00:07
続ける 続ける 読み続ける 読み続ける 彼は読み続ける
老人に向かって 若者に向かって 少女に向かって 会社員に向かって 学生に向かって 老人性に向かって 美大生に向かって
小説家に向かって プログラマーに向かって デザイナーに向かって クラリネット奏者に向かって 陶芸家に向かって パティシエに向かって
彼は読み続ける ギャラリーで 読み屋の一角で ホールで 集会所で アトリエで 商店街で 少しの人の前で 被災地で 戦火の中で 彼は読み続ける
火に当たりながら 煮てらされながら おっかき消されながら 着信音に遮られながら オルガンを聞きながら 園屋に包まれながら
居眠りする老人を気にしながら あたを見ながら 来る日も来る日も 彼は読み続ける
なお 彼が読み続けていることで 世界があり続けることを知る
彼が読みやめる時が来ることなど あなたは想像することができない
03:00
世界があり続ける限り 彼は読み続けるだろう
彼が読みやめるその瞬間を あなたは知ることはない
しかし その時は確かに来る 彼は読み続ける
それが過去になる時が確かにある しかし今
彼は読み続ける あなたに向かって