なので考えようによっては原爆の製造を風船爆弾のせいで3日遅れたみたいなことが言われているっていうことが一つと、あともう一つはごく個人的なことで、私カトリックのキリスト教の学校に通ってたんですけれども、
そこのシスターが母に保護者会の時に昔風船爆弾を作っていたっていう話をしていたっていうのをはっと思い出しまして、風船爆弾っていうのがあるって知った時に初めてその話が繋がって、それかもっていうふうに気づいて、でもこれはすごく興味があるっていうふうに思って調べていたら、
実はその風船爆弾、直径10メートルですごく大きいので、しかも秘密兵器なので誰からも見られてはいけない場所でしか作れないと。そうした時に劇場が最適っていうことになって、東京宝塚劇場が接種されて、そこで少女たちが動員されて作られていたものだっていうのを知った時にすごくびっくりしまして、
東京宝塚劇場は、今もそこ同じ場所にあるので、宝塚劇、私も好きで見に行ったりしているその場所で、建物は90年代にもう新しくなってしまったけれども、その前までは同じ建物があって、
そこでその兵器が少女たちの手で作られていたっていうのがすごく驚きでした。
衝撃ですよね。私もこの本読ませていただいて、その臨場感がすごいというか、戦争体験って歴史的な事実の中で語られている著書とか資料とかいっぱいあるんですけども、
この小説の中では、小説と言っていいんですかね、ものすごくリサーチに基づいて書かれているので、限りなくノンピクションに近いかなと思っているんですけども、それを様々な少女たちの視点で捉えていて、
生活をしながらどんどんどんどん戦争に至っていく日本の様子が、ものすごくリアルなものとして体験できて、本当に書いてくださってありがとうございますという感じです。
ありがとうございます。本当出だしは震災から12年目の春っていうところから始まるんですけれども、実際私たちも東日本の大震災から12年目の春を知っていて、さらにコロナ禍で不要不急って言われることだったり、自粛をしろって言われることとかを体感している中で、
そのかつての時代がすごく重なって見えてくる部分が私自身にもすごくあって、書いていく中ですごく怖いと同時に、なんかそれを知りたいっていうふうにも思いました。
そうですね、これ本当私も読みながら、私知りたかったのでこういうことっていうふうに思ったんですよね。先ほどおっしゃってましたけど、1935年ですよね、スタートするのがこの物語が。そこから実は現代まで、すごく地図的に描かれていて、
私たちが今歩いているこの道路とか、それから見ている建物っていうのが実はこういったところに、この物語の中を振り返っていくと、こういう歴史をたどったとこなんだっていう新たな発見でした。
特に私、東京で生まれ育っていて、やっぱり有楽町とか銀座のあたりとか四谷だったり、すごくなじみのある地名がいくつも出てきて、その場所でかつてこんなことがあったなんて、思いもよらないまま歩いていた場所だったりもするので、
すごく町を見る視点も変わったし、そこに少女たちがいたのって、それほどすごく昔じゃないっていうふうにも同時に思いました。
これ小説にしようっていうふうに思ったのは、そのリサーチを重ねている中でこういった形にまとめようと思ったんですかね。
やっぱりどういう形でこの史実、歴史的に本当に実際あったことで、かつやっぱり東京宝塚劇場での風船爆弾作りに関する資料って、それほど多くないんですよね。
風船爆弾全体に関する資料っていうのはもちろんいくつもあるし、いろんな研究もこれまでされてきたけれども、やっぱり東京宝塚劇場だけに限ってみると本当に残されていることが少なくて、
そこに動員されていたのって、ホタバとアトミとコウジマチ女子っていう高等女学校の少女たちなんですけれども、言ってみればすごくお嬢様学校のすごくいいお家の子たちが東京宝塚劇場に集められて、日々和紙とこんにゃくのりを貼り合わされ続けていたっていうことがすごく、
なんだろう、不思議だし、自分の思い描いていたいわゆる戦争ってこれまで教えられてきたものとすごくつながらなくて、それをじゃあどういう形で事実あったものを私が描けるかということで、今回本当にさっきおっしゃっていただいたみたいに小説ともノンフィクションともつかない、すごく自分でも何と読んでいいのかわからない、
いいジャンルの作品になりました。実はフィクション、私っていう主語とか私たちっていう主語を使ってるんですけれども、ここの表現はここから取ったとか確実に引用元をつけていて、
私自身が想像して勝手にでっちゃげるみたいなことは、極力ないようにっていう形で今回描き進めているので、ほぼ事実に基づいてそれを引用しながら一つの作品にしたっていう形のものになります。
その知らされてなかったっていうことは、少女たちは自分たちはただ風船を作っている、機器を作っているとかそんな感じを持ってたんですかね。
小倉の方だったり、別の箇所では実はこれは風船爆弾で、みたいに知らされていた方たちもいたみたいなんですけれども、基本秘密兵器なので、何をしているかわからないと。
でもまぁあと6人亡くなったとか、そういうことも戦後まで全然わからない。要は敗戦と同時に戦犯になる可能性があるので、全部資料焼けって言われて、働いてた人たちにもすごい厳しく勧告令、喋るなっていう、もう墓場まで持って行けって言われていたので、
なんかその喋らない、なかったことにされるっていうまま、戦後が過ぎていったっていうことを知ったのもまたすごく衝撃でした。
たしかにそうですよね。
やっぱり自分が青春時代のすべての時間をそこに捧げたわけですよね。学業の代わりに。それが兵器で、ましてや人を殺していた。しかも双葉ってキリスト教の学校なので、亡くなった方たちってキリスト教の教会の生徒さんだったんですよね。
子供が5人と、その引率していた妊娠中の牧師さんの奥様が亡くなっていったっていうことの衝撃は多分すごく大きかったんじゃないかなって。
なんかこの小説の中でも、小説って言っていいのかわからないですけども、この本の中でも読み進めていくうちに、最初はなんか、だんだんある意味戦争に向かっていく国民の高揚感みたいなものも感じられるような、少女たちも私たちの挑戦とか、いろんな表現が、私じゃなくて私たちっていうのがやっぱりキーワードかなと思ってるんですけども、出てくるんですけども、
だんだんそれが、選挙が悪くなりにつれて、いろんなものが彼女たちの生活から生まれていって、学校が、実はそういうね、学校じゃなくて、軍事工場みたいなのがどんどん変わっていったりとか、あと国民服大きさだったりとか、さまざまなそういったことがリアルでわかって、なんかグイグイ引き込まれていきました。
やっぱり自分の中で、戦争って言われると、すごく防空付近をかぶって、モンペを履いて、食べ物がないみたいなところしか思い描けなかった部分ってすごく大きくて、でも実はそれはほんの一瞬で、その前には英語を勉強するとか、ホットケーキを食べる朝食にとか、
なんかすごくおしゃれをするとか、デパートにセールに行くとか、そういう時代が普通にあって、その劇場もすごくオープンしていて、宝塚少女歌劇をみんなその学校の子たちが憧れで、本当におしゃべりに出てきていたし、
劇場にも何人かいたっていうふうにお話ししてくださっていた方がいらしたり、それぐらい文化があったり、日常生活があったっていうことをきちんと描いていきたいなっていうふうに思っています。
そうですね、すごくディテール、例えば使っている服の記事の名前だったりとか、ものすごくそういうさまざまな細かいところにエリカさんがすごく調べたリサーチの結果とかが反映されているなというふうに思いました。
あともう一つすごく印象に残っていたのが、少女たちが少女だからといって決して無力なんかではないんだと信じたかったと、この存在は無意味なんかではないと思いたかったと。
だからそういった社会の中で非常に大きな権力に認められたいっていうものが、ある意味彼女たちをこういったことに駆り立てたのかなという非常に皮肉な社会構造が見えてくるなと思いました。
結構読んでもらえて嬉しいです。なんかやっぱり自分ももしその立場に置かれていたとしたら、すごく一生懸命協力してしまうんじゃないかっていうところの気持ちはすごく自分でも書きながら思ったし、
当時の女性たちってやっぱり高等女学校まで行った後がないんですよね。あとはもう結婚するしかない。要はいい家の子たちなのでもうお見合いで結婚するっていう人生がほとんど決められている中。
まあ例えばシスターになるとかいろいろあるとは思うけれども、やっぱり女性が選挙権もないし、家の中で何の決定権もないっていう状態に置かれていた時に、でも国になら何か貢献できるかもとか、自分もそんな状態だけど何か役に立ちたいみたいに思ってしまうことってすごくあるんじゃないかなって。
今でもやっぱり自分もあると思っていて、なんかその構造が踏みにじられていくっていうか、その構造を利用されて踏みにじられるっていうことへの悔しさみたいなのも自分自身にもすごくあるなって。
共感します。今の社会の中でもそういう大きな権力の中で認められたいっていうところで頑張ってしまう自分を気づいたりとかっていうことがあるので、おっしゃってることをすごくなんか共感できるなというふうに思いました。
加えてすごく自分の中でショッキングだったのは、やっぱりキリスト教の学校である双葉が一番最初にたくさんの疑問袋を送ったっていうふうなことを資料から読んだんですけれども、自分もキリスト教だったので、なぜだろうっていうか神に使えるものだし、当然シスターたちは外国の方がすごく多いんですよね。
なのに、そんな一番に国に協力するってなんだったんだろうっていうのを読み進めていったときに、やっぱりその一番弱い立場、国に一番反していると思われる日本の天皇ではなくキリスト教だし外国人もいるっていう存在だからこそ、より国に協力しているっていう姿勢を見せないと生き残れなかったんだなっていうことを初めて知ったときに、
やっぱり弱い立場であればあるほど強い権力に寄っていかないと生き延びられないっていう、その矛盾と恐ろしさみたいなことを初めて知って、すごく感慨深かったです。
そうですね、その小説の中でも戦後のことも書かれててしっかりと、私が読んでて衝撃的だったのは、やっぱりGHQに対して日本が国として女性たちを差し出したっていう、特殊慰安施設協会というものが結成されたっていう課題とかも、私はやっぱり読んでて、自分も女性なのでとってもショックでした。
そうですね、やっぱりその前にどれだけ女性たちが頑張って国のためにっていうふうに、権力のためとか国のためっていう、頑張ってきたのに、その結局最後また裏切られてしまうっていう、すごく弱い立場に置かれているんだなっていうことを痛感するし、