老化の連鎖の概念
今回は、老化した細胞が周りの細胞を道連れにして、老化の連鎖が起きるという研究をちょっと紹介したいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。ホストはサイエントークのレンです。
ということで、今回ちょっと老化の研究なんですけども、今までにも何回か老化系の研究は使ったことがあって、
あとはサイエントークの方でも老化するってどういうことっていう、細胞どうなってるのみたいな話をしたことはあるんですけど、
結構わかりにくいというかイメージしにくいところもあると思うんですよね。
今日も結構細かい老化ってどういうことなんだみたいなのを細胞レベルで考えるっていう話で、
あまりと話としては複雑かもしれないです。
ただ結構僕的にはこれ面白くて、そもそも細胞が老化すると周りの細胞も老化させていくっていう、
そういう連鎖が実際どうやって起きてるのかっていうのはめちゃくちゃ興味深いですよね。
なんで老化すんのって、多分みんな老化していくんで結局。
僕たち結局みんな死に向かっていってるのはあると思うんで、
ちょっとそこの研究っていうのは興味深いので紹介してみたいと思います。
SASPの影響とメカニズム
今日のやつは京都大学の研究になってまして、東大とか理科学研究所のグループですね。
京都で行っていて、そもそも細胞の老化っていうのは定義としては、
がん遺伝子が活性化したり、DNAが損傷したり、ダメージ与えられたり、
あとはストレスがかかったりして、細胞の分裂を永久に停止してしまうっていう現象のことを指してます。
だからもう要はこれ以上細胞分裂しませんよ、増えませんよっていうことですね。
本来この細胞老化っていうのは、傷ついた細胞がそのまま増える能力をずっと持っていると、
言ったらがんとかって変なDNAになっちゃったやつがどんどん分裂して、
もうその変になっちゃった細胞がどんどんどんどん増えて止まらなくなっちゃうと、
それ腫瘍になったりするわけなんですけど、そういうのを防ぐために重要な防御機構として働いている結果が細胞分裂を停止するっていうことですね。
これのおかげで僕たちは体の均衡を保てているわけなんですけど、
一方で過励していくと細胞の機能を止めるっていうことなんで、
いろんな病気の原因になったりとか、生活習慣病とかですね。
そういったことも実際には原因になっているかなと思います。
もう一つ老化細胞でわかっていることとして、SASPというものがあります。
これ何かというと、最初に言った老化細胞が炎症を引き起こしたりとか、
周囲の正常な細胞の老化を促進するっていう、そういった影響を与える現象の総称ですね。
なので例えるなら、よくバナナとかですかね。
バナナが冷蔵庫にあって、1個だけこのバナナが病気になっちゃいましたってなって、
気づいたらその周りのバナナまでどんどん病気が広がっちゃいますみたいな、そういうイメージですかね。
どんどん腐っていく的なイメージかなとは思っています。
最初はだからごくわずかな老化細胞が生まれて、それがどんどん広がっていくわけですけど、
じゃあこれはどういうことが起きているのかっていうことですね。
最初にこの研究する上で大事だったのが、マウスで研究をどう進めるかっていうそこの設計が面白いです。
マウスをまず、老化を誘導するマウスっていうのをまず作らないといけないんですよね。
実際にそれは細胞の老化に関わるって知られているシグナル伝達の経路がありまして、
要はもう老化スイッチみたいなものを強制的にオンにするっていう遺伝子改変マウスっていうのをまず作っています。
それは薬剤を投与したりして、実際にその老化に関わるっていうERKってやつとP38MAPKっていう2つの経路があって、
その経路を活性化するような薬剤、ドキシサイクリンっていう薬剤を投与してるんですけども、
それによって細胞の老化が誘発されているマウスっていうのをまず用意してますと。
その結果をどうやって追いかけるかというと、老化した細胞に目印をつけますということをまずやります。
それは蛍光タンパク質ですね。今までも多分サイエンスポットでちょこちょこ光るタンパク質の話とかもしたことあると思うんですけど、
これこういうところで使われてて、今回最初に薬剤で老化したっていう細胞に赤い目印をつけますと。
これMチェリーっていう赤い蛍光タンパク質で光らせる。
その後に実際にその細胞以外の周りで老化したっていうやつは今度違う色で光らせることができたら、
最初はこいつが老化してその後こうやって伝播していったんだなっていう識別ができるようになるんですよね。
これ結構ユニークで二次的に老化していく細胞を今度緑色の傾向で光らせるっていうシステムを作りました。
なので細胞1個1個レベルで正確に可視化がまずこれでできますよっていう2色標識システムですね。
これを作ってます。
これを作って実際に観察してみると細胞の老化といっても組織の種類とか老化を起こす要因とかいろいろあって、
その一概に言えるものじゃないっていうのは一つわかったところです。
例えば肝臓とか大腸とかそういう臓器ですね。
違う臓器では違う細胞の老化が進んでいくパターンがあると。
例えば肝細胞、肝臓の細胞っていうところに関しては局所的に老化するっていう。
まずところからちょっと間違って肝臓って大きく分けると3つぐらいの領域に分けられるんですね。
場所によって。肝臓の中のさらにパーツみたいなものに分かれていて、
その細胞が老化した場合に何が起きるかっていうと、
この3つのパーツに分かれているような細胞っていうのが本当はきっちり線引きされてるんですけど、
その領域構造が乱れていくっていうのがまず分かりました。
なのでその老化した細胞が肝臓に広がっていくことによって、
同時に肝臓の中のそのきれいに分かれている領域の構造を乱していって、
それが臓器全体の機能に影響を及ぼして、
肝臓の機能が低下していくっていう可能性が今回分かったっていうことですね。
老化細胞の研究方法
これちょっとすごい今概要だけお伝えしてるんですけど、
だから肝臓ですらこれもどういうふうに広がっていくかっていうのはケースバイケースではあるんですけど、
かなり周りに伝達していって構造からも生み出してしまうっていうことがまず分かってます。
じゃあこの最初の1個目の老化細胞から2個目に伝わっていくときに何が出てるのか、
物質として何が出て伝わってるのかっていうのを調べてみると、
これを遺伝子発現とかを調べてみると、
これ正体が分かってインターロイキン1シグナルっていう化学物質を出してるんですけど、
ケモカインと呼ばれるような要は細胞と細胞の間で情報を伝達する手紙みたいなもんですね。
その手紙がこいつだっていうのが分かって、
これが周りの細胞に伝わって老化を誘導してると。
じゃあ実際に老化した細胞からそれが出てるのかっていうとそうじゃなくて、
それに関しては肝臓だと免疫細胞の一種のマクロファージっていうやつが、
このIL1シグナルっていうのを供給してるっていうのが分かってます。
マクロファージっていうのは、
働く細胞とか見たことある人は分かるかもしれないですけど、
体の異物とかを食べるような細胞ですね。
あとは細胞の死骸とかを食べて掃除するような細胞なんですけど、
そこから今言ったインターロイキン1っていうのが出てるっていうのがまず分かりました。
実際これは何で分かったかというと、
マクロファージを選択的に除去する薬剤を使ってみたり、
あとはIL1、正確に言うとIL1βってやつなんですけど、
それをブロックするような薬剤を使うと、
この老化が抑えられるっていうのがまず分かりました。
だから老化の連鎖反応を引き起こしてた犯人はこいつだろうっていうのを示唆してるってことですね。
ただこれ面白いのが免疫細胞って本来、
病原体とかに対抗するために存在して、
老化細胞の連鎖メカニズム
事故現場に駆けつけてその事故を処理するみたいな役割なんですけど、
実際はこの起きてることとしては、
その事故現場に駆けつけたマクロファージっていう味方が、
実は老化させるっていう方向のシグナルを出してたっていうことですね。
これは結構意外な結果かなと思いますね。
ただ論文で言われてるのはそういうことで、
ただこれ結構インターロイキンっていろんな役割があって、
実際にこれなくなっちゃうと体としては、
免疫機構に問題が発生したりとかすると思うんで、
じゃあこれなくせば老化解決かって言われると全然そういうわけではないですね。
ただ今回この手紙の種類が分かったっていうのが一つあるので、
しかもこれ細胞レベルで分かったっていう結構画期的な例かなと思いますね。
それを実際可視化したっていうのもなかなか新しいかなと思いました。
老化に関して各臓器でもっとここは老化していくみたいな、
個別でもっともっと調べていくのはこれから先になるのかなって思ってるんですけど、
このシグナル伝達の経路が分かれば、
例えばそこの特定の老化のシグナルみたいなものもっと他にあるかもしれないですし、
そういったところの詳細を解析すると、
もしかするとじゃあそれを少しスピードを抑えるためにはどうしたらいいだろうとか、
もうその細胞の老化をちょっと制御するような仕組み、
そもそも老化の現象の解明っていう方につながるような研究かなというふうには思います。
まとめますと、老化細胞っていきなり全部が老化していくっていうわけじゃなくて、
最初に老化する細胞っていうのがあって、そこからどんどん細胞の老化は連鎖していきますよ。
それがインターロイキンっていう、インターロイキン1βっていうものですね。
それが関わってますよっていうのが今回わかったことになっています。
老化防止の方法について
なんかこういう老化の話ってちょっと複雑かもしれないですけど、面白いですね。
老いたくないなとは僕は思ってるんですけど、老いないためにできることは、
もうなんか食事、睡眠、運動頑張ろうみたいなしか今のところやってきてないですけど、
どうなんですかね。これからの時代はもうちょっと老化の解像度が上がると、
割とアンチエイジングみたいなやつももっともっとサイエンティフィックに考えられるのかなって思ったりしますし、
美容系だと結構アンチエイジングみたいなもので、
実際に例えば肌の細胞をこうやったら老化しにくいですよみたいな結果だけは結構あったりするものも
中にはあるかなと思うんですけど、それは本当にメカニズムベースかって言われると、
分かってない部分もまだあると思うんで、
なんかちょっとこの老化については、僕が老化していくのに伴ってちょっと気になるなという研究なので、
ちょこちょこ紹介できたらなというふうには思いましたね。
はい、ということで今回は以上になりますけども、老化したくないですね。
すごい僕は記憶力とか老化して落ちるのめっちゃ怖いなみたいなのがあるんで、なるべく脳はちゃんと使おうって思ってるんですけども、
皆さんどうですかね、老化しないためにこういうことやってますとか、
なんだろうな、普通に生活習慣病気をつけようっていうのはやってる人は多いかもしれないですけど、
なんだろうな、特に脳の老化とかって脳トレとかありますけど、
なんかやっぱこう脳は使わないと老化してくるなっていう気はするので、
気はするっていうちょっと、すいませんここめちゃくちゃサイエンティフィックに入れてるかわかんないですけど、
でも脳を使うことは確実に脳にはいいので、それはいろんな研究からわかってることなんで、
僕もねちょっとまずは脳を老化させないようにしようかなというふうに思ってますね。
もしなんかいい老化防止策みたいなのやってる人いたらぜひ教えてください。
体はいなんところ大丈夫かなと思ってるんですけど、いつガタッとくるかわからないですからね、ちょっと気をつけたいですね。
ということで今回は以上になります。
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あとはLINEとかLINEのオープンチャットのほう参加して投稿とかしてもらえると嬉しいなと思います。
ちょこちょこトピック提供していただいてる方もいるのでありがとうございます。
一応そこでできそうなやつはチェックしたいなと思いますので、よければ参加してみてください。ありがとうございました。