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1942年、プラハで2人の青年がハイドリヒ暗殺計画を決行した。
この歴史上の題材を、語り手である作家は丹念に調査し、時には悩みながら小説に仕立てていく。
ローラン・ビネの「HHhHプラハ1942年」を紹介します。
どうもみなさんこんにちは。文学ラジオ空飛び猫たちです。
この番組は、いろんな人に読んでもらいたい、いろんな人と語りたい文学作品を紹介しようコンセプトに、文学と猫が好きな2人がゆるくトークするポッドキャストです。
パーソナリティは、私ダイチとミエの2人でお送りします。
文学のプロではない2人ですが、お互いに好きな作品を時には熱く、時には愉快にそれぞれの視点で紹介していく番組です。
今回紹介するのは、ローラン・ビネの「HHhHプラハ1942年」です。
高橋圭さん役で草原文芸文庫から2023年に出版された本になります。
もともと単行本は2013年に東京草原市から出た本になります。
はい、私この本はですね、実はずっと積んでいたので、この機会に単行本で読みました。
単行本持ってたんですね。
なんかすごい本だって話は聞いてたんですけど、読んでみてとんでもない一冊だったなっていうのがありまして、
これはなんか小説とそのまま読んでいいのかさえ迷う、なかなか衝撃作でしたね。
とにかくこれ創作というものの可能性には、なんかまだまだいろいろできるんだなというか、枠にとらわれないものっていうのはまだまだあるんだなってちょっと思えた一冊だったので、
なかなかすごい小説だったなと思います。
フランスって結構こう実験的な小説でなんか多いイメージがあるんですけども、こういう変態チックな、何でしょう、あの突き詰めちゃうタイプの人が多いなっていうイメージがさらに強くなりましたね。
確かに、なんかちょっとフランス人っぽい作風な気がしましたね。
確かそれこそコロナの中で翻訳された、えっと、言語の7番目の機能か、ローナンビネ、それもめちゃめちゃ気になりましたね、これ読んで。
そうですよね、なんかビネの作品は、えっとですね、今年2023年に入ってもう一つ文明交差っていう本も出ていて、これもすごい面白い。
言語の7番目も、なんかちょっとミステリチックなものなんですけど、文明交差はもう歴史モノで、あれなんですよ、なんかスペインがインカ帝国を征服したっていう史実を逆転させて、インカ帝国がスペインを征服するっていうですね。
あー。
どういう話なんだろうってすごい気になるような。
あのー、そっちは結構フィクション、あえてフィクションにチャレンジしてみたいな感じなのかな。
そうですね、もう本当に、歴史上あった出来事を逆転させるみたいなですね。
なるほど。
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これもすごい評価高いので、ちょっと読んでみたいなと思って、まだちょっと読めていないんですけども。
いや、これ読んでからだとだいぶ響きそうだね。
そうですね。
うん、やばいな、ちょっと気になるな。
僕もHHHに関しては、2013年に本が出て、その翌年図書館で借りて読んだんですけども、すごい衝撃を受けまして、その年読んだ本でも本当これがナンバーワンだって思っていてですね。
最初は第二次世界大戦の中の話なので、戦争モノの小説と思って手にしたんですけども、読んでみるとちょっとイメージと違って、というかだいぶイメージと違って、
今まで読んだことがないような小説だったんで、しかも話もすごく面白くて、すごい感動しながら読んだっていうのが記憶にあってですね。
今回文庫本がついに出るっていうので、改めてちょっと読み直したっていうのが経緯ですね。
すごい好きな作品だったんで、ラジオでも紹介したいと思っていたんで。
ちなみにあれですね、私が持ってる帯には、第11版ですね。結構…
すごいですね、そこまで。
すごいな。あ、ちなみに1年だな。2013年6月28日初版、2014年4月10日第11版だ。かなり1年ぐらいでダイブル出てます。
多分本屋大賞、本屋小説部も2014年1位ですね。
そうですね、それ取ってるし、あとツイッター文学賞の海外編も1位取っていて、なんかね、その出た当初、いろんなとこで話題になったっていうのはうっすらと覚えておりますね。
なのでかなり話題になったので売れた本かなっていう印象がありますね。
私もなんか売れてる印象があった。
正直ちょっと多分その2014年とか13年ぐらいの時って歴史物とかちょっと苦手意識めっちゃ強かったので、
多分全く手に取らなかったと思うんですけど、これはちょっと歴史小説ではちょっとないですね。なんかすごい…すごい小説ですね。
そうですね。ではですね、ここでちょっと著者の紹介をしたいと思います。
ローラン・ヴィネさんは1972年フランス・パリで生まれて、パリ大学で文学を学んで、並益でフランス語教師としてスロバキアに赴任したことがあります。
その後パリ大学、パリ第三大学、第八大学で教鞭を取るという先生をされていたと。
本書ですね、このHHHHでゴンクール賞、最優秀新人賞とその他のいろいろな賞を受賞して、すごく世界的に評価をされる作家さんになられました。
その後、日本では言語の7番目の機能と文明考察が出版されて、今の現代フランス文学界でもすごく注目されている、そのような作家さんですね。
ではここから具体的に作品紹介入っていきたいとおもいます。
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まずですね、ホームページ等に書いてあるあらさじを読ませていただきたいと思います。
2010年ゴンクール賞最優秀新人賞受賞作。
2014年本屋大賞翻訳小説部門第1位。
ナチによるユダヤ人大量虐殺の首謀者ハイドリヒ暗殺計画は2人の青年によってフラハで決行された。
それに続くナチの報復青年たちの運命。
ハイドリヒとは何者だったのか。ナチとは一体何だったのか。
史実を題材に小説を書くことに全力で挑みながら、著者は小説を書くことの本質を自らに読者にも問いかける。小説とは何か。
という作品ですね。
まさに小説とは何かっていうのを突きつけてくる。
そうですね。
独特の作品ですよね。
作家自身がこのハイドリヒ暗殺計画の話を書きながら、自分が書く小説って何なのかとか、そこを自問自答しながら書いていくみたいなね。
そういう意味ではあれなんですよね。ただ、歴史的にあったハイドリヒ暗殺計画の話を淡々と書いているわけじゃなくて、
すごい、なんでそれを書くのかから、紆余曲折をいたって前に書かれていくんですけども。
ちなみにこの本のタイトルですね。
エッチエッチエッチエッチという、エッチが4つ並ぶというすごく変なタイトルなんですが、これにも意味がありまして、
これはドイツ語で発音できないので、そのような書名になっています。
ヒムラーというのはドイツのナンバー2と呼ばれていて、この小説の主役の一人であるハイドリヒというのはヒムラーに仕えていた、
頭脳と呼ばれるような存在だったというですね。そこからこの本のタイトルが来ているということですね。
このタイトル見て一体何だったんだろうって最初ずっと思ったんで、割とこれ解説読めばすぐ出てくるし、
正直最初分かんなくて読んでも全然差し支えはないですね。
そうですね。ただこの記号のようにエッチがよく並んでいるんで、
これは何だろうって思う人は本当に多いと思いますんで。
ではですね、これちょっと作品の特徴とか魅力とかですね、
ちょっとそこを話してその後ですね、実際どういう話かというストーリーに触れていきたいなと思います。
まずですね、この魅力のところ特徴のところでいくと、
この小説自体が小説を書く小説であるという点が一つだと思っています。
これはですね、先ほども話したようにラチスドイツの高官の一人である、
本当にチーリューとヒトラー、ヒムラーに続く3番目の実力者と思われていたハイドリヒですね。
を暗殺するという、これは実際歴史上であった出来事なんですけど、それを書いた歴史小説になります。
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ただその淡々と物語を書いているんじゃなくて、この作家が語り手となって、
作品の中ではもう本当作家が主人公と言っていいと思うんですけど、
語り手主人公となって、この歴史的な出来事を再現するために小説を書こうとしているというですね、
そんな小説です。そこには、この作家自身もですね、結構やっぱりこだわりがすごい強い人なんで、
この資料集めとか、あと何でしょう、葛藤とかですかね、もうその歴史的事実というのがだんだんわかってきたり、
あと今までいろんなメディア、映画とか小説の題材にもなっているような出来事なんですけど、
そういう過去の作品とかを見返したりして、いろんなね、そこで感情が作家の中にも渦巻いていくんですけども、
このやっぱり小説の中では、その様々な感情をストレートに吐き出していくっていうですね、
その辺もちょっと読んでて面白いところではあります。最初ですね、この作家もこの歴史上の人物、
しかもリアルに存在していた人物には自分はなれないと言って、それでも書き始めていくんですけども、
ただ物語が進んでいくとですね、やがてこの作家もそのある登場人物と本当に同化していくようなですね、
そんな感覚になっていって、やがて結末を迎えていくというですね、すごいこのうねりみたいなものを生み出しているんで、
この辺はすごい小説を書く小説でありながら、その中にある物語がすごく上手く溶け合っているなというのが、
そこがすごい点ではあるなと思いましたね。
個人的にはここは本当にすごく面白かったポイントで、やっぱりこの小説読んでて急に僕っていう形で作者が出てくる。
情報を集めている段階とか、こう書こうと思っているみたいな、
あとこう書いたけどちょっと違うかもしれないみたいな、予防線張り出すみたいなところとか結構私好きで、
やっぱりこの小説を書くことを通して、このローラン・ヴィネも変わっていく様が見えるし、
このプロセスを見せてくれる小説っていうのは多分不可ではないと思うので、めちゃめちゃ面白かったですね。
テーマとしているものが、もちろんかなり歴史的に見ても、人間のかなり闇の部分であるとは思うので、
人類史の中でもかなり大きいところではあると思うので、なかなかここをどう取り扱うのかみたいなところもすごく面白かったですね。
個人的には、とはいえこのローラン・ヴィネさんのどこまでも本当にあったこと、いわゆる史実と呼んでしまっていいのか、
情報が残っていることに対して忠実に書きたいという欲求をですね、強く感じた一冊だったので、これはなんというか非常に彼のこだわりみたいなものをすごくビシビシ感じるんで、すごい面白かったです。
逆に言うと、他の作品が史実に対して簡単に創作してしまうことに対して、怒りのようなものも抵抗のようなものもすごく感じたので、ここはかなり面白かったですね。
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特に今回、戦争のようなものっていうのは、もう解釈の仕方っていうのが本当にたくさんあって、立場がすごい出来上がりやすい事象だし、
支配される側、侵略される側とか、支配しようとする側とか、だいぶ日本でもありますけどね、虐殺と呼ぶのか呼ばないのかみたいな部分とかあると思うので、
ここは本当立場によって同じことを全く違うように捉えてしまうっていうこともある中で、やっぱり何か事実に忠実でありたいみたいなことはすごく感じましたね。
その辺のことは作中でもですね、たびたび言われますね。
例えば、歴史物語において、過去の死んだページに命を引っ込むという口実の下に、多少慣れても直接的な証言に基づいて、再現される会話ほど人工的なものはない。
確かにその歴史小説で出てくる会話ってどこまで本当なのかみたいな、もう想像でしかないじゃんみたいなところもあると思うんですけど、
そういうところに対して、一個一個やっぱり彼はこういうスタンスで生きたいみたいなのを表明していくところはすごく自分は読んでて、気持ちが良かったところではありますね。
そうですよね。
たぶんこれ気持ちが悪いって感じる人もいるんだろうけどね。
そうかもしれないですね。
ある意味すごくいざぎの良い小説だなと思いました。
僕も魅力特徴の2つ目に入ってくるんですけども、作家が非常にこだわりが強いっていうところがそれかなと思ってまして、
今大地さん言われたみたいに、この作家がどういうスタンスでこの小説を書こうとしているかっていうですね、そこのこだわりをやっぱりこの小説の中に書いてるっていうところがまずなかなかないのかなと。
なんで読者も本当に作家さんがどういう思いで小説を作ろうとしているのかっていうのはですね、本当に読むとかなり感じてくるものがあるかなと思います。
あとすごいこの小理賞なんで、舞台がプラ波なんですけども、プラ波に行ってその博物館に行って歴史資料とかをですね、見たり記録に残したり、あとはもう古本とか、もう本当に希少な本とかをですね、もう世界中から寄せ集めたりとか、映画とかも全部目を通したりとかもすごい。
で、それの何の映画を見たとかですね、どの本を読んだとか、そこにはどういうことが描かれているかとかですね、っていうのも小説に書かれているんで、この辺は面白いなと思います。かなり細かいところも載っていて、今回この暗殺計画を実行するのが2人いるんですけども、その2人の人物の軍事評価、通信簿みたいなものとかも入手して、それぞれどういう、軍からどういう評価されていたかとかですね、
そんなのも書かれている、そういうの面白かったし。あと、こだわり、おそらくこのやっぱりメインストーリーはあるんですけども、そこに付随する脱線部分ですね。時代が時代、すごいやっぱりナシスドイツによって本当に多くの被害が起きたので、この作家もいろいろ調べていくうちにわかってきたことっていうのはメインストーリー以外のとこでも述べたりしているんで、その辺も読みごたえあるなと思っています。
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あと、人物像のとこですね。さっきの大地さんの話で、歴史上の人物はこんな会話していないみたいな話があったんですけど、というスタンスをこの作家は書いているんですけど、その後ですね、ちゃんと、例えばですけど、ハイドリヒガ、軍の中でメイヤのタンク部みたいな人ですね、を暗殺したいという時に、ちゃんと死んだかと、それちゃんと自殺と思われているだろうなみたいなのを部下と電話で会話するっていうですね、
その辺の会話のシーンとか結構、まあ面白いというと語弊あるかもしれないですけど、確かにこんな会話してそうみたいな感じが受けれて、その辺も楽しめるところかなと思います。
そういう意味で、このハイドリヒもそうだし、暗殺計画を実行していくチェコ、スルバキアの人たちですね、軍の人たち。この辺の人物像とかですね、その周辺の人物像とかっていうのをすごく、なんか読んでいるともう浮かび上がってくるものがあるので、この辺もすごく、この作家のすごいこだわり感じれて、面白いところだなと思いますね。
こだわりの部分はほんとすごく感じますし、脱線の部分で言うと、これはちょっと読みながら、結構私は面白かったんですけど、いろんなシーンで、ちょっと笑えるような話とか入ってきたりもするし、なんか面白いなと思ったんですけど、これをどこまで自分にローナーヴィネは許容したのかなっていうのはちょっと気になりますね。
なんか、書きたくなったから全部書いていたのか。いや、それでもコントロールしながら、いやちょっとここまでは書けないだろうみたいな、ラインがあったのかちょっとわからないんですけど。でも時折やっぱり、きっと書きたいからここはもう書きたいみたいな話も出てきたりするので、この線引きどこまでしていたのかなっていうのは気になります。
たぶんすごい膨大な資料を抱え込んだと思うので、そこから浮かび上がってきた話っていうのは、たぶんめちゃめちゃあるはずなんで、それは気になりましたね。
あとはもう、この本当にかなりこんな異色な作品、発表されたのが2009年かだと思うんで、ちょっとその時の文学の状況ってすごくわからないなと思うんですけど、ちょっと似てるなと思ったのは、プロセスエコノミーっていう日本でよく最近言われている家庭を見せて、それをマネタイズしていこうみたいな。
最初出てきた時、結構叩かれていたと思うんですけど、これもきっと歴史小説とかを書いている人たちからすると、ちょっと待って、反則じゃない?みたいな。絶対そういう感情を抱くと思うんですよ。歴史小説、真面目に。真面目にって言い方おかしいけど、これまでの歴史小説を書いてきた人たちからすると、自分たちも否定されているような気持ちになると思うんですよね。
ここは事実に基づいて、ここからは創作だみたいな感覚で書いている人たちもすごく多いと思うので、ちょっとこれ喧嘩売っているのか?みたいな。でもやっぱり一番すごいなと思うのは、これがフランスの中でちゃんと評価されていて、それがもう翻訳されて日本にも届いているっていうところはすごくいいな。
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時代がどういうあれかわからないですけど、場合によってはもう出てきたタイミングによってはボロボロに言われて終わってしまうような可能性も多分あったんじゃないかなとは思いますね。
しかも、ビネのこの書き方は、ビネがオリジナルで生み出したというよりかは、ちゃんと調べていく中で、本当1900年代初めの作家で、結構この小説を書く小説のスタイルをやっている作家がいて、それを結構参考にしている節があって。
なんで、それをアレンジしたのが今回のビネの小説だと思うんで。ただそれがね、やっぱり今の時代になるとなるほど、よりそこに注目されていってるのかなっていう。逆にちょっと前の時代だと、そんなの反則じゃないかとかですね。そんなのありなので思われるかもしれないっていう。
まあちょっとそれは感じました。
ちょっと最後の特徴の部分ですね。これは歴史的に大きな出来事であるハイドリヒ暗殺計画というですね、史実を描いた物語であるという点ですね。これは非常に大きな、歴史的に見ても大きな出来事でして、この作家もですね、人類史上最も偉大な抵抗運動と言っていると。
これはナチスドイツがチェコを攻めて、プラハを支配して、プラハの政府はイギリスに亡命していたんです。政府の人たちはイギリスに亡命していて、ナチスに抵抗するにはどうしたらいいのかというところで、
その時代の中でまだそのナチスの上層部の本当に主要な幹部の人が暗殺されたということはなかったので、ちょっとここで一つプラハを統治している副統治者ですかね、ナチスドイツではもう3番目の男と見られていたこのハイドリヒを暗殺して、世界のその風向きを変えていきたいというですね、すごく大きな出来事、抵抗運動である。
それが描かれていると。で、いろんな映画とか小説の題材にもなっている話ではあるんですけども、ただですね、この半世紀語り継がれたこの暗殺計画って本当はどういうものだったんだろうかと。
で、暗殺されたハイドリヒってどんな人物で、で、この暗殺計画の実行をした英雄と呼ばれているガプチークとかクビシとかっていうのはどんな人物だったんだろうかと。
で、どのようにして暗殺を行われていて、で、暗殺計画実行された後もですね、ナチスとチェコでは何が起きていったのかとかっていうのを作家が調べ尽くして書いているという話ですね。
映画化もされていて、ナチス第三の男というですね、映画でも公開もされているんですけども、その原作になっています。
で、僕も映画は見ました。すごい映画は映画で面白くて、本当にすごく、なんていうんですかね、映像もそういうリアルな感じで、見てるとすごいどんどん飲み込んでいくような、ただちょっと悲しい、ちょっと重たい話であるんですけども。
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とはいえ、映画にはこの語り手、作家は出てこないんで、小説を書く小説という要素は、これはもう小説にしかないものかなと思っています。
個人的にはですね、これはそういう歴史的な出来事を描いた物語として楽しむなら、もちろん映画でもそれはできるんですけど、この小説の持っている面白さみたいなところを楽しむのは、やっぱりこの小説を読まないとできないのかなと。
個人的には小説を読んでから映画を見るというより楽しめるんじゃないかなと思いましたね。
私映画を見てないんで何とも言えないですけど、だいぶこれを映画化したらストーリーとしては結構ハラハラドキドキすると思うんで、結構面白いそうですよね。
個人的には小説を描いた作品というところで言うと、今回ローラン・ヴィレ、異常なこだわりを持ってこの作品を描いていると思うんですけど、やっぱり時間をかけてどれだけ調べても新しい資料というのは何かどこか出てきたりするんだなというのが、
ラストの方ちょっとあったんですけど、まだまだ終わらないんだろうなという雰囲気が出てきましたね。
個人的にはこの創作活動には終わりがないなということに気づけた、改めてかな、気づけた一冊で、やっぱり完成度を求めようとすると、どんだけ最高のものをつどつど作っていたとしても、
多分本人からするとさらに上が見えてしまうことっていうのは、別に小説だけじゃなくて絵だろうか何だろうか絶対あると思って、こだわりたいポイントっていうのは絶対あって、
自分の中で100点だって思える瞬間っていうのは、やっぱり創作してる人っていうのはなかなか訪れないんだろうなっていうのをちょっと感じることも、小説読んでてもあるんですけど、
他に改めちょっと感じましたね。で今回のこのHHHでいうと、ナチスのハイドリフィ暗殺という割とかなり衝撃度の高いニュースというか事件ですね、がある中で、
この裏には様々な思惑や行動、そして偶然っていうのが重なってここに至ってるっていうのが、ある程度この本では見せてくれるわけですけれども、
でもそれ以外のもの多分たくさんあるはずで、当たり前だけどこの我々が日々遭遇している目の前の事象っていうのは、もういろんな要因が重なってこの結果に至っていて、またこれが何かの要因になっていくっていうことだと思うので、
この小説みたいにですね、なんかどんなものも題材にしてこんな風に展開して書けることができるなと思っていて、とんでもない、なんか自分としてはどんな題材でも書けるけれども、やっぱこの題材を選んだってところに、
もっともっと多分これに惹かれてたからこうなっていったんだと思うんですけど、そこに対するなんか凄さみたいなのは感じましたね。
そうですね、なんか題材だけに確かにどう書いたらいいんだろうかって、すごく問われる気はしますね。
特に小説を読んでると。そういう点ではこの美年の書き方ってすごいオリジナル、独特というかですね、変わってるけどでもすごい面白いっていう。
ちょっとここからではストーリーの話をしていきたいなと思います。ちょっとこの小説のどういう流れでものが書かれているのかというのをですね、ちょっと簡単に説明したいなと思います。
まずですね、始まりは作家がこの小説を書くまでの経緯の説明がされていて、語り手は作家です。
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もともとお父さんから聞かされていた話なんですけど、1942年にプラハでハイドリー暗殺計画というのが行われて、それは通称類人縁計画、縁スラポイド計画とも呼ばれていて、
そのを実行した英雄ガプチークに作家は昔からも思いを馳せていたと。今になってですね、この歴史的な出来事とか、実在した人物というのを文学にしようというですね、
そういうちょっと試みを持って小説を書こうというね、ちょっと立ち上がったというですね、そんなところから始まっていきます。
暗殺計画とかですね、同じドイツの資料を調べたり、映画とか本とかですね、いろんな資料を調べて、当時付き合っていた彼女と一緒にプラハに行ったりですね、
そういう歴史博物館で情報収集を行ったりして、どんどんその歴史の中には何があったのかというのを作家は見つけていきます、調べていきます。
生活のほぼ全てをですね、この暗殺計画の調査とそれを文学に変換するというですね、その試みに捧げていくというですね、そんな生活を送っていきます。
途中でですね、付き合ってた彼女と別れたりとかですね、また新しい彼女とできたりとかですね、そんな脱線とかもね、入れつつ話は進んでいきます。
従来の歴史小説の場合は、歴史よりもフィクションの方が勝っているというですね、そういう事実があるというのを作家は指摘していて、それを避けるためにウラジミール・ポズナーというですね、これは1900年代初めのロシア系の作家ですね、フランスの方ですかね。
フランスの小説とかを参考にしつつ、自分のスタイルで小説を書いていこうとするですね、結構序盤はそういう話が描かれています。ここからがですね、メインストーリーにどんどん入っていくんですけども、まずですね、主役の一人ハイドリヒですね、金髪の野獣の異名を持つラインハルト・ハイドリヒという、その人の生い立ちとナチスドイツの中での出生が描かれていくと。
ハイドリヒは若い頃、海軍に入るんですけど、ちょっと女性問題がバレて海軍クビになって、後には奥さんになる、恋人の娘で、ヒトラーの敬語を目的としたSSと呼ばれる支援隊に入っていきます。
その支援隊に入っても、やっぱりちょっと食べていくのが大変なんで、出世していかないという、もうお金とかもらえないんで、情報局の責任者というですね、そんな立場の求人、募集があって、そこに立候補します。
その情報局の上司がヒムラーで、ヒムラーがハイドリヒの面接をするんですけど、当時ヒムラーが情報活動ですね、インテリジェンスと呼ばれたりするんですが、それに対してちょっと無知だったんで、ハイドリヒが口張ったりで面接を突破して、情報局の責任者に就任するというですね。
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ここからハイドリヒがどんどんナチスの中で実績を残していって、地位を上げていって、それと同時に周りから襲えられるような存在になっていって、金髪の野獣という異名がついていったりします。
ヒトラーに認められたハイドリヒはプラハを統治する副総督に任命されて、プラハに赴任して、この頃にはヒトラー、ヒムラーに続くナチス第三の男と認められるようになっていったと、そんなナチス側の経緯がまず語られます。
その後ですね、一方でイギリスにチェコ政府の人たちが亡命していたんですけど、ちょっとそこでの動きですね。チェコ政府もドイツに支配されているままだと、本当にもう国の存亡の危機になっているんで、何とかしないといけないというので、打開策としてハイドリヒ暗殺計画というのを加わらせます。
これはですね、ナチスドイツに一方的にやられたままでは本当にもう将来がないと、未来がないというのでやり返そうという、国としての意思表示を世界に示していこうという、非常にもう本当に国の存亡をかけるような重要な計画となっています。
この計画ではロンドンから飛行機に乗って、パラシュートでプラハの近郊の町に降りて、現地のレジスタンス、抵抗運動をしている人たちと合流して、その協力を受けてプラハに潜り込んで、機械を見て暗殺を行うというですね、そんな内容なんですけども、それを実行するのは2人でして、チェコ人とスロバキア人から1人ずつ選ばれます。
その2人がスロバキア人のガプチークとチェコ人のクビッシュになります。
1941年の12月にこの2人がロンドンを離陸して、プラハに向かうというですね、そういう流れになっていきます。
ここからですね、ハイドリ非暗殺計画というのが実行されていきます。
このガプチークとクビッシュがなんだかんだすごい途中で、思わぬ展開とかあるんですけど、なんとかプラハに入って、そこでレジスタンスの人たちと合流して、暗殺計画というのを進めていきます。
ハイドリ非暗殺計画がすごい、なんとか監視して、いろんな人の協力を得て監視して、朝何時に出勤するとかですね、どういう車に乗ってとかっていうのを調べていくと、
ハイドリ非暗殺計画がいつも決まった時間にベンツのオープンカーに乗っていて、護衛もつけずに役所に出勤するというですね、
これもハイドリ非暗殺計画もちゃんと狙いがあってそうしてたんですけども、そこはつけ込むチャンスだというですね。
というので、朝の出勤前のオープンカーに乗っているところを狙おうという、そういう計画を実行ですね、暗殺の実行計画を考えます。
5月26日、これが運命の日なんですけども、実際にハイドリ非暗殺計画が実行されています。
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これもですね、本当に当初予定していた暗殺のちょっと想定通りにはいかなくて、もう本当に2点3点するんですけども、
最終的になんとかハイドリ非が乗っているベンツに爆弾を投げることができて、それが元でハイドリ非が重傷で、しばらくしてちょっと亡くなってしまうんで、
暗殺は成功することになります。ただですね、問題はその後ですね、そこからナチスドイツの報復が始まります。
1つはプラハでもう限界体制を引いて、実行犯ですね、2人をなんとか見つけようとして、もう本当あの手この手で探し回ります。
ガプチークとクビシは教会に隠れているんですけども、そこをですね、情報を教えてくれた人にすごい大金を与えるというですね、
なんとかその情報をね、聞き出したりして、裏切り者から情報を聞いたりして、ガプチーク、クビシが隠れている教会にナチスドイツの軍が向かうというですね、
という展開があったりですね、あとはそのクビシがチェコ出身なんですけども、リリッシュ村というですね、村の出身の人なんですけども、
これはヒトラーの命令で、その村の人全員、もう何千人という人を殺してですね、跡形もなく消し去るというですね、
そんなこともしていてですね、その後の報復というのが書かれています。ただそれによって国際世論ですね、
本当世界的な世論も、ナチスは本当にもうこれはヤバいんじゃないかと、なんでそこまでするっていうのはもう本当にもう暴走してるんじゃないかというですね、
ちょっとそういう、なんかそれまではなんでしょうね、ヒトラーがうまくこの世の中の世論というのをコントロールしていたところだったんですけども、
ちょっとナチスドイツのそのイヤファサみたいなものがどんどん明るみになっていくというですね、そういう世論の変化とかもこれによって起きたりしていきます。
で、最後ですね、最終局面がその教会の中ですね、ガプチーク・クビッシュその他のメンバー、何人かで戦っていたんですけども、
あそこがちょっと場所がバレてしまったというので、最後の最終局面が訪れるという展開になっていきます。
というですね、これは結構長い話なんですけども、それを作家が葛藤しながら書いて、
本当にいろんな人とかに思い馳せながら最後まで書き切るというですね、そういう小説ですね。
そうですね。ほぼほぼ今回のストーリー全部最後まで、ちょっと単行本だとですね、280ページぐらいだったかな?
の内容なんですけども、ほぼ最後までいきましたね。
で、個人的にはもうかなり主人公がハイドリヒなのか、青年2人なのかみたいなところがありながら、いろんな視点で描かれる、すごい大作だったなと思います。
そうですね。僕は今本当にちょっと簡単に話したんですけども、誰か1人の視点からというわけじゃなくて、
ナプスドイツの視点、ハイドリヒの視点、チェコ政府の視点とかね、ガプチークがクブシの視点といういろんな人の視点の話がどんどんね、
混じり合って描かれていくんで、ただ最後まで読んでいるところでいくと、やっぱりこの僕は教会での最終局面のシーン部分ですね。
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そこはすごい、もうそこまで来るともうやっぱり泣けてきましたね。
確かにね。
あとこの著者の人が最後に本当思いを馳せてね、この小説を書き切っていくんですけども、結構ですね、最後印象残っているのはやっぱりこの犠牲になった名もなき人たちのことを書いていて、
プラ波でガプチークとかクブシを囲まってくれたレジスタンスの人たちですね。これがですね、何とか家、何とか家とかっていうですね、あって、
そういう人たちっていうのは本当に名もなき人たちということで、存在も事態もそんなに注目されてなかったというのが今までの歴史の中であったかもしれないんですけども、
ただこの作家が色々調べて小説を書いていく中では、そういう本当に協力者の人たちの存在の大きさ、しかもそういう人たちが本当に命を犠牲にしても守ったり戦ったりっていうですね、そういうのがあって、それもすごいグッときましたね。
たぶんこの辺りの情報っていうのは、まあどうなんだろうな、やっぱ激動だったがゆえに、目撃証言含めめちゃめちゃ情報が多かったせいなのか、
たぶん組み立て、まあ組み立てるのも大変だと思うんですけど、結構緊迫感のある書き方をラスト、暗殺のシーンあたりからですね、ずっとしていて、
シンプルに小説としてもすごい面白かったですね。この辺りって、一人一人が感情とかその場の衝動とか、人間的な本能なのかわからないですけど、色んな行動をとるんですけど、その行動に対して論理的じゃないっていうか、
整合性が取れてないようなところ結構多いなって思っていて、まあそれを割とそのまま書いてくれたりする感じがするので、なんで人はこんなことするんだみたいな、この局面でこういうことするみたいなのが、もちろんローランビネの疑問も、なんでこういうことになったんだろうかみたいなことも踏まえて書いてくれていて、含めて書いてくれていて、
すごい状況になっていったなって、ほんとこの時のですね、登場する人たちの一挙一動が本当に人命を左右していたんだなっていうことがですね、ほんとこの最終局面ではかなり迫ってくるので、ここはかなり読んでいて、うーってなった。そうだよな、ここで来られたらもう自殺するしかないよな、みたいなところとかあって、なかなか迫ってくるものはほんとありました。
この最後の方になるとね、もうなんかね、本当にもう時代のそのなんかもうすごい緊張感の中を、なんか実際自分もその場にいるような感覚になるくらいすごいうまく書いてると思っていて、題材が題材なだけに最後こうなるっていうのはわかっていても、でもやっぱりすごいね、感情を動かされるものはありましたね。
個人的には今回この長い380ページぐらいに及ぶ中でいろんな人物が描かれるんですけれども、記録からローラン・ヴィネが組み立ててはいるとは思うんですけれども、結構ですね、なんか人間味がある人たちが、というか人間味のある感じで描かれることが多くて、私は特に好きなのはこの英雄2人ですね、ガプチークとクビッシュなんですけれども、
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この2人は一緒に訓練して、最終的にロンドンを一緒に飛び立つんですけれども、その時に2人が任務任された時に、任せくださいみたいな感じの返事をしつつ、でも上官がちょっと本当にこいつらやってくれるんだろうかみたいな不安があったりとかして、
その中で最後にちょっと飛び立つ前にお願いしたいことがみたいなことを言った時に、あれこれこいつらおじけついたかみたいなシーンがあるんですけど、その時にどっちだったかな、どっちかがどこどこのお店にちょっとつけを残してしまったので払ってもらえないでしょうかとか、そういうこと気にするんだみたいなところとかちょっと面白かったし、
あと暗殺のためにどういう計画を立てるかのところですね、この2人もちろん命を捨てる覚悟でプラハに来てはいるんですけれども、やっぱり実際やろうとするとどうしてもあの態度が立たれた状態で暗殺することに対してですね、ちょっと計画を立てにくいというか、おじけついてしまったのかな、決死の覚悟でやるつもりだけれども可能性は残しておきたいみたいな気持ちになってしまい、
シチュエーションを選ぶときにやっぱり自分たちの命が助かる可能性が高い計画を立てようとしていくところもですね、めちゃめちゃ人間臭くて、自分は読んでいて好きになったところですね。逆にハイドリヒもですね、ストーリーでもあった通りですね、結構なぜ海軍クビになるのかとか、ちょっと結構人間らしかったりするし、
あと戦闘訓練なのかな、の時に飛行機で出撃してしまって、誰よりも早く飛行機で出撃してしまって、調子に乗って敵地に乗り込んで戦うんですけど、もうそれが罠で敵の思うがままに墜落されてしまうシーンがあって、そういう調子乗っちゃうところとか結構人間味があって、すごく自分は好きでしたね。
フェンシング強いんですけど、強い相手にちょっと上手くいなされて、挑発されてね、それでやられて切れてしまうとかですね。若かりし頃はそんなことがあって。
なんか結構ね、ハイドリヒにしてもガプチーク・クビシにしても、結構ね普通の若者みたいなね、そんな感じで描きつつ、とはいえやっぱり、ハイドリヒだと官僚としての能力というか、そこの残酷性とかもそうかもしれないですけど、そういう際立っているところは描いているし、
ガプチークとかクビシもやっぱりもう覚悟は持っているし、それプラス状況判断能力というか、持っている強さというか、その辺の頭の良さとかもそうですけど、その辺もちゃんと兼ね備えているっていうのもあって、
そういう魅力的な、なんかね、その主要人物以外にもいろんな人が出てくるんですけどね、いろんな人がやっぱり人間味があるっていうのはありましたね。
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あと僕はちょっと印象残っている、作家がこの小説を書いていく上でいろんな調べ物をしたりしていくんですけど、結構協力者もいてですね、それが面白かったのがプラハの歴史博物館かな。
そこで本当に貴重な資料、この作家にとって小説を書く上で参考となる資料が載った冊子とかがあったりするんですけど、それはもう貸し出し禁止で非売品でもあるんですけど、この受付のおばさんがですね、
そこの博物館って本当にお客さん特にいなくて、おばさんがこっそりその冊子をくれたりしたところとかね、あってすごい面白かったですし、あとこの作家がガブチークとクブシの軍の中での通信簿ですね、それを軍事博物館で見つけたときすごい興奮したりとかですね。
あとはアメリカのイリヌイ州の図書館から廃棄予定というか、もう誰でも自由に取っていいよって言って、外に出された本の中にマスターオブスパイっていう本があってですね、それは亡命しているチェコ政府のモラビッツ大佐っていう人が、これ大佐が今回の暗殺計画の一番指令党みたいな役割なんですけど、
その人がこのガブチーク、クブシをどのように評価しているか、表していたかっていうのが書かれていてですね、この作家にとってはマスターオブスパイっていう本はもう目に入れても痛くないほど愛着を持っている、すごい大事な本っていうですね。
とはいえ、今の時代だったらそれは実は図書館でも廃棄されようとしていたっていうか、もう誰かにね、もうタダで渡そうとしていた本だったんですけど、そこに眠っていたですね、このガブチーク、クブシをもう作家がね、本当にもう呼び覚ました。
そんな感覚もあって、その辺とかね、協力者とか貴重な資料を見つけた時のこの作家の喜びをとか、その辺とか結構印象的でしたね。
この興奮の仕方がいいよっていうのはありますよね。この主人公というか、著者か、一緒に行動を調査する時に結構行動を共にしているナターシャっていう恋人、最初ナターシャじゃない人と女性もいたんですけど、
ナターシャっていう恋人の存在が結構面白くて、博物館の近くで飲んだりとかしたりするシーンとかも描かれたりするんですけど、個人的にはナターシャだけやたらなんですよ。
現実感ちょっと薄いなとか俺思ってて、ナターシャだけはもしかして完璧なフィクションなんではないかと思いながら、ラストの辺りも含めて読んでましたね。
まあ面白いんですけど、これ確かにどこまでフィクションかって本当わかんないんですもんね。この語り手の作家も、この語り手の作家イコールローランビネと言えるかっていうと必ずしもそうとも言えないっていう。
確かに。
どこまでがフィクションなのかっていうところはね、そこを考えるのも面白いところでありますよね。
確かにローランビネだと思わされているけれども、全くの想像であってもね、別に小説だからいいわけですもんね。
42:08
あとですね、すごい印象的だったところで、一つ脱線部分なんですけど、メインストーリーからのサッカーの話が差し込まれていてですね。
これは1942年にウクライナが、ウクライナでの話なんですけども、ナチスに支配されていて、サッカーの試合があったんですね。
ドイツの空軍選抜チームとウクライナのサッカーチームの試合で、ウクライナはもともとチームがあったんですけども、ちょっとそこがメンバーを元にした庭家チームっていうのを作って、
何万人入っていたのかな。その中でドイツの人たちが確かスタジアムにいっぱい入っていて。
ウクライナにとってはアウェーなわけなんですけども、これはですね、もうドイツが勝たせないといけないですね、立場的に。
ドイツの人が喜ぶために、ただウクライナのサッカーチームが、逆にウクライナが勝つと命の危険があると分かってながら本気でサッカーの試合をして、ドイツチームに勝つと。
ドイツチームも1回目、ウクライナチームがそれで本当に勝ってしまって、第2戦があってですね、第2戦はドイツもですね、ちょっとメンバーを入れ替えたりしていくんですけど、それでもウクライナが勝って。
最後3試合目があって、3試合目もウクライナチームがボロ勝ちしていて、これ命がけの試合って言われてるんですけども、それでもすごいウクライナ銃が熱狂したっていうですね。
ただですね、その3試合目終わった後、ウクライナチームの選手全員逮捕されて処刑されたという噂があるっていうですね。
この3ページぐらいの脱線の話なんですけど、ここもすごい印象が残って、結構泣けるところでした。
ここね、諸説あるのがすごい面白いですよね。事実が本当に分からないっていう。本当に何が起きたのか分からないっていう。
結構状況としては、今考えるととんでもないことしてるけれども、本当の事実が分からないっていうのは、ちょっと闇があるなっていう部分もすごく感じましたね。
命かかって、勝つと殺されるって分かりながらね、それでも勝とうとするっていう。
でもそうですよね、ウクライナの人たちには熱狂を与えたわけですからね、その時に。
で、ちょっと最後ですね、印象的なところ、文庫本の解説でですね、佐々木篤さんが書いている言葉があってですね、一言ですね。
歴史小説家は歴史の承認ではない。だが優れた歴史小説は読者を承認にするっていうですね、そういった言葉が譲られていて。
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まさにですね、今回これ本読んでいると、歴史の舞台をちょっとね、作家と一緒に遠巻から見てるかのような感覚が味わえて、
自分もその場に立ち会ったような、そんな読書感覚があったので、この解説の言葉の、すごいね、ピッタリだなって思いましたね。
でもこんだけ証言を元に作られた作品だと、だいぶ真実なんじゃないかみたいな気持ちにさせますもんね。
じゃあいつも通り最後、感想とどんな人に読んでもらいたいかお伝えして終わりたいと思います。
で、私の方から。フィクションとノンフィクションの合間にある作品っていうのは数多くあるとは思うんですけれども、
なんかそこに対してですね、作者のスタンスを表明し続けるというスタイル、これはかなり独特な作品だったなと思いました。
正直これは事実なのか、作者の想像なのか、他の作品ではもうあんまり考えなくなっている気がしていて、
今回この作品を読んだことで、きっと自分はこれからそこのグラデーションにですね、だいぶ目が行ってしまうだろうなと思った作品ですね。
完全にですね、この作品がですね、他の作品の読み方にも影響を及ぼす一冊だと思うので、
ぜひこの後戻りできなくなる読書体験、味わってほしいなと思います。
作品の構造とか作りとか、そのあたり目が行ってしまいがちなんですけれども、
ただシンプルにナチスのハイドリヒの物語、2人の青年の物語というのは目が離さないものであったので、
ストーリーとしてもかなり面白いので、ぜひ読んでもらいたいなと思います。
確かにね、どの要素も楽しめる小説かなと思いますね。
僕もやっぱり衝撃を受けましたし、やっぱり感動することがすごいたくさんありましたし、
こんな形式の小説を書く小説っていうのは、こんなのありなのかって驚いたし、
そういう意味ではですね、これはもう何年も前なんですけど、
初めて読んだ時はもう他にはなかった読書体験になったんで、
それのインパクトっていうのはずっと残っていました。
戦時中の重い内容を題材にしているんですけど、
作家の語りとか、描き方とか、すごくユーモアがあって、
親しみやすさっていうのはあるので、重たいだけではなくてですね、
やっぱりそこの親しみやすさ、ユーモアとかですね、
そういったところは読みやすいところかなと思いますので、
気になったら読んでみてほしいなと思っています。
この作家の思いとかですね、小説を書いていく様子っていうのも読んでいくと、
やっぱり自分もちょっとずつですね、小説の中に入っていくような感覚があって、
特に最終局面のシーンとかですね、最後には歴史の証人に自分がなったような感覚にもなれるんで、
歴史の証人になってほしいなって思いますね。
では次回告知で終わりたいと思います。
次回はですね、マリーケルカス・ダイネフェルトの不快な夕闇をお送りします。
お楽しみに。
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