萩原玲二との出会い
こんにちは。こんにちは。さて今回はですね、送ってくれた方が最近発見したという宝の山、えーと、福島県出身のマンガ家、萩原玲二さんに関する資料をじっくり見ていきましょう。はい。
もうテーマが、なぜ今まで気づかなかったんだっていう、嬉しい姫みたいな感じで。あー、なるほど。他自身の興味のまさにど真ん中のはずなのに、何十年も見過ごしてきたと。
その謎をですね、一緒に解き明かしていきたいと思います。これは非常に興味深いテーマですね。 自分のアンテナがいかにこう特定な方向にしか向いてなかったか、
その視覚に気づく瞬間って誰にでもありますからね。ええ。 今回はその見落としの奇跡をたどりながら、私たちが無意識に作ってしまっている壁みたいなものについて考えてみましょうか。
では早速いきましょう。萩原先生は、1984年第15回賞博館新人コミック大賞で佳作を受賞されています。
ほう。これ、高橋留美子さんとか浦沢直樹さんを排出した、まさに名門の賞ですよね。 えー、そうですね。
で、送ってくれた方は、当時少年サンデーをもう熱心に読んでいた、いわゆる黄金期世代だと。 なるほど。
だから、デビュー作をリアルタイムで目にしていた可能性がこれ極めて高いはずなのに、記憶にないと。 うーん。
まあ80年代は漫画の情報量が爆発的に増えた時代でしたからね。 毎週のように名作が生まれる中で、一人の新人が記憶からこぼれ落ちてしまうっていうのは、まあ無理もないことかもしれません。
ただ重要なのは、その後のニアミスの連続、話はそこからですよね。 そうなんです。いやここからが本題で、本当に驚くべきニアミスの連鎖が始まるんですよ。
ほう。 まず、1989年、勝手にジャンキーロード。
はい。 なのになぜかする。 なるほど、接点だらけなのに。 そうなんです。
で、さらに続きます。1991年、荒又博さん原作の地球暗黒記7new。 そして1994年、辻川陽介さん原作のパプリカ。
あーどちらもビッグネームですね。 ですよね。で、どちらも原作小説は読んでいて、SFも大好物。
それなのに、コミカライズ版は全く認識していなかったと。 ふむふむ。
あの、今監督のアニメ映画でパプリカが話題になった時でさえ、漫画版の存在には気づかなかったそうなんです。
うーん、これはもしかすると、典型的なメディアの壁ってやつかもしれませんね。 メディアの壁ですか。
ええ。送ってくれた方の中では、多分物語は小説で楽しむものっていう、まあ無意識のフィルターがかかっていた可能性があるんじゃないでしょうか。
なるほど。 だから原作が好きだからこそ、コミカライズっていう二次的なフォーマットを脳が自動的にシャットアウトしてしまっていたというか。
あーそういうことか。 効率的な情報処理ではあるんですけど、大きな機械損失にもつながってしまいますよね。
メディアの壁の突破
その壁をですね、ついに突き破った作品があったんです。2000年の天使だけが翼を持っている。
お、ここでついに。 これを読んで、「うわ、すごい面白いじゃん!」と、もうまさに心を打ち抜かれたそうなんです。
SF的な世界観もキャラクターも全てが好みだったと。 何がその壁を壊すきっかけになったんでしょうか。作品の質そのものでしょうか。
それも大きいんですけど、決定打は別にあったみたいで、 単行本の冒頭に収録されていた
オシイモ理論です。 オシイモ理論? 送ってくれた方は、オシイ監督の大ファンで、そこで語られる
タルコフスキー好きっていう共通点に、どうしようってなったそうなんです。 あーなるほど、そこですか。
映画がめちゃくちゃ好きな漫画家っていう、作家のカルチャー的な背景にものすごく強く共感したんですね。
まさにそこですね。見えなかったものをつなぐ鍵は、どうしっていう感覚だったわけだ。
作品単体じゃなくて、作者の持つ思想とかバックボーンに触れたことで、萩原先生が単なる漫画家からカルチャーを共有する作り手へと意味合いが変わった。
これは非常に重要な発見の瞬間ですね。 本当にそう思います。それでもまだニアミスはあって、2017年の戦車漫画
タンクバトルズはガルパンにハマっていたのに見逃しちゃったとか。 あーまだあるんだ。
最近まで連載されていた艦隊のシェフも面白そうだなぁと思いつつ未読だと。 一度認識しても長年の癖ってなかなか抜けないものなんですね。
つまり萩原先生という存在はずーっと長年に渡って自分の興味関心のすぐ隣を並走していたと。
まさにそういうことなんです。 いつでも出会えるはずだった。追いかけるべき漫画家だったということなんですよね。
いやーこの経験は送ってくれた方だけの話じゃないかもしれない。 私たち全員にとってすごく資産に富んでいますよね。
と、言いますと? 自分が情熱を注いでいる分野でさえまだ出会っていないだけですぐ隣に同志と呼べるような素晴らしい作り手が存在しているのかもしれない。
あーそうか。 そう考えると自分のメディアの壁を一度疑ってみる価値はありそうじゃないですか。
好きな小説家が実は舞台の脚本を書いていたら、好きな映画監督が実はビデオゲームを監修していたらとか。
次回の配信もお楽しみに! さようならー!