研究の紹介と「無礼さ」の定義
Reverse Diverse。アタッチメントを探求する。
平林 はい。こんにちは、平林です。こんにちは、イーノです。
前回はですね、他責志向の部下という、そういった会社の中で、ちょっと困ったというか、問題を生じさせる特定の人たちみたいな、
それに対する対応はどういうものがあるのかみたいな、そういうビジネス系の記事を紹介していたんですけれども、
その中で、他責志向の強い人っていうものが会社の中にいた時に、それがどういう影響を起こすのかっていうことがその記事に書いてあって、
それについての研究も紹介されていましたよね。
そういった研究をちょっと掘り下げてみようかみたいな話を最後にしてたのかと思うので、ちょっとイーノさんに紹介してもらってもいいでしょうか。
そうですね。本当に2つ研究が紹介されていて、今日紹介しようと思うのは、このポーラス&ピアソンっていう、呼ぶ風に呼ぶのかな、
2013年のハーバードビジネスレビューの記事。ハーバードビジネスレビューだからやっぱりビジネスパーソン向けの記事ではあると思うんですよね。
でも一つ特徴としては、結構玉石混合な時もあるんだけれども、結構しっかり研究してデータに基づいて書かれた記事っていうのも多くて、
それもこの記事も読んでみると、そういう側面あるかなって思います。
全体としては多席志向じゃなくて、この記事にも多席的な言動を含む職場の無礼さ、インシビリティに関する研究っていう風に紹介されてるんだけど、
無礼さ。無礼さってすごい日本語に強い言葉だけれども、
例えばこのハーバードビジネスレビューの記事の中で挙げられてるのは、いわゆる攻撃、侮辱だよね、だけじゃなくて、ドアをバタンって乱暴に閉める人がね。
不満をそういう風に表現する。
逆にひそひそ話をするとか、あと多席っていう意味では理由のないというか、事実に基づかない非難みたいな形で紹介されてたりとか、
あとね、お客さんに対する無礼さっていうのかな、そういうのも入ってて、基本的には職場の中だけじゃなくて、お客も含む場の中で従業員が顧客に対して無礼さを見せるとか、
お客じゃなくて従業員同士で無礼さを見せるとかいう話なんだけど、一番焦点を当たってるのは上司が部下に対して無礼な態度を取るっていう。
これを非常に深刻な問題、影響力の大きい問題として焦点化してるなっていう風に思いました。
だからそういう意味でね、今回のその多席指向の部下っていうカテゴリー、タイトルに入ってる、それ自体結構日本の読者向けっていうか、日本のビジネスパーソン向けの切り取り方だなっていう風に思うんですよ。
だって多席指向の上司の話だから、もちろんいろんな人のことが書かれてあるんだけれども、上司の態度っていうのがどんな悪影響を起こすかっていう話になった。
日本における「無礼さ」の受容度と研究の焦点
日本だとある程度、無礼な上司ってのは普通なのかもしれないですよね。デフォルトなんじゃない?
それだとしたら結構やばいよね。
それに対してその無礼な部下っていうのはさ、珍しいというか、その無礼さというものとか、多席的なことっていうのは通常想定されてないというか。
なるほどね。その地位が低いものが地位の高いものに対して、つまり部下が上司に対して無礼な態度を取るっていうのを想定してないってことね。
だからこういう風に取り上げて、気をつけろと警鐘を鳴らすとか。
だから結局その最後のこの記事の方のね、村上さんだけの記事の方は、部下に対して上司がどんな風に対応すればいいのかっていう話なんだけど、
ハーバードビジネスレビューの方は上司自身がどういう態度を見せなきゃいけないのかっていう、だから文化づくりの話になってるんですよ。
組織の文化を作っていくリーダーシップの話だよね。
じゃあずいぶん違いますね。
そう、ずいぶん違うなっていう印象を受けて、こういう使われ方を、全然その間違ったことを書いてるわけでは必ずしもないんだけど、なんかずいぶん印象が違う。
だから日本に合わせた時にこういう風に表現されるっていう。
リーダーシップと自己改善の重要性
例えばそのどういう風にすればいいのっていう最後の部分ね、それはやっぱ構造は一緒、そのビジネスパーソン向けだから。
でもハーバードビジネスレビューで書いてあるのは、自分自身の行動を管理しなさいっていう、自分自身が良い模範を示しなさいとかね。
あるいは部下からのフィードバックっていうのを求めなさいとか、自分自身の言動、リフレクションを働かせて改善していきなさいみたいなことが一つ書かれていて、
もう一つは組織全体をマネジメントするっていうようなことが書かれてあって、ずいぶん違うよね。
そうですね。
私はやっぱりこの無礼さとかね、多席思考もそう、多席傾向もそうだと思うんだけど、文化だと思うんだよね。
なのでその文化を放っておいたらそういう文化に流れていっちゃうから、これはなんかもう一つの研究が言ってることだけど、放っておくとそっちの文化に流れていっちゃうから、
そうならないようにリーダーシップを発揮するというか、使う必要があるよってそういう記事なのかなと。
なるほど。
ハーバードビジネスレビューも基本的にはビジネスパーソン向けだから、平林さんが前回指摘してくれたような、
やっぱり十分に観察せずにどう対処するか、どうすればいいかみたいなところに結論を置きがちなんだけど、
ちょっと早すぎるんじゃない?っていう結論を置きがちだし、それは一般的にはそうなのかもしれないけど、この文脈の中でどうやって実践するのかっていうところまでは書いてない部分はあるんだけど、
でも十分違うねと。
そうですね。
そこ結構重要なとこかなと思って。
確かに。全然違いますね。
「無礼さ」の根源としての自己中心性と無神経さ
やっぱり多色思考の強い人ってどういう人なのかっていうと、ブレーな振る舞いをする人だよね。
多色思考を含むブレーな振る舞いをする人ってどういう人なのっていうと、自分を中心に置いている人。
ブレーな態度っていうのが自分を中心に置いた態度だっていうことは書かれてある。
例えば、上司のブレーな振る舞いだからそういう話になるんだけど、上司がね、例えばチームでいい結果が出ました、そういう時には自分の手柄にする。
はいはいはい。
よくあるよね。でも何か問題が起きましたっていう時にはチームメンバーのせいにするっていうね。
よくあるね。
本当に自分の職場でもよく見られる風景でさ、ああ、あれもブレーな振る舞いだったんだって確かにね、思うよね。
で、なんかやっぱりそういうのも結局は自分の評価、自分の方針を優先するっていう意味ではやっぱり自己中心的、自分を中心に置いた振る舞いの典型だし、
あとはブレーな振る舞いの多くっていうのは無神経さなんだみたいなこと、つまり他者に対する配慮の無さっていうのかな。
無神経さなんだっていうことも書かれてあったんでね。
だから攻撃みたいに捉えるとすごく悪意みたいなのを読み取っちゃうけど、そうじゃなくって無神経だからだっていう。
相手のこと考えてないっていうことだよね。悪意があるっていうこと。悪意も善意もなく、無関心っていうのを考えてないっていうことだよね。
すごい自己中心性の話の時に思い浮かぶのは裏表なわけですよね。
自分が中心にいた時にはそれは相手にはこう振る舞うと、相手をこのように攻められる。
だけどこっちの立場の方から今度見たらこっちが中心になって、今まで中心だったものがその外側になった時に、本当は対象に捉えられるはずなのに現象が。
なぜかすごい歪んで、真ん中が中心だった時に悪いというか、あまり良くないとされたことが、今度別のところに中心をずらしてみたら、こっちが正しくなる。
具体例がないとちょっとわかんないかもしれない。
具体例ね、ちょっと思いつきませんすぐ。
でもそういう上司・部下の関係も、また上司にもまた上司がいるわけじゃないですか。
トップであっても今度社会の中の責任とかあるわけで、外からどう見られるかとかってあるわけなので、常に相対的に見とく必要があるんだけど、
自分が中心だというのが強い人っていうのは、常にその立場になったら自分がまた中心になって、外からは見られない。
ちょっと何を言ってるのかわかんなくなってきましたが。
メタ認知が働いてないってことかな。
フラットに現象を捉えてないっていう。
だからその自己中心性っていうのは、単なるわがままとは違うんだと思うんだよね。
その話もまた今度できればなと思うんだけれども。
だからだと思う。
他者の尊厳を尊重する組織文化の必要性
この論文のね、ちょっとその面白さっていうのは、その多色傾向だけじゃなくて、より広くその無礼さっていうものを扱ってるっていうところで、
先ほどのその無神経さの事例として出てきてるのとしては、
例えば人が話している、プレゼンテーションとかしてる最中にメールを送るとか、
うちの職場にも寝てるみたいな人いるわけだよね。
自分は関係ないよみたいな。
それもある種の自己中心性なんだと思うんだよね。
仕事できてるのに、仕事の時間なのに他者が話してる時に寝ちゃうとか、不機嫌な態度で下を向くとかね、
そういうのもその無礼さとして捉えてる。
で、あとは他人の時間を軽視したりする行動っていうのも無礼さに捉えてるし、
他人の状況とか感情を顧みない行動っていうのも広く無礼さに取り入れてる。
そうすると、確かに平林さんが言ったように、日本の組織っていうのは、
それを上司がすることは許容されやすいじゃないかね。
でもそれは部下がやると偉そうに、みたいな感じで受け取られるみたいな、そういうところはあるのかもしれない。
それが非対称性として私は言いたかったのかもしれませんね。
私やっぱりちょっと大事だなって思ったのは、この記事は多席思考っていうものだけに目を向けてるけれども、
それだけじゃなく多席思考っていうのは、より広いカテゴリーの人間関係とか、
その場に悪影響を及ぼす様々な行動のうちの一つであってね。
連続線上にあるかもしれない。
人が話してる時に、自分に関係ないからってメールするとか、悪意はないよね。
だけど、それは無神経なことなんだ、無礼なことなんだっていう理解を持ってるだろうかっていうと、必ずしもそうじゃないかもしれないなっていうところは気づかせる。
確かに。人間の尊厳みたいなものをどうやって既存するかみたいな話ですよね。
それって本当は組織マネジメントにおいて非常に重要だって言われてるんだよね。
相手の尊厳、お互いの尊厳というのを、まずは大事にし合うようなところに出発しておかないと、何やっても無駄だよっていうこと言われてるから、
そういう話ともつながりがありそう。
すごい面白いですね。
面白かったです。
なるほど。
ということで、次回はもう一つの記事、こっちは学会誌なのかな、社会心理学の研究なのでちょっと難しいんだけど、もう一つの論文も紹介したいと思います。楽しみです。