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2024-09-16 30:00

ゲスト:小林エリカ(作家、マンガ家、アーティスト)「むんぱれTuesday / Art Wanderland (アートワンダーランド)by DJエレーヌ」前編:2024年6月4日放送

小説家、マンガ家、アーティストとして活躍する小林エリカさんをゲストにお迎えしたトークをお届けします。

●目に見えない、時間、記憶、放射能などに着想を得た作品をこれまで手がけてきた小林エリカさん。最新作『女の子たち風船爆弾をつくる』では、第二次世界大戦中に日本がアメリカ本土爆撃を目的につくった兵器「風船爆弾」を主題とし、この兵器の制作に動員された少女たちの戦争体験を膨大な記録や取材に基づいて描いています。

●声を十分に聴かれないまま、「歴史」の中で忘れ去られてきた、多くの女性や少女たち。彼女たちが切り開いた道を、未来にどうつなげていくべきなのか―――読者に問いかける意欲作です。

●前編では、新作を中心に、リサーチのプロセス、関連プロジェクト、そして、表現者としての現在の活動に至るまでの経緯、また、多岐にわたる創作活動について掘り下げます。ぜひ、後編と合わせてお聴きください!

■小林エリカweb: https://erikakobayashi.com/instagram: @erikakobayashiekX:@flowertv

■『女の子たち風船爆弾をつくる』(文藝春秋)

https://books.bunshun.jp/ud/book/num/9784163918358

■音楽朗読劇「女の子たち 風船爆弾をつくる」Girls, Making Paper Balloon Bombs」https://vimeo.com/ondemand/paperballoonbombs■番組へのリクエスト・ご意見はこちらからhttps://www.radicro.com/request/munpare.html


#小林エリカ #小林エリカさん #erikakobyashi #女の子たち風船爆弾をつくる#文藝春秋 #寺尾紗穂

サマリー

小林エリカさんは自身の新しい本「女の子たち風船爆弾を作る」について話します。彼女の作品は見えないものをテーマにし、第二次世界大戦中の風船爆弾の歴史とその影響を探求しています。小林エリカさんは風船爆弾に関する研究を通じて、戦時中の少女たちの知られざる歴史や彼女たちの内面的な葛藤を掘り下げます。このエピソードでは、エリカさんの独自のリサーチ方法や当時の社会における女性たちの位置付けについて話されます。小林エリカさんは過去と現在の戦争をテーマにした音楽朗読劇や著作を通じて、社会の構造と戦争の影響を探ります。

小林エリカの表現
みなさん、こんばんは。ナビゲーターのエレーヌです。
むんぱれTuesday第一集、アートワンダーランド。
ワンダーという言葉は、英語では放浪することを意味していますが、この番組では、アートがある様々な場を放浪してきた私が、その先々で出会った気になる方々をゲストに迎えして、その方たちの声をお届けしてきます。
リスナーの皆さんの視点を少しずらしてくれるような、新たな世界観を教えてくれるゲストを、本日もお迎えしています。小林エリカさんです。エリカさん、ようこそ。
エリカさん、こんにちは。よろしくお願いいたします。
小林エリカさん、どうご紹介すればいいですかね。小説家、文筆家として、数多くの著書を出されてますけども、漫画も書かれたりとか、インスタレーション作品を美術館で展示されるなど、表現や活動の幅が非常に幅広いんですけども、ご自身ではどのようにご自身のことを語ってますかね。
そうですね、本当に小説とか漫画とか美術館でインスタレーションという形なんですけれども、どれも一貫して目に見えないもの、例えば記憶ですとか、時間ですとか、あとは放射能と呼ばれるものとか、そういうものをテーマにこれまで作品を作り続けてきました。
そういったものに惹かれているのはなぜなんですか。
そうですね、子供の頃からやっぱり、なぜ私が今ここの場所にこうして生きているのかっていうのがすごく不思議で、そこには時間があったり、そこには過去っていうものがあったり、何か目に見えないものにすごく惹かれていたからかもしれないです。
そうなんですね、一貫してそういった様々な目に見えないものを作品を通して表現されてきたってことなんですけども、いろんな表現形態を使っているとき、あふろちゃんやっぱり違うわけですか。
そうですね、全然やっぱり違うので、この作品にはこの形とか、この作品にはこのメディアとか、それぞれの作品が作り方を決めてくれるようなところがあって、この頃ではそれを組み合わせた形で小説も書いて、それとこうするような形でインスタレーションをするとか、
さらにそれを音楽朗読劇にするとか、いろんな形で一つの出来事にアプローチできることはあるかなというふうに探っています。
風船爆弾の歴史
なるほど、でもあれですかね、表現者としてデビューされたのは小説が最初ってことだったんですかね。
子供の頃にやっぱりアンネフランクに憧れていたので、大人になったら作家かジャーナリストになりたいっていうふうに思っていて、
なのでずっとこう、何かそういう存在になりたいというふうに思っていたんですけれども、なんか同時に絵を描いたりとか、何かこう、それで空間を作ったりとか、そういうこともすごく好きで、
なんかそれが自然にこう組み合わさって、今のような形になっているのかなって思ってます。
すごい素敵ですね。なんかエリカさんがね、現在の表現者としての活動に至るまでのことはちょっと今回2回お届けするので、2回目の方でもう少し掘り下げていきたいなというふうに思うんですけども、今回はですね、先日発売されたばかりの新しい本、
女の子たち風船爆弾を作るについてちょっといろいろとお聞きしていきたいというふうに思っております。
この女の子たち風船爆弾を作るのタイトルの中にある風船爆弾、これお聞きになっている方もいるかもしれないんですけども、そもそもこれが何なのかとか、それからどのようにしてこの存在をしたのかってことをちょっとお聞きしてもいいですか。
はい、私風船爆弾っていうのは全然聞いたことがなかったぐらいのものだったんですけれども、第二次世界大戦中に日本の軍が開発した和紙とこんにゃく糊を張り合わせて、10メートルほどの球体を作って、実際アメリカの大陸まで飛ばして、本土攻撃を直接しようというふうな兵器だったそうです。
約9000発が日本の太平洋岸の3つの基地から放球されて、アメリカ本土には約1000発ほどが到達したというふうに伝えられています。
6人の方たちが亡くなっているという史実があります。
どうして風船爆弾というテーマを選んだかっていうのには2つ理由がありまして、これまで私、核ですとか放射能と呼ばれるものの歴史を光の子供とか、マダムキュリーと朝食をという漫画だったり小説でずっと追いかけてきたんですけれども、
長崎に落とされた原子爆弾のコアであるプルトニウムを作っていたハンフォードサイトというところに風船爆弾が実際届きまして、この近くの電源を切断したために原子炉が緊急停止して、それを復活させるまでに3日かかったと。
小説のアプローチ
なので考えようによっては原爆の製造を風船爆弾のせいで3日遅れたみたいなことが言われているっていうことが一つと、あともう一つはごく個人的なことで、私カトリックのキリスト教の学校に通ってたんですけれども、
そこのシスターが母に保護者会の時に昔風船爆弾を作っていたっていう話をしていたっていうのをはっと思い出しまして、風船爆弾っていうのがあるって知った時に初めてその話が繋がって、それかもっていうふうに気づいて、でもこれはすごく興味があるっていうふうに思って調べていたら、
実はその風船爆弾、直径10メートルですごく大きいので、しかも秘密兵器なので誰からも見られてはいけない場所でしか作れないと。そうした時に劇場が最適っていうことになって、東京宝塚劇場が接種されて、そこで少女たちが動員されて作られていたものだっていうのを知った時にすごくびっくりしまして、
東京宝塚劇場は、今もそこ同じ場所にあるので、宝塚劇、私も好きで見に行ったりしているその場所で、建物は90年代にもう新しくなってしまったけれども、その前までは同じ建物があって、
そこでその兵器が少女たちの手で作られていたっていうのがすごく驚きでした。
衝撃ですよね。私もこの本読ませていただいて、その臨場感がすごいというか、戦争体験って歴史的な事実の中で語られている著書とか資料とかいっぱいあるんですけども、
この小説の中では、小説と言っていいんですかね、ものすごくリサーチに基づいて書かれているので、限りなくノンピクションに近いかなと思っているんですけども、それを様々な少女たちの視点で捉えていて、
生活をしながらどんどんどんどん戦争に至っていく日本の様子が、ものすごくリアルなものとして体験できて、本当に書いてくださってありがとうございますという感じです。
ありがとうございます。本当出だしは震災から12年目の春っていうところから始まるんですけれども、実際私たちも東日本の大震災から12年目の春を知っていて、さらにコロナ禍で不要不急って言われることだったり、自粛をしろって言われることとかを体感している中で、
そのかつての時代がすごく重なって見えてくる部分が私自身にもすごくあって、書いていく中ですごく怖いと同時に、なんかそれを知りたいっていうふうにも思いました。
そうですね、これ本当私も読みながら、私知りたかったのでこういうことっていうふうに思ったんですよね。先ほどおっしゃってましたけど、1935年ですよね、スタートするのがこの物語が。そこから実は現代まで、すごく地図的に描かれていて、
私たちが今歩いているこの道路とか、それから見ている建物っていうのが実はこういったところに、この物語の中を振り返っていくと、こういう歴史をたどったとこなんだっていう新たな発見でした。
特に私、東京で生まれ育っていて、やっぱり有楽町とか銀座のあたりとか四谷だったり、すごくなじみのある地名がいくつも出てきて、その場所でかつてこんなことがあったなんて、思いもよらないまま歩いていた場所だったりもするので、
すごく町を見る視点も変わったし、そこに少女たちがいたのって、それほどすごく昔じゃないっていうふうにも同時に思いました。
これ小説にしようっていうふうに思ったのは、そのリサーチを重ねている中でこういった形にまとめようと思ったんですかね。
やっぱりどういう形でこの史実、歴史的に本当に実際あったことで、かつやっぱり東京宝塚劇場での風船爆弾作りに関する資料って、それほど多くないんですよね。
風船爆弾全体に関する資料っていうのはもちろんいくつもあるし、いろんな研究もこれまでされてきたけれども、やっぱり東京宝塚劇場だけに限ってみると本当に残されていることが少なくて、
そこに動員されていたのって、ホタバとアトミとコウジマチ女子っていう高等女学校の少女たちなんですけれども、言ってみればすごくお嬢様学校のすごくいいお家の子たちが東京宝塚劇場に集められて、日々和紙とこんにゃくのりを貼り合わされ続けていたっていうことがすごく、
なんだろう、不思議だし、自分の思い描いていたいわゆる戦争ってこれまで教えられてきたものとすごくつながらなくて、それをじゃあどういう形で事実あったものを私が描けるかということで、今回本当にさっきおっしゃっていただいたみたいに小説ともノンフィクションともつかない、すごく自分でも何と読んでいいのかわからない、
いいジャンルの作品になりました。実はフィクション、私っていう主語とか私たちっていう主語を使ってるんですけれども、ここの表現はここから取ったとか確実に引用元をつけていて、
私自身が想像して勝手にでっちゃげるみたいなことは、極力ないようにっていう形で今回描き進めているので、ほぼ事実に基づいてそれを引用しながら一つの作品にしたっていう形のものになります。
風船爆弾に関するリサーチ
私がこの本の中ですごいなって思ったのが、この参考資料が約20ページ近いページの中で書いてあって、これだけ見てもどれだけエリカさんがリサーチにかけたのかっていうことがわかるんですけども、結構あれですよね、どういった形で調べていったんですか。
エリカ そうですね、本当に5年以上前ぐらいから、例えばシスター、学校で母に教えてくれたシスターにお話を聞きたいというふうにご連絡したりとか、各学校にもお手紙を書いて紹介していただけないだろうかみたいな形で、直接風船爆弾作りに関わった方にお目にかかる機会をいただきたいと思ってたんですけれども、
やっぱり皆様ご高齢で本当にお会いできたのは二方だけで、やっぱり入院中ですとか、もうおしゃべりは難しいとか、なので今回各学校とかその周りの人たちが残してくれた資料ですとか、
あと私がこう風船爆弾のことをやっているというふうに話して回っていたら、実は祖母が東京宝塚劇場で作ってましたみたいな方がいらしてくださったり、本当にそういう形で一つ一つ集めていったものになります。
詳節としては、本当にこんな参考資料をつけるって異例のことで、本当はつけなくてもいいと思うんですけど、でも東京宝塚劇場にまつわる風船爆弾作りの資料がどこにもまとまってないので、もし今後どなたかがそこに興味を抱いたときに、
ここに当たればいいというふうなものにもなってほしいということも込めて、今回すごく変わった作りになりました。
いやでも、絶対これは入れたほうがいいです。見ている中で、さっきおっしゃってましたけど、2人ほどお話を実際に聞けるってことですが、どんな感じでしたか。
一人は南村玲さんっていう、やはりご本人が風船爆弾についてのご本を、屍かばんでお書きになった方で、双葉で動員されて作っていた方なんですけれども、本当にお会いしたときには録音もしてほしくないと言われたので、
録音もせずに本当にお話させてもらって、いろんなことを聞くっていう形だったんですけれども、そもそも南村さんがなぜ本人の屍かばんとして慈悲出版みたいな形で、風船爆弾についてまとめられたんですかということをお伺いしたときに、
彼女が初めて自分が何をやってたか知ったっていうのが、戦後40年後だったと。たまたま街を歩いていたら本屋さんに本が並んでいて、その表紙を見たら風船爆弾の写真があって、それを見て、これ私が作っていたやつだっていうふうに初めて気づいて、
でもそれがただの風船じゃなくて、風船爆弾だっていうのをその本を読んで初めて知ったっていうふうにおっしゃっていて、そんな長い間知らされていなかったっていうこと、初めてその時点で知った。
彼女がおっしゃっていたのは、自分自身も子供を育てながら、子供を背負って防衛庁に行って、風船爆弾の資料を探して、それが何だったのかっていうのをまとめて本にしたっておっしゃっていて、そこまでやる情熱みたいなものってどこから来るんですかっていうふうにお伺いしたときに、それは知らされなかったことへの抵抗ですっておっしゃっていて、
やっぱりその言葉の重みが大きかったので、その言葉を聞いてしまったからには、私もそれを受けて何かきちんとまた次にそれを知らせたり、手渡すものを作らなければなって思った次第でした。
少女たちの葛藤と社会構造
その知らされてなかったっていうことは、少女たちは自分たちはただ風船を作っている、機器を作っているとかそんな感じを持ってたんですかね。
小倉の方だったり、別の箇所では実はこれは風船爆弾で、みたいに知らされていた方たちもいたみたいなんですけれども、基本秘密兵器なので、何をしているかわからないと。
でもまぁあと6人亡くなったとか、そういうことも戦後まで全然わからない。要は敗戦と同時に戦犯になる可能性があるので、全部資料焼けって言われて、働いてた人たちにもすごい厳しく勧告令、喋るなっていう、もう墓場まで持って行けって言われていたので、
なんかその喋らない、なかったことにされるっていうまま、戦後が過ぎていったっていうことを知ったのもまたすごく衝撃でした。
たしかにそうですよね。
やっぱり自分が青春時代のすべての時間をそこに捧げたわけですよね。学業の代わりに。それが兵器で、ましてや人を殺していた。しかも双葉ってキリスト教の学校なので、亡くなった方たちってキリスト教の教会の生徒さんだったんですよね。
子供が5人と、その引率していた妊娠中の牧師さんの奥様が亡くなっていったっていうことの衝撃は多分すごく大きかったんじゃないかなって。
なんかこの小説の中でも、小説って言っていいのかわからないですけども、この本の中でも読み進めていくうちに、最初はなんか、だんだんある意味戦争に向かっていく国民の高揚感みたいなものも感じられるような、少女たちも私たちの挑戦とか、いろんな表現が、私じゃなくて私たちっていうのがやっぱりキーワードかなと思ってるんですけども、出てくるんですけども、
だんだんそれが、選挙が悪くなりにつれて、いろんなものが彼女たちの生活から生まれていって、学校が、実はそういうね、学校じゃなくて、軍事工場みたいなのがどんどん変わっていったりとか、あと国民服大きさだったりとか、さまざまなそういったことがリアルでわかって、なんかグイグイ引き込まれていきました。
やっぱり自分の中で、戦争って言われると、すごく防空付近をかぶって、モンペを履いて、食べ物がないみたいなところしか思い描けなかった部分ってすごく大きくて、でも実はそれはほんの一瞬で、その前には英語を勉強するとか、ホットケーキを食べる朝食にとか、
なんかすごくおしゃれをするとか、デパートにセールに行くとか、そういう時代が普通にあって、その劇場もすごくオープンしていて、宝塚少女歌劇をみんなその学校の子たちが憧れで、本当におしゃべりに出てきていたし、
劇場にも何人かいたっていうふうにお話ししてくださっていた方がいらしたり、それぐらい文化があったり、日常生活があったっていうことをきちんと描いていきたいなっていうふうに思っています。
そうですね、すごくディテール、例えば使っている服の記事の名前だったりとか、ものすごくそういうさまざまな細かいところにエリカさんがすごく調べたリサーチの結果とかが反映されているなというふうに思いました。
あともう一つすごく印象に残っていたのが、少女たちが少女だからといって決して無力なんかではないんだと信じたかったと、この存在は無意味なんかではないと思いたかったと。
だからそういった社会の中で非常に大きな権力に認められたいっていうものが、ある意味彼女たちをこういったことに駆り立てたのかなという非常に皮肉な社会構造が見えてくるなと思いました。
結構読んでもらえて嬉しいです。なんかやっぱり自分ももしその立場に置かれていたとしたら、すごく一生懸命協力してしまうんじゃないかっていうところの気持ちはすごく自分でも書きながら思ったし、
当時の女性たちってやっぱり高等女学校まで行った後がないんですよね。あとはもう結婚するしかない。要はいい家の子たちなのでもうお見合いで結婚するっていう人生がほとんど決められている中。
まあ例えばシスターになるとかいろいろあるとは思うけれども、やっぱり女性が選挙権もないし、家の中で何の決定権もないっていう状態に置かれていた時に、でも国になら何か貢献できるかもとか、自分もそんな状態だけど何か役に立ちたいみたいに思ってしまうことってすごくあるんじゃないかなって。
今でもやっぱり自分もあると思っていて、なんかその構造が踏みにじられていくっていうか、その構造を利用されて踏みにじられるっていうことへの悔しさみたいなのも自分自身にもすごくあるなって。
共感します。今の社会の中でもそういう大きな権力の中で認められたいっていうところで頑張ってしまう自分を気づいたりとかっていうことがあるので、おっしゃってることをすごくなんか共感できるなというふうに思いました。
加えてすごく自分の中でショッキングだったのは、やっぱりキリスト教の学校である双葉が一番最初にたくさんの疑問袋を送ったっていうふうなことを資料から読んだんですけれども、自分もキリスト教だったので、なぜだろうっていうか神に使えるものだし、当然シスターたちは外国の方がすごく多いんですよね。
なのに、そんな一番に国に協力するってなんだったんだろうっていうのを読み進めていったときに、やっぱりその一番弱い立場、国に一番反していると思われる日本の天皇ではなくキリスト教だし外国人もいるっていう存在だからこそ、より国に協力しているっていう姿勢を見せないと生き残れなかったんだなっていうことを初めて知ったときに、
やっぱり弱い立場であればあるほど強い権力に寄っていかないと生き延びられないっていう、その矛盾と恐ろしさみたいなことを初めて知って、すごく感慨深かったです。
そうですね、その小説の中でも戦後のことも書かれててしっかりと、私が読んでて衝撃的だったのは、やっぱりGHQに対して日本が国として女性たちを差し出したっていう、特殊慰安施設協会というものが結成されたっていう課題とかも、私はやっぱり読んでて、自分も女性なのでとってもショックでした。
そうですね、やっぱりその前にどれだけ女性たちが頑張って国のためにっていうふうに、権力のためとか国のためっていう、頑張ってきたのに、その結局最後また裏切られてしまうっていう、すごく弱い立場に置かれているんだなっていうことを痛感するし、
現代の物語と戦争
なんかその構造みたいなものが決して過去のものじゃなくて、今生きている私たちへの視線とか、私たちが生きている社会にある構造が実はすごく実続きなんだっていうことをはっきりわかって、すごく衝撃を受けました。
そうですね、そういう意味では本当に現代の物語として、私たちも今現在世界の中でいろいろ起きている戦争、たぶん戦地にいる人たち、戦争を仕向けられている国っていうのは、こういったことを体験してるんじゃないかっていうことを、その想像力を掻き立てられるような本でもあるかなというふうに思いました。
この小説だけじゃなくて、先ほど冒頭でおっしゃってましたけども、音楽朗読劇っていう形でもこの物語を伝えてらっしゃるんですよね。
はい、音楽朗読劇は寺尾沙穂さんのご企画で、過去の歌を蘇らせるプロジェクトで、私は脚本を書いていて、当時風船爆弾作りをした少女たちが、まだ幼かった頃から戦中に至るまでどんな歌を歌いながら、
その過程を生きていたかっていうのを朗読劇にしたものが、Vimeoで全編ご覧いただけるようになっておりますので、よかったら検索してみてください。
本当に素晴らしい歌声で、本とはまた違う世界観、この中に出てくるいっぱい歌詞があるんですけども、これってこういう感じだったのかなっていうところに想像が行くような、本当に素晴らしい朗読劇だったし、朗読劇っていうフォーマット自体もすごい新鮮だなと思いました。
こんな形で物語を表現できるんだなっていうので、すごく面白かったです。
ありがとうございます。
なんかもうちょっとそろそろお時間も来てしまって、いろいろまだお話ししたいので、ちょっと次回にまたさらに深掘りできればと思うんですけども、最後にいろいろとこれからのプロジェクトとかご紹介したいことがありましたらよろしくお願いします。
彼女たちの戦争、嵐の中のささやきよっていう、ちくま書房から発売されている本も現在書店に並んでいると思うので、中に一章だけ風船爆弾を作った少女たちについても書いているので、ぜひご覧いただけたら嬉しいと思っています。
あとアーティストとしてもいろいろ展示やられていて、現在狩井沢のニューアートミュージアムでもご展示されているということですね。
その他は、バーゼルのリステアートフェアと、ボローニア、イタリアになるんですけれども、ニップポップというイベントでまた展示などをさせていただく予定になっております。
また7月にパフォーマンスもやられるということで、7月27日にも大会のヒルサイドをテラスでイベントがあるそうですので、これらも番組のホームページに書いておきますので、ぜひ皆さんよかったら参加してみてください。
本日はどうもありがとうございました。
ありがとうございました。
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