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2025-08-21 23:27

⑤ザ・日本ブランド:何を世界とシェアし、何を守るのか

今回のテーマは、『ザ・日本ブランド:何を世界とシェアし、何を守るのか?』

日本独自の食品、産品、文化をどう世界とシェアし、どう日本の独自性を守っていくのが今回のテーマです。夏訪れたフランス、スペインに見た世界に広がる日本ブームの実態、海外で独自に進化する日本文化の姿。


お寿司、ラーメン、おにぎり、抹茶、漫画、ジブリ・・・。様々な日本食品、文化が世界とシェアされるなか、なかにはその日本型原型から離れ、独自に進化してきたものもある現実。


それらを考えるキーポイントとして、番組では以下の点について考えてゆきます。


地理的表示保護制度(GI制度)とは?

特定の地域で培われた伝統的な製法や品質を保護し、その文化や経済を守るための制度


日本の地理的表示保護制度(GI制度)と現状:

何が地理的表示保護制度のもとにあり、

何がそうでないのか。


地理的表示保護制度(GI制度)を適用しない国、

アメリカの例


日本文化のシェアと保護の境界線、寿司とジブリ

日本が世界と何を共有し、何を次世代に守り伝えていくべきか。ぜひこのエピソードを聴いて、一緒に考えてみませんか?

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・『世界から見る日本』は、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本といった視点をリスナーの方々と共有する番組です。


・ナビゲーター: ゆき 海外在住歴30年以上、現在オランダ在住の日本人コンサルタント


『世界から見る日本』という視点が気になる方、是非こちらを聞いて戴けたら嬉しいです。

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サマリー

日本ブランドの重要性について考察し、何を世界と共有し、何を守るべきかを探ります。フランスやイタリアのワイン制度を例に挙げ、日本における地理的表示保護制度や日本酒の位置付けにも触れます。また、日本のジャパニーズウイスキーに関する製造基準や地理的表示保護制度の必要性についても探求します。さらに、日本食としての寿司が世界でどのように解釈され、展開しているかにも言及します。

日本ブランドの探求
世界から見る日本へようこそ。
グローバル社会と言われている今、世界各国との距離が近くなったように感じる一方で、
皆さんは日本が世界にどう見られていると思いますか?
この番組では、世界から見た日本はどう映るのか、他国はどうなのかといったことを比較しながら、
より良い日本へのヒントを探り、世界から見る日本といった視点をリスナーの方々と共有していきます。
番組のお相手は、海外在住歴30年以上、現在オランダに住み、日本とオランダを結ぶコンサルタント業位と名んでいる私、ゆきです。
今回のテーマは、日本ブランド、何を世界とシェアし、何を守るのか、をテーマにお話ししたいと思います。
私はですね、家族と共に夏休み、フランスボルドー地方、北スペインに3週間滞在してきました。
オランダでも感じることなのですが、今まさに世界に日本ブームが起こっていると感じます。
今回訪れたフランスボルドーでも、ここは日本かと思うような漫画本屋さんに加え、お寿司屋さんだけではなく、ラーメン屋やおにぎり屋さんまでもありました。
おにぎりについては、ボルドーから25分離れた田舎町のスーパーで、なんとアボカド&クリームチーズ味が3.4ユーロ、1個580円で売られていました。
私がオランダ移住した25年前に、まさかフランスの田舎のスーパーでおにぎりが販売されるようになるとは想像もしていませんでした。
加えて、私たちが訪れたボルドーのラーメン屋さんには、レジの近くには等身大のトトロが置いてあり、店内の装飾はなんと日本の屋台、たこ焼きとかあんず飴とかのビニールののれんが垂らしてある屋台そのものを店内に複数置き、
その屋台の中にテーブル、ベンチがあり、夏祭りのような提灯が掲げられ、そこに座って食べるといった感じでした。
そしてこの店は、トイレまでの通路が京都の伏見成大社の鳥居レプリカが並べられ、人はそこをくぐり抜けると、その先にはジブリの千と千尋の神隠しの顔なしの大きなフィギュアがあり、
トイレの扉は七夜大黒屋のネオンがあり、そのトイレの扉の横には神社で手を洗う手水車があったりと、屋台×ジブリ×伏見成大社といった日本のどのレストランでも考えられないような、これでもかーっていうくらい日本を主張しているインテレアでした。
このように今は、お寿司、ラーメン、おにぎり、抹茶といった食品以外でも、日本の精神文化を伝える言葉として、生き甲斐、おもてなし、しいたこもれ火などといった言葉も伝えられているくらいです。
では、この世界を魅了する日本というブランド、我々は我が国の食品、製品、または文化において何を世界とシェアし、何を守るべきなのか、といったことについて今回は考えていきたいと思います。
フランスのワイン制度
欧州では比較的このザ・自国ブランドが強い食品などを自国政府が守るといった政策が昔からあります。
その例で皆さんもしかしてご存知なのがフランスのワインだと思います。
そう、私たちがバカンスに行ったフランスのボルドーといえば、ボルドーワインが有名です。
例年ワイン生産量がトップ3に入っているフランスにとって、このボルドーワインという産地名は輸出においても非常に大切なブランディングであるといえます。
フランスには国で定められたワイン法があり、そこには3つのカテゴリーがあって、これによってワインの格付けが決定します。
1935年から2008年まではAOCワイン、英語のアルファベットでAとOとCです。
2009年からはAOPワインと呼ばれるものはフランスワインのトップクラスであることを示します。
このAOPの日本語訳は原産地故障制度にて、ワインの産地、ブドウ品種、ワインの製造方法が決められており、厳しい基準をクリアしたワインのみに与えられる最も優れた称号です。
これにより、消費者は特定の産地の伝統的な製法で作られた高品質なワインを安心して楽しむことができるとともに、AOPはフランス地域の文化や伝統、そして経済を守る役割も担っています。
フランスと同様、ワイン生産国で知られているイタリアワインも同じような制度、DOP制度があり、日本語訳では原産地故障保護にて、特定の地域で伝統的な方法で作られたワインであることを証明し、消費者に信頼性と品質を提供しています。
それでは日本はどうでしょう。
同じアルコール飲料で考えると、日本酒が思い浮かぶと思います。
日本酒も最近、欧米諸国では人気があります。
日本酒が海外で注目されるようになったきっかけは、2013年に和食、日本人の伝統的な食文化がユネスコの無形文化遺産登録されたことにあります。
新鮮で種類豊富な食材、優れた栄養バランス、色を表現した美しい盛り付けなど、和食ならではの魅力が人を惹きつけたことから、欧米を中心に人気が高まりました。
では、日本で作ってないお酒を日本酒と呼べるのでしょうか。
日本酒の原材料には日本の米と水が必要だろう、と皆さん思うかもしれません。
日本から輸入した日本米にてアメリカで製造した日本酒は日本酒と呼べるのでしょうか。
この問題にマッタをかけたのが地理的標語保護制度、GI制度です。
英語のアルファベットGとIでGeographical Indication、日本語訳ですと地理的表示法と言います。
日本では2015年に施行され、地理的表示保護制度、GI制度が導入されました。
地理的表示制度における日本酒とは、国内産米を原料とし、日本国内で製造された製酒を指します。
つまり、海外産米を使ったものや海外で製造されたものは日本酒とは定義されません。
これらの管轄は国税庁が行っているのです。
国税庁と聞くと、え?日本酒なのに国税庁?と思うかもしれませんが、
種税の保全及び種類業組合等の法律に基づき、国税庁が管轄する制度として保護されています。
地理的表示保護制度、GI制度は、特定の地域で長年培われた製法や、風土によって生まれたお酒の品質や特性を保護し、その価値を高めることを目的としています。
日本酒の場合、日本の式と結びついた製造方法や、伝統的な文化に根付いた価値を保全する狙いがあります。
そして、この地理的表示保護制度の原型が、先ほどお伝えしたフランスのAOP、イタリアのDOP原産地故障制度です。
世界で最初に地理的表示保護制度、GI制度を導入したのが、EUで1992年になります。
日本の2015年からは、23年も前になります。
したがって、先ほどお話した国内産米を原料とし、日本国内で製造された製酒といった状況を満たさない限り、勝手に日本酒、ジャポニー酒と名付け、販売することはできません。
一方で、海外で大人気の日本製品で、地理的表示保護はされていないものもあります。
皆さん、それは何でしょう?
まだ日本の地理的表示保護制度が適用されていない海外で大人気の製品の一つが、日本のウイスキー、ジャポニーズウイスキーです。
ウイスキー愛好家の方は、ジャポニーズウイスキーの人気はご存知だと思いますが、あまりウイスキーに関心がない方は、その人気度具合がわからないかもしれません。
そんな方にとって若干補足説明をさせてください。
例えば、サントリーウイスキーの響き、21年物は2005年は日本で2万円程度にて販売されていました。
しかし、20年後の2025年の今年、ヨーロッパでは1500ユーロ弱、現在の為替で日本円で25万円程にて、その価格は高騰しています。
私の父は次女が生まれた時に、日本からオランダに来てくれたのですが、その際にオランダのギリ家族への手土産として、サントリー響きを成田空港で買おうと思っていたのに、
主要欧州航空会社のある第一ターミナルの南ウイングでは売り切れていて、北ウイングまで大急ぎで走って購入し、また南ウイングに戻り飛行機に搭乗したというエピソードがあります。
これが2014年です。そしてその価格だけではなく品質も世界的に認められており、サントリー社のサイトによりますと数々の県有ある国際的種類コンピューテーションで受賞歴があります。
主なものとしては、2016年のISC金賞、2016年と2013年のワールドベストブレンデッドウィスキー、2015年、2014年、2013年のISC最高賞トロフィーなどがあります。
特に2017年にはISCの全部門の頂点であるシュプリームチャンピオンスピリットを受賞しているとのことです。
このISC賞というのは、イギリスの種類専門出版社Drinks Internationalが主催する世界的に権威のあるスピリッツ蒸留酒の品評会にて、特にウイスキー部門ではこの響きは常連となっていたわけですね。
これはある一例に過ぎないのですが、サントリーさん、ニッカさん共にジャパニーズウイスキーは今や欧米諸国、中国人扶養僧に大人気です。
日本洋酒酒造組合ホームページ、2021年2月12日にて制定されたジャパニーズウイスキーの定義があります。
しかしこれを読み上げるとですね、わかりにくいので、サントリー語勤務でマスターオブウイスキー資格保有のチャーリーウイスキー日記さんのノート記事の定義がわかりやすいので引用させていただきます。
ジャパニーズウイスキーの定義、チャーリー流簡易版、その1、日本国内で作られたウイスキー原酒を100%使用。その2、そのウイスキー原酒のすべてが3年以上の気だる熟成。
補足の1、海外で作られた蒸留、熟成された原酒をブレンドしたらダメ。スピリッツ、醸造アルコールをブレンドしたらダメ。補足の2、日本で作られたウイスキー原酒でも熟成が3年に満たない原酒をブレンドの一部に使用するのはダメ。
ということです。
ジャパニーズウイスキーと法制度
しかし残念ながら、日本洋酒酒場組合は、ジャパニーズウイスキーの定義や製造基準を自主基準として定めており、法制化に向けて動いてはいるものの実現にはいたっておりません。
今後、組合が自主的に定めているジャパニーズウイスキーの定義や製造基準を法律で明確に定め、つまりは地理的表示保護制度、GI制度が適用され、違反した場合に罰則を設けないと基準を満たさない製品がジャパニーズウイスキーとして海外で販売されることにもつながり、
その品質を保証できなくなるばかりか、消費者が安心して商品を選べなくなってしまいます。
では少し視点を変えて、この地理的表示保護制度とは異なった制度をとっている国はあるのでしょうか?
はい、あります。
それがアメリカです。
アメリカでは、ある産品の原産地、製造方法、品質などを商標登録によって証明しています。
それは日本やEUのように、産品の特性と産地との結びつきを登録の要件にしていないということです。
これはどうしてでしょうか?
ある食品を例にお話ししましょう。
皆さん、パルメザンチーズはご存知ですよね。
スパゲッティなどにかけるあの粉末チーズです。
このパルメザンチーズは、その大元であるイタリアの代表的なチーズ、パルミジャーノレジャーノに似せた製法でアメリカのクラフト社が製造したものなんですね。
欧州では、パルミジャーノレジャーノというチーズは、イタリアで製造できる5県の生産地域の産品として地理的表示保護制度に登録されています。
しかし、アメリカはパルメザンチーズという名前は一般名称化しているため、地理的表示保護として保護するに値しないとしているのです。
要するに、みんなが知っている名前だから、どこかの産地と結びついているわけではないでしょう、ということです。
そりゃそうですよね。なぜなら、これの大元はイタリアですから。
これは、伝統的にEU域内発祥の製品が多くあるヨーロッパと、欧州からの移民により建国されたアメリカでは、オノズと食に関する伝統や文化はヨーロッパに由来するものが多いという文化背景が現れています。
そして当然ながら、欧州は産品の特性と産地との結びつきに公的なお住みつきを与える地理的表示を保護する制度が広く世界に普及することで、より多くの利益が得られると考えています。
これに対し、アメリカは、欧州のような地理的表示保護制度では市場競争が阻害される。
商標制度の範囲内で地理的表示を保護するのに留め、地理的表示の保護の強化に消極的なのです。
寿司の文化的意義
では、もう一度日本に話を戻しましょう。
日本酒、ジャパニーズウィスキーとお酒の話ばかりしてきましたが、世界に誇れる日本食といえば何でしょう。
そうです、それはお寿司ですね。
そしてこのお寿司、地理的表示保護のもとにあると思いますか。答えはノーです。
世界中どこに行ってもスーシー、スーシーと、それが日本で食べるようなお寿司とは全く異なる形であっても、スーシーと呼ばれています。
海外ではシャリの上にネタが乗っているお寿司よりも、カルフォニアンロールのような巻き寿司が有名です。
巻き寿司の中には天ぷらエビなどが入っていることもあるし、またその上に七味やらマヨネーズがかかっていることもよくあります。
いやいやそれは寿司じゃないでしょう、と私たち日本人は思うかもしれません。
でもその一方、そんな日本人寿司警察がいたら、お寿司というこの食文化はこれまで世界に羽ばたいていなかったと思います。
世界の人々が好きな形と具でどんな寿司を作っても気にしない。みんな自由にやってもいいよ。それこそが日本流だし、日本が世界に評価され、多くの日本ファンを生んでいる理由の一つであるかもしれません。
それではこんな例はどうでしょう。
今年初め、チャットGPTに家族写真をアップロードし、ジブリ風に絵を描いて、といえばジブリ風の家族の絵ができるといったことと、寿司、このお寿司が世界に羽ばたくこととは同じことでしょうか。
皆さん、どう思われますか。これは原作者である宮崎駿氏の著作権を侵害しているのでは?と思われるかもしれません。
このジブリの絵をチャットGPTで描くという一時的ブームが負の影響を与える可能性が高いと判断したチャットGPTのプラットフォーム作成者であるOpenAIは、制限を追加しているようで、
今ではジブリ風の絵のリクエストをしても、著作権で保護されたコンテンツが含まれているため、リクエストを処理できません、という返答を受け取るようになっています。
世界中で大人気の日本ブランド、世界と何をシェアし何をまるもるかについて、我々日本人は今後意識していく必要があるなぁと思った夏でした。
はい、今回のエピソードはいかがだったでしょうか。本編で無事、世界から見る日本第5話を迎えました。ありがとうございます。
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お相手はオランダに住み、日本とオランドを結ぶコンサルトント業を営んでいるユキでした。
それではまた次回、木曜日にお待ちしております。
23:27

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