欧州では比較的このザ・自国ブランドが強い食品などを自国政府が守るといった政策が昔からあります。
その例で皆さんもしかしてご存知なのがフランスのワインだと思います。
そう、私たちがバカンスに行ったフランスのボルドーといえば、ボルドーワインが有名です。
例年ワイン生産量がトップ3に入っているフランスにとって、このボルドーワインという産地名は輸出においても非常に大切なブランディングであるといえます。
フランスには国で定められたワイン法があり、そこには3つのカテゴリーがあって、これによってワインの格付けが決定します。
1935年から2008年まではAOCワイン、英語のアルファベットでAとOとCです。
2009年からはAOPワインと呼ばれるものはフランスワインのトップクラスであることを示します。
このAOPの日本語訳は原産地故障制度にて、ワインの産地、ブドウ品種、ワインの製造方法が決められており、厳しい基準をクリアしたワインのみに与えられる最も優れた称号です。
これにより、消費者は特定の産地の伝統的な製法で作られた高品質なワインを安心して楽しむことができるとともに、AOPはフランス地域の文化や伝統、そして経済を守る役割も担っています。
フランスと同様、ワイン生産国で知られているイタリアワインも同じような制度、DOP制度があり、日本語訳では原産地故障保護にて、特定の地域で伝統的な方法で作られたワインであることを証明し、消費者に信頼性と品質を提供しています。
それでは日本はどうでしょう。
同じアルコール飲料で考えると、日本酒が思い浮かぶと思います。
日本酒も最近、欧米諸国では人気があります。
日本酒が海外で注目されるようになったきっかけは、2013年に和食、日本人の伝統的な食文化がユネスコの無形文化遺産登録されたことにあります。
新鮮で種類豊富な食材、優れた栄養バランス、色を表現した美しい盛り付けなど、和食ならではの魅力が人を惹きつけたことから、欧米を中心に人気が高まりました。
では、日本で作ってないお酒を日本酒と呼べるのでしょうか。
日本酒の原材料には日本の米と水が必要だろう、と皆さん思うかもしれません。
日本から輸入した日本米にてアメリカで製造した日本酒は日本酒と呼べるのでしょうか。
この問題にマッタをかけたのが地理的標語保護制度、GI制度です。
英語のアルファベットGとIでGeographical Indication、日本語訳ですと地理的表示法と言います。
日本では2015年に施行され、地理的表示保護制度、GI制度が導入されました。
地理的表示制度における日本酒とは、国内産米を原料とし、日本国内で製造された製酒を指します。
つまり、海外産米を使ったものや海外で製造されたものは日本酒とは定義されません。
これらの管轄は国税庁が行っているのです。
国税庁と聞くと、え?日本酒なのに国税庁?と思うかもしれませんが、
種税の保全及び種類業組合等の法律に基づき、国税庁が管轄する制度として保護されています。
地理的表示保護制度、GI制度は、特定の地域で長年培われた製法や、風土によって生まれたお酒の品質や特性を保護し、その価値を高めることを目的としています。
日本酒の場合、日本の式と結びついた製造方法や、伝統的な文化に根付いた価値を保全する狙いがあります。
そして、この地理的表示保護制度の原型が、先ほどお伝えしたフランスのAOP、イタリアのDOP原産地故障制度です。
世界で最初に地理的表示保護制度、GI制度を導入したのが、EUで1992年になります。
日本の2015年からは、23年も前になります。
したがって、先ほどお話した国内産米を原料とし、日本国内で製造された製酒といった状況を満たさない限り、勝手に日本酒、ジャポニー酒と名付け、販売することはできません。
一方で、海外で大人気の日本製品で、地理的表示保護はされていないものもあります。
皆さん、それは何でしょう?
まだ日本の地理的表示保護制度が適用されていない海外で大人気の製品の一つが、日本のウイスキー、ジャポニーズウイスキーです。
ウイスキー愛好家の方は、ジャポニーズウイスキーの人気はご存知だと思いますが、あまりウイスキーに関心がない方は、その人気度具合がわからないかもしれません。
そんな方にとって若干補足説明をさせてください。
例えば、サントリーウイスキーの響き、21年物は2005年は日本で2万円程度にて販売されていました。
しかし、20年後の2025年の今年、ヨーロッパでは1500ユーロ弱、現在の為替で日本円で25万円程にて、その価格は高騰しています。
私の父は次女が生まれた時に、日本からオランダに来てくれたのですが、その際にオランダのギリ家族への手土産として、サントリー響きを成田空港で買おうと思っていたのに、
主要欧州航空会社のある第一ターミナルの南ウイングでは売り切れていて、北ウイングまで大急ぎで走って購入し、また南ウイングに戻り飛行機に搭乗したというエピソードがあります。
これが2014年です。そしてその価格だけではなく品質も世界的に認められており、サントリー社のサイトによりますと数々の県有ある国際的種類コンピューテーションで受賞歴があります。
主なものとしては、2016年のISC金賞、2016年と2013年のワールドベストブレンデッドウィスキー、2015年、2014年、2013年のISC最高賞トロフィーなどがあります。
特に2017年にはISCの全部門の頂点であるシュプリームチャンピオンスピリットを受賞しているとのことです。
このISC賞というのは、イギリスの種類専門出版社Drinks Internationalが主催する世界的に権威のあるスピリッツ蒸留酒の品評会にて、特にウイスキー部門ではこの響きは常連となっていたわけですね。
これはある一例に過ぎないのですが、サントリーさん、ニッカさん共にジャパニーズウイスキーは今や欧米諸国、中国人扶養僧に大人気です。
日本洋酒酒造組合ホームページ、2021年2月12日にて制定されたジャパニーズウイスキーの定義があります。
しかしこれを読み上げるとですね、わかりにくいので、サントリー語勤務でマスターオブウイスキー資格保有のチャーリーウイスキー日記さんのノート記事の定義がわかりやすいので引用させていただきます。
ジャパニーズウイスキーの定義、チャーリー流簡易版、その1、日本国内で作られたウイスキー原酒を100%使用。その2、そのウイスキー原酒のすべてが3年以上の気だる熟成。
補足の1、海外で作られた蒸留、熟成された原酒をブレンドしたらダメ。スピリッツ、醸造アルコールをブレンドしたらダメ。補足の2、日本で作られたウイスキー原酒でも熟成が3年に満たない原酒をブレンドの一部に使用するのはダメ。
ということです。