どうもみなさん、こんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな二人がゆるーくトークするラジオ番組です。
お相手は、私小説が好きの神野大地と、
寿司をめぐるカフェのミエの二人でお送りします。文学のプロではない二人ですが、東京と京都をつないで、お互いに好きな作品をそれぞれの視点で紹介していく番組です。
番組概要欄に詳細情報を記載しているので、初めてお聞きになる方などそちらを見ていただけるとありがたいです。
本編入る前に、いくつかお知らせがあるので、ちょっと長くなるかもしれませんが、聞いていただけるとありがたいです。
12月30日14時からですね、ちょっとまだこれ予定なんですけど、オンライン忘年会のようなものを開催しようと思っております。
これはみなさん、ちょっとリスナーの方々にご参加いただき、人数制限は特に設けないので、来たい人が来てもらって、企画はまだ検討中なんですけど、2時間ぐらい。
我々の1年の振り返りとか、みんなでちょっと交流とかできたら面白いなと思ってますので、振るってご参加いただければと思います。
よろしくお願いします。
お願いします。
はい、2022年年明けにですね、リスナーの方々からお便りいただいて、それにお答えする回と、ベストエピソードをまたちょっと募集しまして、
みなさんが今年紹介された本の中が一番良かったと思ったエピソードをですね、投票していただいて、またそれについてちょっと発表する回というのを設けたいと思います。
これ、今年も初めやってたと同じことですね。
詳しいことは番組概要欄に書きますので、フォームなんかはそちらでご確認いただければと思いますので、よろしくお願いいたします。
お願いします。
じゃあ、今回紹介する本は、地上で僕らは束の間諦めるという本になります。
こちらはですね、前回ゲストのフッカーさんからのお勧め本でありまして、かつ我々も最近身長クロスボックスやべえみたいな話がちょっと出てて、
あの、候補になってたんですよね。
そうですね。もともと注目はしていて、候補になっていたんで、ちょっとフッカーさんからの紹介もあったんで、これは今がタイミングかもしれないと思って、ちょっと読んでみましたね。
めっちゃ良い本でしたね。
良かったですね。
今回紹介するのは、オーシャンボンが書いた地上で僕らは束の間きらめくになります。
木原芳彦さん役で身長クロスボックスから2021年8月に出版されています。
ちょっとあらすじ行く前に、タイトルがやっぱめっちゃ良いですね。
なんかすごく詩的な言葉がタイトルになっていて、タイトルからちょっと雰囲気を感じます。
これは名役ですよね、このタイトルにしたのは。
本当ですね。
で、またちょっとすごく表紙が綺麗です。
なので書店ぜひ見てもらいたいですね。
じゃあちょっとあらすじ、私の方から行きます。
幼い僕を連れ、母は祖母と共に太平洋を渡った。
戦争に人生を狂わされた祖母と、新天地アメリカでの生活に翻弄される母。
二人の苦難は少年の僕にも影を落とすが、ある年上の少年との出会いによって僕は初めて生きる喜びを知る。
アメリカ文学の新たな才能による痛みと美しさに満ちた自伝的長編となっております。
この小説なんですけども、この作者のオーシャンボンがベトナムからの移民になるんですよね。
生まれはベトナムなんですけど、すぐにお母さんとおばあちゃんと一緒に太平洋を渡ってアメリカに来たという、
そういう経歴になっていて、移民の人が書いた小説になります。
ちなみにニューヨークの大学で文学を学んでいたんですけれども、
この作者の失聴家のベンラーナという、これもまたアメリカのすごい注目をされている作家で、
日本でも白水舎から十字四分という小説が出ていて、
これも役者が同じく木原義彦さんで、この辺の繋がりも面白いなと思いました。
ベンラーナめっちゃ読みたいんですけど、読んでないんですよね。
僕もそうですね。買ってはいて、ちょっとパラパラめくっていたことあるんですけども、
ベンラーナの文章はすごい良くてですね。
ベンラーナもまたちょっと普通の小説とは違うような、書いてる人で、
またいつか読みたいなと思って、ちょっと時間が経ってしまっているという。
十字四分っていうのは結構名作だとは聞いてるんで、必ず読みたいなとは思ってるんですけどね。
この作者はまだ1988年生まれの若手作家になっていて、
当初は詩人として有名になったと。
詩人として脚光浴びたと。
ただその後、小説も書いて、今回初の小説になりますね。
やはり詩を書いてきたというところで、この作品でも詩的表現が多くて、
そこにすごく引き込まれる特徴がありますし、
あとはアメリカでもすごく評価されていて、
この小説も2019年アメリカで出版されて、ベストセラーになってますし、
向こうでマッカーサー財団という、天才奨学金と呼ばれるものがあるんですけど、
そこにも選ばれているという、すごくこれからどんどん活躍していくんだろうなと思う、
若手作家のデビュー小説になります。
この天才奨と呼ばれているマッカーサー奨学金なんですけど、
トマス・ピンチョンとかリチャード・パワーズとかがもらってた、
あとウィリアム・ギャレス、
あまり有名度があるけど、JRの人ですね、とかもらったって。
あ、そうなんですね、でもすごいですよね。
今大地さんが言った作家って全員、木原義子子さん役してるんですかね。
そうなんだよね。
なんかこの辺にやっぱりあるんですかね、木原さんの担当みたいな。
いやでもね、木原さんの役じゃないとなかなか辛いと思うな、
わかんないと思うんだろうな、リチャード・パワーズとか、JRとかは。
まぁあれですけどね。
今回の役、やっぱり役の質感がすごいですよね。
すごいよね、やっぱね。
木原さんだと、あ、なんかすごく安心感が。
戦争を語るということなんだというところをですね、
これもすごい名文だなと思っていますね。
確かに。
すごい名文ですね、俺すぐ知るよ。
母語っていうのがベトナム語になるんですけども、
ご出身がベトナムなので、
それを言葉を使うということは、
ベトナム語を喋っているんじゃなくて、戦争を語っているんだという力というか、
すごい特別なものを感じる言葉です。
記者の言葉を味わうだけでも、
全然読む価値があるというか。
そうですね、結構全体的に静かなトーンで書かれていると思うので、
何か余計に響くものがあるなと思いましたね、読んでいると。
確かに評価される作家ですよね。
そうですね、すごいわかりますね。
じゃあちょっと具体的にストーリーの話をこれからしたいと思うんですけれども、
ストーリーはですね、一部二部三部とあるんですけれども、
詳細に話してもあんまりこの小説の魅力は伝わらないかなと思うので、
ちょっとザクッと概要だけお伝えします。
ちょっと今まで聞いてもらっている通り、
読むとこの作家の感性みたいなのがすごくて、
それを読むっていうのが、
多分この小説の楽しみ方なんだろうな、味わい方なんだろうなと思いますので、
ちょっとストーリーはサクッといきたいと思います。
こちらなんですけど、一部はですね、
母に向けて書かれた手紙であるということが明かされた後に、
主人公の少年時代のことが描かれます。
主人公はリトルドッグと呼ばれているベトナムからアメリカに渡った移民です。
これは母が彼と祖母を連れて渡りました。
おばあちゃん、祖母の名前はランという名前です。
母の名前はバラの意味を持つホンという名前です。
おばあちゃんはアメリカ軍に対しての戦時中ですね、当時売春婦だったんですけれども、
この時に自分が取ってた客ではなく、
たまたま飲んでた時にバーで言い合わせたアメリカ人ポールと結婚します。
その間に生まれた母はベトナムからですね、
幼い子供とこの主人公であるリトルドッグと祖母を連れて、
アメリカのコネチカット州のハートフォードへ移り住みます。
移り住むんですけど、母はいろいろストレスもあったのか、
何なのか、結構このリトルドッグに家庭内暴力を振ります。
リトルドッグはそれに対して耐えたりもしてたんですけど、ある時辞めると言うと、その後は亡くなったりしました。
この母なんですけれども、読み書きが全くできないので、
そのことがですね、きっと彼女をさらに追い詰めていたんだと思います。
もちろんこのベトナムから来たリトルドッグもですね、
アメリカでは馴染めずに学校ではいじめられて、
そういうかなり生きにくい状況というのが一部で描かれます。
一部読んでいると、この親子、おばあちゃんも含めてですけど、
アメリカですごく生きにくそうだなと、本当苦労してるんだなというのが描かれてますよね。
本当はね、アメリカで何とかしようと思って移り住んできたのにね、
何というのかな、あんまり出口のない生きづらさを抱えてこんでしまうようになっちゃいましたね。
特に一部の最初の方かな、
この少年自体は結構ね、お母さんに殴られたりしていて、
そういう暴力を受けていたというのがあって、
そういうところもまた読んでいて、辛いところでありましたし、
学校ではいじめられるし、
お母さんも精神的に来ているところがあるんで、
なかなか自分の余裕がなくて、自分を構ってくれるっていうのは難しいというので、
ちょっと大変な状況だったんです。
でも、そういうちょっと読んでて辛いなって思うところが多い一部だったんですけども、
ちょっと途中というか後半ですね、一部の。
そこで主人公からお母さんへの手紙という、そういう要素がちょっと出てくるんですけど、
そこからすごくお母さんへの愛情というのを感じるようになって、
登場人物に対しての印象とかその辺も変わってきました。
この母とこの関係っていうのは最初よくわからなかった。
ちょっとなかなか捉えていいかわからなかった。
でもすごく愛情で結ばれている体なんだなというのは。
そうですね。
お母さんとかおばあちゃんとかの歴史もこの後どんどん語っていくんですけど、
そこでやっぱりいろいろ思うところがたくさん出てきましたし、
この一部でちょっと印象的だったのはタイガー・ウッズのエピソードですね。
本筋とはちょっと違うんですけど、ベトナム戦争ですね。
おばあちゃんに経験していた、そこに絡んでくる。
タイガー・ウッズのお父さんもベトナム戦争に参加していたり、
そこでエピソードが実はタイガー・ウッズの名前の由来にもなっていて、
こういうところも本当に分量としては少ないんですけども、
すごく印象に残るところで、タイガー・ウッズの名前の由来に感動します。
読んでいて泣きそうになるような。
いいエピソードですね。
結構この昔の話が差し込まれながら一部は、
読んでいるといろんな話が行ったり来たりするからちょっと混乱したりするけれども、
ちょっと注意して読まなければいけないかな。
リトル・ドッグが14歳になっていて、
14歳の夏ですね、彼は母に黙ってタバコ農場でアルバイトを始めます。
そこで知り合った2歳年上の男の子、トレバーという男の子と恋をします。
ここでゲイとしてのアイデンティティーが結構通説に描かれます。
彼との恋を通しても、生きづらさみたいなものが描かれていて、
ここでは生きることとか欲望を充実させることに関しての美しさを描かれていて、
結構彼の中でもいろんな変化があったんだろうなというのが感じ取れる部でもありますね。