AI依存と格差社会
甲斐
次のトークテーマに行きたいと思います。
冒頭でもAIが信頼できないという話をさしあげましたが、この辺りに触れていきたいと思います。
AIへの過度な依存によって生じる人間的な側面への弊害、人間の退化、LLMの退化→Brain Rot、AIサブスク/AIマシンの有無による格差社会というので、
わりと人間がどんどん退化していくのではないかという、一番下が異質な感じで、AIサブスクというのが載っているのですが、
ちょっと気になるので、先にAIサブスクから言っていいですかね。これはどなたでしょう。これはどういう悪影響。
テクノエッジ 松尾
例えば、今のLLMについて、3つ主要なLLMを全部やっている人というのは、今、この中にどのくらいいらっしゃいます。
Gemini、ChatGPT、Claude、この3つを使っているという方。
甲斐
全部課金しているということですかね。
テクノエッジ 松尾
課金で使っています。
甲斐
有料課金で。3つはすごいですね。
テクノエッジ 松尾
その最先端モデルを使おうとすると、それぞれ例えば月3万円、それが3つマックスでやるとすると10万円近くかかるわけです。
それLLMだけでかかるという。
甲斐
3万円コースの話だったんですね。
3千円コースの話で手を挙げている人が多かったかもしれない。
テクノエッジ 松尾
そういうのがあって、一番いいモデルを使える人は最良の結果を得られる。
それは企業にしても同じことで、社員全員に最高のモデルを使わせられるのかどうかというようなところがまずありますよね。
それをクラウドにデータを全部依存するのではなくて、それは独自でやりたい、インハウスでやりたいという場合にはさらにお金がかかるわけです。
先ほどお話に出ましたメモリとかSSDとかGPUとかたくさん積んだものを自社のラックに持っておいて、
それで例えばgpt-oss-120bとかをそれで動かすとかことをやらないと本来の意味でのデータの外に漏れてはいけない情報とかはRAGとかにもできないわけです。
その辺をうまくやるのがprimeNumberさんとかそういった企業さんのミッションだと思うんですけれども。
そういう部分もあるので高いマシン、高いAIマシン、高いAIサブスク、この両方を人々があまねく使えるような社会にはまだなってない。
そこで格差社会はこれから生まれてくるだろうし、あと若い人たち、例えば小学生とか中学生とかがこういうものに触れられるかどうかというのは、
ご両親がそういうサブスクをちゃんとしているかどうかというのに多分依存するし、
それをやってないと学習の効率とかがだいぶ違ってくると思うんですよね。
というふうな問題が出てくるんじゃないかなと思います。
脳腐敗とデータ品質
甲斐
ちなみに参考までお伺いしたいんですけど、松尾さんはAIサブスクに月どのくらい使われてるんでしょうか。
テクノエッジ 松尾
20万。
甲斐
ちょっとした新卒の初任級ぐらいの、昔の初任級ぐらいありますね。
テクノエッジ 松尾
僕今ですね、年金をいただいてるんで年金を全部そこに費やしてます。
甲斐
ちなみに20万円で使ってる人います?
さすがにちょっとトップクラスでしたね。
ありがとうございます。
せっかくなので、退化の中でちょっと知らぬキーワードでこのBrain Rotというのをこちらも聞いてみたいんですけど、こちらはどなたでしょう。
お願いします。
Ledge.ai 武石
Brain Rotというのは脳腐敗、脳みその腐敗ですね。
脳腐敗仮説というのが研究の発表がありまして、これ何かというとですね、
LLMもいろいろデータを学習をして賢くなるっていうのが一般的な皆さん知っておられるご知識かなと思うんですけども、
その学習するにしても、今SNSとかでゴミのような内容の薄いデータっていうのも大量に作られていっている中で、
そういったものを学習していくとLLM自体も大化していくよみたいなところが脳腐敗というところでですね、
そういった劣化を観測されたという研究も出ていてですね、
これからどんどん精度を上げていく上でも、冒頭の話にもなりますけども、
データの品質みたいなところもちゃんと担保していかないと性能限界っていうところも見えてくるよねっていうところで、
人間にしても一緒だと思うんですよね。
SNSばっか見てると脳みそ腐っていくよみたいなものがLLMにも言えるっていうところですね。
もちろんOpenAIとかGeminiとかGoogleとかがLLMを上げるときに、
このSNSのゴミデータみたいなところをどこまで学習しているのかっていうのは分からないですけども、
オープンソースとかそういうので学習しているものとかは、
もしかしたらSNSのジャンクデータみたいなものを食わしていってしまったりとかですね、
ファインチューニングするときにもこういったSNSのジャンク投稿みたいなところを食わしちゃうと、
あんまり性能の向上につながらないよみたいなところにもなると思うので、
ぜひこういったところもちょっと悪影響っていうところでは一つポイントになってくるのかなというところで上げさせていただきました。
甲斐
結構興味深いですね。
結局なんか悪循環がどんどんぐるぐるしていくのか結構面白い。
今後どうなっていくのかすごい面白い。
Ledge.ai 武石
データが今後枯渇していく中でどうするかみたいなところもあると思うので、そういったところも。
テクノエッジ 松尾
それの意味で面白いのは、最近新しいデータがもう取るところがなくなってきてるっていう状況になってて、
フィジカルAIの未来
テクノエッジ 松尾
じゃあ次はどうするか。
じゃあ人間にそのデータを作らせるはいいんじゃないか。
良質なデータはそのLLMをやってるところが囲い込んで、
その中で必要とされるものをどんどんテキスト化したり資格情報にしたりとか、
それがお金のあるところはそれをやってるという。
甲斐
結局お金があるところが強いってことですね、これ。
テクノエッジ 松尾
お金とその精度を上げたいっていう考えがあるところですよね。
でもxAIのGrokとかあるじゃないですか。
あれはもともとXに上がっている投稿を元にしてたらあんな精度は上がらないわけですよね。
だからそういうどこから取るかっていう、これからどうしていくかっていう問題はこれから出てくるんじゃないかなと思います。
甲斐
AIのために人間が労働を捧げるみたいなことになるわけですね。
テクノエッジ 松尾
そうです、マトリックス的なやつですね。
マイナビ TECH+ 小林
その件は既に起きていて、海外だと本当にライターさんをAIに教育させるための文章を書くために
いくら払うから書いてくれっていう職業ができてるんですよ。
自分で自分の首を絞めるんだけど、お金のためにはそれをやるっていうのが既に起きていて。
逆に言うと多分日本もそうなってくる可能性がある。
一部既にランサーズとかそういうところを経由してそういうのをやってるって話は聞いていますし。
実際もうすでに飽和はしているっていうのが実情だと思いますね。
甲斐
結構怖い話ですね、これは。
割と私もライターの仕事もしているので、
ちょっとそれは確かに目の前の収入としては飛び散ってしまうかもしれないし、
未来はでもないって考えると結構怖いですね。
最後、暗い話よりは明るく終わりたいのですが、
最後、AIの未来、今後の期待ところをですね、
せっかくなんでここで皆さん挙げてもらったもの一つずつ、
ちょっと感想いただいて締めに入りたいと思います。
なので上から順番にいきましょうか。
プライベートAIアバター、フィジカルAIの普及と応用範囲の拡大、
AIを引っ提げてやってきた大学院生、完全自律型AIエージェントの登場ということで、
上から順番に挙手いただいて。
テクノエッジ 松尾
プライベートAIアバターというのは僕の妻のAIアバターを作るという話を今進めているので、
そういったものはすごく個人的なものではあるんだけれども、
これからは皆さん必要とされるんじゃないかなと。
個人情報をすべてそこのAIアバターに与えることになるわけですよね。
例えばChatGPTにしても、今Pulseという機能がChatGPTにはあって、
これをオンにしていると、これ課金ユーザーだけなんですけれども、
過去にChatGPTに尋ねたことをすべて記憶しておいて、
あなたはこれから次にこういうことを必要とするでしょうというようなことを提案して、
テクノエッジ 松尾
そのソリューションもすべて含めて1日に3個から5個ぐらい提案してくるんですね。
それが今かなり的確なものになっていて、
つまりこれってGoogleが数年前に言っていたプロアクティブなアンビエントなコンピューティングの
AIを使った完成形なんじゃないかなというふうに思うんですね。
それをやるためには個人との関係方法の密接にした、
先ほどの4oの問題とも密接につながると思うんですけれども、
完全信頼できるパーソナルなアバターというのを皆さんは必要とする、
そういう未来に来るんじゃないかなと。
そこで恋愛感情を抱いてHerの世界みたいになってしまう問題というのはあるかもしれないんですけれども、
そのくらいの出来事が必要とされるんじゃないかなと思います。
甲斐
これ奥様ではないんですけど、
これは松尾さんが実際に書かれた記事なんですけど、
写真1枚しかなかったお父さんをAIの力で動かすというのが、
白黒から動かした後、さらにカラーに持ってきて、
最後このぐらいのリアリティまで持ってくるというのが、
結構これは私読んだときに革命というか、
私も先日兄を亡くしまして真似したんですけどうまくいかなくて、
人間が先ほど結婚に行くのかみたいなところで過剰な意見もありつつ、
亡くなった人に思い馳せるという意味では、
ここ結構注目の技術なのかなというのは松尾さんの話を聞いていて思いました。
続きまして、フィジカルAIの普及と応用範囲の拡大。
マイナビ TECH+ 小林
僕ですね、さっきフィジカルAIでB2Bのビジネスサイドの話をしたので、
ちょっと経路を変えてエンタメ方向という話で、
何かというとサイバネティックというか、
人間の拡張という話があったりとか、
いわゆる義手とか義足みたいなものを含めてですね、
人間の行動を補助してくれたりとかという部分をフィジカルAIに入ってくるんですね。
もう一つ応用範囲の拡大で何かというと、
エンタメの話を聞きましたけど、
将来的にはドラえもんができるというか、
日本人に期待しているのはドラえもんだろうとよく言っているんですね。
何か困ったら助けてよってしょうがないなと言って助けてくれて、
しかも今だと、先ほどブラウザって話がありましたけど、
言葉で言ってくれるんだけど、
フィジカルAIになってくると後ろにいて、
手も出してくれるし足も出してくれるし指導もしてくれるという、
そういうのを多分日本人がすごい求めていて、
そういう時代が多分本当に来るんだろうなというのはすごい期待をしているし、
エンタメ業界もAIを結構使っていて、
最初の方にAIでドラマ作りましたよという話があって、
音楽も作ってたりとかするんですね。
音楽もゲームも今使ってたりとかしていて、
もっと極端な話を言うと、
メジャーリーグなんかはAIでストライクとかボールの判定をしますという話とかあって、
エンタメ業界は色々とAIを活用し始めていて、
日本のエンタメ業界って、
キャラクタライズビジネスがすごい強いので、
そういった日本人が好むようなキャラクターをしたAIバディというのが絶対生まれてくるというのが見えていて、
多分日本でしか受けないのかどうかちょっと分からないですけど、
やっぱり西洋だとさっき言った人型っていうのがリアルな方にこだわりを持つんですけど、
日本人はかわいらしいというふうに興味を持つので、
そういった意味でそういったバディがいて、
今日何々しなきゃダメだよとか、
人間に言われると腹立たれることも、
AIとかに言われると腹立たしくないという研究結果がありまして、
例えば自分のバディに言われても腹立たしくないっていうくらいの研究結果が出ていて、
AIと人間の関係の変化
マイナビ TECH+ 小林
そういったキャラクタライゼーションしたものが導いてくれるっていうのは、
一つ先ほどのいろんな話もありましたけど、
そういう指導役みたいな子たちでは出てくるんじゃないかなというか、
まさにそういうのが使える人と使えない人で、
いろんな差が出てくるかもなというのは感じています。
甲斐
はい、ありがとうございます。
続きまして、AIを引っ提げてやってきた大学院生。
データのじかん 野島
はい、フィジカルAIのほうが話したくなっちゃったんですけど、
フィジカルAIとさっきのデータがないっていうところがつながっているなと思っています。
日本の場合は確かにキャラクター、そして現実界っていう形でいうと、
人型じゃないロボット型みたいなんですけど、
海外とか特に中国とかだとAIが必要とされるデータが少なくなっているっていうのと、
人型のUI、ロボットがUIとして捉えて、
人間型になることによって人間の生活のインターフェースとして使える、
そこのドアノブも人型であれば使いやすくなるわけですし、
例だとガスコンロ開けるときも、
通常のロボットは変なこんな形ですけど、
人型になれば人のままできるわけですよね。
なので世の中のUIっていうのは基本的には人に合わせたUIになっているわけなので、
そこにロボットを当てることで、
それぞれのセンサーがデータが取得できるようになる。
人型ロボットがデータの不足も補う、
みたいな方向性っていうのが極致にはなっているとは思うんですよね。
じゃあその段階になったAIのロボットと人間がじゃあ何が違うのかっていうのが、
たぶん今後より議論が含まれていくと思うんですけれども、
その一つの象徴として先行として上がっているのは、
このAIを引き下げてやってきた大学院生というものです。
東京大学のエピソードですけれども、
東京大学に経済学の研究をしていなかった学生が、
その権威に経済学の勉強をしていなかったけれども、
AIと対話をして最先端な研究をしてきたというのを論文として持ってきたというエピソードです。
これ自体はいろいろしたがっていて、
その後教授がこれについて頼もしいなと思ったのと、
同時に恐怖心を感じたというエピソードを最後記しているんですけれども、
これが今我々が接しているAIに対する視点なのかなと、
頼もしいところもあるし、なんか怖いなというのがある。
それがある意味描いているだけですけれども、
じゃあこれが実際大学院に入った後、
これが普通になったときに専門知の優位性って何なのとか、
という議論になってくると思うんですよね。
なのでその時に対処できる答えが現状我々手元にないわけなので、
そこに対してどういうアクションを取るかというよりは、
どう考えるかというところは常々考えていきたいなというので、
このエピソードを挙げさせていただいた形です。
完全自律型AIの未来
甲斐
ありがとうございます。
これは私も思うんですけど、すごい興味深いですよね。
AI、楽するものに思われているんだけど、
活用すると大学の教授にびっくりさせるぐらいにまで、
素人がやってしまうというのはすごく面白い話で、
これぜひ皆さんも読んでいただけたらと思います。
最後に、完全自律型AIエージェントは武石さんですかね。
お願いします。
Ledge.ai 武石
そうですね。
先ほどもHerとかドラえもんとか挙がっていたと思うんですけど、
あとフィジカル、ロボティックスなお話とかもありましたけど、
やっぱり今ってまだどこかツールをまたいで、
仕事をしなきゃいけない、タスクを進行しなきゃいけなかったり、
本当の意味で、2025年はAIエージェント元年とは言われつつも、
完全にタスクを最小目的を与えたら、
最後まで遂行してくれる存在が出てきているかというと、
まだそこまでにはやっぱりたどり着けていないよね、
というところがあると思うので、
これから先、未来、今後の期待というところでいくと、
この完全自立型AIエージェントというところに、
どこまでたどり着けて近づいていくんだろうか、
みたいなところはすごい注目していってもいいのかなというふうには思っていて、
本当にHerみたいな世界観というか、
恋に落ちちゃうような存在が出てきたりとか、
ドラえもんのようにいろんな勝手に言わなくても
汲み取ってやってくれるみたいな存在というのが、
いずれは出てくるのでは、みたいなところに期待を寄せつつ、
ちょっと2026年のニュースをウォッチしていきたいなというふうに思っています。
データセンターの動向
甲斐
ありがとうございました。
フィジカルだったり、完全自立型AIとか、
まさにAIがどこまで人間に近づいていくのかみたいな話の一方で、
じゃあAIを使って人間何すべきかとか、
AIがプライベートAIアバターみたいに、
今までなかったことができるようになるという、
みんな新しい価値を見出すところで、
楽しみでもあり、不安もあり、
でもやっぱり基本的には、
AIにこれから期待していきたいという、
いろんな話が聞けたと思います。
ちょっと時間を押しているのですが、
せっかくなので質問がある方はこの場で、
この後懇親会でお話しするのも全然ありなのですが、
この場でちょっと聞いてみたいとか、
手を挙げてみたいという方がいらっしゃったら、
一時問をお受けしたいのですが、
Ledge.ai 武石
ではマイクをお持ちします。
参加者
さくらインターネットの由井と申します。
AIがすごく需要があって、
AIデータセンターだ、電力だとか言って、
データセンターはめちゃめちゃ流行っているんですけれども、
それだけど、
例えば大手の通信会社さんとか、
データセンターを切り売りしたりとかしている、
なんで自分で持たないのかな、
持つと楽しいのになとか思ったりするんですけれども、
雇用も生まれたりとか、
それはなんでなのかなという質問なんですけれども。
Ledge.ai 武石
これはどなたか、小林さんですかね。
マイナビ TECH+ 小林
僕しか答えられないと思います。
まず一つ多分アセットの問題ですね。
結局やっぱり土地持つ、施設持つ、
やっぱりそもそも資産になってくるので、
資産ってやっぱり帳簿上では負債になるわけですよね。
そこの負債をどこまで抱えるかっていう、
それ以上に富が生み出せるっていう資産があれば、
多分持っているんでしょうけど、
先ほど言いました電力高騰しますとか、
GPU1台今500万とか800万とかなんですよね。
それを買い続けるだけの体力あるかって言われると、
本業があるのにそれをやり続けますかっていう話。
オラクルが決算で相当株価落ちたっていう話もある。
あれもいつまでAI投資して利益を生み出す、
いつなんだって話が起因してるって話聞いてますし、
やっぱりその投資に対する効果がどこだけ見合うかっていう、
逆に言うとさくらインターネットさんみたいなところが餅は餅屋で、
そこにお任せできるんだったらそっちにお任せして
フィーを払うっていう方が賢明じゃないかみたいな話で
そういう動きになってるんだと思います。
参加者
なるほど。じゃあ頑張ります。
マイナビ TECH+ 小林
本当にさくらさん頑張っていただかないと、
日本のAIデータセンターってなかなか今の既存のデータセンターって
やっぱりさっき言ってた電力施設ですね。
あれが足りないんですね、容力が。
なんでそういった意味でさくらさんはそこに向けて
ちゃんとやろうとされてるんで、
そういった意味で本当に頑張っていただく必要があると思います。
参加者
フィジカルAIとかも作りたいな、
データセンター運用でとかも言ってたりするので、
そういう流行りを入れつつ、
皆さんの電力の供給にお役に立てればと思っております。
ありがとうございます。
甲斐
ありがとうございます。
では皆さまご登壇者ありがとうございました。
改めて皆さま拍手でお伝えしたいと思います。
ありがとうございました。