稲作と地球温暖化の関係
こんにちは。さてさて、今回はですね、皆さんが毎日食べてるかもしれないお米、これと世界的な課題の地球温暖化、この2つのちょっと意外な関係について、一緒に見ていきたいと思います。
はい、今回は福島県農業総合センターの研究とか、そういった資料を元にしてるんですが、なぜこの稲作が温暖化に関係してくるのか。
そして、じゃあどういう対策が考えられているのか、というあたりを掘り下げていければと。
いやー、お米が温暖化にって正直思っちゃいますよね。
ええ、そうですよね。
その感覚すごくわかります。でもここには、知っておくべき大事なポイントがあるようなんです。
まず、そもそも稲作が地球温暖化の一員になってるっていうのがもう驚きなんですけど。
これは、その稲自体が悪いってことじゃなくて、育て方に理由があるんですね。
その通りなんです。おこってご存知の通り、水を張った水田で育てますよね。
はい。
この水中の土壌というのは、酸素がすごく少ない状態になるんです。
ああ、なるほど。
そうすると、土壌の中の有機物、藁とかですね、そういうものが分解されるときにメタンガスっていうのが発生してしまうんです。
メタンガスですか。
このメタンガスが実は二酸化炭素の約25倍もの温室効果があると、かなり強力なガスなんですね。
25倍?それは大きいですね。
田んぼから泡がポコポコ出てるのを見たことある気がしますけど、あれがそうなんですか。
ああ、そうですそうです。あれがメタンガスですね。
よくほら、牛のゲップが温暖化ガスだって話題になるじゃないですか。
なりますね。
でも実は日本の人為的なメタン排出量を見ると、農業分野が約8割近くを占めていて、
8割も?
ええ、その中でも水田、つまり稲咲からの排出が全体の42%にもなるっていうデータがあるんです。
これ畜産よりも多いんですね。
えーっと、そうなんですか。それはちょっと意外でした。
さらにちょっと心配なのが、気温が上がるとこのメタンの発生量が増える可能性があるって言われてる点なんです。
うわー。
つまり温暖化が進むと、それがさらに温暖化を加速するっていう悪循環も考えられるわけです。
それは避けたいですね。
じゃあどうすればいいんでしょう。
畑でお米を作る陸根?おかぼ?でしたっけ?
そういう方法もあるにはあるんですよね。
ええ、あります。
ただ、水田っていうのはもう6000年とも言われるすごく長い歴史の中で、雑草とか病害虫を抑えたり、
あと寒い地域で稲を守ったり、土地にミネラルを供給したり、いろいろな利点があるんですね。
長年の知恵が詰まってるわけですね。
そうなんです。
だから簡単にやめられるものでもない。
だからこそ、この水田のままで何とかメタンを減らす工夫、これが大事になってくるわけです。
メタン削減の対策
なるほど。具体的にはどんな方法があるんですか。
まず注目されてるのが中干しですね。
中干し?
はい。
稲がある程度育った段階で、一時的に水田の水を抜いて土を乾かすんです。
へー。
こうすることで、土の高に酸素が供給されて、メタンを作り出す菌の活動が抑えられる。
それでメタンの発生をだいたい30%ぐらい削減できるという研究結果が、福島県農業総合センターから出ています。
30%も水を抜くだけで、ですか?
ええ。しかも収量への大きな影響も少ないですし、稲の根っこを強くする効果もあると言われてて、SDGsの観点からも注目されてる技術ですね。
いやー、シンプルだけど効果は大きいんですね。
水田のいいところはそのままに、デメリットを減らせると。
そういうことです。
あと他にはですね、水田養魚という方法も研究されてはいます。
水田で魚を飼う、ですか?
ええ。水田で魚を一緒に飼う。
アメリカの研究なんかだと、魚が水の中の微生物のバランスを変えることで、メタン生成を抑える可能性がある、なんたことも言われてるんです。
ほう。
もちろん魚自体も収穫できれば、まあ一石二鳥ですよね。
日本でも昔は、船とか土壌とかでやってたみたいですけど。
昔はやってたんですね。
ええ。ただ今はちょっとあまり普及はしていないんです。
え、そうなんですか?
昔からあったのに今は余り、というのは何か理由があるんですか?
コストとか手間とか。
えーとですね、普及を妨げているまあ大きな要因の一つと考えられているのが、日本で広く使われているネオニコチノイド系殺虫剤なんです。
あー農薬ですか。
そうです。カメムシ対策とかで使われることが多いんですが、これが魚に対する毒性が結構強いんですね。
なるほど。
なので水田で魚を飼うことと、この農薬を使うことがなかなか両立しにくいという側面があるんです。
海外だとミツバチへの影響とかで規制が進んでいる農薬ですけど、日本ではまあこれを使わないとお米に黒い斑点ができて売り物にならないみたいな声もあって、まだ使われているという状況があるわけです。
なるほどなぁ。食の安全とか品質とその環境保全とのバランス、難しい問題ですね。
まさにそこが問われる点ですね。そしてもう一つ、ちょっと未来的な技術としてアイガモロボットっていうのがあります。
アイガモロボット?
太陽光で動くロボットなんですけど、スクリューで水をかき混ぜながら進んで雑草を抑制するんです。
はいはい。
この水をかき混ぜる攪拌によってメタンの発生が約50%、つまり半分くらいに減るという効果が東北大学の研究で確認されています。
半分ですか。ロボットが活躍する未来も結構近いのかもしれないですね。
そうですね。
いやーというわけで、私たちの主食のお米がメタンガスっていう形で地球温暖化に関わっていて、
その対策として中学年みたいな伝統的な知恵の応用もあれば、アイガモロボットみたいな新しい技術開発も進められているってことがよく分かりました。
本当に毎日の食卓が実は地球環境とすごく密接につながっているんだなっていうのが見えてきますよね。
水田の持つ豊かな機能を生かしつつ、どうやって温暖化への影響を減らしていくか、その両立がこれからの課題なんだと思います。
そうですね。さて最後にですね、ちょっと皆さんと一緒に考えてみたい問いがあるんです。
水田用魚みたいにメタン削減と食料生産を両立できるかもしれない方法があり一方で、特定の農薬の使用がその普及をもしかしたら妨げているかもしれないという現実。
効率とか見た目の品質を追求すること、それと環境への負荷を減らして生態系を守ること。
これからの食料生産で私たち一体何をより大切にしていくべきなんでしょうか。この問いぜひあなたも少し考えてみてください。