研究の背景と目的
今回は英単語を覚えるのは対話の前と後、どっちがいいのかという研究について紹介したいと思います。
サイエンスポットは最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。 ホストはサイエントークのレンです。
今回なんですけども、英語学習系の面白い研究があったので、ちょっと紹介してみようかなと思います。
この研究は結構いろんな大学が関わっている研究なので、大学名だけざっと言うと、
早稲田大学、富山大学、東北大学、玉川大学、東京大学で行われた研究になっています。
プラス、プリエスリリースは一応、英単語の練習、脳科学で最適なタイミングを探る、記憶定着は対話前、
意思疎通の促進なら対話後の練習が効果的というタイトルになっております。
この結構気になるなと思った内容で、どういうことかというと、何か英会話の練習をしましょうっていう場面。
例えばオンライン英会話とかがわかりやすいかもしれないですけど、それをやるときにその会話で使う単語を先に予習して学んでおくのがいいのか、
それともとりあえず会話してみて、後から単語を学ぶのがいいのかっていうのを比較したという研究ですね。
確かにそれの違いはありそうだなというのは思って、僕が最初思ったのは、やっぱり前だとその単語をうまく使おうとするから、
記憶に良さそうというか覚えるのが良さそうだなって思う一方で、後から調べて、
この時はやっていえばよかったんだみたいなのも印象に残るかなと思って、僕どっちかというとその復習の方が好きというか、
そっちの方がちゃんと悔しいという感情と共に印象に残るから、覚えられるのかなとかいろいろ思ってちょっと読んでました。
これ何をしたかと言いますと、研究の中はタスクベースの言語指導っていうのがまず教育法としてあるらしいです。
TBLTって言うらしいんですけど、
分かりやすいのが道案内をするとか、何かを読んで意見をまとめて整理するといった、そういったタスクを達成するっていうのを練習していくっていう方法みたいですね。
このタスクの前後どっちで語彙の勉強をすればいいのかということです。
事前に単語練習したらもちろん安心してこのタスクに学習者を臨めるっていう準備として有効ですし、
一方でその事前準備が多すぎると単なる単語の暗記練習になっちゃって、本来のコミュニケーション、自分が今持っている武器でコミュニケーションするっていうのには向かないよねっていう見方もあります。
これが結構関係性があまり調べられてなかったというところなので、しっかり脳科学的なアプローチで比較をしてみたらしいです。
使ったのがFNIRSっていう、これ機能的赤外分光法っていう脳科学的なアプローチらしくて、ヘッドバンドみたいなのをつけて、人と喋っているときの話者の脳活動を測定できるっていうものみたいですよね。
面白いのが個人で見ているわけじゃなくて、向かい合って座っている2人ともにこれをつけて、どれだけペアの脳活動が同調しているか、
つまり脳のシンクロリズムみたいなものを指標として利用しているみたいです。
これ脳がシンクロしているっていうのはどういうことかというと、コミュニケーションが円滑に進んでいますとか、お互いの意図がうまく伝わっていたりするっていうのを神経科学的に指標として使えるんじゃないかっていうので、これ注目されているみたいですね。
これ面白いなと思うんですけど、これ80人を集めて40組のペアがだからできるわけですね。
その40組のペアをランダムに会話タスクの前に会話で役に立つ動詞とか名詞の組み合わせをいろいろと教えると、
これ22種類練習を行ったらしいんですけど、例えばフライヤードローンみたいな、ドローンを飛ばすみたいな単語とか使えそうな単語をいろいろ与えてあげて、それからタスクに戻りますと。
もう片方は同じコミュニケーションのタスクを先に終わってから単語練習をするっていう方ですね。
このタスクの中身は本当に社会的なごくごく一般的な内容の情報交換をするっていうタスクになっています。
例えば一方の人が防犯カメラの映像を持っていて、その防犯カメラの映像を持っている人がなんとか英語でもう一人の人に伝えると。
もう一人の人はその説明を聞いて地図に経路を書き込むみたいなそういう情報のやり取りっていうんですかね。
それがタスクの内容になっていますと。
最終的に学習効果はこの単語練習をした後から、タスクが終わった後に単語練習を終わってから1週間後に行われるテスト、翻訳のタスクとかを行って評価したということです。
学習効果の分析
この学習効果、単語を正確に使えるようになったかっていうことに関しては非常に明確に結果が出てまして、
まずタスク前に学習した人たちは1週間後のテストにおいて動詞名詞の組み合わせ、事前に学んでいたものをより正確に使えるようになっていたという結果が出ています。
つまりタスク前の準備がその後にすぐ応用として会話で使うっていうのを通じて知識が定着するっていうのが1つ裏付けられたんじゃないかなということですね。
つまり正確な知識を身につけるっていう目標は対話前に練習するとすごく効果的だということです。
一方でこのコミュニケーション中の脳のシンクロ率はどうだったかっていうと、
これちょっと細かいどの領域を見ましたみたいなやつは今回割愛しますけど、
タスク後の学習群はタスク前の学習群、学習した人たちに比べてこのコミュニケーションタスク中に言語処理領域っていうところが有意に活性化して
シンクロ率が上がっていたんじゃないかということが言われております。
つまり先にタスクに自分の力で取り組むっていうのがコミュニケーションを通じて協調的な問題解決っていうのをすごく促していて、
その結果として脳活動がシンクロしやすくなった可能性があるんじゃないかっていうのがこの文献では示唆されております。
だから逆に言うとタスク前に使う単語を学習したグループっていうのは単語を正確に使おう使おうという意識が強くなって、
会話してる相手とのリアルタイムの相互の理解とか調整みたいなのがそういう考えが阻害してるんじゃないかと。
なので言語処理領域のシンクロ率が低くなったっていう可能性があるっていうことみたいですね。
これだから面白いなと思って、言われたらすごくわかるんですけど、脳的にもそうなんだっていうのがすごく僕は面白いなと思いましたね。
確かに事前にこの単語を使おう使おうって思ったら目の前の会話ちょっとおざなりになっちゃうみたいなのは確かにありそうだな、
で実際それが脳で見たらわかるっていうのはすごく面白いですよね。
あとは練習のタイミングに関わらず、社会認知機能の領域がシンクロ率が高いと語彙の学習効果も高いっていうのはこれは全員に見られたそうです。
だから学習において共同作業とか相互協力っていうのはすごく重要なんじゃないかっていうのも同時に裏付けられているということですね。
これすごくいろいろ示唆に富んでる結果だなと思っていて、先生とか学習者が一緒に目指す目標っていうのが特定の単語とか動詞名詞の組み合わせ、これの使い方を覚えましょうとか、
そういった明確に目標がある場合はタスクの前にやっておくことがいいんですよね。
1週間後のスコアで良かった方ということで。
それは事前の知識の準備をしてそれをすぐに応用するっていうのが非常にいいと。
ただ目標がこの単語を使おうじゃなくてコミュニケーションがうまく取れるようになりましょうだった場合は、
あえて事前の単語学習をするんじゃなくて、いきなり強調的な問題解決能力を試してやるぞみたいな感じで対話をまずすると。
その対話した後に、この時こうやって言えばよかったんだとか、こういう表現があるんだっていうのを勉強することが実際にコミュニケーションを円滑にする、シンクロリスを上げるっていう意味ではいいんじゃないかっていうことですね。
なるほどなぁと思って、体感としてもそれはなんとなくわかるというか、確かにこれ覚えたから使おう使おうっていうのはコミュニケーションを阻害してるよなっていう。
だから一方であまりにも何も知らないといきなりコミュニケーションを取ろうとしても難しいっていうのがあるんで、最低限いろいろ学んだ後に実践を積んでその復習が重要ですっていうのがここから言えるんじゃないかなというふうには思いますね。
はい、今後実際これを教室とか教育現場とかで使ったらどうなるかなみたいないろんな検証はこれからされていくみたいなんですけど、
なんていうか、脳のシンクロ率でコミュニケーションを図るっていうこと自体も結構面白いなというふうには思いましたね。
で、後からの復習ちゃんとやらなきゃなと思ってます。
そこも結構今英語でコミュニケーションを取るっていう機会があるので、その後今もやってるんですけど知らんかった単語とかをオンライン上で入れていく自分の単語帳があったりとか、
英語学習の脳科学
あとは自分で問題みたいなの作ったりとかしてて、単純に知らない表現があったらそれを入れて、その答えになるやつを入れて電子上で単語帳作るみたいなやつは使ったりはしてるんですけど、
その復習がより重要だなっていうのはこういう論文からも裏付けられるんだなっていうのでやる気がちょっと出てきました。
という感じの研究紹介でした。
これ英語勉強してる人とかすごく参考になる内容かなと思いますので、ぜひプレスリリースも見てみてください。
今日はこんなところで本編は終わりで、
今日何か一言話すとしたら、今週これ上がってる時はノーベル賞ウィークが始まってますね。
今これ収録時点ではノーベル医学生理学賞が制御性T細胞だという発表がされておりました。
いやーまあこれちょっと予想できたよなーっていう気持ちもある。全然僕予想出してないですけど。
ポッドキャストで昔に話したこととかもありますし、
なんか結構もう今の免疫学だと当たり前常識ぐらいになっている免疫の暴走を抑えるっていう細胞ですよね。
それを見つけたっていうのでノーベル賞を受賞されておりました。
日本人としては大阪大学の坂口先生が受賞されたということで非常におめでたいなというふうに思ってます。
これも早速ちょっと時間あった時にノートでパパッとこんな感じですよっていう結構ざっくりわかる
制御性T細胞みたいなやつの書いたノートとかも上がってますんで気になる人それ見て欲しいのと
あとちょっといろいろリサーチを重ねて
いつ出せるかな。いつ出せるかわかんないけどサイエントオークでも毎年ノーベル賞コーナーはやってますんで
これ結構語りがいがあるテーマですね免疫学に関してはめちゃくちゃいろんな免疫細胞があったりとか
Tレグは応用範囲がすごく広いのでそういう実例みたいなやつもちょっと紹介したいなというふうに思ってます。まだ全然調査できてないです。
とりあえずちょっと見てみてくださいノート基地なり。
ノーベル賞と研究
まあちょっと他のノーベル賞もすごく楽しみですね。今これ出すとき出てないですけど
化学賞に関しては僕は希望的観測としてモフをしているんですけど
これもなんか日本人が結構活躍しているからっていうのもあるんですけどね。だしなんか結構いろんな記事とかでも
予想されていたりとかはしてモフっていうのはMOFメタルオーガニックフレームワークっていうやつですね
金属と有機化合物の化合みたいなものを想像してくれたらいいですかね。
いろんな物質を吸着するとか高圧のガスをより安全に貯蔵できますよとかそういうのにいろいろ使われている技術で
これは結構注目されているし毎年予想に上がっているんじゃないかなと思いますね。藤田先生北川先生あたりが
受賞したら嬉しいなっていう感じですかね。太陽光電池系とかも結構注目されてますね。あたりがありそうかなーっていうことと
あと純粋な有機合成だとCH活性化あたりとかあとはちょっとバイオよりだとドラッグデリバリーとかも結構
注目されているところですね。薬を体内の標的の部分に効率的に届ける技術っていうんですけども今当たり前のようにやられてますけどいろんなナノ粒子とか
リポソームみたいなやつとかをピンポイントで解けたいよっていうやつの走りの研究とかその辺も受賞してもおかしくないだろうなっていう感じもします。
何が来るんですかね。分からないですね。あと物理系
太陽電池物理系もちょっと一部含むかな。でも漁師コンピューターとかやっぱ今年結構ニュースにもなってるし、今の去年めっちゃAIを取ったことを考えると漁師コンピューター来てもおかしくないんじゃないかなっていうふうにはちょっと思ってます。
どうなるんですかね。すごい楽しみですね。これ発表される時は。でちょっとまた発表されたら自分自身もいろいろと勉強したいなというふうに思っています。
あと今週はイグノーベル賞の話がものすごい長い時間のやつがサイエントックで多分上がるかもしれないですけど、イグノーベル賞ちょっと盛り上がりすぎて全部紹介したりとか、イグノーベル賞からノーベル賞を考えますみたいな企画とかやってたら気づいたら3、4時間喋られててそれが上がるかもしれないんですけどそちらもぜひ一緒に聞いてもらえたら嬉しいですね。
はい。ちょっと喋りすぎたなということで今回は以上になります。この番組サイエンスポットは日本語と英語で配信をしております。ポッドキャスト聞いて皆さんも感想などありましたらハッシュタグサイエンスポットで投稿してもらえると嬉しいです。それではまた。