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2025-06-14 10:31

日本の酪農業: 課題と未来への対話

日本の酪農業界が直面する多岐にわたる課題と、それらを乗り越え持続可能な産業へと変革するための未来への提言について深く掘り下げています。経済的苦境、市場の変化、労働力不足といった内部要因に加え、メタンガス排出や動物福祉の遅れといった環境・倫理的な外部からの批判にも焦点を当てています。これらの複雑な問題に対し、政策的支援、スマート農業技術の導入、環境負荷低減、市場戦略の多様化、そして人材育成という五つの主要な対策分野が具体的な解決策として提示されており、日本の酪農の未来を支えるための総合的なアプローチの必要性が強調されています。
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サマリー

日本の酪農業は、経済的な問題や市場の変化、環境問題、アニマルウェルフェアなど、多くの課題に直面しています。こうした厳しい現実の中で、未来に向けた対策や政策が模索されています。日本の酪農業は複雑な課題を抱えており、環境負荷の削減や労働環境の改善、新たな市場戦略が急務とされています。今後の展望として、持続可能な酪農のために多角的なアプローチが求められます。

日本の酪農業の現状
今日はですね、皆さんの食卓にも非常に関係の深い、日本の酪農業について、資料をもとにちょっと深く見ていきたいと思います。
実は、今この私たちの食を支える重要な産業がですね、かなり厳しい状況にあるようなんです。
そうなんですよ。資料を読んでいくとですね、まず経済的な問題、例えば、飼料の値段がすごく上がっているとか、
それから牛乳自体の消費がまあ変わってきているという市場の問題、あとは担い手、つまり後継者部族ですよね。
こういう構造的な問題が、なんか複雑に絡み合っている感じなんです。
さらにですね、環境への負荷、それからアニマルウェルフェア、まあ動物福祉って言いますけど、そういった観点からの課題も出てきていて、
まさにこう転換期というか、キロに立たされている、そんな状況だと思いますね。
特にちょっと驚いたのが、ある調査だと、落農家の方の84.7%が赤字経営だと、8割以上が赤字っていうのは、これはかなり衝撃的な数字ですよね。
そうですね。深刻な状況です。
今日はこの厳しい現実の背景に何があるのか、そして未来に向けてどんな動きがあるのか、一緒に探っていければと思います。
まずその経済的な苦しさの部分ですけど、やっぱりあの飼料価格の高騰ですね。これがもう経営を直撃しています。
飼料ですか?
ええ。日本の落農って、飼料の7割とか8割を輸入に頼っているんですね。
ああ、そんなに?
なのでこの間、コロナ禍とかウクライナ振興、それに円安が重なって、価格が1.5倍ぐらいに跳ね上がってしまっているんです。
1.5倍?それは厳しい。
経営コストのだいたい半分近くが飼料費っていう、そういう構造なので影響は本当に大きいんですよ。
コストの半分が飼料、それに加えて子牛の価格も下がっているとか。
そうなんです。
資料を見ると、月に100万円以上の赤字を抱えている農家さんが4割以上。
さらに6軒に1軒は1億円以上の借金があるっていうデータもあって、ちょっと想像を超える厳しさですね。
はい。ですから約6割の方が、もう離農を考えたことがあるというふうに答えてるんですね。
6割もですか?でも実際には?
それでもやっぱり、日本の食を支えないという使命感とか、あるいは長年育ててきた牛への愛着とか。
それともっと現実的な話として、借金の返済の問題があって、辞めたくてもなかなか辞められない。
そういう声も結構聞かれますね。
うーん、なんか以前バターが足りなくなった時に、国が増産を勧めた時期がありましたよね?
ええ、ありましたね。
それが、今のこのコロナ禍での需要減とか、コスト高高騰と重なって、逆に経営を圧迫するみたいな、ちょっと皮肉な結果になっている面もあるんでしょうかね?
うーん、そういう側面は確かにあるかもしれませんね。
牛乳の価格に、その上がったコスト分を上乗せするのも簡単ではないでしょうし。
まさにそこが難しいところです。
で、さらに市場そのものの変化っていうのを見逃せないんですね。
牛乳の消費量って、実は1996年がピークで、そこから長期的に見ると減る傾向にあるんですよ。
ああ、そうなんですね。ずっと伸びてるイメージがありましたけど。
そこにコロナ禍が追い打ちをかけたという形ですね。
経済的な厳しさに加えて、そもそも牛乳を飲む人が減っていると、市場も変わってきているわけですね。
TPPとか日EUEPAみたいな貿易協定の影響っていうのはどうなんですか?
ああ、それも大きいですね。
特にチーズとかバターとか加工品ですか?
その通りです。
これらの協定で海外から、特に安価なチーズやバター、脱脂乳なんかが入りやすくなって、国内産との競争が激しくなっているわけです。
ある試算だと、国内の乳製品の生産額が1300億円とか、それ以上減るんじゃないかみたいな話もあります。
1300億、大きいですね。
さらに最近の健康志向の高まりで、豆乳とかオーツミルクとか、ああいう植物性の代替ミルクの市場もすごく伸びてますよね。
確かにスーパーでもよく見かけるようになりました。
2030年には世界で19.5億ドル規模になるなんていう予測もあるぐらいです。
そういった経済や市場の問題に加えて、人手不足と高齢化、これも深刻だと。
経営者の方の平均年齢がもう60歳を超えていて。
60歳超えですか。
はい。で、約4割の農家さんで後継者がまだ見つかっていないという状況なんです。
4割も後継者がいない。
やっぱり落農って休みなく続くかなり厳しい労働ですし、収入も不安定となると、なかなか若い世代が新しく入ってくるっていうのはハードルが高いですよね。
そうですよね。
それで省内の生産を担う若い薄牛の数自体も減ってきているんですね。
これはもう長期的に見ると生産基盤が弱くなっていくっていうそういう懸念につながります。
さらに環境とか臨時的な面からの課題っていうのもありますよね。
はい。牛のゲップに含まれるメタンガス、これがCO2の28倍も温室効果が高いと。
そうなんです。
地球温暖化への影響がやはり懸念されています。
あとは糞尿の処理ですね。これもちゃんとやらないと鎖の問題とか水質汚染の原因にもなりかねない。
もちろんこれらをエネルギーに変えるバイオガスプラントみたいな取り組みも進んではいるんですが、まだまだ普及には課題があるという感じです。
なるほど。あとアニマルウェルフェア、動物福祉の観点ですね。
これについては日本は国際的に見てちょっと対応が遅れているというような厳しい指摘もあるようですが。
そうですね。ある国際的な団体の評価では、日本はその家畜、畜産動物の福祉に関する法整備という面でかなり低いというか最低ランクの評価を受けてしまっているんですね。
最低ランクですか?
はい。今の動物愛護管理法って主にペットが対象で、牛とか豚とかそういう家畜の飼育環境に関する具体的な基準とか罰則っていうのがまだ十分じゃないという現状があります。
なるほど。
なので例えば過密な飼育環境とか、あるいは塗札状の問題とかを指摘する声もあって、それを改善するための補助金とかもまだ十分とは言えない状況ですね。
いや本当にいろいろな課題が山積みという感じがしますけど、でも未来に向けた対策というのももちろん動き出しているんですよね。
未来への対策
はい、もちろんです。いくつか方向性が見えています。まず政策面では経営を安定させるために、例えばアメリカにDMCっていう落納化の収入が一定以下になったら差額を補填するような制度があるんですが、そういう所得補償制度を日本でもっていう声は強いですね。
収入を補償する仕組みですか。それは大きいですね。
あとはやっぱり資料の輸入依存度を下げるために国内で資料をもっと作る、構築連携って言いますけど、そういう取り組みとか過剰在庫の問題への対策、これも重要です。
技術の力、テクノロジーも鍵になりそうですね。搾入ロボットとか自動給油システムとか。
スマート農業ですね。これは省力化はもちろんですが、若い世代にとっての魅力向上にもつながるんじゃないかと期待されています。
確かに。
あとは複数の農家さんが協力して栄養バランスの取れた資料を大規模に作って供給するTMRセンターみたいな共同化も効率化とか品質の安定には役立ちますね。
ただそういう最新技術ってやっぱり導入するのに結構コストがかかるんじゃないですか。
そこはおっしゃる通り大きな課題ですね。中小規模の農家さんにとってはその初期投資がまた新たなハードルになるのではという懸念は確かにあります。
なるほど。環境負荷を減らす技術というのはどうですか。
はい。メタンの排出を抑える効果があると言われている資料添加物、例えばボベアールっていうのがありますが、そういうものの開発とか導入、それからさっき少し触れたバイオガスプラントの推進、あとは温室効果ガスの削減量を企業間で取引できるJクレディット制度、こういうものの活用も進められていますね。
市場に対してはどうでしょう。ただ牛乳を売るだけじゃなくて、何か工夫が必要になってきますよね。
そうですね。例えば自分でチーズ工房を持つとか、加工品を開発して販売する、いわゆる6次産業化、あるいは地域ブランドを作ったり、オーガニックとか、あと先ほどのアニマルウェルフェアに配慮してますよっていう認証を取ったりして、付加価値を高める戦略ですね。
付加価値、なるほど。
あとは伸びている代替ミルク市場にどう対応していくかという視点も必要かもしれません。
そしてやっぱり最後は人ですよね。
本当にそこが重要です。労働環境の改善はもちろんですが、新しく落農を始めたい人向けの研修とか補助金を充実させること、それから辞められる方の農地とか設備、技術なんかをスムーズに次の担い手に引き継いでいく、そういう仕組みづくりがもう急務だと思いますね。
こうやって見てくると、日本の落農って経済の問題、市場の問題、労働力の問題、そして環境や倫理の問題と本当にたくさんの課題が複雑に絡み合っているんだなというのがよくわかりますよね。
本当にそうですね。
持続可能な未来への展望
どれか一つだけ解決すればいいってものではなくて、やっぱり多角的なアプローチが必要不可欠なんだと思います。
政策による経営の安定化、それからスマート農業みたいな技術革新、時代の変化に合わせた市場戦略、そして何より未来を担う人材の確保と育成、さらに言えば牛乳を選ぶ私たち消費者の意識っていうのもこの問題に関わってくるそういうことですね。
まさにその通りだと思います。
最後にこれを聞いてくださっている皆さんに一つ問いを投げかけさせていただきたいんです。
私たちの食料安全保障をどう守っていくのか、落農家の経済的な持続可能性をどう確保するのか、そして同時に環境への配慮や動物福祉という倫理的な要請にどう応えていくのか、未来の落農を考える上でこれらの要素のバランスを私たちは、そして社会はどう取っていくべきなんでしょうか。
これをぜひ皆さんと一緒に考えていければと思います。
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