佐藤くんのことを
昆虫を見るような目で
穴が開くほど見つめるんですよ
この顔とても怖いんですよね
F先生の絵柄ってすごくシンプルで
最近の漫画みたいにめちゃくちゃ描き込んでるとか
そういうタイプの絵柄じゃないんですけど
シンプルな絵の分伝わるものってあると思うんですよね
そのユーコのお父さんが
佐藤くんを黙って見つめる表情は
シンプルだけどめちゃくちゃ怖いんですよ
で佐藤くんはユーコのお父さんのその表情を見て
そういえばあの時もあんな目で見つめてたっけ
と思い出すんですね
あの時というのはいつかというと
実はユーコの葬式の翌々日に
佐藤くんはユーコのお父さんに呼び出されて
ユーコの家を訪れていました
でユーコのお父さんはコーヒーを出して
どうぞと進めるんですけど
人を呼び出しておいて全然要件を切り出さないんですね
奇妙な時間が流れるんですよ
で唐突にお父さんが語り出すんです
ユーコが亡くなってからあの子の日記を読みました
あなたの名前が出てくるんですよ
何度も何度もと言うんですね
ユーコさんは自分の日記に佐藤くんの名前を
何度も何度も書いていたと
さらにお父さんは好きだったらしいですなあなたを
と佐藤くんに言います
佐藤くんは好きだった?僕をですか?と驚くんですけど
ここで佐藤くんの心の声モノローグが入ります
思いもよらなかったしかし
その時初めてわかったのだ
僕がユーコを大好きだってことが
このモノローグがとても印象的なんですよね
1:00:02
ユーコさんの気持ちについて知らされると同時に
それだけじゃなくて
自分自身の心に気づかされるという
さらにお父さんがずっと生きてればあるいは将来君と
と畳み掛けるに及んで
佐藤くんは自分でも気づいていなかった胸の奥の悲しみに
涙をボロボロ流すんです
その時佐藤くんの視界が急にぐるぐる回り始めて
佐藤くんは気を失ってしまいます
目覚めるとそこはお父さんと二人で話していたユーコさんの部屋で
周りには誰もいなくなってたんですね
佐藤くんはユーコのお父さんに挨拶して帰ろうとするんですけど
広い家でどこにいるかわからず迷子になってしまうんです
困って手当たり次第にドアを開けてみると
深夜薄暗い部屋に生き物の気配がするんですよ
その部屋は白いウサギがケージに入れられているんですが
なんと佐藤くんの目の前で白いウサギが一瞬で灰色のウサギに変わるんです
そこにユーコのお父さんが現れて
僕の研究室ですと教えてくれるんですね
佐藤くんはすみません出口と間違えてしまってと謝るんですが
構わんよもう使っていないんだ
研究は完成したのでねとお父さんは答えます
何でもユーコのお父さんは遺伝子と細胞の代謝についての
研究をしていたそうなんですがあまり多くを語ろうとはしません
そして別れを告げる佐藤くんの顔をじろじろと穴が開くほど見つめるんです
で佐藤くんはそのことを思い出して
あの表情は何かあると怪しみ始めるんです
あの時気を失っている間に何かされたんじゃないかと疑い始めるんですね
そしていろいろ考えながらキロについていると
何やらぐるぐる眼鏡の少年が友達に熱弁を振るってるんですが
相手にされずに笑われているところに出くわします
その少年は口数が多くて話が細かいところから解説者のあだ名で呼ばれてるんですけども
何を熱弁していたかというと
友子の幽霊を見たと言うんですね
佐藤くんはその話を聞いて信じることも嘘だと否定することもせずに
ただただショックを受けます
もし本当に友子の幽霊がさまよっているのなら
俺のとこへもちょっと寄ってくれないかなと考えたりするんですね
1:03:05
それから4日後 佐藤くんは目覚めるが早いか
第二の怪事件だと叫ぶんですよ
昨夜は自分のベッドで眠りについたはずの佐藤くんだったんですが
目覚めてみるとそこは公園の茂みの中だったんです
しかも女性向けの服を着てるんですね
佐藤くんは状況が理解できないながらも
その姿を誰かに見られたら社会的に終わると考えて
顔を両手で隠して全速力で突っ走って
何とか自宅に戻ることに成功します
で何とか自分の部屋まで戻るんですが
佐藤くんのお母さんが朝っぱらから何やってんのと言って
佐藤くんの部屋に入ってこようとするんですよ
佐藤くんは全速力で着替えるんですが
下着までも女性向けのものを身につけていることがそこで発覚します
その場は何とかお母さんには気づかれずに済むんですけど
でとりあえず脱いだ女性向けの服をベッドの下に隠しておくんですけど
授業中もその服がお母さんに見つかったら何て言い訳しようとか
気が気じゃないんですね
このあたりかなりコミカルに絵が描いてて面白いんですけど
で学校が終わったら一目散に家に帰って
女性向けの服を天井裏に隠そうとするんですけど
ぐるぐる眼鏡の解説者に呼び止められるんですよ
佐藤くんは何俺急いでんだけどって切れ気味に対応するんですけど
解説者が言うには
こないだユウコの幽霊の話をしてみんなに笑われたから
今日は動かぬ証拠を持ってきたというんですよ
解説者はユウコの幽霊の写真を撮ったって言うんですね
その写真を見せてもらうと
確かに路上を裸足で歩くユウコの姿が写ってるんです
そしてその写真のユウコはパジャマを着てるんですね
そのパジャマというのがですね
佐藤くんが昨日着ていたのと同じパジャマだったんですよ
佐藤くんはそこでピンと来て解説者をその場に残して
自分の家に走って帰るんです
そして朝自分が着ていた女性向けの服を確認するんですが
それは佐藤くんがひらめいた通り
ユウコさんが整然に着ていた服だったんですね
で、これは一体どういうことなんだと
佐藤くんは頭を整理するために推理をめぐらせるわけなんです
推理その1
僕が無優状態でユウコの家に忍び込み
1:06:03
ネックレスや服を盗み出した
これはちょっと信じたくない
推理その2
ユウコの幽霊が忍んできて俺と服を取り替え
いや、そんなバカな
推理その3
俺を困らせようと企んだ誰かが深夜密かに忍び込み
結局それしか考えられないぞ
と、佐藤くんはそういう結論に至るんです
で、佐藤くんは自分を落とし入れようとする誰かを見張るために
濃いお茶を何杯も飲んで徹夜を続けて
その犯人を取り押さえようとするんですよ
野球用の木のバットとかも用意して
ただ来る日も来る日も頑張って徹夜しても
何事も起きなくて
徹夜がたたって授業中にぐーぐー眠り込んで
先生に怒られたりするんですけど
そして4日目の夜
事件は大きく展開することになります
その日は豪雨や雷で空が荒れ狂う嵐の日でした
不意に猛烈な眠気が襲ってきて
佐藤くんはとうとう眠ってしまいそうになるんですね
いつものように濃いお茶をガブガブ飲むんですが
ちっとも効かないんです
で、眠っちゃダメだと言って
自分の頭をバットでゴンゴン殴ったりするんですけど
よしてよ、痛いじゃないの
と声がするんですね
佐藤くんは
誰だ、どこにいるんだ?
と叫ぶんですが
その声は
あなたこそ誰よ、ここはどこ?
と答えます
佐藤くんは
この部屋には俺しかいないはずなのに
と混乱するんですが
声は
そうなのよ、ここにいるのは私だけよ
と答えます
そうなんです
佐藤くんの部屋にいるのは
一人だけなんです
佐藤くん一人が俺と言ったり
私と言ったりしてるんです
で、そこで雷が
真っ暗だった部屋を照らすんですけど
そこに映し出されていたのは
佐藤くんの服を着て
眼鏡をかけている
髪の長い
ゆう子でした
で、佐藤くんの服を着たゆう子は
お家へ帰らなきゃ
と言って
土砂降りの雨の中を
歩き出すんですね
なんですけど
そこでハッとなって
あれ?
俺どこに行こうとしてるんだ?
って言い出すんですよ
一つの肉体で
佐藤くんの人格とゆう子の
人格が
行ったり来たりしてるんですよ
ただそこでまた
佐藤くんの意識は消えていって
行かなくちゃ
1:09:00
待ってる
パパ!
と言って
雨の中を
ゆう子の家に向かって
走り出すんです
その走り出すゆう子の姿を
見つけて
後を追っていたのが
ぐるぐる眼鏡の解説者でした
彼はゆう子の
幽霊の正体をつかもうと
調査を続けていたんですね
ここで
佐藤くんの解説が入ります
ゆう子に返信中
俺の意識はない
以下は解説者から
後で聞いた話だ
そうこの短編がすごいと思うのは
ここからクライマックスまで
主人公である佐藤くんは
意識を失ったままになるんですよね
だからそれを見届ける
存在としての解説者が
必要だったってことなんですね
で、佐藤くんの服を着たまま
ゆう子は
自分の家にたどり着いて
解説者はそれを必死に追いかけます
で、ようやくゆう子が家にたどり着くと
ゆう子のお父さんが
かわいそうにこんなに濡れて
と言って迎え入れてくれるんです
で、ゆう子は服を着替えて
暖かい部屋でお父さんと話をするんです
解説者はゆう子の家に忍び込んで
部屋の外から会話を盗み聞きします
で、ゆう子が不意に
パパ、今夜こそ本当のことを教えてちょうだい
と言い出すんです
私本当はここにいちゃいけない
人間じゃないかって気がするの
ね、私死んだんでしょ
って言うんですね
ゆう子のお父さんははぐらかそうとするんですけど
ゆう子の勢いに押されて
ついに本当のことを話し出すんですね
それによるとゆう子のお父さんは
遺伝子と細胞の代謝について
ずっと研究を続けていました
この後の自分の研究についての
ゆう子のお父さんのセリフ
引用をしますね
遺伝子というのはね
親から子へ受け継がれていくもので
わかりやすく言えば体の設計図みたいなもんだ
染色体の中のDNAがRNAに指令を出して
タンパク質を作り
設計図通りの体を組み立てているんだよ
言うまでもなく
人間の体は細胞から成り立っている
例えて言えば
小さなブロックで組み上げられているわけだ
ところでこのブロックが
常に入れ替わっていることを知ってるかな
古いブロックが捨てられ
後に新しいブロックがはめ込まれる
これを新陳代謝という
細胞の寿命はそれぞれ違うけれど
すっかり入れ替わった時には
見方によれば別人になったと言えないこともない
それなのに何度も代謝を繰り返しても
同じ人間になるのは
1:12:00
DNAがしっかりと睨みを利かしているからだ
パパの研究というのはね
次の2つの考えから出発したんだよ
1.全身の細胞を一度に取り替えられないか?
2.その時他人のDNAを働かせることは不可能か?
僕はそれを可能にしたよ
まさかそんな
動物実験で見事に成功したんだ
DNAを安定した状態で液状にする
注射すればたちまち相手の全身に行き渡る
しばらくは何の反応も出ない
これが実は準備期間なんだ
4日目
注入されたDNAが空データを起こし
相手の体を乗っ取る
6時間有効だ
有効がなくなった時
僕は即座に有効の体からDNAを採取した
ということで
そう
有効のお父さんは有効から抽出したDNAを
佐藤くんに注射していたんです
そして佐藤くんを一時的に有効に変身させて
亡くなった娘と会うことを繰り返していたんですね
有効が好きだった佐藤くんを有効に変えるというのは
結構倒作した感じもあるんですけども
我慢できなかったんだよ
有効に二度と会えないなんて
とお父さんは言うんです
不気味で得体の知れない人だった有効のお父さんの
人間らしさが滲み出るシーンなんですね
ここからクライマックスまで引用させていただきます
初めて有効が来てくれた晩
どんなに嬉しかったことか
一度だけのつもりだったが
つい来るたびに注射を繰り返した
パパやっぱりそれはいけないことよ
ひろかずさんにも迷惑をかけたくないし
ひろかずさんというのは佐藤くんの名前ですね
パパにもう会えなくなるのは悲しいけど
でも死んでからこんなに何度も会えたんだもの
わかった
有効が望むならこれっきりにしよう
せめて今夜だけは名残を惜しませておくれ
パパお話しして
私が小さかった頃の
ママが元気で生きていた頃の
有効が生まれた夜はね
ひどい土砂降りだったんだよ
ちょうど今夜みたいにね
僕はずぶ濡れになって病院へ駆けつけた
ママの横ですやすや眠る君を見たとき
ここで有効の親子3人
幸せだった頃の情景が描かれます
最後のコマは佐藤くんのモノローグで締められます
元の姿に戻った俺は眠りこけたまま
ふらふらと我が家へ帰ったという
午後俺が有効の家を訪ねたとき
もう誰も住んでいなかった
1:15:02
そうして物語は終わっていきます
この俺有効という作品
イントロの開示権だと叫ぶところから
徐々に情報が開示されていく構成の見事さ
字の文やモノローグによる文学的な味わい
そしてこのラジオでは伝えきれなかったんですが
佐藤くんが有効のDNAに
体と意識を乗っ取られるシーンの絶妙な小回り
F先生の主力の短編の中でも本当に大好きな作品です
この作品はフジコーF・フジオ大全集
少年SF短編1に収録されています
概要欄にAmazonリンクも貼っておきますので
ぜひチェックしてみてください
ということで今回はセミラジオ50回の節目として
フジコーF・フジオ先生の主力の作品群の中から
自分にとって特に印象的な作品をピックアップして
ご紹介させていただきました
当然ながら紹介しきれなかった作品の中にも
素晴らしいものがたくさんありますし
F先生の作品群は全て人類の宝だと思っています
このラジオをきっかけにF先生の作品群や
主力の短編を楽しんでいただけたらすごく嬉しいです
そしてセミラジオが50回の節目を迎えられたのは
聞いていただける皆さんのおかげです
これからもマイペースで更新していければと思うので
聞いていただけたら嬉しいです
セミラジオではお便りを募集しています
概要欄のフォームやTwitterのメッセージ
ハッシュタグセミラジオでツイートしていただけたら嬉しいです
今日はセミラジオ50回記念
フジコーF不条特集をお送りさせていただきました
ご視聴ありがとうございました
01:17:07

コメント

スクロール