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2021-09-17 15:34

CRISPR-Cas9を利用したゲノム編集とカイコの5千年にわたる選抜【昆虫とゲノム編集②】#10

ゲノム編集についての概論と、カイコがどのように進化してきたのかについて語っていただきました。


ゲスト

九州大学農学部博士課程

柿野耕平さん


▶CRISPR-Cas9:(2020年のノーベル化学賞でした。)

DNA二本鎖を切断してゲノム配列の任意の場所を削除、置換、挿入することができる遺伝子改変技術

▶ RNAi (RNA interference)二本鎖RNAと相補的な塩基配列を持つmRNAが分解される現象。

塩基配列さえ知ることができれば合成したRNAを導入するなどの簡便な手法で遺伝子の機能を調べることができる

▶トランスポゾン:細胞内においてゲノム上の位置を転移 (transposition) することのできる塩基配列

▶カイコの選抜 5000年



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じゃあスタートとしては、ドライで計算もありつつ解析が出てきて、じゃあここの遺伝子を例えば発現量を減らすとか、逆に別なものを入れてみるとか、
そういう方向にウェットな実験、あの実際にやる実験の方では進んでいくと思うんですけど、そこで使う技術とか
ですよね、どういうものでやるとかってどんな感じですか。 ありがとうございます。基本的にはもうクリスパーでやってて、下止め編集っていうのをメインにやってるところなんですけど、
多分名前だけ聞いたことある人はいっぱいいますよね。ノーベル賞を受賞して、2年前かな。 2年前ですかね。 ノーベル科学賞でクリスパーキャス9に受賞してましたけど、
それを使っていると。 そうですね。さっきレンさん言われたんですけど、ノックダウンの話があったじゃないですか。ノックダウンとノックアウトって結構名前は似てて、
わかりにくいかもしれないですけど、ノックダウンってよくRNAIとか使われますよね。RNAとか入れることで発現している遺伝子自体を落とす。
で、ノックアウトってゲノム自体に変異を入れることで、その遺伝子が機能しなくするっていうのが基本的な違いなんですけど、
よく症状媒とかってノックダウンされるんですよね。ノックダウンの実験が多くて。 ゲノムはいじらずに。 いじらずにと言いますか、全遺伝子のノックダウン系とかあるんですよ。症状媒って。
もう研究されすぎて。 そうそうそう。 だから、しかもそれ掛け合わせでどの遺伝子がどのタイミングでどの組織でノックダウンできるっていうのも全部制御できるんですよ。系統的に。
なるほどすごいな。 だからその自分の解析したい遺伝子を結構簡単に研究できるってすごいツールとして整ってて、いいんですけど、一方で解析ってそこまでのツールは整ってなくて。
なるほど。結構やってみないとわかんないみたいな。 わかんないというのが難しいところなんですけど、そのまたノックダウンって結構どの生物でもメカニズムとしては効きそうな話なんですけど。
あのRNAiとかも仕組みとしては大体の動物が持ってる仕組みっていう感じですよね。 ゲノムから転写されたRNAを分解するっていうシステムとしては。
あれってもともと外来生物のRNAを切るとかそういう方向ですよね。 そうですそうです。
それは大体持ってると。 そうだいたい持ってて、カイコもその遺伝子とかって持ってるんですけど、でもそのカイコでノックダウンしようと思ったらなかなか効かないという問題がありまして。
でもそれが何でなのかともいまだにそれわかってないんですけど。 だから結構ゲノム編集よりもRNAの方が結構手軽にできるっていうメリットがあるんです。
手間がそんなにかかんないんですけど、それができないんで、やっぱそういう面でもカイコの研究ってちょっと遅れてたというか、遺伝子の個体での研究がなかなかできなかったんですけど、やっぱゲノム編集が出てきて研究がやっとできると。
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なるほどなるほど。今までのいろんな研究者の努力が結びついて、その道具たちを使ってようやく今カイコの精神にチャレンジできるみたいな。そういう感じですよね。
一方で生物界隈、どの生き物もそうなんですけど、よく研究されてる生物、例えばマウスだったりとか症状バイオっていうのは、そのだけツールが発達していくわけですよね。
解析ツールが発達していって、すごく解析しやすい状態にあるけど、こういうカイコみたいなあまりメジャーじゃない生き物っていうのは自分で開発しなくてはいけない。
さっきも言ったように、同じ遺伝子解析ツールを使おうと思っても、例えばゲノム編集を使おうと思っても、やっぱそれ用にちょっとモディファイしていかなくちゃいけないですよね、カイコ用に。
とかそういうのがやっぱ、でもそれがやっぱ成熟してきた、カイコでは成熟してきたからチャレンジしてますね。
もう結構そのカイコ用にやりやすくするみたいなのっていうのも、それはいろんな研究室でもやられてる分野なんですか?
そうですね。
例えばカイコとかだったら、卵だいたい1.5ミリぐらいの直径1.5ミリ、結構小さいんですけど、
それに針で穴開けて、そこに液体を注入していくっていう方法を取るんですよね、カイコのゲノム編集っていうのは。
もう受精卵の状態で、入れてそれを育てるみたいな。
そうなんですよ。これもタイミングが決まってて、受精した後の何時間までの間だったらうまく編集ができますよとかも。
とかこの角度から打たないといけないみたいな。
角度もあるんですか。
でも例えばそれをゼロからしようと思ったら、相当時間かかると思うんですよ。
それすごいな。しかも1匹育てるのってどれくらいでちゃんと育つの?
だいたい1ヶ月ぐらいかかりますね。
1ヶ月ぐらい、はい。
っていうのがかかりつつ。
すごいな、そのノウハウみたいなのすごいですね。
ここの箇所みたいな、目印みたいなのあるんですか?
あるんですよ、目印があって。
それを、しかもカイコ、さっきも言ったんですけど、カイコって結構歴史が長くて。
日本のいろんな研究室がカイコの研究室にしてたんで、元々ゲノム編集の前は遺伝子組み替えっていう技術がすごく流行ってて、トランスボゾンで飛ばすっていうのが流行ってたんで、
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その時に技術が確立されてて、もともと卵に入れ込むっていう技術が確立されてて、だからこそ今こんだけゲノム編集が手軽にできるっていう現状がありますね。
なるほどな、注入するものを変えればみたいなことですよね。
それはもう顕微鏡で見ながらみたいな感じ?
そうですね、顕微鏡で見ながら打っていくんですよね。
すげーな。
僕も初めて知った時にすっごい昔ながらやなと思って。
まあまあ確かに、昔ながらだけどなんかでもちょっと生命の神秘に立ち入ってる感すごいですよね、樹勢をいじるのって。
そうです。
あれじゃないですか、ゲノム編集とかもいろんな許可必要みたいな言いません?
そうですね。
ちゃんとレギュレーションというか、ちゃんと守ってそれが外に流出しないように入れもちゃんとしないといけないとか聞いたことがありますけど、カイコも一緒ですよね。
カイコもそうですね。
ゲノム編集ってちょっと微妙なところがあって、やっぱり遺伝子組み替えとはちょっと微妙に違うみたいなガイドラインもちょっと複雑ですね。
基本的にはその遺伝子組み替えに近いような形ではみんな扱ってるんですけど、でもそこはちょっとまだもうちょっと曖昧なところがあるのかなってちょっと思ってますけどそこは。
確かにクリスパキャス9とかめっちゃ気軽にできちゃうからなんかあれですよね、ルールがまだ定まりきってないみたいな感じなんですか。
言ったら突然変異を人工的に引き起こしてるっていう形になってて、そのガイドラインから遺伝子を入れるのが遺伝子組み替えの概念なんで、
ゲノム編集とやってることは全然違う。
ちょっと違うんですよね。
クリスパキャス9はあるやつを切るみたいな。
例えばその元々ないカイコとあるカイコがあったら、遺伝子の話です。遺伝子があるカイコとないカイコがあって、そのある遺伝子をなくしたやつ、ゲノム編集なくしたやつと、
元々持ってなかったカイコが非常に似てると。これはゲノム編集なのかどうかを判断できないわけじゃないですか。
っていう倫理的な議論が結構ありますね。
難しいなそれ。
難しい。
難しいですね。だけどそれが外に出ちゃったらまずいみたいな。
だからそこは研究倫理に基づいてというか、融資させないというところですよね。
なるほどな。
そういう意味で言うと話が逸れるかもしれないですけど、カイコって5000年くらいずっと飼われてきた生き物なんですけど。
5000年も飼われてるんですか?
そうですね。
5000年?
そうなんですよ。カイコって元々クワコっていう野生種がいるんですよ。野生の種種がいて、
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それを5000年間白い眉毛を作るやつとか、人に都合がいいように、都合がいい個体だけをとってきて、
例えば、イノシと豚の関係にすごく似てるというか、
豚って野生になくて、イノシの肉としてうまいようなのを飼育していって、結局豚っていうのができてるわけじゃないですか。
そうかそうか、家畜としての。
家畜化してて、そうです。カイコも家畜で、動かない。
例えばカイコって羽はあるけど飛べなかったりとか、
飛べないんですか?
飛べないんですよ。
飛べると思ってました。
飛べないやつを選抜してて、ずっと。やっぱり飛べると飛んで逃げちゃうと困るじゃないですか、育てるうえで。
だからこいつ飛ばんわみたいな、めっちゃいい子やなってことで、そいつだけをずっと飼ってきてとか、
あとはエサが全部クワなんですけど、
クワってどんなやつですか?
クワは、
クワの実とかのクワ?
クワの実のクワですね。
葉っぱがあるんですけど、
葉っぱを食べさせる?
そうなんですけど、それも、何ですかね、自分の周りにあるやつ、
自分が動かずに食べれる範囲のクワしか食べないんですよ。
へー。
だから脱走しなくて全然動かない。脱走もしないし、飛ばないし。
なんか怠け者みたいですね、それ。
あー、そうです。
しかも、食っちゃフンするだけなんで、ずっと僕たちが掃除して、だから。
めっちゃ飼いやすいペットみたいな。
そうそう。全然脱走もしないし、噛まないし、
しかもクワしか食わないから、全然汚くないし、だから。
すごい、それがもう5000年くらい飼われていく中で、
もう今存在しているカイコってほぼほぼそういうのが多い。
もうほぼほぼそういう感じですね。
えー、それすごいな。
昔は飛べたってことですもんね。
元々飛べてて。
で、なんか僕の、ちょっと自分の今の研究とは違うんですけど、興味あるところは、
そのクワコっていうさっき言った原生の種っていうのは、
飛べて、飛べるし動き回れるんですよね。
自分で餌を求めて動き回るし、
成虫になったら飛べるしっていうことがあるんですけど、
でも今のカイコっていうのは、それにめちゃめちゃ地下にもかからず、
飛べないし、全然動かないわけじゃないですか。
そこに何かしら遺伝子の変異が入っているんだとしたら、
それを証明できたら、すごい進化の、
進化を紐解くことにつながるんじゃないかなっていうのはすごく思ってますね。
確かに確かに。
かなりちっちゃな進化ですけど、分かりやすく。
結構でかいんじゃないですか。
飛ぶか飛ばないかって、かなりでかい違いですよね。
そうですそうです。
しかも羽は残ってるっていう謎の。
しかも羽ばたく、振りはするんですよずっと。
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あ、振りはするんだ。
パタパタパタパタするんですけど、飛べないんですよ。
飛べないっていうのは、力が足りないとかそういう感じなんですか?
そこも分からないんですよね。
謎ですね。
謎なんですよ。
飛ぼうと思ったら、高いところから落ちちゃったりしたら、
引く感じで飛ぶのかなとか思いましたけど。
そういうこともやってたりする人もいて。
いるんだ。
それは飛ぶ、ひらひら落ちていくだけみたいな。
そうですね。
なっちゃうか。
そうですそうです。
面白いな。
それを操れたらすごいですよね。
カイコにそこの飛べる方の遺伝子が分かってたら、
カイコに入れたら飛べるようになるみたいな。
はいはい、そうです。
そういうことですよね。
そうです。
だからその進化って結構何億年ってかけて、
いろいろ資分化してくるんですけど、
例えばカブトムシとか角を伸ばしたりとか、
いろいろそういう進化ってしてくるんですけど、
それは何でかって言ったら自然選択の中で、
こういう角が長い方が有利だよねっていうのを、
自然が選択した結果そういう集分化って起きてるんですけど、
それをカイコっていうのは5000年の間、
人が全部選択していって、
短い期間で選択をしてきたんですよ。
で、進化させてきたっていうところがあるんで、
そういう意味で言うと、
進化を扱うにはカイコってすごい向いてるかもしれないですよね。
なんかあれですよね、農家とか、
例えば米とか品種改良してみたいなのも、
あれもある種の進化をいじってる感じに近いのかなって思ってて、
そうですね。
そういうイメージですよね、きっと。
本当にその通りですね。
でもそれは面白いな。
確かに食べ物とかでもゲノム編集した食べ物みたいな、
確か出てきてたような気がするな。
トマトが出てきてましたね。
はいはい。
もともと品種を扱う、品種改良っていうのは結局、
レンさんが言われたように長い時間かけて、
いい形質、いい形質っていうのを取っていったことになるんですけど、
そのいい形質のゴールが見えれば、
その形質を入れてしまえばいいっていうか、
その変異を入れてしまえばいいっていうのがゲノム編集の概念、
その応用というか、っていうところですね。
なるほどな、そこは。
いや、でもすごいよく、すごい分かりやすいイントロ。
まだイントロですよね、これ。
イントロはイントロ。
イントロの導入ですよね、これ。
イントロの導入ですね。
いや、でもすごい分かりやすいですね、ゲノム編集。
なんかもうちょっと具体的なとこ入ります?
入りますか、いい。
サイエンマニア、お聞きいただきありがとうございました。
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