1. 世界のクリエイティブ思考
  2. #044 注目のクリエイティブ 〜..
2023-09-05 32:56

#044 注目のクリエイティブ 〜ウクライナ難民を支援するカンヌ受賞作〜

第44回は、レイ・イナモトがカンヌライオンズで見つけた注目作品を紹介します。Mastercardの「Where to Settle」は、ウクライナからポーランドに難民としてやってきた人たちが、土地勘のない場所で、どこに住んで良いかわからない時に、自分が暮らしやすそうな場所を探すことができるアプリ。広告という枠を超えて、地に足のついた社会貢献をする姿勢と意義について解説しました。また、今年のカンヌライオンズの特徴などもレポートします。


◆Mastercard - Where to Settle

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サマリー

マスターカードはウクライナ難民の支援を行っている作品を紹介しています。マスターカードのデータとポーランドの中央統計局のデータを組み合わせ、新しい地域での生活のサポートを提供しています。ウクライナ難民はポーランドに逃れ、難民支援サービスが大規模で影響力を持っています。カンヌライオンズではAIやテクノロジーの活用が注目されましたが、アイデアの重要性も再認識されました。レイさんは、フューチャーライオンズの活動の中でトップ3に入るほど意義のあることとして誇りに思っています。彼は若い人たちに21世紀を生き抜く武器とチャンスを与えています。私にとって、彼らの成長を見ることは非常に良い仕事の一つだと感じています。

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This is Reina Moro's Podcast 世界のクリエイティブ思考
Hi everyone, this is Reina Moro. 皆さんこんにちは、ニューヨークと東京を拠点にするグローバルインベーションファーム
I&CO 共同創業パートナーのReina Moroです。 この番組では世界で活躍するトップランナーのクリエイティブ思考に迫り、21世紀を生き抜くヒントを探ります。
今回は僕が気になったクリエイティブ作品を紹介する注目のクリエイティブをお届けします。
今日は本番組のプロデューサー、竹村幸子さんと一緒にお届けしたいと思います。
はい、レイさんよろしくお願いします。
よろしくお願いします。
今回はレイさんがカンヌライオンズで見つけた注目作品をご紹介いただけるんですよね。
そうですね、ついこの間フランスのカンヌに行ってそのイベントに参加してたんですが、これはですね、カンヌライオンズという毎年6月に行われるイベントなんです。
今日は僕が今年カンヌで見つけた気になる作品をピックアップして、今週来週と2回に分けてご紹介しようと思います。
はい、ここで改めてこのカンヌライオンズについてなんですけど、この番組でも結構ゲストの方がカンヌライオンズで新サインをしたとか、そういうふうに紹介する機会があって、名前っていうのは何度も聞いたことがあるんですが、これは具体的にどんなイベントなんですか?
そうですね、これ平たく言うと広告ショーという分類に入るとは思うんですが、ちょっと背景を説明すると、もともとベネチアで行われていた映画祭が今でもありますけども、そこから出たものなんですね。
ベネチア映画祭は2時間とか1時間半とかの映画を賞を与えるものですけども、そこの短編のコマーシャルっていう映像もずいぶんもう何十年前の話なんですけども、やってました。
今回が85回目だったので、それぐらい長い間ずっと続いている賞で、そこが広告ショーとして切り分けられて、ベネチアでなくてカンヌに動かしたっていうのがもともとの背景なんですね。
そうなんですね。
はい、それでさっき平たく言うと広告ショーという分類と言ったんですが、広告という定義も今すごく広くなったり崩れてきているところがあって、今回と次回のエピソードでも紹介する作品からも皆さんがお分かりにはなるとは思うんですが、
あまり広告っぽくないものも企業のブランディングの一環としてやっている活動を作品として見て、それに賞を与えるというイベントなので、もう12、3年ぐらい前に広告祭っていう言葉を落としたんですね。
そうなんですか。
フェスティバルクリエイティビティという、我々の場合もクリエイティブという言葉を使っているんですが、結構広い意味でのクリエイティビティということで、ビジネスに関するクリエイティビティのお祭り、フェスティバルという位置づけになっています。
これは世界で多分一番大きい広告だったりとかマーケティング、ブランディング、それからその企業にどうクリエイティビティを使うかという広い意味でのイベントなんですが、もう世界中から何万点という作品の数が集まってきていて、カテゴリーも今23とか25前後ぐらいのカテゴリーがあって、一つ一つのカテゴリーに何千という応募作品があるわけです。
その一つ一つのカテゴリーにグランプリ、ゴールド、シルバー、ブロンズというちょっとオリンピックみたいな感じなんですけれども、広告、マーケティング、クリエイティブ業界のオリンピックといっても肝音ではないかなと思います。
ここで賞を取るというのは、かなりクリエイティブディレクターの方とかにとっては栄誉あることみたいな、みんなそこを目指すみたいな感じですか?
そうなんですね。僕が一番最初に行ったのが2006年だったと思うんですけども、もう17年ぐらい前の話で、その時はもう本当にクリエイティブオンリー、クリエイティブに関わっている人だけのショー、イベントだったんですね。
デザイナーだったりアートディレクター、コピーライターと言われる人から、その映像の制作会社の人たちだったりプロデューサーと言われる人たちから、主にクリエイティブというところに直接携わっている人たちのショーだったんですが、それがどんどん広がっていって、今では作る側、エージェンシーとか制作会社だけではなくて、クライアントだったりとか、
あとここをそうですね、10年ぐらいすごい勢いをつけているのが、Google、Facebook、Amazonといったいわゆるビッグテック、それからAppleもいたりとか、Netflixだったりとか、そういういわゆるテクノロジー企業の存在感というのがすごく強く出ていて、
なのでフェスティバルクリエイティビティとは名称としてはあるんですが、本当にビジネスの契約をする場でもあります。
へー、これは何日間ぐらい行われるイベントなんですか?
これはですね、大体6月の3週目の1週間あるイベントですね。
へー、結構大型のお祭りウィークみたいな感じですね、1週間。
いやもうすごいですよ、特にこの業界に携わったことがない、もしくは行ったことがない人が行くと、え、こんな世界があるんだ、みたいな感じで、僕もですね、数年前に初めて妻を連れて行ったんですけども、もう驚愕でしたね、彼女は。
え、これが仕事なの?っていう。
華やかそう、すごい。
すごい華やかではあるんですけども、本当大人が集まるパーティーシーンというか、イベントは大体朝の9時ぐらいからそのセミナーっていうものがもう何十個何百個っていうのが会場でありまして、
カンヌっていうのは南仏の街なんですけど、海沿いに大きい通りがブワーッとあって、そこにすごく高価なホテルがズラッと並んでいていて、その片端にイベントの会場があるんですね。
これはカンヌ映画祭の全く同じ場所で、同じ建物で、もう本当にレッドカーペットが階段にあって。
へー。
カンヌの映画祭が行われた数週間後にこのフェスティバルクリエイティビティーがあるんですが、そのビーチ沿いにはいろんなイベント会場が設置されて、華やかではありますね。
じゃあ、そこに出展している人たちもかなり力を入れてやっているようなイベントなんですね。
そうですね。企業によっては、いわゆるクライアントにアピールする場でもあるので、ここにも何千万、下手したら何億もかけて、メインの会場以外にそういうステージとかが作られるんですけども、すごい力を入れてお金をかけている企業も本当にたくさんいます。
そうなんですね。そんなたくさんの作品の中から、レイさんがどの作品をピックアップしてくれるのかとても楽しみです。
ウクライナ難民の支援
今回はですね、ウクライナ振興による難民の支援に関する作品を紹介しようと思います。
それでは早速いきましょう。
まずはウクライナ振興による難民の支援に関する作品ということでですね、
このウクライナ振興、2022年の2月からですね、すでに1年半にわたって終わりの見えない戦闘が続いているんですが、これはどんな作品なんですか?
これはクレジットカードのマスターカードという会社が、Where to sell?どこに提供するか?というタイトルの作品で、
ウクライナからポーランドに難民としてやってきた人たちが、自分の地元ではないので土地感がない、そういうところにどこに住んでいいかだったりとか、あとどういう仕事があるかとか、
そういう基本的なところ、新しい場所に行った時にどうやって新しい生活を始めることができるかということを支援するという取り組みなんです。
これはどういう仕組みになっているかというと、マスターカード自社が持つデータとポーランドの中央統計局のデータを組み合わせて開発したもので、
家族の人数だったりとか、希望の仕事、その人の手に職を持っている人だったり、その人に合った仕事だったりとかを住むのに適した地域が表示されるんですね。
これも賢いなと思ったのは、ただ例えばワルシャンみたいな大きな都市だけではなくて、意外と職の可能性って郊外にあったりとか地方の街にあったりするんですって。
そういうのってなかなかオンラインで情報はつかめるかもしれないんですけど、バラバラしていてなかなかつかみにくいと。
全員が首都に行っちゃっても仕事の奪い合いみたいになっちゃいますもんね。
そういうところもやっぱりマスターカードみたいな結構規模がある企業、プラスそこが政府の中央統計局と協力し合うことによって民間企業と政府の企業の力を合わせて、結構隅々まで目の届かないところでもそうやってデータで浮き彫りにして、
情報として提供するっていう。冒頭にも言ったみたいに広告っていう定義ではあまりなかなかまとめきれない活動ですよね。
そうですね。支援活動の一つですね、これは。
別にこれは有料のサービスではなくて無料のサービスで、背景にあるのはもしかしたら使った人がマスターカードの会員になってくれるとかそういうのはあると思うんですけども、
サイトとか行ってみると別にそこは全然押してなくて、ここでクレジットカード登録してくださいみたいな、そういう営業的なところは全くなくて、本当にその人の生活の支援をしたい。
そしてこのサービスを使って新しい生活を始めてくださいっていうところがすごくピュアで、本当に人のためになるような活動だなっていうのが感じられたので、この作品は。
そうですね、今回これはSDGsの部門があって、そのカテゴリーでグランプリを取った作品なんですね。
なるほど、家族の人数とか希望の仕事を入力すると、マスターカードってクレジットカードでお買い物をしたいろんな人たちの情報がすごい蓄積がいっぱいあるから、例えば子どもがたくさんいる人だったらこういう街に住むと生活費がちょっと安くて住むよとか、そういうのが出てくるっていうことですよね。
そうそう。
すごい。
はい、なので日本でもSDGs、SDGsってここ数年すごく騒がれていて、いろんな企業も何らかの取り組みはしてると思うんですけど、ちょっと正直形式というか流行りに乗っかっちゃってるところも目につくので気には僕はなるんですが、
このマスターカードのはまたその一歩先に行って、ちゃんと活動としてサービスとして形にしていて、それを本当にためになる形で民間の人に提供しているということなので、広報活動的にSDGs、SDGsって言うだけではなくて、ちゃんと形にしてるっていうところが一線を引いてちょっと違うレベルでちゃんとブランディング活動になってるなと思います。
いやー、すごいテクノロジーの力で難民の人を支援してて、すごいなっていうふうに思いました。
ポーランドへの難民受け入れと支援
僕はウクライナからの難民の多くが隣の土地だからポーランドにいっぱいいっぱい逃れているわけなんですが、新しい土地でゼロから生活を始めて、しかも自分が行きたくて行っているわけでもないのに、新たなところから仕事も探さなきゃいけないっていうのは本当に大変なことですよね。
僕、ポーランド国としてもすごく素晴らしいなと思ったのは、手を広げて来てくださいっていうふうに受け入れてあげてるっていうのも国の姿勢として素晴らしいと思いましたし、あとこれポーランドに難民として行った人たちの2割、20%の人たちがこのサービスを使っているということなのでそこそこ規模もあって、
ただのちょこっとだけではなくて、ちゃんとスケールがあって本当にためになっているっていうところも、カヌーとかだと、本当にただ賞が取りたいだけで全然実績がないのに出している作品っていうのも正直少なくはないんですね。
そうなんですか。
そうなんですよ。
なんですけど、これはちゃんと結果も出ていて、本当に形になっていて、ためになっているっていうところも、ただのアピールだけじゃないっていうところがいいなと思いました。
大事ですよね。もう何百万人、それこそ1000万人以上とも言われる難民がポーランドには行っているみたいなんですけど、受け入れる側のポーランドとしてもですね、難民の生活を一気にそんなに大量にケアしなきゃいけないということで、そんな経験これまでしたことないわけですよね。
そういった困難に挑戦しなければいけないわけですから、自分たち自治体でできないことをこのマスターカードのWhere to Settleというアプリを使って、難民を支援する側にも非常に役に立つサービスなんじゃないかなっていうふうに思います。
そうですね、もう本当にあまり派手ではない活動なんですけど、僕は逆にそこがいいなと思って、やっぱり広告とかマーケティングとかブランディングというと、なんかかっこいいこととか目立つこととか、特にマーケティングっていうのは認知度を上げるとか認識してもらうっていうところが目的の一つでもあるので、目立たなきゃいけないことではあるんですが、
そこにこだわらずに、本当に何回も言いましたけど、ためになって、企業として何ができるか、企業としてどういう形で貢献ができるかっていうことを純粋に考えて、それを純粋に形にしてるっていうところも、あえて無理に目立とうとしてないっていうところもいいなと思います。
本当に地に足のついたサービスというか、仕事が見つけやすい土地に住むことができれば、難民の人たちだって早く生活を立て直すことができると思いますし、経済的に少しでも自立することができれば、祖国が大変なことになってますし、戦争の終わりも見えないので不安はいっぱいだとは思いますが、ちょっとでもそういう将来への不安っていうのを和らぐかもしれませんからね。
すごい難民の心の支えにもなるようなサービスですよね。
そこがすごくキーポイントで、やっぱり人間っていうのは感情が行動だったりとか判断を左右しているところがすごく大きい生き物なんですね。
やっぱり感情に訴えるようなこと、間接的もしくは直接的に人の感情に訴えるようなことができると、その人はそのサービスのことを覚えていたりとか、その活動のことを覚えていたりとか、いい印象を自分に与える、感情に訴えてくれるっていうのはすごく重要なんで、
それはやっぱり物を買うときってなんだかんだで人間って感情で判断しているところがあって、もちろんこれはこういうところがいいとかこれは安いとかそういうのもあるんですけども、一番最初と一番最後のきっかけと決める瞬間っていうのは感情がかなり左右しているので、
何の活動でもやっぱりビジネスのシーンでも僕もそのプレゼンするときとかってどうやって感情に訴えるっていうことを結構考えていて、もちろんその理屈だったりとか理由だったりとかロジックは大事なんですけども、本当に人を動かすためには感情に訴えることを言う、そして感情に訴えることをやらなきゃいけないっていうのがこの作品でもすごくその機能的なサービスではあるんですけども、
それこそ今竹村さんがおっしゃられたようにその気持ちをこう和らぐ感情的なところにちゃんと触っているっていうのは非常にキーポイントかなと思います。
やっぱりこの消費者の立場で私なんか見る側なんですけど、そういうこう本当に難民の人たちをその絵に描いた餅みたいなサポートじゃなくて、ちゃんと心から手を差し伸べてるんだなっていうところが見えると、やっぱり企業の姿勢として共感できるっていうか、なんか応援したいとかいいイメージがあったりとか使ってみようかなとか思ったりするものですよね。
やっぱり印象に残るからすごく、そういうの大事ですね。
あといろんな企業がよくあるのが例えば環境の日とか何々の日とかっていう、日本でも海外でもそういう行事だったりとか日があるじゃないですか、それにあってなんかをやるっていうと目立ちやすかったり、
あー確かに。
そうそう、いいことをやってるのがアピールしやすかったりするんですよね。
メディアにも取り上げられますしね、今日は何とかの日みたいな。
そうそうそうそう。
これもそういうところに乗っかろうとせずに、本当に純粋にサービスとして、企業の活動として純粋な気持ちで純粋な行動をしてるっていうのが、なんかただの広報活動、SDGs活動じゃないっていうのが。
いやー本当そうですね。戦争が続く限り難民っていうのは増え続けるので、一回やってこれで終わりじゃなくて、これからもポーランドはどんどんどんどんまた難民を受け入れなきゃいけないっていうときに、継続的に使えるサービスであるっていうのもすごくいいですよね。
そうですね。なので、本当にこういう、今世の中が政治的にいろんなところで右と左に分かれちゃったりとか、極端な世界になっちゃってるじゃないですか。
僕はアメリカに行って、アメリカの政府を見て、いいところもあれば結構ひどいところもあるので、いろいろ言いたいことはあるんですが、でもやっぱり政府になかなか頼りきれない世の中になっちゃったっていうのも、今現実としてあって、そうなると企業が世の中に社会にいい貢献をするっていう意味の深さが、またなんかちょっと昔と違う時代になったのかなとは思います。
なるほど。今回の作品もぜひ多くの人に見ていただきたいですよね。私たちの番組の説明欄、概要欄にリンクを貼っておきますので、皆さんぜひご覧になってみてください。そして、このカンヌライオンズのレイさんが気になった作品というのはですね、次回も2作品ご紹介しますので、ぜひそちらも楽しみにしていてください。
はい。さあ、ここからはですね、毎年レイさんがカンヌに行かれていて、今年ちょっと他の年と違ったりとか、何か変化があったのかなということで、ぜひその辺レポートしていただきたいんですけど、いかがでしたか?
AIとテクノロジーの注目
そうですね。僕はですね、一番最初に行ったのは2006年ですね。2006年で、それから10年ぐらいずっと行き続けて、その後は2、3年に1回のようなタイミングで行ってるんですね。今回2023年に行って、2020年ともしかしたら2021年もだったか、イベントがオンラインイベントになってたんですね。
コロナの影響でオンラインになったんですね。
そうそうそう。もちろん世界中でいろんなイベントができない状態にはなってしまったんですが、そのコロナ前よりもさらにまた拡大して盛大な大きなイベントになっていたっていうのがすごく印象的でしたし、いくつかあるんですけど、
まず一つは、だいたい毎年、今日紹介したロシアとウクライナ戦争の社会情勢とかがそういうところでこういう形に目に見えたりとか、浮き彫りされたりとか、あと今年ずっとトピックとして取り上げられていたのがやっぱりAIですね。
そこら中でAI、AI、AIっていうセミナーだったりとか、普通の会話だったりとか、AIをどうするかみたいな感じの雰囲気が本当にすごかったんですよね。
ただ、その一方、面白いなと思ったのが、AI、AIっていうふうには騒がれてはいるんですが、まだ本当にこれは新しい使い方だなっていうのが意外となくて、
例えば何かを効率的にやるとか、結構細々としたところで、今までAIだったりとかアルゴリズムと言われるようなことで、効率化を図ってきた作業とかの延長線上の活用のされ方で、
革新的なとか革命的なAIの事例っていうのは、まだ全然なかったっていうのが正直な印象でした。
なんかね、こういうイベントというか祭典だと、もうこんなAIの療法あったのか、びっくり!みたいなものを期待しちゃいますけど、そういうのはまだなかったってことですね。
そうですね。あまりないのと、あと、やっぱりアイデアが大事なんだなっていうのは、何回行っても、何年間行き続けても、何年間この業界にいても、やっぱりアイデアありきっていうのは、もちろんテクノロジーが優れてるっていうことは大事で、
たまにこれってこんなすごいのっていうのはちょこちょことはあるんですけど、今回のウェットセロももちろんテクノロジーを使って可能になったところが大きくて、10年前とかなかなかできないようなことではあったかもしれないんですが、でもやっぱりアイデアが何かっていうところが大事で、
次回紹介するのもそういうところがあると思うんですが、もちろんテクノロジーがどうやって活用されてるかとか、じゃあこれ何がすごいのっていうのは非常に大事な要素ではあるんですが、それだけではないっていうのは今回また再認識したっていうのがあります。
アイデアの重要性
そうなんですね。冒頭で最近はガーファみたいなテックカンパニーもかなりこのカンヌライオンズに力を入れて、いろいろブースを出展したりしてるっていうお話があったので、それこそ何かレイさんが今まで見たことがないようなテクノロジー見つけてくるのかなと思ったんですが、改めて感じたのはやっぱりテクノロジーっていうことよりもアイデアの重要さだったっていうことですね。
まさにその通りですね。
あとこのカンヌで僕が長年生き続けている理由の一つは、特に若い人たちのいい挑戦の場であると思うんですね。
僕はですね、前職でフューチャーライオンズっていうイベントをカンヌの中でやっていたんですが、それ何かというと学生向けのコンペなんですよ。
僕がカンヌに行き始めた2006年ぐらいの頃って学生のコンペアップがなくて、それを仕事にしているのはプロの人たちのイベントだったんですが、これ未来を考えていくっていうことだったらその学生にチャンスを与えて、学生たちにアイデアを考えてもらうのもいいんじゃないですかっていうのをカンヌに提案したんですね。
そのフューチャーライオンズというイベントの趣旨は、5年前にできなかったアイデアを考えてくださいっていうのを出していて、世界中の学生さんに応募してもらうということを毎年やっていて、10年ぐらいずっとやったんですよ。
最初の年が2006年だったかなに、フューチャーライオンズというコンペを発表して、僕はずっと審査委員長としてそれをまとめていたんですが、毎年フューチャーライオンズでは5組のチームを選ぶんですね。
最初はほんの数十点ぐらいしか応募がなかったんですが、僕が最後にそれを担当したのが2015年だったと思うんですけど、そのときはもう何千ぐらいの応募数があって、5つに選ばれるのは結構な難関だったんですが、その初年度2006年のときに勝ったチームの一つがペルーからの応募だったんですよ。
そこで勝ったチームが、そのときたぶん2歳と21歳とか22歳ぐらいの学生の2人で、お金がなかったので、2人だったんですけど、1人しか来れなくて、その1人も本当にリュックサックだけで来て、いまだに彼と会った瞬間っていうのを鮮明に覚えてるんですよ。
実は彼らとはジャン・カルロっていう人と、もう1人ロロっていう2人チームなんですが、ジャン・カルロに最初に会ったときに本当に笑顔が素晴らしくて、本当に心の底から喜んでくれてたんですが、そこで我々が彼らに賞を与えたことによってステージに上がれて、
そうしたことによって、世界中のいわゆるクリエイティブエージェンシーとかのリクルーター、ヘッドハンターたちがこぞってその人たちを取り合いになるわけですよ。
他のチームもそうだったんですけど、この2人はいろんなオファーを受けて、シンガポールに行って、そこでそういう機会がなかったらシンガポールで仕事をもらえるなんて夢のまた夢みたいな話で。
そうですよね。人生変わりましたね、随分。
彼らはそこでシンガポールに行って、シンガポールからアムステラブルに行って、アムステラブルからパリに行って、そして今ニューヨークに来ていて、ニューヨークに多分5、6年前ですかね、来ていて、数年前に自分たちのクリエイティブエージェンシーを立ち上げたということをしていて。
いまだに僕、付き合いがあるんですけど、弟分みたいな感じで数年に1回会ってアドバイスくださいみたいなことを言ってくれて。
素敵。
カンヌっていう場所が大げさな言い方をすると、ある人たちの人生を変える場でもあるので、いろんな意味ですごくいい影響を与えている場でもあるかなと思います。
レイさんにとってもすごく嬉しいことですね。選んだ人たちがそうやって頑張っていろんなチャンスを切り開いていって、クリエイティブ業界で頑張ってくれるっていうのは。
僕の自分の今までやってきたことで、もちろん作品っていうところもあるんですけど、活動の中で社会貢献っていうと、これもちょっと大げさに言いかかったにはなっちゃうかもしれないんですが、
フューチャーライオンズをやってたことがすごく自分の中では誇りにとしてあって、今までやったことの活動の中でトップ3に入るぐらいの意味のあることなんじゃないかなと思います。
それも別に全職で何かお金を稼ごうとか、全くお金にならない仕事だったので、正直労力だけかかって。
だったんですが、世界中の若者たちにこういうチャンスを与えることができて、彼たちが、みなさんが育っていくのを見るのが、自分の中ではすごくいい仕事のひとつだなって思います。
なるほど。なんか私もお話伺ってて、この番組もレイさんが聞いてくださる皆さんに、21世紀をクリエイティブ思考で生き抜くヒント、武器を渡したい。だからこの番組をやりたいんだっていうことで始まりましたけど、
21世紀を生き抜く武器とチャンスを与える
フューチャーライオンズでも、まさに21世紀を生き抜く武器とチャンスを若い人たちに与えていたんだなっていう、レイさんは本当にやってることに一貫性があってすごいなーなっていうふうに思いました。
ありがとうございます。今言われて確かにそうだなって言われたので、光栄ですと言ってくださって。
この番組でも、毎回いろんな方たちトップランナーを呼んで、さまざまなお話を伺ってますけど、これからも武器を渡し続けたいですね。
そうですね。いろんな形で、クリエイティブ思考っていうのは、これといってこれっていう定義がないもので、こうやっていろんな人に話してるっていうのも、その人たちの定義だったりとか、その人たちの経験によって、我々が今後生きていく上での、そしてAIの時代を生き抜いていく一つの武器に、もしくはヒントになればなと思います。
さて、ここまでお送りしてきましたレイナモトの世界のクリエイティブ思考。今回は注目のクリエイティブで、今年のカンヌライオンズで僕が気になった作品をご紹介しました。
次回も引き続き、カンヌで見つけた作品を紹介しますので、ぜひお楽しみに。
世界のクリエイティブ思考、お相手はレイナモトと竹村由紀子でした。
デジタルガレージは、危険な海に最初に飛び込むファーストペンギンスピリットを、創業以来大事にし続けています。
これからくるWeb3、オープンソース時代を見据えた、テクノロジーで新たなビジネスを生み出す仲間を募集しています。
番組詳細欄にあるリンクより、ぜひご覧ください。
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