宇宙でのアルツハイマー病研究
今回は、宇宙で行ったアルツハイマー病の研究に進展があったという話題を、ちょっとお届けしたいと思います。
サイエンスポットは、最新の科学技術にスポットライトを当てるポッドキャストです。ホストはサイエントークのレンです。
ということで、今回ちょっと宇宙でやられた実験について、僕も初めて知った内容なんですけど、
実際、ちょこちょこ宇宙にいろんな動物を、例えば連れて行って、それで実験するとか、
タンパク質を持って行って実験するみたいな話題は聞いたことがあったんですけど、ちょっと具体的にあまり知らなかったので、ちょっと今回調べてみました。
これは、ちょっと前にも認知症の話、このポッドキャストでも出したんですが、アルツハイマー病の研究になっています。
このアルツハイマー病の1個、原因になっている仮説として、アミロイドβ仮説というのがあります。
このアミロイドβが脳の中で異常に蓄積していって、
繊維状に自己集合をする、繊維化って言うんですけど、それが
アルツハイマー病の発症の鍵になっているんじゃないかというふうに考えられています。
で、要は脳の中にゴミがどんどん溜まっちゃって、それが塊になって脳の働きを邪魔しちゃうんじゃないっていうことですね。
このアミロイドβっていろんなタイプがあって、
特に家族性のアルツハイマー病という遺伝性のアルツハイマー病があるんですけど、それは変異型アミロイドβっていうものがあります。
この変異型アミロイドβの中でも今回、鳥取型って呼ばれる、鳥取はもう鳥取県の鳥取ですね、
と呼ばれる家族性変異型アミロイドβに関する研究になっています。
この鳥取型アミロイドβっていうのは、このアミノ酸に特徴があって、
細かいこと言うと、7番目のアスパラギン酸がアスパラギンに置き換わってますとか、
D7N変異って呼ばれているようなものなんですけど、
これは通常のアミロイドβとはちょっと違う、
この凝集の仕方をするっていうことが知られていました。
ただ、このアミロイドβ、
普通のは解析できてるんですけど、鳥取型アミロイドβの構造解析が結構これまで難しかったそうです。
なんでかっていうと、普通に
重力みたいな力がかかったりしているので、綺麗に整ったアミロイドβの繊維を形成しにくかったと。
その代わりに積み木で、
ぐちゃぐちゃになった山みたいなやつは
できるんですけど、それだと全体の構造、脳の中で本当にこうなっているの?みたいな、
どんな構造になっているのかがちょっとわからないと。
その構造を詳しく見るために、宇宙に着目したってことみたいなやつだね。
これが自然科学研究機構っていうところですかね。
鳥取型アミロイドβの解析
中心になって、国際宇宙ステーション希望の日本の実験棟を活用したものです。
今回の場合、これ全く重力がないわけじゃなくて微小重力の環境ですね。
これでは地上で起こるような重力によって液体が大流で流れちゃったりとか、
そもそも沈殿しちゃったりとか、そういうことが抑えられるので、
結構狙った通りに、こういうサイズが大きい繊維みたいなものを効率的に形成させることができたと。
例でいうと、地上で水の中に砂をこうやって入れて混ぜると、
途中で砂が沈んじゃったりとか、大流が起きて中の水と砂が均一にならなかったりするんですけど、
宇宙空間だとそういったことがないので、なるべく均一にもなりますし、
この物質の制御がしやすくなるっていうイメージですね。
で、これでさっき言った鳥取型のアミロイドβが綺麗に揃った結晶みたいに繊維ができて、
その構造を詳細に調べることが可能になったっていうことみたいです。
この構造解析はクライオ電子顕微鏡っていうものすごいハイスペックな顕微鏡っていうのを使っていて、
これノーベル賞も取ってますけども、
これは測る資料、観察対象、今回の場合はアミロイドβの繊維ですけど、それを凍結して、
その凍結した資料を電子線で観察するっていうもので、
これナノメートルとか原子レベルぐらいまでものすごい小さい構造まで見れる顕微鏡です。
実際にはそのいろんな角度からその写真を撮って、後でこれ3Dにするみたいな作業があったりするんですけど、
今回この繊維のやつをたくさん写真を撮って、
こう3Dにしていったと。
そうすると、この今回鳥取型アミロイドβの繊維構造っていうのは、
このタンポク質のN末端領域っていう端っこの領域がすごい柔軟になっていて、
綺麗に実情を持っているみたいな構造を取ってないってことが確認されました。
これは通常のアミロイドβ、変異してないアミロイドβに関しては、このN末端っていうのは
安定して存在しているっていうふうに言われてるんですけども、
その安定した構造が失われているってことが初めてわかりました。
なので、
この変異が一箇所だけあるだけで、
結構大きい範囲のタンポク質がグニャグニャになって安定性が失われちゃうみたいな。
そうなると、例えば全体としての電化のバランスが変わったりとか、
疎水性が変わるっていうのがあって、変な凝集が起きちゃって、
綺麗な繊維化が地上だとできてなかったと。
これは、
自分たちの体の中で言うと、よりちゃんとした繊維じゃなくても無秩序な塊になっちゃうっていうので、
結局、病気的には良くないわけですね。
っていうのが、ここの原因だっていうのがわかったということです。
これもすごく細かい話なんですけど、
実験の影響と未来の研究
こういう重力が小さい環境になって、こういう凝集の過程を
ある意味、一旦抑えて観察するみたいなことなので、
なんかこれ、いろんなものに使えそうだなというふうに思いましたね。
結構こういう凝集するタンパク質ってあると思うんで。
この構造とかがわかると、やっぱ構造が見えるとそれに対する
何かくっつくものを設計できるみたいなのは、
科学の世界だと結構あることなので、今回その
実際、敵の姿が見えたみたいな話なので、
今回この鳥取型、新しいアミロイドβで、もしかしたら今後新しいも出てくるかもしれないですけど、
そういった研究にこういうのが繋がったらすごい良いなというふうに思いました。
なんか、もうSFみたいな話ですよね。
宇宙でそういう実験を実際やって、綺麗な結晶を取れました。
で、持って帰ってきて解析しますみたいな。
いや、ちょっとすげえなというふうにはこれは思いましたね。
で、まあこの電子顕微鏡で観察してっていう実験は、どうしてもビジュアルが結構インパクトが強くて、
あんまりこれポッドキャストで向かないかもなという話もあるんですけど、
こういうインパクトがある研究、しかもそれ宇宙でやってるっていうのは面白いなと思って今回紹介してみました。
はい、ということで、
今回のサイエンスポットはここまでになります。
で、これが配信されているのが、5月の20日、5月じゃないや、6月の27日金曜日だと思うんですけど、
ちょっと来週がですね、30日が月曜日で、
で、そこくらいからちょっと僕が一旦ですね、日本に帰るというイベントがありまして、1週間ほど。
で、ちょっとマイク持って帰るわけにもいかないんで、その期間ちょっと収録ができなさそうなんですよね。
で、まあちょっと迷ったんですけど、まあやむなしちょっと月曜日分はちょっと出して、
あとはちょっと収録時間の関係、まとめて撮れる時間がちょっと今なくって、
撮れなさそうなんで、一旦ちょっと7月の頭の最初の週は更新、
月曜日だけになるかなというふうに思います。そこはご了承ください。ただ、
えっと、まあちょっとタイムリーな話題で言うと、月曜日
ですかね、30日にちょっと他のポッドキャストに参加させていただきました。
で、それはちょっとまた月曜日詳しく言おうかなと思うんですけど、ちょっと日本放送の番組に
出まして、もう収録も終わってまして、で、しかもなんか日本放送の中でいろんなところでCMが流れるそうで、
なんか僕の声も結構な
回数、いろんなところで出るというふうに聞いているので、
ちょっとその動きは、あの動きはというか、普通にそのポッドキャストも結構面白い話できたかなと思うので、
ちょっとそれ関連の話を30日、月曜日ですかね、
出したいなというふうに思っています。
僕、たぶん日本放送の番組に出るの初めてな気がしますね。初めてだと思います。
あのポッドキャストアワードで
ちょっとお世話になったので、サイエントークという名前を出してもらったことは実はあるんですけど、
確かサイエンストークって間違って呼ばれてたような気もしなくはないんですけど、ここだけの話、
ちっちゃい声で言うと、まあまあ全然いいんですけど、
あのくらいだったので、ちょっと今回どういう反応があるかなというのを非常に楽しみになっております。
なので、とりあえずこのポッドキャストで30日
聞いてください。そしてそちらでもそのゲストの出た番組をご紹介しようと思っていますので、
ぜひ聞いてもらえると嬉しいなというふうに思います。
ではまた。