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2022-06-06 36:23

HIVはウイルス界のラスボス?驚異の潜伏とショック&キル【HIVとネコのウイルス 前編】 #74

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やり尽くされているけど難攻不落なヒト免疫不全ウイルス、HIV。その性質や潜伏メカニズムについて研究されている方にHIV研究の魅力について語っていただきました。

【ゲスト】

多賀 佳さん (https://twitter.com/linoluirus)

ウイルス学若手ネットワーク

https://twitter.com/VirologyWakate

【トピック】

・HIV(ヒト免疫不全ウイルス)とは?

・レトロウイルスと潜伏

・免疫不全状態とは?

・ブロック&ロックとショック&キル

・どうやってHIV選択に重要な因子を探すか?

・siRNAとshRNA

・HIVのウイルスがゲノムに入る

・ウイルス研究の面白さ

・ウイルスをどう検出する?

・ウイルスを使った実験って危ない?

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BGM

only a little

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こんにちは、レンです。 シーズン26は、HIVと猫のウイルスです。
前編では、なぜ人類はまだHIVを克服できないのかについて、後編では幅広いウイルス学、特に猫のウイルスについてお話ししていただきました。
それでは本編どうぞ。 今回のゲストは、東京イカシカ大学の博士課程に進学している
田賀恵さんです。よろしくお願いします。 田賀さんは、ウイルスの研究をされているということで、この番組でもちょこちょこ免疫のお話とかが結構出てくることが多くて、
ウイルスに関しても一度番外編という形で、ざっくりHBVのウイルスのお話をしてくれた方はいたんですけども、
今回はまた別なウイルスの話を聞けるんじゃないかなということで、非常に楽しみにしています。 よろしくお願いします。
はい、じゃあ早速ですね、田賀さんがどんなウイルスの研究をしているのかっていうことを聞いていきたいと思うんですけども、
これはまずメインでやっているのは何か特定のウイルスについて研究しているんですか? そうですね、私が今研究しているのは人の免疫不全ウイルス、HIVというものです。
こちらは1970年代に初めて見つかった、まだ結構新しいウイルスなんですけど、 あ、それぐらいなんですね。そうですね。50年ぐらい。
ウイルス自体は結構古々から見つかってはいたんですけれども、こちらは結構最近で、有名な方も結構それに感染して免疫不全を起こして亡くなっているというのが結構知られていますかね。
フレディ・マーキュリー。そうですね、クイーンのフレディ・マーキュリーはボヘミアン・ラプソディを見て、僕は攻撃をしました。
いい映画ですよね。あれいい映画ですよね。確かに、あれでもHIVに関連して、エイズっていう、エイズ自体はだからHIVによって起こる病気の名前みたいな感じですか?
そうですね、はい。っていう名前はすごいよく聞いたことはある人多いんじゃないかなって思うんですけど、実際それがどんなウイルスなのかって詳しくなかなか知る機会ないですよね、きっと。
そうですね、結構このウイルスって色々面白いところはあって、しかも現代の分子生物学にかなり大きな貢献をしているウイルスでもあるんですけれども。
貢献、ポジティブ面ですか?そうですね、HIVっていうのはレトロウイルスっていうウイルスの仲間になるんですけれども、ゲノムとしてはRNAを持っているウイルスです。
なんですけど、これのこのレトロウイルスっていうウイルスの特徴としては、人の染色体、遺伝子の中に入り込むっていう性質を持っています。
03:09
入り込む。入り込むんです。ただ、我々が持っている遺伝子っていうのはDNAでできていて、ウイルスが持っているRNAとは全く別のものなんですね。
そうですよね、DNAからできるのがRNAですもんね、人の体。そうですそうです、逆なんですよね。
どうするかっていうと、RNAを逆転写してDNAにしてそれを組み込むっていう感染サイクルの一部があるんですね。
この逆転写っていうのが、現在SARSコロナウイルスのPCR検査、SARSコロナウイルス2ですね、使われている、PCR検査でも使われている技術で、RTPCRっていう、Reverse Transcription PCRっていう、逆転写っていうのがここから見つかっているっていう感じで、
今まではDNAからRNAっていう一本方向だったのが、逆向きに行くんだっていうのが分かったウイルスではあります。
これ、HIVで初めて分かった現象ってことですか?
HIVで初めて見つかったかちょっと分からないんですけど、レトロウイルス。
あ、そっか、レトロウイルスのレトロか。
そうですね。
逆向きってことですね。
そうですね。
これは確かにすごい面白い現象ですよね。セントラルドグマの逆層みたいなことですもんね。
そうですね。
そういう特徴も持ってたりとか、細胞の中に勝手に組み込まれるっていうところも結構面白いところではあるんですけど、外来の遺伝子が勝手に入っていくっていう。
怖いですよね、でもそれ。
そうですね、結構怖いですよね。
一回じゃあDNAに、人のDNAとかに組み込まれちゃったら、もうそれってずっと残っちゃうってことですよね?
そうです。そこは結構私が今研究しているところにもつながります。
あ、そうなんですね。
はい。
えー、それすごい怖いな。薬とか全然効かなくなっちゃいそうですよね、やっぱ。
そうですね。
今言ったように、HIVのウイルスゲノムっていうのは、プロウイルスっていう状態になって、宿主の遺伝子の中に組み込まれます。
今おっしゃったように、入っちゃうと、そのままずっと居続けるんですよね。
まあ、居なくなる機械としては、ウイルスを作った細胞は、そのウイルスを作ることによって、生じたウイルスタンパク質とかに対して、アポトーシス、細胞死を起こして、その細胞が死ぬっていうことはあります。
それによって、組み込まれている細胞っていうのが死んでいって、居なくなるっていうことはあるんですけれども、
はい。
そういう現象に対しても、やっぱり抵抗性のある細胞もいて、そうすると、やっぱり体の中から完全には排除できないっていう状態になってしまいます。
06:00
なので、一度感染すると、二度とウイルスが体の中からなくなるっていうことはない。
いや、それすごい怖いな。
いや、でもこれって、一回組み込まれちゃったら、だからその細胞が、細胞分裂するときに、そのウイルスが入っているところごとコピー作っちゃうみたいなことですか?
それもありますね。
ああ、でもそれだったら、しかもそれでアポトーシスみたいに死なないってなったら、ほんとずっと消えないですよね。
で、HIVに限らずのレトロウイルスっていうやつは、昔からあるんですけれども、いろんな動物に対してそれぞれレトロウイルスが存在していてっていう感じなんですけども、
我々の遺伝子の中にも、機能しないものとして、内在性レトロウイルスっていうものが存在していたりもします。
それは、ウイルスと我々宿主の交互の中で病気にならない、そのまま寝続けるみたいな形で、記録として残っているような形でもレトロウイルスというのは存在する。
じゃあ、そこは別に何かあるわけじゃないけど、一応今まで人間が歴史の中で感染したウイルスとかが、もしかしたらそのゲノムの中にいっぱい蓄積されてるみたいな、そういう話ですかね。
そうですね、結構そういう形で残ってたりもして、そういう研究をされてるかと思いますね。
すごいな、それは。歴史が残ってるみたいなことですよね。
そう、歴史が残ってるって感じですね。
たまにそれが機能性を持ってたりもして、哺乳類が対バン形成をするのに内在性レトロウイルスが関わっているみたいな話もあったりして、我々が哺乳類が哺乳類であるゆえんがウイルスから来たかもしれないみたいな、そういう話もあります。
そうですね、ゲノムに組み込まれるってことは、ちょっと進化っぽい感じもしますもんね、変異が入るに近いというか。
レトロウイルスっていうのは結構多種多様に存在していて、その内在性レトロウイルスっていうのは、昔もしかしたら病原性があったかもしれないウイルスで、今は特に何もないんですけれども、
やっぱり新しいウイルスなので、まだその人との共存という形が測れていないのが、今私の研究しているHIVで、こちらはやっぱり組み込まれると、病気を引き起こす原因の病原性のあるウイルスですね。
人のためにはあんまりなってないかな、あのところ。
でも感染しちゃうと、人免疫不全ウイルスだから、免疫に何か問題が発生しちゃうってことですよね。
そうですね、このHIVの感染標的細胞、感染するターゲットの細胞がCD4陽性T細胞、T細胞系に、免疫に関わる細胞に感染するんですね。
免疫に関わるので、そこでまず感染することによって細胞を殺してしまう。
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感染に対しては勝てた場合も、中にウイルスのゲノムが入り込んで、そのままに続けてしまうので、何かの表紙にウイルスを作った時に死んじゃったりとか、いろいろな要因でどんどんT細胞というものがなくなっていってしまうんですね。
そもそも免疫細胞自体が減っちゃう。
そうですね。免疫細胞自体がどんどん減っていくので、免疫がうまく機能しない不全状態になって、最終的には普段だったらかからないような細菌とかに感染するヒロイミ感染というものを起こして、最終的に亡くなってしまうのがエイズ状態、最後のエイズというフェーズのところになります。
これ結構イメージだと潜伏期間がすごい長いとか、そういう話って結構あると思うんですけど、それもやっぱゲノムに入ってしばらく一気にはウイルスは増えないということですよね、潜伏期間が長いということは。
潜伏期間自体はそんなに長いっていうほど長くもなくて。
そうなんですか。
そうなんですよね。これ感染すると一度風邪みたいな症状を起こして、その後一回おとなしくなるんですけど、そこから血中のウイルス量は結構ある状態、何も治療しなかった場合ですね。
結構ある状態で、ある多分一定のウイルス量以上になってくると、どんどん免疫細胞が減っていくフェーズに入るっていう形で、何もしなければ結構出てくるウイルスですね。
そっかそっか。でも風邪みたいなのが収まるっていうのも、その時はまだ自分の免疫細胞は元気っちゃ元気だけど、その後じわじわとやられていっちゃうというか、ということですよね。
そうですね。そこのバランスが崩れた時にガーッと減って、やっぱり病気も失効してっていう形ね。
これでも一回かかったらアウトって、根本治療は今のところ存在しないんですよね、これ。
そうですね。根本治療は存在しなくて、今一応有効な手段としてはお薬を1日1回、1以上かな、飲むっていう形で、一応ウイルスの量をコントロールできるので、進行を食い止めること、病気の進行を食い止めることができるようにはなってるんですけど、
そっかそっか。
感知はできない。ずっと持ち続ける感じですね。
だから一生薬飲まないといけないっていう。
そうですそうです。
はー、はいはいはい。大変だな。
今回のこういうコロナみたいな、こういうパンデミックがあったりとか、何かの理由で社会的に何かあったりとかして、病院に行けなかったりすると、お薬が切れて、そこからウイルスのリバウンドっていうフェーズに入ってしまって、病気が進行してしまう危険があるんですよね。
12:02
エイズの時はいいんですけど、根本治療がなくてもなんとかやっていけるんですけれども、やっぱり、感知を目指してあげるっていうのは、患者さんにとってもとても大事なことだと思う。
これ、日本にはそんなに患者さんいないイメージを僕は持ってたんですけど、結構アメリカとかでエイズって多いのかなって思ったんですけど、そんな感じですか?
結構、それなりに患者さんはいるんですけど、やっぱり海外、特にアフリカが印象強いかなっていう感じ。やっぱりでも海外の病気っていう感じの印象はありますよね。
あんまり、やっぱり血液のウイルスで、輸血とかで感染する場合、もしくは注射器とかの使い回しで感染する場合、あとは粘膜による感染があるので、そういう性交渉とかで感染するっていう、だいたいその経路があるんですけど、やっぱり日本でもそういう風俗で働いてらっしゃるような方は、やっぱりそういう感染リスクはあって、
今でも感染する方は結構いらっしゃいますし、お医者さんというか、医療従事者の方でそういう方を見ていたりとかする方もいらっしゃいますし、あとは生まれ持って、自分の親が持っていてとかで生まれ持ってっていう方もいます。
母子感染ってやつですね。
そうですね。
はいはい。
なんで、意外といるという風に考えた方がいいかもしれない。なんか対岸の火事みたいな感じじゃなくて、割と身近にいるかもしれない。
だから今のコロナウイルスみたいな感じですごい、咳とかですぐ感染しちゃうみたいな感じではないから、そんな爆発的には広がってはいないけど、やっぱりそれが消えてなくなりはしないというか、ずっとHIVは存在し続けてるっていう感じですよね。
そうですね。
ちょっと怖いウイルスだなと思いましたけど、すごい。だからこれは今の言ってる感じだと、これってやっぱ人類が克服したいやっぱウイルスじゃないですか。だから研究もすごいたくさんされてそうですよね。
そうですね。多分ウイルスの中では一番研究が進んでいて、ほとんど研究することがないんじゃないかっていうくらい。
そうなんですか。
今日もいます。
調べ尽くされてるみたいな。
そうですね。いろんな研究手法とかも結構HIVの研究を通して発展してきたっていうところもあって、なんか結構HIVを研究していた人たちが今、サードコブ2の研究を結構積極的にやってたりもして、ウイルス研究の基盤が結構HIVに。
そうなんですね。
そういう意味では重要だけど、逆に言ったらそんだけやられてるのに、なかなか倒せないウイルスでもあるというか、倒すっていう表現が正しいのかわかんないですけど。
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でも、打倒はできないっていうことですね。
それだけ難しいってことですよね。
そうですね。で、今残されてる一番最大の謎がHIVの潜伏感染っていうところになります。
先ほど潜伏感染期間っていうのはそんなに長くないみたいな話をしたんですけれども、治療をしていけばウイルスの量っていうのをやっぱりコントロールできるんですけど、一度治療を中断してしまうとウイルスがもう一回回復してきてしまうんですよね。
で、それが何でなのかっていうのが未だにわかってなくて。ウイルスを作らせれば、作っている段階を標的としている薬なので、作っていればやっつけられるので、HIVの組み込まれている細胞がちゃんとウイルスを作っている状態だけ、全部そういう状態だったら多分もうやっつけられてるんですけど。
ああ、そういうことですか。スイッチオンみたいな状態になって、バンバンウイルス出しているようなものは、それは細胞ごと殺しちゃうってことですか?
そうです。勝手に死んじゃうので、多分それをやっつけられるんですけど。
そっかそっか。スイッチが切れてる、オフの状態のものっていうのがどうやらあると。それがどれぐらいあるのかは、はっきり言ってちゃんとは調べられないんですよね。人の体の中の細胞を全部取ってきてみるっていうわけになるので。
無理ですね。はいはい。どれぐらいあって、どれぐらいあると、薬を中断した時に病気を進行させちゃうのかっていうのもわかってない。そもそもなんで寝ているのか。で、そのまま寝続けてくれればいいのに、なんで起きちゃうのかっていう。
確かに。
3点が結構最大の謎として残されているのが、HIVの研究、現在の研究っていう感じですね。
確かに。なんかきっかけがあるはずですもんね。眠っているやつがまた起きるみたいな。
きっかけがね、本当にあるはずなんですよね。ないんだったら、そのまま大人らしくしてウイルスを作らずに。持っててもウイルスを作らないから病気を起こさないっていう形になれるはずなんですけど、そういうわけでもないっていうのがすごく難しいところですね。
難しいね。だから、完全に全部オフにしちゃうか、強制的に全部オンにしてその間に薬で殺しちゃうかの、なんかどっちかかなっていう感じが今聞いてて思いましたけど。
はい、まさにそういう治療法が研究されています。
ブロック&ロックっていうのが本当に寝かせてしまう。もう全部寝かせてれば病気を起こさないじゃんっていう考え方。
ブロック&ロックって言うんですね、それ。
そうですね。
はいはいはい。
もう一個が、私の研究しているショック&キルっていう方法で。
ショック&キル。
18:00
刺激を与えて細胞を殺すっていうやり方。
なるほど、そのまんま。
そうです。
本当、そのまんま。刺激を与えて。
刺激を与えてウイルスを作らせて、作られたウイルスは今ある治療法でやっつけられるし、ウイルスを作らせることによって、先ほども言ったようなウイルスのタンパク質による毒性とかで細胞自体がなくなっていく。
その2つのメソッドで刺激を加えることによって、組み込まれている細胞の集団をなくす、体の中から排除する。
どっちもやってるってことですか?
どちらも今研究されてるんですけど、どちらもまだうまくはいっていない。
結構難しいところがあって、やっぱりブロック&ロックは同じなんですよね。
同じ。
今の治療法とあまり変わらないのではないかっていう考え方があって、なぜかっていうと寝かし続ける必要があるからですね。
そっかそっか。何かの表紙でまたちょっとでもウイルス増えてきちゃうとダメってことですもんね。
そうです。何で起きるのかがわからないけど寝かすのは、それはそれでまた難しくて。
確かにな。ちなみになんですけど、今あるとりあえずブロックするっていうお薬あるじゃないですか。
それはウイルスのさっき言ったRNA自体を攻撃するとかいうわけじゃなくて、
例えばウイルスが作られて出てくるところを抑えるとか、そういう感じのお薬ってことですか?
そうですね。本当にそんな感じで。
逆転者をするステップと、あと細胞の遺伝子の中に組み込まれるステップとか、
そういう感染サイクルの上流の方、遺伝子に組み込まれるまで、細胞の中に入って遺伝子に組み込まれるまでの間をブロックする。
あとは出ていくのを阻止したりとかするっていうところで感染を抑制するようなお薬ですね。
そっかそっか。だから細胞から細胞に移るのを防ぐみたいなのが結構基本っていうことですね。
そうです。
なるほど。でも確かにそれだけだと絶対に殺せなそうって思いますね。
入り込んじゃったやつをどうするかっていうのがまだ残されてるんですね。
難しいな。どうするんですかこれ。
なんでやっぱり根治を目指す、完全に体の中から排除してっていうのを目指す場合は、やっぱりブロック&ロックだと難しくて、
ショック&キルが理想的には一番いいんですよね。
はいはい。
今のところいろいろ研究されてて、ちょっとお薬とかも、
がん治療で使われてたようなお薬とかを利用してみて、
21:04
使えないかっていうのを見ていたりもするんですけれども、
いろいろ今試しているお薬っていうのが、結構遺伝子全般を起こしてしまうようなお薬で、
遺伝子全般。
ウイルスだけじゃなくて、周りのいろんな遺伝子も、
転写を活性化させて、発現させてしまうので、
ものによっては、いらないものまでスイッチオンにしてしまって、
よくなさそう。
逆に変な病気になってしまう。がんみたいな感じですよね。
がんもいろんな遺伝子が動いて、悪さをするっていう、ざっくりとした印象があって、
同じような気持ちになってしまうので。
うまく狙えたとしても、体の中からうまく排除ができない。
で、今やっている治療法と比較したときに、そんなに有効性が見られなくて、
やっぱり、何かまだあるんじゃないかっていう。
起こしきれてないのか、起こした後、作られたウイルスをどうに対処できてないのか。
難しいな。
免疫細胞も減ってしまっているような状態なので、
そういう患者さんの中で作られてきたウイルスを、
たとえ薬でどんどん叩いてたとしても、たくさん作らせるようにしているので、
そういうときに、免疫細胞が足りない、どうするみたいな。
いろんな問題があって、なかなか。
そっかそっか。せっかくショックを起こしても、キルしきれなかったら、
ただただ病気悪化させているだけみたいになっちゃう。
そうなんですよね。
そこ難しいな。
なので、やっぱりショック&キルもまだまだ課題が山積みっていう形で、
うまくはいっていない。
今は、さっき言ってたのは、
ショック&キルのほうの研究を中心にやっているっていうことですね。
はい。
これはどの部分の研究なんですか?
かなり基礎の部分で、
そもそも、なんでHIVが寝てしまうのかっていうところ。
寝続けているのかを解明するような、
解明を目指す研究を今しています。
具体的に、ちょっと具体的に言うと、
組み込まれているプロウイルスが寝ている理由は、
ウイルス側の要因もあるかもしれないんですけれども、
やっぱり、入り込んでいる宿主細胞の持っているタンパク質が、
何かしら、抑制に携わっているんだろう。
それはどういう因子なのかっていうのが、
いろいろ研究されてますけど、
まだわからないことも多いので、
それに関わるような因子がどういうものがあるのかっていうのを、
今、いろいろ調べています。
そっかそっか。
ウイルスが入って潜伏しているっていうのは、
ウイルスが作っているもので全部完結しているわけじゃなくて、
24:00
もともと人が作っているやつをうまく活用しているんじゃないかっていう、
説っていうことですね。
そうですね。
ウイルスが持っているタンパク質だけ何とかやっていけるんだったら、
そもそも我々に感染する必要はあるのかっていうところがあって。
確かに。
確かに。
いろんなもの借りてますからね、ウイルス。
そうです。
ウイルスはやっぱり、感染する細胞にいろんな材料とかを借りて、
依存して増えていくので、
逆に言うと、やっぱりそういうところで、
感染する細胞の中のタンパク質が、
感染をより効率的にすることもあれば、
抑制することもあって、
私の場合は抑制する要因が何かっていうのを見ています。
抑制する要因、そっかそっか。
だからめちゃくちゃうまいこと隠れてるってことですよね、
自分たちのDNAの中に。
そうですね。
これってどうやって探していくんですか、この抑制の仕方っていうのは。
簡単じゃ簡単なんですけど、
相あたりって相あたりで。
相あたりしていくんですか。
関係ありそうだなっていうタンパク質調べるとかってことですか。
私たちが使っている、
HIV潜伏感染のモデル細胞っていうのがあって、
その使っている細胞の中にはHIVのプロウイルスが入っていて、
寝ている状態のプロウイルスがあるような細胞手段を使って。
それはもう普通に人工で作れるんですね。
そうですね。
それを、これに細胞の中のタンパク質の発現を抑制するSIRN。
私たちが使っているのは正確に言うとSHRNっていうやつなんですけど、
短いRNAで、
タンパク質を合成するためのRNAを分解する効果のあるものを使っています。
SIRNはもうじゃんじゃん多分研究の話してるから出てくるんで、
全然大丈夫だと思うんですけど。
あれ、スモールインターフェアレンスRNAでしたっけ。
スモールインターフェアリングRNAですね。
インターフェアリングか。だから干渉ってことですね。
干渉。
で、狙ったRNAを壊しに行くっていうことですね。
そうですね。狙ったRNAを壊して、結果的には狙ったタンパク質の合成を阻害させる。
なので、潜伏感染している細胞の中で、ある特定のタンパク質の発現を抑制させるんですね。
その際に、そのプロウィルスの転写活性が上がるのか下がるのか変わらないのかっていうのを、いろんなタンパク質で見ていく。
確かに総当たりですね、これ。
総当たりなんです。
これ何個ぐらいやるんですか、これ。
27:00
何個やるんでしょうね。
すごい種類ありますよね。
今までもう他の研究グループでやられてるような印象ももちろん入ってるし、
もう既に知られている印象っていうのもあるので、そういうのは除外して。
それ以外の新しいものを探しに行くっていうことですか。
しかもこれ1個の印象じゃないですよね、きっと。
この印象じゃないですね。
ですよね、きっと。何個かのタンパク質組み合わさってとかじゃないですか、だいたいこういうのって。
そうですね。
このタンパク質とこのタンパク質を同時に抑えたときだけ、
なんかウイルスがまた起きるとか、眠るとかってなったらもう組み合わせまた増えるなと思いました、今。
そうですね、でもそういう場合は、タンパク質の相互作用をいろいろ乗っけてるデータベースがあるので、
まず拾ってきた広報印象はどういうものと相互作用しそうかっていうのを見て、
それでまた自分たちが調べた結果とかにして、
相互作用しそうだけどこいつは関係ないかなとかっていうのも一応見ていきます。
なるほど、ちょっとずつ過去の情報もとに潰してって犯人を追い詰めるみたいなことですね。
そうですね。組み込まれたウイルスがどういうところにいるのかとか、
これも組み込まれる場所っていうのはランダムなので、場所によってもランダムなんです。
じゃあ人のDNAのどこでも入っちゃうんですか?
勝手にどこでも入ります。
ただ入りやすい場所っていうのと入りにくい場所っていうのはもちろんあって、
やっぱり遺伝子が活性化して動いてるようなところっていうのは遺伝子が緩んでいるのでやっぱり入りやすいんですよね。
そういうところに入った場合はずっとウイルスを作り続けるんですけど。
それはもう普通にDNA上で例えば結構就職受けやすいですみたいな表面で出ますみたいなところだと普通に入りやすいとかっていう話ですか?
はい。
でもそんなランダムに入られたらそれこそ、それを狙いうちはできないですね、なかなか。
そうですね、配列から狙うっていうのは結構難しいですね。
結構きつい。
しかもさっきちょっと触れた内在性エルトロウイルスとかっていうのは、
要はウイルス、HIVのちょっと近しいような遺伝子配列を持てたりもするので関係ないところを探してしまう可能性があるんですよね。
ややこしいな。
ウイルスの遺伝子だけではどうもしようもなくて、やっぱりウイルスとその周りの環境。
どっちもがやっぱり大事で。
なるほど、なんかちょっとずつこの難易度の高さが見えてきましたね、今。
30:02
そういうことかっていう。
とても複雑で。
複雑ですね。
HIVは特になんですけど、やっぱり生活観の中で遺伝子に入り込むっていうところもあるので、
普通のそういう細胞生物学の遺伝子学みたいな、分子遺伝学みたいなのがかなり大事になってきます。
ウイルスやってるっていうよりか普通に生物研究やってるっていう感じの。
確かに。
確かに根幹ですもんね、そこが。
そうなんだ、なんか単純にウイルスのパーツとか作らせないようにすればOKみたいな、そういうシンプルな話じゃ全然ないですね、これ。
そうですね。
ちなみにこのシラミ潰しで、さっきのSIRNAってやつでいろいろ潰してったりっていう話でしたけど、
そこからなんか見えてきたこととかってあるんですか?
いろいろあるというか、私はその中で特定した1個を解析しているんですけど、
言える範囲でOKです。
言っちゃダメなことは言わないでください。
そうですね、まだちょっと言えないかな。
あんま深追いしないほうがいいですか、ここ。
そうですね。
分かりましたかね、全然よくあることなんで。
ここはここから先はちょっと分かってることと分かってないことと。
今まさにそれに取り組んでるっていう。
そうですね。
ことっすね。
そっか、すごいちょっと想像以上に難しそうだなって思いましたね。
面白いんですけどね。
面白い、どういうところ面白いですか、やってて。
やっぱりなんかウイルスができてきたときが楽しいですよね。
できてきたとき。
その、例えば自分が今見ている因子を細胞の中からなくした。
なくしたらウイルスがバーって出てきた、作れたっていうときにちょっと思ったりします。
確かにな。
こいつだってなりますもんね。
そうですね。
見つけたみたいな。
そっかそっか、でもそれは結構ウイルスがバーって増えてきたら簡単に検出できるんですか、これ。
いろいろ方法はあるんですけど、簡易的に検出する方法もありますし、
もうちょっと古典的に詳細に検出する方法もあります。
一応その再活性化、組み込まれて寝ているウイルスが起きたっていうのを検出するためのシグナルタンパク質みたいなのをモデル細胞には組み込んだって。
はいはいはい。
それで簡易的に検出がまずできて。
33:00
あーそういうことか、なんかウイルスが増えたのが合図でそのシグナルみたいなやつを発現させるとか、そういう感じ。
組み込んであるプロウイルスの中にレポータータンパク質、出てきたかもしれないですけど、ルシフェラーゼっていうレポータータンパク質を組み込んであって、
そのルシフェラーゼが発現すると、試薬を入れると光るんですよね。
ルシフェラーゼですね。
その光加減でコントロールと比べて、それぐらい増えたか減ったかっていうので、
その点射活性をまず確認。
なるほどなるほど、ちゃんと見やすくなってるってことですね。
あとは本当にウイルス粒子を検出したい場合は、
細胞を培養している情勢中のウイルスを検出するためにエライザ法を用いたりします。
ウイルスのタンパク質を検出する方法でディテクトしたりします。
ウイルスにくっつく抗体みたいなやつを使ってやるってことですね。
はい。
なるほど。ちなみにこれしょうもない質問かもしれないですけど、
このHIVのウイルスみたいなのを使うときって、めっちゃ防護服とか着ます?
めっちゃ防護服着ますね。一応着ます。
よくある宇宙服みたいなやつ着ます?
そこまではしないです。
そこまでではない。
完全なHIVじゃないやつなんですか?これ使ってるのって。
どっちも使ってます。
どっちも使ってるの?
ホンちゃんのHIVも使います。
要は、普通に感染して病気を引き起こせる本当のHIVも使いますし、
この潜伏感染の研究に関しては、ウイルス粒子は作れないような採用を施しています。
そうなんですね。でもすごいな。感染性あるやつも使ってるの緊張感ありますね。
緊張感あるけど、やっぱり感染性あるものを使ってるほうが緊張感とともにちょっとワクワク感はありますね。
まあまあ確かに本物に立ち向かっていったほうが、結構それが真実みたいな感じしますもんね。
そうですね。やっぱりちょっと細工を施しているっていうことは、
その働きはやっぱり見えないっていうことなんで、
実際のウイルスが何をどうするのかっていうのは、本当のものを使わないとなかなかわかんないですよね。
近似みたいなものするもんね。
そうですね。
これちなみに、このHIV自体を人間が活用していこうみたいなこととかもあるのかなって思うんですけど、逆に。
そういうのはやってないですね。
ここまでお聞きいただきありがとうございました。
サイエンマニアはあらゆる分野のゲストをお呼びし、世界を探求していくポッドキャストです。
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番組やSNSのフォロー、感想などいただけると嬉しいです。
では次回もまたよろしくお願いします。
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