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2023-10-24 06:25

二ひきの蛙/新美南吉

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作品名:二ひきの蛙
著者:新美南吉

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二ひきの蛙、新美南吉、緑の蛙と黄色の蛙が、畑の真ん中でばったり行き合いました。
やあ、君は黄色だね。汚い色だ。と、緑の蛙が言いました。
君は緑だね。君は自分を美しいと思っているのかね?と、黄色の蛙が言いました。
こんなふうに話し合っていると、よいことは起こりません。
二ひきの蛙はとうとう喧嘩を始めました。
緑の蛙は黄色の蛙の上に飛びかかって行きました。
この蛙は飛びかかるのが得意でありました。
黄色の蛙は後足で砂を蹴飛ばしましたので、
相手はたびたび目玉から砂を払わねばなりませんでした。
するとその時、寒い風が吹いてきました。
二ひきの蛙は、もうすぐ冬のやってくることを思い出しました。
蛙たちは土の中に潜って、
寒い冬を、
越さねばならないのです。
春になったら、この喧嘩の勝負をつける。
と言って、緑の蛙は土に潜りました。
今言ったことを忘れるな。
と言って、黄色の蛙も潜り込みました。
寒い冬がやってきました。
蛙たちの潜っている土の上に、
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ビュービューと北風が吹いたり、
霜柱が立ったりしました。
そしてそれから、
春がめぐってきました。
土の中に眠っていた蛙たちは、
背中の上の土が温かくなってきたのでわかりました。
最初に、緑の蛙が目を覚ましました。
土の上に出てみました。
まだ、他の蛙は出ていません。
おいおい、起きたまえ。
もう春だぞ。
と、土の中に向かって呼びました。
すると、黄色の蛙が、
やれやれ、春になったか。
と言って、土から出てきました。
去年の喧嘩、忘れたか。
と、緑の蛙が言いました。
待て待て、体の土を洗い落としてからにしようぜ。
と、黄色の蛙が言いました。
2匹の蛙は、
体から泥土を落とすために、
池の方に行きました。
池には新しく湧き出て、
ラムネのようにすがすがしい水が、
いっぱいにたたえられてありました。
土の中へ、蛙たちは、
とぶん、とぶんと飛び込みました。
体を洗ってから、
緑の蛙が目をパチクリさせて、
やあ、君の黄色は美しい。
と言いました。
そういえば、君の緑だって素晴らしいよ。
と、黄色の蛙が言いました。
そこで、2匹の蛙は、
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もう喧嘩はよそう。
と、言い合いました。
よく眠った後では、
人間でも、蛙でも、
機嫌がよくなるものであります。
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