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2025-10-26 04:34

【1241】2025/10/26 「面(おも)」と「取(と)」 #ことば

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2025/10/26

サマリー

このエピソードでは、「おもかじいっぱい」という言葉の意味や使い方について解説され、教育や企業研修での比喩的な用法が紹介されます。さらに、歴史的背景や「取(と)」との違いについても触れられ、人生における転換の重要性が強調されています。

おもかじいっぱいの意味
おはようございます。 花火鑑賞士、気象予報士の鶴岡慶子です。
この配信では、花火や天気、言葉に関することなどをお話ししています。
ラジオを聞いていたら、こんなラジオネームの方がいました。 ラジオネーム、おもかじいっぱいさん。
おもかじいっぱい、聞いただけで元気が出るような言葉だなと思いました。
このおもかじいっぱいというのは、もともと船の操舵で使われる言葉です。
船を右に大きく方向転換したい時に、最大限に舵を右に切ることを、おもかじいっぱいと言います。
反対に左にいっぱいに切る時には、鳥かじいっぱいと言います。
おもかじと鳥かじのおもととというのは、昔の日本語で右と左を意味していた言葉です。
つまり、右に舵を取れ、左に舵を取れ、というそれぞれ司令なんです。
この言葉、公開の世界では単なる相談命令ですが、教育とか自己啓発の場面では比喩としてよく使われます。
例えば教育現場では、今のままでうまくいかないと思ったら、勇気を出しておもかじいっぱいに切ってごらんと。
進路を変えることは逃げることじゃなくて、新しい風を受けるための転換なんだという具合に、先生が生徒に声をかけることもあります。
それから企業研修の場でも、経営の方向を大胆に変える時に、ここはおもかじいっぱいでいこうといったような言い回しがされます。
これ、ちょっと不思議なのは、どうしておもかじいっぱいが多く使われるのかっていうことなんです。
取りかじじゃなくて、おもかじの方がよく使われるんですね。
さっき言ったように、おもかじと取りかじって、右と左だけの違いなので、優劣ってないはずなんですね。
でもそこは、少し歴史をひも解くと理由が見えてくるので面白いです。
日本の船乗り用語っていうのは、明治の頃にイギリス式をもとに整えられたそうです。
その頃、相談をする人は右側に立っていました。つまり右言、おもかじが主導側だったんです。
なので、おもかじいっぱいというのは、号令として頻繁に使われて、海軍の記録とか映画の中でもおもかじいっぱい、
敵機をかわせというような、運命を変える決断の言葉として定着していたということなんです。
逆に取りかじいっぱいは、対称語ではあるんですけれども、使われる場面が少ないということと、映画なんかの映像にも、取りかじいっぱいというのは左へ避けろっていう意味ではあるんですが、
語感がやや柔らかいという理由で、ドラマ性に欠けていたという。
そういうことで、おもかじいっぱいの方が、私たち一般の人たちには浸透しやすくなったということです。
人生における舵の切り方
なので、企業研修なんかで使われるおもかじいっぱいっていうのは、右とか左とかの方向を示しているんじゃなくて、とにかく変換するんだっていう、大きく転換するっていうことを象徴している。
自分で舵を切る決断の瞬間を表す合言葉として使われているっていうことです。
企業研修だけじゃなくて、ちょっと私たちの生活に視点を向けてみたときに、やっぱり風向きとか潮の流れっていうのは、人生ですからね、いつも一定ではありませんよね。
時には、その流れに任せるだけじゃなくて、えいやって思い切ることが必要な場面ってあると思うんですね。
目の前に壁が現れたときに、まっすぐ進んで、当たって砕けろじゃないですけど、乗り越えるだけが勇気じゃないって思うんですね。
魚雷を避けるために、おもかじいっぱい振り切っていいと思うんです。
大きく舵を切って、新しい風を受けたら、壁と思われていたそれって壁じゃなくなったりとか、壁のちょっと横に突破口があるかもしれないので、
おもかじいっぱい、時には舵を切るのも賢さだと思います。
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それではまた明日。
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