結構新潮クレストで出てることが多いかな。ほとんど全部新潮クレストかな、今のところ。
私は実は今回読むのが初めてです。ずっと気になってたけど。初夜と未成年、結構気になってたんですけど。
僕もそうですね。
あ、そうなんだ。もう読んだことあんのかと思ってた。
名前はずっと知っていながらなかなか読めていなかったんで。
なんかちょっと大御所感あるよね。
そうですよね。
ネジマキさんはマキュアンは?
同じく初体験ですね。
みんなマキュアン初なんだ。
たぶんもしかしてこのポイスル・アダムが一冊目ってのはどうだったんだろうね。
もっと代表作から入った方がよかったかもしれないけど。
まあでもすごく面白かったから。
そうなんですか。
これでドッカーシを撮ったアムステルダムめっちゃ読みたくなりました。
ありました。
すごかったですね、マキュアン。
ちょっとこの後、具体的にこの作家の魅力も含め、作品の魅力も語ってきますのでよろしくお願いします。
まずあらすじとかに入る前に、この作品の魅力をちょっとお話ししたいんですけれども、じゃあちょっと三枝さんの方から。
そうですね。まず一つ目がAI小説というところがかなり特徴的で。
登場人物の一人ですね、アンドロイドのアダムという人がいるんですけども、
このアダムが世界に25体だけですね、アダムとイブとダンジョウですね、が発売されていて、
それを主人公が購入したというところから話が始まるんですけども、
とにかくこのアダムがロボットなのですごく優秀で、世界中のネットワークにつながっていて、
そういう世界中の情報網羅してますし、力も人間とは比べ物にならないぐらい強いですし、
その代わりロボットなので充電ケーブルがあったり、電源スイッチがあったりっていう、
あと見た目がすごくイケメンという、すごくAIというところですけども、
アンドロイドが登場、主要キャラとして登場するという、これがすごく特徴であり面白いところになりますね。
その特徴と相反するような特徴がありまして、これですね、舞台設定が1982年になっています。
これは架空の、私たちがいる世界線とは違う1982年の舞台になっていて、
結構歴史的事実がですね、改変されている、設定が変わっている世界でございます。
アランチューリングって聞いてどれぐらいの人がわかるか、見えないところではあるんですけど、
アランチューリングっていう方をちょっと説明させてもらいますと、
これイギリスで人工知能とかコンピューターの父ですね、計算機とかをすごい作るのに貢献した方なんですけど、
この人が1954年に死んでおります。
ただこの世界線では恋するアダムの1982年ではこのアランチューリングが生きていて、
この人工知能アダムの製造に関わっているっていうところが設定としてはかなり面白いところですね。
この死んだはず、亡くなったはずのアランチューリングが、
これ歴史的には自殺しちゃうんですけど、
アランチューリングが生きていてこのロボットの製造に貢献しているという世界の話です。
結構このAIとか人工知能とかが、世界中ネットワークがとか、
そういう現代的な2022年以降の話っぽい設定なのに、
時代設定が私たちから見て過去っていうのがこの世界を描いているのが面白いところだなと思います。
もちろんですね、この作品のそういう面白さもあるんですけれども、
大きなテーマっていうのはこのアンドロイドの感情理解というものを通じて、
人間の心の不自由さを描いているのではないかなと思っております。
以上が特徴かなと思います。
じゃあ続いてですね、
先ほどからちょっと3人読んだっていう話がちょっと出てたと思うんですけど、
カズオイシグロのクララトーキ様、
このラジオでも発売した当時かな、取り上げさせていただきましたけれども、
ちょっとそれと比べてどうだったかって話をちょっとしていきたいなと思います。
じゃあこの流れで私の方からちょっとささっと話させてもらうと、
まずですね、カズオイシグロさんはもうクララの一人称、視点から世界を描いていたので、
結構丁寧に、分かりやすく、人工知能っていうのがどのように世界を生みていくのかっていうのが、
読み手に伝わる構造になっていて、
結構そのあたり、さすがカズオイシグロさんだなと思うんですけど、
親切だなと思いました。
今回の恋するアダムは結構ですね、
アダムがどういう風に世界を見ていたのかっていうのが、
結構急に分かってくるポイントがあったりとかして、
驚きが結構あって、
こういう構造も面白いんですけれども、
多分なんですけど、クララトーキ様の方が読みやすいって感じる人は多そうだなと個人的には感じます。
恋するアダムがめちゃくちゃ読みにくいって話はないんですけど、
入りやすそうだなっていうのはちょっと感じましたね。
人工知能の感情を表現するという点では、
結構2作には違いがあるなと思いました。
クララトーキ様は、より近い、人間に近い感じを受けたんですけど、
恋するアダムに関しては、
AIの限界っていうところを結構描いていて、
この辺りを読み比べてみると面白いんではないかなと思いました。
私はざっくりですが、こんな感じを思いましたね。
確かに大地さん言うように、
2作に違いがあるっていうのは僕も同じように思っていて、
どちらも確か2019年頃に書き終えられたみたいなんですけども、
同時期に書かれていたもので、
全然タイプの異なるアンドロイドがそれぞれ出てくるっていうのが、
すごい面白いなと思っていました。
クララトーキ様は、より普遍性がある話なのかなと思っていて、
人間が本来持っている美しさというか、
そういったところが現れていると思いましたし、
一方で恋するアダムの方は、
2010年代の社会の先にある、
この先、社会とか人間とかってどうなっていくんだろうかという、
漠然とした不安であったり希望であったり、
そういったところに対して、
人間ってこんな良いところもあるけど、
こんなダメなところもあるよねっていうのが感じられた、
そういう小説というふうに僕は印象として思いました。
個人的にはクララトーキ様よりかは、
恋するアダムの方が自分にとっては好みな作品だったなというのもありましたね。
なぜ好みだったかは、多分この後明らかになってくるんでしょうね。
そうですね、この後語りたいなと思いますので。
僕のざっくりしたクララトーキ様と比べてどうだったか感想なんですけど、
やっぱり大きいところは、クララとアダムのロボットの違いやと思うんですね。
クララ自体はインターネット通信みたいなのを多分ほとんどしてなくて、
自分で学んでいくスタイルのクララ。
アダムはあくまで子供が大人になるための友達ロボットなんですね。
アダムはその点、ネット通信もできるし、力も強いし、
ディープラーニングですごいライブラリを使って学習ができたりとか。
お日様でバッテリーはできなさそうなんですけど。
どちらもイギリスの作家なんですけども、
和尾石黒さんは今回珍しくアメリカについてアメリカ舞台で描いてて、
和尾石黒さんはイギリスの舞台ということで、そこが結構出てるなと思いました。
クララの方がどっちかというと格差社会を強調してるような気がして、
未来志向というか、ちょっと抽象的にあってるけど、
あらゆる問題に対して批判を投げかけてるような気もして。
恋するアダムを読んだからこそ、もう一回ちょっと読み直したんですけど、
クララとお日様のその時、見えなかった凄さに本当に気づけて、
和尾石黒すごいなと思いました。
やっぱりクララの一人称視点で世界を描いてるのに対して、
アダムは主人公がアダムを見つめる視点で描いてるので、
違いもやっぱ大きいなと思いますし、
あとやっぱクララがすごいなと思うのは、
ロボットが宗教というか太陽を信仰してるっていう設定がすごい一品で、
これはすごいなと思って。
アダムなんですけど、結構海外では歴史改変物の小説っていうのが人気があって、
日本でちょっと珍しい、村上龍とかがたまにやるかなぐらいのあれなんですけど、
今回まともにこういうのを読んで、
こういうのもやっぱめっちゃ面白いなと思いました。
なるほど。
言われるまで気づかなかったけど、クララディープラーニングできなかったですもんね。
確かに。
クララって子供のままだったっていうのが確かにそうですね。
和尾石黒は結構そこ気にして設定したんだろうな。
ちょっと私の方からネタバレしない程度に、
ネタバレポイント結構あるので、ネタバレしないように話を説明したいと思います。
まずチャーリーという男がアダムという世界で25体しか製造されてないアンドロイドを買うところから話は始まります。
彼はちょっと大きな遺産があったら買えたんですけれども、
彼は結構いろんな事業失敗してきて、今は株の売買で日々生計を立ててます。
もうちょっと株を動かしてその上がりで食っていってるっていう男ですね。
年齢は32歳です。
結構安いアパートに住んでいて、上の階にミランダっていう22歳の女学生がいるんですけれども、
それなりに仲良くしていて、友人関係ではあるんですけれど、
チャーリーはミランダのこと好きだと気づくところもあって、
そういうところからちょっと話が始まってきますね。
チャーリーは自分とミランダの仲を発展させるために、
アダムを購入した時に質問に答えていって、
アダムの性格設定をしなきゃいけないんですけれども、
これをミランダとちょっと2人でやってみようみたいなことを持ちかけて、
この共同作業を通じてちょっと仲良くなっていこうかなみたいなことをちょっと考えます。
ミランダは最初ちょっとアンドロイドに対してなんとなく嫌悪感があったような感じがあるんですけど、
しぶしぶその作業に参加していって、設定をしだします。
その後無事に起動したアダムなんですけれども、
これはですね、ミランダに恋をしたと言い出します。
それは彼女が自分の性格を設定したせいだと言い、引いてはそれをさせたチャーリーのせいだというので、
この自分がミランダに恋をしてしまったのは、
もともとはチャーリーあなたのせいだという話をしだしますね。
ミランダへの愛を彼はですね、アダムは詩で表現し始めます。
なんですけど、そんなアダムが言いつつ、チャーリーとミランダはですね、
どんどん恋仲になっていき関係が深まっていきます。
その時チャーリーが散歩していると、明らかに母から虐待されている男の子と遭遇します。
チャーリーはその母親をそんなことしちゃダメだとたしなめるんですが、
その後旦那も出てきてかなり賢悪なムードに。
思わずですね、その男の子マークという男の子なんですけど、
チャーリーが自分がひとりとか言い出すんですが、変質者扱いされて、
その場は立ち去って終わりました。
けれども後日、マークが父親の手紙を持ってチャーリーの家を訪れます。
その手紙にはお前が欲しいと言ったんだという内容が書かれており、
マークは捨てられてしまいました。
アダムもミランダもですね、このマークをかなり可愛がります。
ミランダはもう育てようとしようとするんですけれども、
アダムはですね、人工知能がゆえに正しい判断しかできず、
不法に引き取ると誘拐犯扱いされることもあると。
なのでちゃんと児童保護をしている政府の機関に連絡。
これチャーリーとミランダが反対したんで、黙って連絡してしまって、
その方々がこのマークを引き取りに行きます。
この主要登場人物の一人はミランダなんですけれども、
彼女にはある秘密があって、これが徐々に明らかになってきます。
これ一番最初にミランダの秘密をチャーリーが知ってしまうのは、
実はアダムがネットワークの中で非公開の裁判記録にアクセスする権利があるんですね。
それによってミランダが昔ある裁判を起こしたということが分かり、
その後、ちょっとそのことで吸ったもんであるんですけど、
最終的にはミランダの本人の口からある真実が語られ、
チャーリーとアダムはミランダの秘密の全部を知るということになります。
物語としてはこのミランダの秘密と過去、
そして虐待されてたマークっていうのが結構複雑に絡み合っていって、
人間の感情と人工知能の感情の違いが描かれていくような流れになっています。
このあたりがちょっとネタバレしないギリギリのラインかなと思います。
はい、あの結構この後いろんな展開があって本当に面白くて、
私本当にラストですね。ノンストップで読んじゃったんで、めちゃめちゃ面白かったです。
この中の繰り返し地点の200ページぐらいからもう1日で読みましたね。
ね、わかる。
本当ストーリーがめっちゃ面白いんですよね。
結構この話をネタバレしないように印象に残ったところをちょっと話していきたいんですけれども、
今、みえさんが言った通りストーリーテリングが上手いので、
物語作るのがマジでヤンマキアン上手いんだなって思いました。
カズオイシグロもめっちゃ上手いじゃないですか。
イギリスの作家ってすごいのかなってちょっと今思ってますね。
カズオイシグロもそうなんですけど、
結構複数の要素が出てくるのを、
なんか、えっと、なんて言ってないですかね。
なんか不自然さなくナチュラルに組み込んでいくことができるので、
多分プロット段階でかなり時間を使ってるんじゃないかなって、
個人的にはカズオイシグロもヤンマキアンについても思いましたね。
結構要素としてもAIとかサスペンスになってきたり、
裁判とか子供とか政治とかいろいろあると思うんですけど、
結構ほんまにおっしゃる通りめっちゃまとまってて、
筋も読めそうで、あらすじ見るとそんなに動きはないんかなっていう、
あんまり期待はしてなかったんですけど、
途中でもストーリーが読めそうで意外と読めない方向に向かっていくところとか、
例えばマーク、子供が後ってあれだけ絡んでくると思ってなかったりとか、
描写とかも結構家具とか字幕の描写とかも細かいところまで行き届いてるので、
さすがのヤンマキアンだったなと思いました。
なんか文章が結構長いですよね。
普段読んでる小説とかと比べるとかなりブロックと言いますか、
開業がなかなかなくて、
結構文章がバーっと続いていくっていう、
ただそれがすごい読んでて面白いし、
あと情報量がね、ネジブマキさんが言われたみたいに、
本当幅広いジャンルの要素が詰まっていて、
旧話の資料がすごいのかあれですけど、
情報量もめっちゃ多くて。
アダムが書いたのかと思うぐらい。
情報量多いよね。
翻訳もすごい良かったと思いましたね。
原松清志さんの職人技みたいな、
そんな日本語だとちょっと感じたんですね。
日本語としての文章もナチュラルというかですね。
翻訳の文体ではあるんですけど、