世界から見る日本へようこそ。
グローバル社会と言われている今、世界各国との距離が近くなったように感じる一方で、皆さんは日本が世界にどう見られていると思いますか?
この番組では、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのか、といったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本、といった視点をリスナーの方々と共有していきます。
番組のお相手は、海外在住歴30年以上、現在オランダに住みながら、日本とオランダをつなぐ事業開発サポートを行っている私、ゆきです。
今回のテーマは、日本人で良かった、国籍の意外と知らないキホン、という題で、国籍とは、アイデンティティとは、についてお話ししていきたいと思います。
皆さんは、日本国籍を持っているメリットなど、感じたことや考えたりしたことありますか?
今日は、この国籍とは何を意味することなのか、普段もしかしたらあんまり考えない国籍、アイデンティティなどについて、少し考えていきたいと思います。
今、この番組を聞いていらっしゃる多くの人は、日本国籍を持っている人たちだと思います。
そういう私も、オランダに長い間住んでいますが、日本国籍を持っている日本人です。
一方、私の長女は、日本人の私とオランダ人の夫の間にオランダで生まれた子供ですので、彼女は17歳の今、日本とオランダの国籍を持つ、いわゆる二重国籍保持者です。
現在、オランダ国籍と日本国籍の両方を持つ彼女ですが、日本の法律では、最終的には一方の国籍を選択する必要があります。
じゃあ、いつまでに一つの国を選択しなければならないのか、というと、20歳未満で十国籍、十国籍っていうのは複数の国籍を持っている人ですね。
十国籍になった場合は、22歳までに決める。18歳以降に十国籍になった場合は、十国籍となってから2年以内に国籍選択をする必要があります。
うちの長女はですね、生まれてから出生届を出した時点で二重国籍保持者なので、22歳にはオランダか日本かどちらの国籍かを選ぶ必要があります。
来年の3月で長女は18歳になるので、あと4年ですね。
これからの4年、彼女がどのような経験をして、どの国籍を選ぶことになるのか。
そうですね、どうなるのでしょう。
ちょっと今はわかんないですね。
国籍と自分が何人かと感じる一種のアイデンティティの問題は、私の長女のような二重国籍者にとっては難しい問題です。
私もですね、オランダに20年以上住んでいるんですけれども、たまにオランダ人から、
ユキ、あなたはもうオランダ国籍になったのでしょ?って言われるんですね。
それを聞くたびに、え?とかって思うんですけれども、
これはオランダには移民が多くてですね、オランダ国籍を取得する人が多いからなんですね。
でもすでにオランダに永住権がある私にとって、
わざわざ日本国籍を放棄してオランダ国籍を取得するメリットっていうのはほとんどないんです。
私はこの永住権を取得しているオランダで就労ビザ、滞在ビザなどの申請がなく、
どこにでもオランダだったら住めますし働けます。
永住権があれども認められてない唯一のことといえば、国政への投票権です。
地方政治の投票権は外国籍の私でもあります。
逆に日本国籍を手放す方が私にはデメリットが多く感じられます。
だって将来もしかして日本に住むことになった時、
日本での在留資格の申請、働くための就労ビザの申請、
アパートを借りるのも外国人にも貸してくれるアパートを探さなければならない、
といったいろいろな大変なことが多くあります。
それよりも何よりもですね、自分が日本人だと思っているっていうところがまず第一にあります。
いくらオランダに長く住んでいても、ここでの生活が心地よいと感じていても、
オランダ語が話せても読めても、やはり心は日本人の私です。
じゃあ、私の日本人の心っていうのはいつ形成されたのかな?
それは一生変わらないのか?と考えると、一生変わらないと思うんですね。
私は人生の大部分を海外で過ごしていて、
もうすでに日本に住んでいた年数よりも海外で住んでいる年数が多い、
ちょっと浦島太郎的な日本人かもしれません。
そんな日本で過ごした年数が海外で過ごした年数よりも圧倒的に少ない、
私の日本人アイデンティティはいつ形成されたんだろう?と振り返ると、
やっぱり一番多感な時期、青春ですね。
高校時代、大学時代をどこの国で過ごしたのかっていうことが、
その人の心の故郷に関わってくるのでは?と私は思っています。
私は青春時代を日本で過ごしたんですね。
あの時代はスマップとか、それこそスラムダンクっていった漫画も流行っていて、
サッカーではワールドカップ予選の同派の悲劇とかあった時代で、
日本という国でその時流行っているものを体感して、
友達とそれを共有した経験、思い出がすごく日本人の私につながっているような気がします。
というのも、私はオランダ人のお友達も多いのですが、
彼らのパーティー、お誕生日パーティーとかに出席すると、
やはり90年代、2000年代のオランダで流行ったオランダの曲とかを、
みんな酔っ払ったりすると歌いだすんですね。
肩を組みながら、甲子園で母校をスタンドで応援する高校生のように、
みんなで肩を組んで、横に揺れながら歌ったりするんです。
私はオランダに住んでいるので、オランダ語で歌えることもできるのですが、
その曲がオランダをフィーバーしていた頃を体感していないので、
どうしても彼らと同じ熱量では歌えないし、また歌いたくもないという気分に毎回なるんですよ。
歌っている自分が嘘っぽいっていうか、何なんだろうあれは。
やっぱりその熱量についていけないというか、なんか冷めてるっていうか、
その時代を共に体験していないから一緒に盛り上がれないっていう感じですかね。
私がそのような熱量で歌える曲っていうのは、やっぱり自分が中学でも高校でもカラオケとかで歌っていた、聞いていた曲とかなんですね。
もちろん社会人になってオランダに来てから流行った曲も知っているんですけれども、
やはり若い頃に体験した文化、経験っていうのが、私の日本人アイデンティティにすごくつながっているのでは。
っていうのが私の持論です。
そう考えると今、そして今後数年、長女がどこの国で何を体験するかによって、
彼女の心の故郷が決まってくるのかなって思う一方、
最近はSNSやネットの普及によって、
彼女はオランダにいながら日本のアニメ、漫画、K-POPなんかも聞いているし、
昔のように民放の歌番組を見て、みんながある一つの曲に盛り上がるとか、
ドラマを見て、すごくある俳優さんとか女優さんに憧れて、
例えば、翌朝学校行った時に、
ねえ、昨日あのドラマの何々見た?みたいな、
っていう、そういう時代でもないので、
どこで過ごすのかっていうのが、直接心の故郷に与える影響っていうのは、どうなんだろうなぁとも思います。
ちょっと脱線してしまったんですけれども、
では、オランダ側からは二重国籍を認められているの?と思うと、
これも原則は認められていないんですね。
オランダの国籍法は、できるだけ重国籍を避けることを目的として、
原則として、オランダ人が自らの意思で多国籍を取得すると、
オランダ国籍を失う仕組みになっています。
でも、これには例外があるんです。
それは、うちの長女のような場合です。
生まれた時に、私たちのように片親がオランダ人、もう片親が日本人だとか、
両親の国籍などの関係で、自動的に複数の国籍を取得した場合、
また、他国の法律上その国籍を放棄できない極めて困難な場合など、
オランダ側が例外として重国籍を認めます。
そうするとですね、長女の場合はオランダ側の例外に当てはまり、
オランダ側としては長女のような場合、二重国籍保持でもいいよっていう感じなんですけれども、
日本側としては、日本かオランダかを22歳になったら選択してくださいね、ということなんです。
これ、面白いですよね。国によってその対応が違うんですね。
で、これが例えばイギリス人のお父さんとオランダ人のお母さんから生まれた二重国籍者の場合、
イギリスは二重国籍を認めている国なので、この人はオランダとイギリスの二重国籍が持てるんです。
この二重国籍の扱いは国ごとに違くてですね、
完全に二重国籍を認める国、条件付きで認める国、原則禁止の国というふうに分かれています。
一般的にアメリカ、カナダ、オーストラリア、フランス、イギリスなどは二重国籍が認められている国で、
中国、日本などは二重国籍を認めていません。
そう考えると、例えばオーストラリア人とオランダ人の子供は二重国籍保持のまま、
どちらの国にもビザなしで住むことも働くこともできるというわけです。
これは人生の選択肢が増えるという点では羨ましいことだなあって思います。
もし長女が日本国籍を選択したいという場合は、実務手続き上どうなるのかっていうとですね、
二つの方法があります。
このモヤモヤ感がすごい嫌だなって思うんです。
この国籍問題というのは、過去にもいろいろモヤモヤがあるんです。
皆さんも二重国籍という言葉をよくニュースで聞いたことがあると思います。
最近ですと、高田内閣の小野田内閣府特命担当大臣は、
アメリカのシカゴでアメリカ人のお父さんと日本人のお母さんの間に生まれたことにより、
アメリカ国籍を生まれた時点で持たれたということですね。
小野田議員がアメリカで生まれた当時は、
日本の国籍法は不敬決闘主義ということで、
お父さんが日本人でないと日本国籍が取得できなかったという状況だったんです。
これが1985年、法律が改正されて、
お父さんのみではなく、お母さんが日本人の場合でも日本国籍が取得できるように改正されて、
そして小野田議員はこの改正によって、
無事生まれた時にはなかった日本国籍が取得できたというわけなんです。
1985年というのは40年前ですよね。
私、これ結構最近の話だなというふうに思ったんですね。
じゃあ40年前だったら、うちの長女は日本国籍を取得できなかったというわけなんですね。
つまり40年前にオランダ人の夫を持つ日本人女性の私の子供は、
日本人の私という母がいても日本国籍がなかったということなんですね。
これってすごいびっくりですよね、考えてみると。
しかもちょっとなんか断層女婿的な感じがするなって思いました。
こういう方が実際私、多くいらっしゃったのではないかなって思います。
本当にこの法律が1985年に改正されてよかったなって思います。
こういった点と私が話したモヤモヤからもわかるように、
日本という国はほとんど日本人から成り立っているせいか、
移民の方もあまりいませんし、
こういった多様性がある人種問題だとか国籍の問題について、
他国と比べるとなんとなくアクションが遅いって感じでですね。
先ほど私のモヤモヤグレーゾーンも、
なんか一般国民としてはいまいちはっきりしないと。
オランダのように出生時に複数国籍がある場合には、
例外として二重国籍を認めるって言ってくれたらいいのに、なんて思ってしまうんです。
ここまでのことは私も理解していた内容なのですが、
今回この国籍というテーマについて話そうと思った時、
日本やオランダのように国籍の離脱、放棄を許している国もあれば、
国籍放棄なんかダメだよと禁止している国もあることに気づき、
実際どのような国があるのかなと思って調べました。
みなさん、国籍放棄を禁止している国ってどんな国だと思いますか。
そうですね。やっぱり国籍放棄を禁止している国というのは、
みなさんが想像するように一言で言えば、発展途上国です。
いろいろな学術研究でも、国籍放棄禁止国というのは経済発展途上国であるという説明があり、
地域としてはですね、アフリカ、中東、ラテンアメリカに集中していて、やはり経済的要因が影響しています。
国名で言うと、アフリカにはモロッコ、アルジェリア、ナイジェリア、ソマリア、
中東だとイラン、シリア、アフガニスタン、ラテンアメリカだとブラジル、アルゼンジ、パナバ、
こういった国が国籍放棄を禁止している国です。
国籍放棄を許してしまったら、例えばその国の優秀な人材がより良い生活を求めて、
国外にそういった優秀な人材が流出してしまう。
だから国籍放棄を禁止して、祖国への貴族意識、忠誠を確保する。
こういった考え方ですね。
だから、日本とかヨーロッパとかアメリカなど経済的に余裕がある国は、
うちの国民になりたくないのであれば、止めないよと、
どうぞどうぞ国籍放棄してもいいですよということなんですね。
当然ながら、こういう国籍といったテーマにも、
いかにその国の経済力が影響しているのかというのがよくわかりますね。
たびたび世界から見る日本で言うことなんですけれども、
やはり皆さん、この日本という国に生まれ、日本国籍を持っているということは、
先ほどの言った発展途上国の人たちからしたら、とても強い立場なんですね。
それを示すように、日本のパスポートは強いとよく言われているように、
2025年のヘンリーパスポートインデックスの世界ランキングでは、
日本は第3位、世界中で189カ国の国へビザなしで渡航できるようになっています。