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2025-08-07 06:36

【1161】2025/08/07 ただ再び街を創り上げたのではない 再び希望を創り上げたのだ

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2025/08/07

サマリー

2025年8月6日に発表されたアントニオ・グテイレス国連事務総長のメッセージは、広島の復興と平和への希望を心に留める重要性を強調しています。特に、「ただ街を再建したのではなく、希望を再生した」という言葉が、過去の悲劇から未来を切り開く指針となるとされています。

広島の復興と平和のメッセージ
おはようございます。花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
昨日は、戦後80年の8月6日、広島原爆の日でした。
広島では、平和記念式典が行われて、多くの方が参列していました。
その様子を私はテレビ中継で見ました。
市長や県知事、首相の挨拶が続く中で、私はとても印象的だった場面に、心を奪われました。
それが国連事務総長のメッセージです。
代読されたのは日本人の女性で、中光泉さんという方でした。
国連の軍宿担当上級代表として、世界の前線で活動されている方です。
その姿勢とか語り口、佇まい、すべてがとても凛としていて、
平和のための言葉がしっかりと私たちに届く、そんな瞬間だったなと思いました。
今日はその国連事務総長アントニオ・グテイレス氏のメッセージをご紹介します。
80年前、私たちの世界は完全に変わってしまいました。
たった一瞬にして広島は火の海となり、何万もの命が奪われ、町は瓦礫と化しました。
人類は後戻りできない境界線を越えてしまったのです。
この80年の節目の日に、犠牲となった方々を追悼し、
その思いを受け継ぐご遺族の皆様と心を共にします。
そして私たちを平和へと導いてこられた被爆者の皆様の勇気に敬意を表します。
年々被爆者の方々は少なくなっていますが、
皆様の証言と永遠の平和へのメッセージは決して私たちの心から消えることはありません。
原爆投下後、広島はもはや再建不可能な町だと思われていました。
しかし、広島の人々は見事に復興を成し遂げました。
皆様はただ再び町を作り上げたのではありません。
再び希望を作り上げたのです。
核兵器のない世界という希望を育み、それを世界中と共有しました。
今年の5月には、原爆を生き延びた木々の苗木がニューヨークの国連本部に植樹されました。
希望の再生と未来への責任
それは単なる生き延びた証ではなく、人類の不屈の強靭さ、
そして将来の世代を核の惨禍から守り抜くという、私たちが共に背負う責任の象徴でもあります。
今年はまた国連創設から80周年という節目の年でもあります。
戦争を防ぎ、人類の尊厳を守り、そして過去の悲劇を決して繰り返さないという国連の原点を改めて見つめ直します。
しかし今日、核戦争のリスクは高まっています。
信頼は失われ、地政学的な分断は深まり、
広島と長崎に破壊をもたらした兵器が再び威嚇の手段として使われています。
それでも希望の兆しはあります。
広島・長崎で原爆被害に遭われた方を代表する団体である日本非難協は、
核兵器廃絶に向けた啓発活動の功績により、
2024年のノーベル平和賞を受賞しました。
また、昨年の「未来のための協定」において、
各国は核兵器のない世界への決意を改めて表明しました。
しかしこれらの誓いは、現実の変化につながらなくてはなりません。
核兵器禁止条約によって生まれた機運を追い風に、
核兵器不拡散条約、NPTを柱とする国際的な軍縮体制を強化していかなくてはなりません。
世界は、広島の復興の力と被爆者の活動と知恵を未来への糧とすべきです。
核兵器の脅威を根絶するためには、核兵器そのものをなくさなければなりません。
そして、被爆者への誓いを守り、その証言と平和のメッセージを次世代へ引き継いでいきましょう。
過去を記憶することは、今日、そして未来の平和を守り、築くことなのです。
2025年、令和7年8月6日、国際連合事務総長 アントニオ・グテイレス
この中で私が一番胸を打たれた一文は、
ただ再び街を作り上げたのではない、再び希望を作り上げたのだ、この部分です。
まさにこの言葉こそが、80年という時間を経ても、広島が私たちに示してくれているものではないかと思うんです。
瓦礫の中から命をつないで街を建て直して、そして核兵器のない世界という新たな希望そのものを生み出したという、
そんな広島の姿が浮かび上がってくるメッセージだったと思います。
私たちは歴史を知っています。
この10日余り後に戦争は終わるんです。
この8月6日、広島の姿に私たちは何度でも立ち返る必要があって、
立ち返った上で未来に向けた歩みをつないでいく責任が私たちにはあるだろうなと感じました。
それではまた明日。
06:36

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