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2023-10-28 06:24

子どものすきな神さま/新美南吉

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作品名:子どものすきな神さま
著者:新美南吉

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00:04
子どものすきな神さま
新美南吉、子どものすきな小さい神さまがありました。
いつもは森の中で、歌を歌ったり笛を吹いたりして、小鳥や獣と遊んでいましたが、
時々、人の住んでいる村へ出てきて、好きな子どもたちと遊ぶのでした。
けれど、この神さまは、一度も姿を見せたことがないので、子どもたちにはちっともわかりませんでした。
雪がどっさり降った次の朝、
子どもたちは、
真っ白なのっぱらで遊んでいました。
すると、一人の子どもが、
雪の上に顔を映そうよ、
と言いました。
そこで、十三人の子どもたちは、
腰をかがめて、
丸い顔を真っ白な雪に押し当てました。
そうすると、
子どもたちの丸い顔は、
一列に並んで、
雪の上に映ったのでした。
いち、に、さん、し、
と、
一人の子どもが、
顔の跡を数えてみました。
どうしたことでしょう。
十四ありました。
子どもは十三人しかいないのに、
顔の跡が十四あるわけがありません。
きっと、いつもの見えない神様が、
子どもたちのそばに来ているのです。
そして、神様も子どもたちと一緒に、
顔を雪の上に映したのに違いありません。
いたずら好きの子どもたちは、
顔を見合わせながら、
03:00
目と目で、
神様を捕まえようよ、
と相談しました。
兵隊ごっこしよう。
しようよ、しようよ。
そうして、
一番強い子が大将になり、
あとの十二人が兵隊になって、
一列に並びました。
気をつけ。
番号。
と、
大将が号令をかけました。
一、
二、
三、
四、
五、
六、
七、
八、
九、
十、
十一、
十二、
と、
十二人の兵隊が、
番号を言ってしまいました。
その時、
誰の姿も見えないのに、
十二番目の子供の次で、
十三、
と、
言ったものがありました。
玉を転がすような、
よい声でした。
その声を聞くと、
子供たちは、
それ、
そこだ、
神様を捕まえろ、
と言って、
十二番目の子供の横を、
取り巻きました。
神様は、
面食らいました。
いたずらな子供のことだから、
捕まったら、
どんな目にあうか、
知れません。
一人の、
背高のっぽの子供の、
股の下をくぐって、
神様は、
森へ逃げ帰りました。
けれど、
あまり慌てたので、
靴を片方、
落としてきて、
しまいました。
子供たちは、
雪の上から、
まだ、
暖かい、
小さな、
赤い、
靴を拾いました。
神様は、
こんな、
小さな、
靴を、
履いてたんだね、
と言って、
みんなで、
笑いました。
そのことが、
あってから、
神様は、
もう、
めったに、
森から、
出てこなく、
なりました。
それでも、
やはり、
子供たちは、
雪の上から、
まだ、
暖かい、
それでも、
やはり、
06:00
子供が、
好きな、
ものだから、
子供たちが、
森へ、
遊びに、
行くと、
森の奥から、
おーい、
おーい、
と、
呼びかけたり、
します。
06:24

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