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2025-06-16 32:30

60年間潜伏する白血病ウイルスと腸内細菌の関係【腸内細菌と白血病/食事 前編】#159

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腸内細菌の研究者に50~60年という長い潜伏期間があるHTLV-1の研究の話を伺いました。

こちらは全2回の前編です。


★ゲスト

千葉のどかさん

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BitaP 腸内細菌研究に基づく食事提案

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【プロフィール】

研究者レン from サイエントーク

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サマリー

白血病と腸内細菌の関係について議論し、成人T細胞白血病とその原因ウイルスHTLV-1の長い潜伏期間が特異であることが紹介されます。また、腸内環境の悪化が白血病の進行に与える影響についても言及されます。このポッドキャストエピソードでは、白血病ウイルスの長期潜伏と腸内細菌の関係が解説され、腸内細菌が白血病の発症にどのように寄与する可能性があるかが探求されます。研究者の今後の課題や食生活の重要性についても触れられています。白血病ウイルスHTLV-1と腸内細菌の関連性についての研究が紹介され、感染と発症のメカニズムが掘り下げられます。発症していない人の腸内細菌と発症した患者の病態についての比較が行われ、その結果、細菌の代謝物質ががん細胞に影響を与えることが示されています。

白血病とその特徴
スピーカー 1
こんにちは、レンです。サイエンマニアは、あらゆる分野のゲストと、ディープでマニアの話を届けるポッドキャストです。今回のゲストは、東京科学大学大学院の千葉のどかさんです。よろしくお願いします。
はい、千葉さんは、僕のポッドキャスト仲間の腸内細菌相談室の鈴木さんという方がいるんですけど、その鈴木さんからのご紹介ということで、同じ研究室出身なんですよね。
スピーカー 2
そうです。出身というか、二人ともまだギリギリ在籍をしているので、同じ研究室仲間です。
スピーカー 1
そうか、もう現在進行形で同じところですね。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
ありがとうございます。最初に自己紹介をお願いします。
スピーカー 2
はい、改めまして、東京科学大学の生命理工学院という学科の博士課程3年です。千葉のどかと申します。腸内細菌の研究をしています。よろしくお願いします。
スピーカー 1
はい、お願いします。今回は腸内細菌回になります。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
いくらでもトピックがあると思ってるんで、僕、腸内細菌。
スピーカー 2
何でも関係あるって言えそうなトピックですからね。どこまで本当かわからないっていうのもあるんですけど。
スピーカー 1
最近も結構ニュースとかなったり注目されてるかなって思うんで。
スピーカー 2
キャッチーになってきてますね。
スピーカー 1
千葉さん、それで実際論文最近出されたりとか、あと授業もやられてるっていうことで、クラファンとかもやられてましたよね。
スピーカー 2
そうですよ。おかげさまで、今日が3月23日なんですけども、27日までクラファン期間なんですが、ありがたいことに昨日一昨日に目標額達成することができまして。
スピーカー 1
おめでとうございます。
スピーカー 2
ありがとうございます。サポーターの皆さんのおかげでここまで来れてます。
スピーカー 1
僕の配信のタイミングは間に合ってないと思うんですけど、終了してしまってるけど、ここから始まりってことでね。
スピーカー 2
そうなんですよ。ここからの展望とかも、もし流れがあればぜひお伝えさせていただきたいなと思います。
スピーカー 1
今日そういう話とか、あとはそもそもどんな研究をしているのかなとか、そういった話を聞けたらなと思ってます。よろしくお願いします。
スピーカー 2
お願いします。
スピーカー 1
最初に千葉さんはどんな研究をされてるんですか?
スピーカー 2
腸内細菌っていうところがキーワードではあって、テーマは2つあるんですけども、
今日がっつりお話しできるところは先日論文を出したもので、白血病患者さんの腸内細菌の話ですね。
頭出しだけさせてもらうと、あんまり論文を書いているところで詳しくは話せないんですけども、サブテーマがゾウのうんこコーヒーを作るゾウのうんこの研究をしています。
スピーカー 1
ちょっとフレー幅がすごすぎて分からないですけど。
スピーカー 2
人とゾウのうんこが解析できる人ですね、私は。
スピーカー 1
すごいな、サブテーマのパンチが強すぎて。ゾウのうんこコーヒー。
腸内細菌の影響
スピーカー 2
ゾウのうんこコーヒー自体は秘密にするものは何もないので話せるんですけど。
スピーカー 1
言葉尻だけ聞いたらとんでもない量できそうだなと思いますけど。
スピーカー 2
でも意外とゾウさん30キロぐらいコーヒー豆を食べるらしいんですけど、全然ちょこっとしかコーヒー豆を取れなくて貴重すぎてすごいお値段は高いです。
スピーカー 1
そうなんだ、ジャコー猫でしたっけ?
はい。
うんこのコーヒーみたいなのを聞いたことがありますけど、めっちゃ高いやつ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
そのノリってことですね。ちょっとそれ後で聞きますか。
スピーカー 2
はい、ぜひぜひ。
スピーカー 1
メインの方は白血病の患者の方の腸内細菌の話。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
これはどういうテーマなんですかね。
スピーカー 2
これは白血病っていろんな種類があるんですけれども、
よく世界の中心で愛を叫ぶとかで取り上げられたのって、急性骨髄性白血病っていうものだったと思うんですが、
私がやってるのは成人T細胞白血病っていう名前の白血病でして、
ウイルス性の白血病です、まず。
スピーカー 1
ウイルスなんですね。原因のものがある。
スピーカー 2
はい、原因のウイルスがあります。
で、そのウイルスにかかって、しばらくかなり長いんですけど、60年から70年くらいの潜伏期間を経て、
ぽっと発症してしまうような白血病、変わった白血病です。
スピーカー 1
そんなに潜伏期間長い、ずっと体内にいるってことですか。
スピーカー 2
そうです。感染するだけだと、すぐに症状が出るっていう感じでもなくて、
大概の人、値にすると90から95%の人は、生涯無症状で終えるんですけれども、
5%くらいの人が、ウイルスが原因の症状が出てきて、白血病になってしまうっていうものでして、
発症する人も発症するまでは特に何もなく、症状は自覚症状はないっていうようなのが特徴です。
スピーカー 1
結構感染してる人は多いんですか。
スピーカー 2
日本で年間1000人ぐらいが新規の患者さんとしてなるようなもので、
でも希少疾患に分類されますね。
スピーカー 1
でも発症しないけど感染する人はもっとたくさんいるってことですね。
そうです。
そっか、その9割以上の人は無症状だけど、年間数千人ってことは、結構感染割合高いですね。
スピーカー 2
感染する人も、世界中どこも均一に多いっていうのでもなくて偏りがあって、
日本だと九州地方、宮崎とか鹿児島とかに感染者が多いウイルスですね。
スピーカー 1
結構地域性の血病なんですね。
そういうのがあるんだ。
それは感染しちゃうと、発症するかどうかっていうのは何か違いがあるんですか、人によって。
スピーカー 2
そこを追い求めて、世界中の研究者が何が引き金なんだっていうふうにやってるんですけども、
結構そこが見つからなくって、エピギノム的に就職がされてますとか、
ここに変異が蓄積していますとかは、いろいろ分かってきてるんですけども、
みんなに共通するトリガーみたいなものが見つかっていないのが、この病気の学術的に興味深いところで。
なので、発症を抑えるっていうのも現状できないですし、そこがちょっと困りどころですね。
スピーカー 1
T細胞ってさっき名前ついてましたけど、免疫の細胞ですよね。
それが関連してるっていうのはわかってるみたいな感じ?
スピーカー 2
わかってます。
原因ウイルスがHTLV-1っていうナノウイルスの名前なんですけど、
HTLV-1が感染するのがT細胞なのがしっかりわかっていまして。
スピーカー 1
なるほど。そっか。それでT細胞がおかしくなっちゃうみたいなことなんですね。
スピーカー 2
免疫がだんだん弱まっていったりとか、
感染した細胞が制御性T細胞っぽい挙動を示すっていうのが別の論文でわかっていて、
制御性T細胞だと自分の免疫を抑えるような働き、悪いものを排除するじゃなくて、
自分の過剰な免疫を抑えるような働きをする免疫細胞なので、
一説によると、HTLV-1に感染したT細胞が制御性T細胞をTレグっぽい働きをして、
自分の免疫を抑えて、感染した細胞が免疫で排除されることを防ぐっていう、
ウイルス側の製造戦略なんじゃないかっていうのは仮説として出ているものですね。
スピーカー 1
おもしろいですね。ウイルスって賢いですね。
ガンとかだったらあるじゃないですか。
スピーカー 2
血液ガンですね。
スピーカー 1
血液ガンだからそういう免疫を逃れるシステムみたいなやつありますよね。
スピーカー 2
そうだね。それがあるんじゃないかって言われてますね。
スピーカー 1
このポッドキャストでも結構前にTレグの話をしたことがあって、免疫の研究してる人と話したことがあるんですけど、
やっぱりそこの制御のメカニズムとかってかなり複雑だから、すぐアップデートが早いみたいな話をしてたんですよ。
スピーカー 2
年々免疫細胞の種類の分類も増えていくし、教科書がすぐ使えなくなるみたいな。すぐ古くなっちゃう。
スピーカー 1
だからその辺の解析ってやっぱり難しいんだろうなっていう。プラスウイルス。
スピーカー 2
そうですよね。まだ見つかってないっていうのはありそうですしね。
スピーカー 1
でもそこは研究しがいがありそうな気がしますけど、これと腸内細菌が関係あるんですか?
スピーカー 2
そうみたいですっていうのが論文で。
血液が白血病と腸内細菌自体は先行研究がありまして、
腸内環境が悪くなってリーキーガッドっていって腸の細胞の結びつきが弱くなってゆるゆるになって、
その隙間から本来体に流れてはいけない腸管内の物質だったりとかが流れちゃって、
体の中が悪い状態になる。白血病を悪化させるみたいな研究がありますね。
スピーカー 1
リーキーガッドって言いました?
スピーカー 2
はい。リーキーガッドです。
リーク。腸管の細胞の同士の結びつきがゆるくなってリークする。
腸管内の物質がリークするってリーキーガッドって呼ばれてます。
スピーカー 1
物理的にそういうのが起きちゃう。何でも通っちゃうみたいな感じになっちゃうよね。
スピーカー 2
通る物質っていうのはLPSっていう腸内細菌の物質なんですけど、
それって本来体の中に流れてはいけないようで、
それがこう流れると白血病が進行するっていう論文がありますね。
スピーカー 1
進行しちゃうんだ。LPSって油みたいなやつですか?
スピーカー 2
リポポリサッカライドですね。
スピーカー 1
糖か。糖脂質か。
スピーカー 2
これが細菌の表面の物質。細菌の細胞壁。細胞壁ですね。細胞壁の物質ですね。
スピーカー 1
そっかそっか。だから腸内細菌って僕ら味方じゃないですか。
スピーカー 2
ちゃんと仕切られてれば味方だけど、その仕切りがゆるくなっちゃうと体に害がありますよみたいなことなんですね。
スピーカー 1
へーそっか。それはあんまり考えたことなかったな。
スピーカー 2
よくも悪くもやっぱ腸内細菌の働きは知られていて、
私の今回の論文みたいに腸内細菌が出す物質が白血病の悪化を進行します。
悪い影響を与えますもん。多いですし。
研究手法と検査
スピーカー 2
結構大腸がんもそういう話はあって。
どっちがイメージ通りなのかわかんなくなっちゃいますけど、いわゆる細菌の悪い働きもあるし、
プロバイオティクスみたいにいい働きもあるし、どっちも本当にいろんな研究が出ている印象ですね。
スピーカー 1
なんか難しいですね。ちょっとジレンマというか。
腸内細菌がいないと僕たちの体ってうまく回らないわけじゃないですか。
そこのバランスが崩れちゃうとよくないってことなのか。
そうなんですよ。
これどうやって研究するんですか?
スピーカー 2
白血病です。
スピーカー 1
今の関係性とか、緩くなって入ってきた物質特定したみたいなことですよね。
スピーカー 2
そうですね。
スピーカー 1
それどうやって研究してるのかなって。難しいかもしれないですけど説明が。
スピーカー 2
結構研究によるところはあると思うので、広くお話をすると。
分子生物学的にというか、さっきのジェリーキーガットも、
どことどこの細胞の結びつけが弱くなるのは、
こことここの繋がり物質が弱くなっていて、
染み出す時にはこれかこれだろうみたいな物質候補があって、
実際血中でその物質の濃度が上がってるから染み出してるんじゃないかみたいな推定とかはありそうです。
スピーカー 1
血をとってその流れている物質を検査して、その濃度でウォッチするみたいなのができるってことですか?
スピーカー 2
と思います。
健康な人よりもリーキーガットの人の方がこの物質が上がってるねとかを見るんじゃないかなと思います。
スピーカー 1
緩くなってるかは見たらわかるって感じ?
スピーカー 2
それ分かんないです。リーキーガットってどうやって見るのかな?
スピーカー 1
顕微鏡とかで見たら見えるのかなって思うけど、
そんな人の腸の細胞の顕微鏡で見るってどうやってやるんだろうみたいな感じですよね。
結構調べてるよね。
スピーカー 2
そうですね。血液をパッと今調べて出て、私もハーってなってるので、
めちゃめちゃ嘘をついたら申し訳ないんですが、パッと見た感じ、
血液をとってさっきのLPS、腸内細菌由来の物質が血中に濃度が増えてるか増えてないか、
増えてたらそれはリーキーガットですねって見るみたいです。
スピーカー 1
そっかそっか。それに診断できるんだ。
スピーカー 2
はい。リーキーガット検査キットになるものがあるんですね。
スピーカー 1
へー、そうなんだ。
腸内細菌検査の現状
スピーカー 1
普通の人はもうやらないと思いますけど。
スピーカー 2
そうですね。あ、2万5千円もします。
あ、高い。
スピーカー 1
もう高い。
そっか、そうそうやらないもんな、きっと。
スピーカー 2
そうですよね。自分リーキーガットかなって見るのは、かなり先の未来な気がしますね。
スピーカー 1
しかも、ただ不安になるだけじゃだけな気がするしね。
スピーカー 2
解決策がセットじゃないですからね。
スピーカー 1
どうやったらそこのリーキーさをなくせるんだっていうのをわからないかもしれない。
スピーカー 2
結構今の現状の腸内細菌の検査もそこは私は懸念していて、
結構Amazonでも腸内細菌検査キットで、自分のお腹の中に乳酸菌どのくらいの割合いるかなとかって、
手軽に調べられるようにはなってるんですけども、
知ったとてどうするかがまだまだセットになってないんですよね。
スピーカー 1
そうですよね。
スピーカー 2
エンタメとして検査をする域をまだまだ超えてないように私は思っていて、
なんかちょっとそこは障壁だなって思ってます。
スピーカー 1
なんかまだ好奇心を満たすのかなっていう、そういう域なのかなってなんとなく思ってますけど。
スピーカー 2
まだそんな感じですよね。
スピーカー 1
なんか自分のDNAとかを調べて、先祖がどの辺の地域にいました?みたいな検査とかもあった気がするんですよ。
名前も忘れちゃいましたけど。
スピーカー 2
23andMeですかね、アメリカの。
スピーカー 1
そうかな、なんかそんな感じので、それもやったとてへーってなって終わり。
スピーカー 2
そうなんですよね。
日本人はそんなにどこどこの地がんみたいなのないじゃないですか。
大体日本の中で完結してるので。
スピーカー 1
でもなんか多少、ちゃんと調べれば結構あるみたいですけどね。
北海道、沖縄の方は結構縄文人の地がDNAが残ってて、
関西ぐらいから弥生人みたいな大陸から来た人が広がってて、
両端に広がっていってるみたいなのはあるらしいんですよ。
スピーカー 2
思ったより全然面白そうじゃないですか。
スピーカー 1
結構それは面白そうで、
ゲノム見たらその分布が一応日本の中でも、
だから関西から大陸の人入ってきたんだな、みたいな予測とかがあるらしくて。
まあ平和って感じなんですけど、
町内最近は今は平和かもしれないけど、将来それで、
じゃあこういう食事にしましょうとか、
こういう何かの改善につながるかもしれないですよね。
スピーカー 2
そうですね。そこを狙っていろんな研究者が研究してますし、
私もその一人で、
お腹を良くするには、町内環境を整えるには食べ物が大事と散々言われているが、
じゃあ何を食べればいいのよ、ちゃんとはっきりしたいなという思いはすごくありますね。
スピーカー 1
しかもましてや、今回の研究だと白血病の病気の人みたいな着眼点って、
スピーカー 2
将来的に何か治療に使えるかもとかそういう視点もあるんですかね。
そうですね。研究を始めた当初はもうそのように行きまいていたんですけども、
スピーカー 2
結果的に着地したのはちょっと医療応用はもう少し先だなという印象で、
でも見えた光としては、
新規治療ターゲットに町内細菌っていうのは全然なしじゃないですよっていうのは示唆できたと思っていて、
もともとその成人T細胞白血病と町内細菌の関連って、
研究がそもそもされてなかったので、関係あるかなないかなすらも分からない状況だったんですね。
患者さんの町内環境が変化していて、なおかつそれが病気になったから町内環境が変化したっていうだけじゃなくて、
町内細菌が原因になって病気が悪化しているっていう可能性を示唆したのが私の論文なんです。
スピーカー 2
なので、町内細菌をちゃんと考慮して、今後も研究を進めるべきじゃないっていうような一石投じられたらなっていうのを憧しく思いますし、
そこの未来につながればいいなっていうのは、この論文のいわゆる社会的インパクトとか応用可能性のところで伝えているところですね。
スピーカー 1
実際それも人の町内細菌でやったってことですよね。
スピーカー 2
いろいろ組み合わせてやりまして、論文の方では人のデータを解析して、この候補細菌がやばそう、この物質がやばそうっていうのを導き出しました。
その導き出した候補物質に関しては、実際のガン細胞に物質を添加してガン細胞がギュッと増えるっていう動きを確認したので、それで検証をしたって感じですね。
スピーカー 1
そういうことか。振りかけたら増えるみたいな現象ですね。
スピーカー 2
そうです。
スピーカー 1
すごいな。
スピーカー 2
じゃあ本当に人のお腹の中でその物質が増えてますか?だったり、人の血中でそれが検出されますか?っていうのは是非とも見たいところなんですが、
ちょっと一方私の研究ではそこまで及ばず、ひとまずまとめて発表した次第です。
スピーカー 1
でも将来的にリスク因子なわけじゃないですか。
それがあるなしって分かる。診断としては良さそうですよね。
スピーカー 2
そうですね。そこが1個、例えば血液検査の項目とかに入るっていうのは結構未来が明るいですね。
スピーカー 1
面白いな。ガン細胞が増えちゃう。そこはでもとりあえず増えちゃうって結果が出たって感じなんですね。
スピーカー 2
はい、そうです。
スピーカー 1
不思議だな。何かを誘発してるのかな、ガン細胞の。
スピーカー 2
でも、そこからそれこそ分子生物学っぽく、このチャンネルでその物質が取り込まれて、どういうメカニズムが起こって細胞が増えているのかとかすごく気になっちゃいまして。
スピーカー 1
めっちゃ気になりますね。
スピーカー 2
そうしたらまたそこで3年とか新しい体は生まれちゃうなと思って。いくらでも惚れてしまいますね。
スピーカー 1
今ってドクターでしたっけ?
スピーカー 2
ドクターの3年です。最終学年です。
スピーカー 1
もう最終学年か。
白血病と腸内細菌の関連
スピーカー 1
はい。
それはもうその後の人たちが頑張ってやると思われるから。
スピーカー 2
はい、後世に。
スピーカー 1
後世に託して。でもすごいでかい発見ですね、それは。
スピーカー 2
論文を書いてみて、ここまで研究をまとめてみて思いましたけど、私がその論文をまとめるまでに5年とかかかってるわけで、それでもなお分子メカニズムは知りたいことがたくさんあるわけで、
じゃあそこからまたプラスがかかるのかとかいうのも、自分がいざやってみたからその長さというか、かかる時間の長さがわかったんですよ。
そうなった時に、教科書ってすごいとか。
スピーカー 1
いやーわかるよ、それ。
スピーカー 2
長年の先人の知恵が、お、すごい、そんな安く教科書書えちゃうんだみたいな気持ちになります。
スピーカー 1
いや、めっちゃ思いますね、それ。蓄積すごいですよね、人間の。
スピーカー 2
いやーほんとに。ほんとすごいですよ。
スピーカー 1
だってこう、なんかもうめっちゃシンプルなと、生物とかの教科書で簡単にセントラルドグマとか書いてるけど、それだけで何年かかってるのみたいな、この一行でみたいな。
そうですよね。
ありますよね。
スピーカー 2
二重螺旋ってなんか、当時は学んだときはふーみたいな、DNA二重螺旋、ねじれてんだ、まっすぐじゃない、まっすぐの方が便利じゃない?とか思ったりしたんですけど。
スピーカー 1
何が便利なのかよくわかんないけど。
確かにそうですね。
スピーカー 2
解くの楽じゃんとか思ったんですけど、そんなこと考えるよりも前にまずその二重螺旋を見つけた過程がすごいわけで、そこに今年をとって研究家さんに寝た年月が長くなればなるほど感動ポイントがこう、また変わって。
なんかもう尊敬しますね、先人を。本当に素晴らしい。
スピーカー 1
そうですね。しかもやってみないとわかんないしな、どんぐらい時間かかるかとか。
スピーカー 2
いやーほんとにそうですよね。
スピーカー 1
人の寿命足りないなーみたいな。いっぱいありますよね。
スピーカー 2
ありますあります。今回の私のその成人T細胞白血病も潜伏期間がやっぱ長いので、モデル動物が作るの難しいんですよ。
スピーカー 1
作れるんですか?そのモデルみたいなそんな。60年とかってどうなってるのかよくわかんないけど。
スピーカー 2
一応マウスですと必ず発症するモデルという病態モデルはすることができて、なので発症した後のゲノムの変化とか病態の変化とかは追うことができるようになってきています。
なんですがこの病気の興味深いところは発症のところであるのは間違いないので、そこを追えるモデルが欲しいよねってことで。
赤毛猿を使ったモデルでっていうのは研究されているのを学会で聞いたことがあります。
スピーカー 1
まあそれでなるべく潜伏期間はちょっと短めに。
スピーカー 2
そうですそうです。
なんか推し感染なんですよ9割9分。
スピーカー 1
あーそうなんだ。
スピーカー 2
なのでお母さんがウイルスを持っていて、そのお母さんから生まれてお母さんの母乳を飲むことで感染するんですよその感染経路が。
なので基本的に感染しているお母さんの母乳を飲まなければそこは感染しない。
飲めば感染するっていう風になっているので、猿の場合も母乳を飲ますかっていうのはそこは終えてないんですけども、
そのお母さんから声っていうその感染の経路をしっかりしたモデルっていうのを作ろうとみんな研究者が頑張っているみたいです。
スピーカー 1
すごいなそんなできるんか。
不思議なウイルスですねそれ。
スピーカー 2
いや不思議なウイルス気持ち悪いですねすごい。
スピーカー 1
止まるっていうことじゃないですか。
細胞の中で。
ずっと何もしないでいいってことですよね。
不思議だなぁと思って。
組み込まれちゃうとかだったらまだわかるけど。
スピーカー 2
ウイルスのゲノムは組み込まれるんですよ。感染してウイルスのゲノムがホスト側人間のゲノムに組み込まれて、
そのゲノムが組み込まれた細胞が増殖していって、増殖している時には
ウイルスが有利するとかもなく、ゲノムに組み込まれたまま静かに細胞だけが増えていくと。
ある時にその細胞の発現とかがおかしくなってガンになるっていうメカニズムらしいです。
スピーカー 1
へぇ不思議だなぁ。
そっか。だけど母乳にはいくんだっていう感じありますよね。
スピーカー 2
母乳もその感染細胞が含まれた母乳。
スピーカー 1
あ、そっか。細胞ごといってるのか。
スピーカー 2
ウイルスが放出されるわけじゃないのか。
そうみたいです。
スピーカー 1
すごいなぁ。組み込まれた時点でウイルスは何も発現してないみたいな感じなのかな。
ウイルスのタンパク質は出てるんですかね。めっちゃ細かいけど。
スピーカー 2
あ、ごめんなさい。ちょっと言い直していいですか。
母乳には有利したウイルスが含まれていて、それが赤ちゃんの乳児の体の中で細胞に感染して増える。
あ、じゃあ体内で有利することはあるのか。
スピーカー 1
あ、そっか。じゃあパーツは作ってるのか。
スピーカー 2
ですね。有利するタイミングってどうだったのかな。
あ、でも感染細胞が母乳もあるな。
スピーカー 1
どっちもある?
でもどっちもあっても良さそうですけどね。
スピーカー 2
なんかでもありそうではあるけど。
スピーカー 1
細胞と細胞がくっついても広がるのか。
スピーカー 2
あ、はい。そう。接触感染っていうのがあるので。
そこはあるんですが、母乳の接触感染ではあるんですが、ってことは有利することなくない?って思ってしまって。
スピーカー 1
ない。
スピーカー 2
あれ?って思って調べ直してるんですが、
実はその複製とかをする遺伝子はウイルスのゲノムの中にあるので、
もちろんウイルス粒子になることはできて、
ただ増やすときにどうするんだっけなっていうのは、
ウイルス粒子をほとんど産生せず、細胞から細胞へと感染を広げていく。
接触感染した細胞が感染してない細胞とぺってくっついて、
スピーカー 1
ウイルス遺伝子だけ移動させるみたいな接触感染パターンが調べてるんですが、
スピーカー 2
ウイルスだけ有利して感染する?
ウイルス粒子だけ外から来て細胞にぺちょってくっついて感染細胞を作るんじゃなくて、
感染してない細胞にくっついてゲノムだけ映す?
白血病ウイルスの感染メカニズム
スピーカー 2
ウイルス有利してるときもなくはないみたいな書き方なので、
それでは感染しないの?って思ってしまって、
スピーカー 1
めっちゃややこしい質問しちゃったかもしれないですけど、
スピーカー 2
ほとんど接触とか細胞自体で感染するっていうのがメジャーなルートなんですね。
スピーカー 1
向こうも今ちょっと見てますけど、あんまり粒子になる云々は出てこないな。
スピーカー 2
接触感染のことをセルトゥーセル感染って言うんですけど。
スピーカー 1
まあでも普通のウイルスのイメージとちょっと違いますね。
それがあるからすごいじわじわしか広がらないとかもありそうです。
潜伏できて。
ゲノムに挿入される系のウイルスって、レトロウイルスとか多分いいと思うんですけど、
挿入される場所によってはすぐガンになっちゃいそうじゃないですか。
スピーカー 2
そうですよね。
でも結構挿入される場所にあんまり特徴がなくてランダムに入るらしいです。
このHTLV-1ウイルスのゲノムは。
スピーカー 1
なおさらめっちゃガン化しそうですけどね。
そうですよね。
だからそんな爆発的に広まらないのかな、感染してきて。
スピーカー 2
そうですよね。
挿入箇所が発症に関わっている可能性は全然ありそうですけど、
それも挿入箇所がここだと発ガンしますみたいな研究はちょっと見たことはないですね。
スピーカー 1
めっちゃ複雑なんじゃないですか。できるのかな、そうやってる例あるんですかね。
数多すぎて。
スピーカー 2
そうですね。挿入箇所なんて無限にありますからね。
スピーカー 1
無限にあるから10億分の位置みたいなやつを調べて、
ここだとダメみたいな。難しい。
スピーカー 2
ダメな場所も何箇所もありそうだしな。
難しいですね。これでも今後研究されていくのかな、きっと。
そもそもこのHTLV-1ウイルスのウイルス学っていうところでもめちゃめちゃ研究はされてますし、
病態の方でも研究はされてますし、病気になった後どうするのっていう私みたいな研究もありますし、
本当にこの病気一つでいくらでも掘る場所があるなっていうのはやっていて思いましたね。
腸内細菌の影響と研究結果
スピーカー 2
ウイルスの方、感染様式の方が気になっちゃって、
腸内細菌の関連づけまでたどり着かないとかもありました。
スピーカー 1
確かに。気になることいっぱいあるけど。
スピーカー 2
どこまで腸内細菌に関わるかみたいな。
スピーカー 1
今回は発症してしまった人のケースですもんね。
スピーカー 2
腸内細菌を見たのは発症してない人、感染しただけでまだ発症してない人を見ました。
被験者の属性は3つで、健康な人と発血病の患者さんと感染したけど発症してない人。
この3グループで比較をしましたね。
スピーカー 1
実際発症した人が結構特徴的だったみたいな。
スピーカー 2
そうですね。
今説明飛ばしてしまったんですけど、
感染してるけど発症してない人も2つに分けられて、
もうすぐ発症しそうな人、いわゆる発症リスクが高まった人とそうでない人を
血中の値、バイオマーカーの値で分けることができまして、
今回私の論文では、発症した患者さんとハイリスクな感染者に共通して増えている細菌がいましたっていうのが一つ発見で、
その細菌が作れる代謝物質があって、それをがん細胞にかけたら増えましたっていう論文ですね。
スピーカー 1
そういうことか。もう繋がりましたね。
それは確かにその物質だろうなって言えそうだな。
いい研究ですね。
スピーカー 2
ありがとうございます。
スピーカー 1
めちゃめちゃ面白いな。
そうか腸内細菌の種類が分かれば確かに物質も絞り込めるのか。
腸内細菌って100兆個ぐらいあるんでしたっけ人の中。
スピーカー 2
そうですね。最新の研究だと40兆にちょっと減りましたけど、めちゃめちゃたくさんあります。
もうそんな調べきれねえよっていう感じするから普通に考えたら。
それで腸内細菌の分類の仕方もいろいろあって。
スピーカー 1
ここまでお聞きいただきありがとうございます。
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