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- こんにちは。今回資料を送ってくださった方、いつも本当にありがとうございます。
- ありがとうございます。
- 早速今回の深掘りミッションに入りたいんですが、もしプロ野球で48年間ずっと4番バッターで毎日打席に立ってて、しかも一度も怪我をせずに全試合出場している選手がいるとしたらどう思いますか?
- いやー、それはもう完全に化け物ですね。人間の限界を超えちゃってますよ。
- ですよね。あ、これ今回送ってくださった方が教えてくれた、あの漫画界のイケる伝説、高橋留美子先生を表現したすっごく秀逸な例えなんです。
- なるほど。ウルシュウヤツラとかイルヤシャとか、誰もが知っている名作をずっと生み出し続けて、今も第一線で週刊連載されてますからね。
- そうなんですよ。もはや作者ご自身が妖怪レベルのすごさ増さだなって思うんです。今回はそんな高橋先生が現在展開中の作品、魔王について深掘りしていくんですけど、
- はい。
- これすごく面白いのが、ここまで厚く先生のすごさを語ってくれている資料の筆者の方なんですが、実は育児が忙しくて魔王の原作をまだ読んでないって告白してるんですよね。
- あ、はい。そこは思わず笑っちゃいましたね。偉大な作者は超人でも、読者は生活に追われる凡人なんだっていう。
- いや、私も忙しいとつい本をつんどくしちゃうんで、その気持ちすごくわかります。送ってくださった方も共感するんじゃないでしょうか。
- そうですよね。
- でもちょっと疑問なのが、その未読状態なのにアニメ版の魔王には絶対に面白くなるってすごく期待を寄せてるんです。これなんでそこまで言い切れるんでしょうか。
- えーと、その理由の一つとして、アニメの制作スタジオが関係してるんですね。イヌヤ社なんかを手掛けたサンライズ系統のスタッフが担当しているという点です。
- あー、なるほど。イヌヤ社のチームなら安心ってことですか。
- そうです。筆者によれば、彼らは高橋留美子作品の独特の、なんというか、間とか、湿度みたいなものを完璧に理解しているから、絶対的な信頼がおけるって分析してるんです。
- 湿度ですか?ギャグアニメみたいにカラッとしてないってことなんでしょうか。
- えー、単なる絵柄のことじゃなくてですね、例えばキャラクターがふと黙り込む数秒の沈黙だったり、背景に落ちる濃い影とか。
- 影とか雨音とかの環境音ですね。
- はい。まるで首筋にじっとりと濡れたタオルをまかれているような、肌にまとわりつく不穏な空気感ですね。それをアニメで表現する技術への侵害です。
- うわー、首に濡れたタオルってちょっとゾクッとしますね。パッとした驚かしじゃなくて、じわじわ来る怖さというか。
- そうなんです。だからこそ、その湿度を作れるスタジオが必要なんですね。
- なるほど。でも、魔王のあらすじって、令和の中学生が大正時代に行って、900年生きる陰陽師を手伝うっていうお話ですよね。
- えー。
- それだけ聞くと、なんか大怪な妖怪退治アクションなのかなって、私なんかは思っちゃうんですが。
- 実はそこが、アニメを4話まで見た筆者が気づいた一番重要なポイントでして。
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- と言いますと?
- この作品の本当の恐ろしさって、未知の妖怪とか化け物じゃないんです。人間が本来持っている執念とか嫉妬、要するに行の深さにあるって見抜いてるんですよ。
- あー、化け物よりも人間の方がよっぽど怖いぞと。
- えー、手塚八物ドロロとか、高橋先生ご自身のホラー傑作である人魚の森に似た狂気感があるんですよね。で、それを最大させてるのが、大正時代っていう舞台設定の妙なんです。
- 大正ロマンって結構華やかなイメージがあるんですけど、それがどう関係してくるんですか?
- あのー、大正時代って電気が普及し始めて文明が明るくなった時期なんですけど、逆に言うと、だからこそ光が当たらない場所の濃い闇が余計に最達時代でもあるんです。
- あ、なるほど。キャンプの夜に強力な懐中電灯をつけると、光の先の暗闇がもっと不気味に見える、あの感覚ですね。
- まさにその通りです。科学が発展しつつも、まだ怪談とか呪いが似合う闇が残っているからこそ、人間のドロドロした内面がより湿度をもって浮かび上がってくるわけです。
- 明るさと暗闇が共存しているからこそなんですね。いやー、それは視覚的にも心理的にも引き込まれますね。
- ええ。資料の筆者の方も、この考察をきっかけに、よし、これを機に原作をちゃんと読もうって決意されてて、なんだか微笑ましかったです。
- ええ。人生が積み漫画状態になっているっていうのは、リアルで愛おしいですよね。
- ですよね。今回資料を送ってくださった方の日常にも通じるあるあるだなあって思います。私も積んである本を開きたくなりました。
- そうですね。じゃあ最後に、今回の考察を通してちょっと考えてみたいことがあるんですが。
- はい。何でしょう。
- 大正時代のように電気で世界が明るくなっても、あるいはAIやネットが普及した現代においてすら、なぜ私たちは未知の化物よりも人間の内なる欲望とか嫉妬に一番強い恐怖を感じてしまうんでしょうか。
- 文明がどれだけ進歩しても、一番の熱みは人間の心の中にあるのかもしれないですね。
- うわあ、それはすごく深く考えさせられますね。明るい部屋にいるのに、なんだかちょっと背筋が寒くなってきました。次回の配信もお楽しみに。さようなら。