ワインの渋み成分の紹介
今回はワインの渋み成分ががんを狙い撃ちするという研究をちょっと紹介したいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。ホストはサイエントークのレンです。
ということで、今回かなりタイトルとしてはキャッチーなテーマなんですけど、がんの治療法の研究ですね。
まず最初に話すにあたって、がんって結構狙い撃ちするのが難しいっていうのは有名かなと思っています。
なぜかというと、菌とかウイルスとかってそもそも細胞じゃないんですよね。だから全然違うものとして排除するっていうものは色々作りやすいところはあるんですけど、
がんっていうのはもともと自分の細胞なんで、それを普通の細胞と見分けて叩くといったところがなかなか難しいかなっていうところはあります。
そんな中でも、うまいことがん細胞になってしまったやつの目印を認識してそこに薬を届けるっていう研究はいろいろとあります。
その中でも有名なのが抗体とかですね。抗体っていうのはワクチンの研究とかでよく聞くかなと思いますけど、アンチボディですね。
特定のものにくっつくタンパク質ですね、抗体。この抗体をがん細胞を認識させるとか、そういったものとして使って薬を運ぶっていうのが結構盛んに研究されています。
ただ、この抗体の問題としてサイズがものすごい大きいんですよね。抗体はものすごいサイズが大きいがゆえに、この細胞の膜を通過していくのは非常に難しいというのは想像できるかなと思います。
あまりにも大きいものを何でもかんでも自分の細胞に入れちゃうと、それはもう細胞として中身が破綻しちゃうので、
ある意味ちゃんとサイズで区切られて、大きいものは入れないっていう風になってるんですけども、とはいえ薬の抗体とかは中に運ぶっていうのをやりたいと。
運良く細胞の中に入り込めたとしても、抗体って最初はこの細胞の膜の表面がググッとくぼんでいって、そのまま内側にギュッと入っていきますと。
そうなるとその空間みたいなのになりますよね。これエンドソームって言うんですけど、このエンドソームに閉じ込められちゃって、要は膜を本当に通過して内側に入るっていうところまで行くのも結構難しいということですね。
なのでせっかく頑張って細胞にたどり着くまでは抗体でできても、そこから本当に細胞に効かせるっていうのが難しくて、そこでいろんなデリバリーする技術っていうのが開発されています。
そのうちの一つが今回はワインの渋み成分を使ったというところですね。これポリフェノールナノマシンっていう名前になっています。
ポリフェノールは食べ物とかにも入ってるんで聞いたことあるかなと思いますけど、このポリフェノールを使ってこの問題を解決しようということですね。
ワインとかにももちろんポリフェノールが入っていて、そこのポリフェノールの一種のタンニン酸っていうものと、あとは鉄イオンですね。
っていうものがこの技術の核になっています。まずこのタンニン酸っていうものを、ポリエチリングリコールっていう、ペグとも呼ばれるんですけど、ペグっていうものすごい長い鎖みたいなものに結合させます。
これは結構ステレス性が高いみたいなもので、体内で免疫系に見つかりにくくなる。
しかも安定して血液中を移動できるようになりますよっていう抗生成分があります。
抗分子ですね。これにワインの渋み成分をピッとくっつけたものを想像してもらえばわかりやすいかなと思います。
これを使って、さっき言った抗体とかが細胞に到達しても、なかなか膜を通過できないというところを解決するってことですね。
このガン細胞にこの分子がたどり着いたとして、そこから最初はググッと細胞の膜を押し込むような形で、エンドソーム、エンド細胞質とか言うんですけど、
ギュッと内側に膜に入って、そこで空間ができていきますよね。
そこのエンドソームに閉じ込められても、その中が酸性になるんですね。酸性免疫性の酸性。
そうすると今度はここの浸透圧を上げますと。
このナノマシンがすごいのは、実際にエンドソームの中の浸透圧が上昇するような形で水素イオンを大量に消費して、風船みたいなのが破裂するみたいな感じで、この膜を破壊するっていうところですね。
そうすると、さらにそれにくっついた抗体も無事に細胞の中に入っていくっていうことです。
こういう研究が結構いっぱいあって、あとはエンドソームの説明がちょっとすみません。
あんまり音だと伝えきれないかもしれないんですけど、何を想像したらいいですかね。
風船が細胞だとしたら、親指で風船をグーッと押していきますよね。
そうすると親指がどんどん見えなくなっていくと思うんですけど、風船が柔らかいので。
その見えなくなったところで、外側は口が閉じちゃうと。
そうなると、この風船の中にもっと外側にいた空間みたいなやつができますよね。
親指の先端が突っ込んでいるところですね。
それがエンドソームというもので、それをさらに中に入った後にその膜を破壊すれば内側に物が届けられるっていう感じですね。
これ伝わっているかわからないですけど、エンドサイトーシスとかで調べてみられるとすぐ出てくるかなと思います。
そういったことの難しさっていうのは、やっぱりそこのエンドソームの膜を破壊して出てくっていうのはめちゃくちゃ難しいことで、
今回、従来の技術っていうのはものすごい酸性によってたりとか、そういったものだと膜破壊して出てきますよとか、
あとは結構大きいペプチドみたいな分子とかを使うとできますよとか、いろいろあるんですけど、
今回のやつはほぼほぼ中性のもので、細胞の毒性の懸念もかなり低いっていうところ。
あとはこれ、抗体とさっき言った渋み成分であるポリフェノールと鉄インを混ぜるだけでこういった機能をつけられるといったところが結構メリットみたいですね。
これ実際マウスの実験にも使ってまして、これトリプルネガティブ乳がんっていうんですけど、乳がんを持っているマウスに投与すると、
この乳がんの細胞の表面のセンサーを検知して、まずここに行きますと。
その抗体で1回行った後に、さっき言ったナノマシンですね、膜を破壊するぞっていうやつが一緒にいるとより効率的に治療効果っていうのが出て、
がんの大きさも約20%ぐらいまで小さくすることができた、そういう効果が増強したということみたいですね。
実際今回の研究はこういうポリフェノールナノマシンみたいなものが、細胞内部のターゲット、標的に対しても今後いろいろ使えるんじゃないですかっていう研究になっております。
実験結果と今後の展望
これは非常に面白いなとは思いつつ、いろんなエンドソームの脱出の研究っていうのはあって、
実際マウスで再現するものと人でどうなのっていうところで、そこのハードルがむちゃくちゃ高かったりとかしていて、
今のところこれ使ったら絶対いけるよねっていう技術って、僕が知る限りはない認識ですね。
こういうプレスリリースは大体これで治療に使えるようになるっていう未来は描かれるんですけど、
割と僕は冷静に見ていて、細胞独製が少ないっていうのは面白いなと思いますね。
結構膜を破壊するってなると、普通に細胞の表面でそれが作用しちゃうと細胞に穴を開けちゃうみたいな話になるので、
そういうことが起きていないというところではメリットはあるかなと思っています。
あとは混ぜるだけでいいっていうのも結構メリットですね。
抗体とかそういうものは結構分子としては大きいサイズなので、最初に言ったように。
そういったものにいろいろと小さいものをこういうパーツみたいなものをつけていくっていうのはかなりコストがかかるっていうのもあって、
混ぜるだけでいいっていうのは非常にメリットかなというふうに思いました。
ただちょっとこれがどこまで使えるんだろうっていうのは興味深いところですね。
ということで今回ちょっと紹介したのは意外なワインの渋み成分。
ポリフェノールって結構いろんなところで使われてるし、こういう使い方なんか見たことあるなっていう感じではあるんですけど、
そういう組み合わせで今回抗体の機能をより強く引き出すっていうことができたと。
それは細胞の中にうまくこの抗体を投入していけるといったところがこの技術の面白いところかなというふうに思いました。
ナノマシンっていう名前だけ聞くとめちゃくちゃメカメカしいやつを想像すると思うんですね多分。
僕も多分昔そうだったなって。
ナノマシンってめっちゃちっちゃいロボットが自立してどっか行くのかみたいなイメージを持たれがちなんですけど、
結構これはバイオロジーにおけるナノマシン、本当にタンパク質でできてるそういうセンサーを認識するもの、抗体っていうものもナノマシンに入っていて、
抗体を争奪する分子トータルとしてナノマシンですよって言ってるようなパターンなので想像と違ったかもしれないですけども、
こういった研究もあるんだなというところで。
実際にガンの治療とかに、抗体とかもう既にたくさん使われているような技術なので、
そういったもののブーストできるような形になったら面白いよなっていうふうにはこれを読んでて思いました。
ということで今回は以上になります。
何か話したいことあったかな。
実は僕が公開しているんですけど、
この3月のサイエントークの方で、
NeruNeruNeruneとコラボレーションすることが決まってまして、
本当にこれは嬉しくて、僕もNeruNeruNeruneファンなので、
まさかコラボしてくれるとは思わなかった。
ポッドキャストに開発担当者が出てくれるっていうことなんですけど、
まあそれもすごいありがたいなと思ってますし ポッドキャストじゃないと
やってなかったらそんな方と話す機会もね なかなか得られないなと思っているので
僕が子供の頃から偉大性疑問とかも なんか聞いてみようかなみたいな
いろいろ思ってるんですけど リスナーの方からも たくさんちょっと質問とかをいただければなと思っていて
8月頭まで質問募集しておりますので これはサイエントークのほうですね
にお便りフォームを用意してますので ぜひそちらから
ねるねるねるねに対する質問でもいいですし 一般の企業研究者への質問でもいいと思いますし
地域菓子っていうものを作っている人 どういうことを考えているのかなっていうのを
まあなんか一緒に引き出せたらなと思ってますので ぜひそちら忘れないうちに質問を送っていただけると嬉しいなと
まだまだ募集しておりますので もらえると嬉しいなというふうに思ってます
というわけで今回は以上です ありがとうございました