しらいしあいさんの作品について
はい、おはようございます。本日の放送は2025年の11月13日木曜日です。 本日は第1355回目のお話となります。
このチャンネルは福島県郡山市在住の特撮アニメ漫画大好き親父のピョン吉が、日々気になったことをダラダラと話をしていくという番組です。
よろしくお願い致します。
さてさて、昨日の配信では福島市出身のすごい漫画家がいたというお話をしました。
その名も、しらいしあいさん。 いやー、こんな宝が福島にいたとは、東大元暮らしですの。
で、昨日は代表作の一つバージンオンドを読んで衝撃を受けたんですが、もう止まらない。
AmazonのKindle Unlimitedに他の作品もあるじゃないですか。 そりゃ読むしかない。
まず読んだのがもう一つの代表作アルマイト洗面器。 タイトルからして気になりますよね。
アルマイトってあの銀色に光る金属製の洗面器のことです。 このアルマイト洗面器という響きだけでなんだか昭和の香りがプンプンするんです。
そういえば1973年に神田川って歌がありましたよね。 あなたはもう忘れたかしら。
赤い手ぬぐいマフラーにして、あの同棲しているカップルが2人で戦闘に行くあの切ない歌です。
当時、同棲をテーマにした漫画って実は結構あったんですよ。 上村和夫さんの同棲時代、林聖一さんの赤色エレジー。
どちらも男側の視点でちょっと湿った空気が流れている。 1970年代前半には同棲ブームがあって、でもどこか悲しみがつきまとう時代もでもありました。
そんな流れの中で1978年から80年に月刊セブンティーンで連載されたのがアルマイト洗面器 バージンオンドより少し前の作品です。
舞台は東京、地方から上京してきた大学生カップルの4畳半アパート。 もうね、設定だけで青春の匂いがします。
このアルマイト洗面器、実はタイトルからすでに伏線が仕込まれているんですよ。 2人が同棲して最初に一緒に買ったのがアルマイト製の洗面器。
100円。 銭湯に行く時も使ったし、酔って吐いた時も使った。 つまりその洗面器には2人の生活の傷が刻まれていくんです。
ラストでその意味がずしんとくるんです。 この構成力、タイトルを決めた時点で結末が見えてたんじゃないかと思うほどです。
それにしても最近アルマイトって煮ませんよね。 昔は弁当箱も食器もアルマイト。ピカピカ光って丈夫そうに見えるけど実はすぐへこむ。
電子レンジもダメ。 時代の流れとともにプラスチックに石器を譲ったわけです。
アルマイト洗面器にはそんな生活のディティールもぎっしり。 仕送り額とか家賃とか当時の大学生のリアルな生活が描かれています。
そして驚くのはこれが月刊セブンティーンに連載されていたということです。 同性を女性の目線でしかも暗くなくカラッと書いている。
この温度感、1970年代の作品としてはかなり先進的だと思いました。 この漫画と同じ1978年
少年マガジンに柳澤美希代さんの飛んだカップルも話題になりました。 同性というより高校生が同級する漫画ですが、タイトルで明るそうですが読むと重たい漫画でした。
現代との比較と関係性の描写
それに比べると明るくていいですね。 自分は同性の経験ゼロなので、読んでいてこういう世界があるのかと驚きました。
自分はどちらかというと三原町の前川司さんの大東京貧乏マニュアルみたいなオタク一人暮らしでした。
リア充ってこういうことか。 ちなみに最終回の後にはおまけで娘が嫁に行く父親の気持ちを書いた短編がついています。
親父目線。これがまた泣ける。 今だとこういう作品もありますけど当時としては珍しかったんじゃないですかね。
で、勢いづいて次に読んだのが、哺乳類ひとか親じめ全3巻。 タイトルからしてすでに面白い。
たぶん1990年代後半から2000年頃、青年誌で発表された作品ですね。 40代くらいの普通のおじさんたちの恋愛をオムニマス形式で書いています。
切ない話、温かい話、ちょっとエロチックな話もある。 どれも大人になっても人は恋するんだよというメッセージがあってじんわりきます。
さらに嫁らvsババラ。 最初タイトルだけ見て怪獣漫画かと思って読み始めたら、嫁vsシュート目。
人間ドラマでした。2世代同居で起きる争いをコミカルに描いています。 他にも隣の芝生は葵的な夫婦の比較話や、子供のいない夫婦の微妙な距離感を描く話など、
どれも2010年代のレディースコミックらしいテーマでした。 電子書籍版だと送る手がないので書かれた時期がわかりづらいんですが、
1970年代から現代まで、つまり半世紀にわたって書き続けているってすごいですよね。 時代ごとに題材を変えながらも、でも根っこの部分には人と人の関係の日々がある。
白石愛さんの作品、これは掘ればほどほど面白いです。 今は電子版で手に入るものも多いので、これから少しずつ読んでいこうと思っています。
福島からこんな漫画家さんが出ていたなんて誇らしいですよね。 はい、それではまたもしよろしければピョン吉のオタクの話を付けくださいね。
本日もお聞きくださいまして誠にありがとうございました。