第15話の印象
こんにちは。
こんにちは。
さて、今回はアニメ『東島丹三郎は仮面ライダーになりたい』について送っていただいたテキストですね。
ええ。
いやー、これなんかすごくよくわかります。
やっと本筋に戻ってきて、すごく良い回が始まったはずなのに、なぜか頭の片隅に、あの訳のわからない回のことがこびりついて離れないっていう。
そうなんですよね。主人公が一切出てこない強烈に奇妙だったという第15話。
はい。
この回の印象があまりに強すぎて、その後の王道な展開が霞んで見えてしまうと、このモヤモヤ非常に面白いテーマですね。
ええ。このなんていうか、論理では説明できない心への引っかかり、この正体を一緒に探っていきましょう。
はい。
まずその霞んでしまうと言われている本筋、16話と17話の内容から見ていきたいんですが。
ええ、お願いします。
16話は強敵のコウモリ男が現れて、東島が仲間を救うためにあえて撤退するんですよね。
あの大人の判断を見せる回ですね。
そうです。成長を描く本当に素晴らしい回で。
で、続く17話ではその経験を経て仲間との協力の重要性に気づくと。
まさにヒーローものの王道。テキストにもすごく良い回のはずと書かれていました。
でもここで送ってくださった方が指摘しているコウモリ男の存在感の違和感っていうのが最初のフックになってるんですね。
そうなんです。血を吸って人を操るっていうすごく正当派な能力なのに。
テーマの探求
ええ。
なぜかアイドルのマネージャーになって地道にファンを洗脳していくっていうあの回りくどい作戦。
確かに。その小さなズレがどうにも気になってしまうと。
ええ。本筋はしっかりしてるはずなのにどこかノイズが混じってるように感じてしまう。
その原因がやっぱりあの第15話にあると。
そういうことですね。あれは一体何だったんでしょうか。
うーん。
ここからが本当に面白いところで。
もう送ってくださった方の文章を読んでるだけでその混乱が伝わってくるんですよ。
はいはい。
主人公は出てこない。太った地下アイドルが自分を暗殺に来た怪人のクモ男となぜか恋に落ちてしまう。
うんうん。
でそこに突然ラーメン修行してたっていう謎の男が乱入してきてバトルが始まるっていう。
もう正直意味がわからないと。
そうなんです。
この意味がわからないっていう感覚こそが今回のまあ確信でしょうね。
確信ですか。送ってくださった方も面白いのかどうかもわからないとか、とんでもないものを見せられた感覚、あと自分の状況に直撃したっていう表現。
あーありましたね。
これが全てを物語ってるんです。これはもう物語の良し悪しとか整合性みたいな評価軸を完全に超えちゃった強烈な体験だったわけです。
体験。
そうです。綺麗に整理された良い話よりも説明不能なカオスの方がかえって忘れられない記憶になることってあるじゃないですか。
確かにありますね。
特にこういう作品では論理的な本筋とは別に、突拍子もないエピソードでテーマのいわば心臓部を直接えぐるような手法が時々見られます。
へー。
感情に直接訴えかけることで私たちは理屈じゃなく体感としてテーマを理解させられるんですよ。
なるほど。そのテーマっていうのが送ってくださった方の最後の考察につながってくるわけですね。
そうです。ショッカーにとっての最大の敵なんじゃないかっていう。
はい。
その愛というテーマはわかるんですが、だとしてもあの表現はあまりにも突飛じゃないですか。主人公を一切出さずに怪人とアイドルの恋愛を描くなんて。
へー。良い問いですね。私はあれは種のテーマ的な揺さぶりだと思うんです。
揺さぶり。
17話で東島が築く仲間との協力。つまり仲間への愛。これは非常にわかりやすいヒーロー的な愛ですよね。
はい、そうです。
でもその直前に人間ですらない怪人と、まあ決して恵まれてはいないアイドルの間にある、歪んだけど純粋な愛の形を見せられる。
ああ、なるほど。全く違う文脈で同じテーマを見せることで。
そういうことです。その意味不明な恋愛を見た後だと、東島が語る仲間愛がより多層的で深いものに感じられませんか。
確かに。
あのカオスな15話があったからこそ、17話の王道がただの奇麗事じゃない、もっと切実なものとして響いてくる。
ああ、そういうことか。
だから送ってくださった方が混乱しているのって、無意識にこの作品のど真ん中のテーマに、それも一番えぐい形で触れてしまったからなのかもしれないですね。
文章の最後、結局15話が好きだという話しかできなかった。失敗ですって締めくくられていましたけど。
ええ。
でも今のお話を聞くと、その失敗と感じるほどの混乱こそが、もしかしたら作り手の狙い通りでこの作品の持つ最大の魅力なのかもしれないですね。
まさに。
論理で理解できることだけがすべてじゃない。感情をぐちゃぐちゃに揺さぶられるよくわからないものにこそ、心をつかまれてしまう。
私たちが物語に求めるものって、案外そういうことなのかもしれないなぁと考えさせられました。
次回の配信もお楽しみに。さようなら。