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こんにちは。今回、資料を送ってくださった方と一緒に深掘りしていくテーマなんですけど。
こんにちは。はい、よろしくお願いします。
8月12日に放送されたNHK特集ドラマの手塚治虫の戦争ですね。これ私も見たんですが。
ああ、見られましたか。このドラマって手塚治虫氏が漫画家としてどん底だった1973年とですね。
はいはい。
彼が実際に戦争を経験した1945年、この2つの時代を行き来する構成でしたよね。
そうなんですよ。なんか神の鳥でとかゴッドファーザーの息子っていう作品をベースにしていて。
ええ、非常に野心的な構成だったと私も思います。
ただ送ってくださった方の感想にもあったんですけど、これ1時間13分じゃいくらなんでも短すぎませんかね。
ああ、それはまあ否めないですね。
なんか朝ドラとかでもっとじっくり見たいなっていうか、まるで壮大な超大作の予告編だけを見せられたようなそういうもどかしさがあって。
予告編、なるほど、確かにそうですね。
手塚をどん底から救い出すキーパーソンとして、編集者の黒川とか。
ええ。
あと支援者の笠井社長とか板見マネージャーとかですね。重要な人物がたくさん出てくるんですが。
出てきましたね。
彼らの描写が尺の都合で消化不良のまま終わってしまっているんですよ。
単なる物語の進行役になってしまったのは非常にもったいない点です。
いや本当にそうなんですよ。ただそんな駆け足が展開の中でも資料の中で絶賛されていたシーンがあって、あの捕虜リンチの場面ですね。
あ、あそこはもうこのドラマの最大のハイライトと言ってもいいですよね。
原作を超えたって書かれてましたけど、本当に強烈でした。
ええ。主人公があの大切な思い出の場所に残したミーちゃんというキャラクターの絵、その目の前で敵兵を殴らされるという。
あのミーちゃんってベースはミッキーマウスなんですよね。
そうなんです。ミッキーマウス、つまり手伝が大好きだったアメリカ文化そのものなんですよ。
それが戦争っていう凶器によって、突然憎むべき敵国のものに反転しちゃうという。
まさにそこが恐ろしいところでして、ただの暴力シーンじゃなくて、残酷な踏み絵なんですよね。
踏み絵ですか?
はい。物理的な痛み以上に、個人のアイデンティティとか愛するものを強制的に踏みにじらせるという、戦争の精神的な破壊力を見事に可視化していました。
だからこそ惜しいんですよ。あのここでミッキーが元ネタだって一言説明があれば、さらに効果的だったのにって私は思っちゃって。
ああ、なるほど。
背景を知らないと、その残酷さが100%は伝わらないっていうか、もどかしいですよね。
確かに作り手の意図と受け手の理解の間に少しズレが生じてしまったのかもしれないですね。
あと、その演出の意図って意味で、私がどうしても引っかかっているのが、他のオリジナル要素なんです。
と言いますと?
なんか急に謎の怪獣が出てきたりとか、あとヒロインのキョウコが唐突にダンスするシーンとか、あれちょっと浮いて見えませんでした?
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ああ、あの演出ですね。あれはおそらく、戦争っていう巨大で不条理な暴力を手塚支店のメタファーとして怪獣で表現したんだと考えられます。
なるほど、メタファーですか。
ええ、ダンスの方も同様に、理不尽な現実に対する若者たちの行き場のないエネルギーの爆発を表現したかったのかなと。
まあ、頭ではわかるんですけど、でもどうしても納得いかない改編がもう一つあって、番長の証のシーンで。
ヨカネに志願して特攻へ向かう直前のところですね。
そうです。原作だと彼が手塚に描いてもらった女の子の絵を持っていくのに、ドラマだとなぜか自分の似顔絵に改編されてましたよね。
あそこは私も気になりました。漫画好きの普通の少年が女の子への憧れを胸に染んでいくっていう、本来の生々しい背影を完全にぶち壊してませんか?
鋭い指摘ですね。作り手としては彼自身の生きた証とか、薄縄れた自己を強調したくて自画像に変更したのかもしれませんね。
はい。
思春期の少年が死の直前にすがるものとしては、泥臭い人間味とかリアルな感情がそぎ落とされて、少し記号的になりすぎた感は否めませんね。
いやー、でもこうやって深掘りしてみると、演出の一つ一つにどれだけ大きな意味が込められているかが見えてきますね。
本当にそうですね。
送ってくださった方のおかげで、単に面白かったで消費せず、こうして記憶や記録に残す意義をすごく感じました。
手塚春虫の過酷な戦争体験と、その創作がどう結びついたのかは何度でも考える価値がありますよ。
そうですね。最後に送ってくださった方に一つ問いかけたいんですけど、私たちが普段何気なく楽しんでいるエンタメの中にも、実は作者の過去の深いトラウマとか、今回のフミエみたいな残酷な経験がひっそりと隠されている作品がまだあるんじゃないでしょうか。
次回の配信もお楽しみに。さよならー。