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2025-01-11 22:29

#31 石垣りんの紹介と詩の朗読・解説(旅情、幻の花、暮らし) / 石垣りんの第二詩集『表札など』その2

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今回は、石垣りんの第二詩集「表札など」です。

100分de名著でも取り上げられた石垣りんの詩。
そこからお気に入りの作品を朗読しつつ、対話して味わいます。

サマリー

このエピソードでは、石垣りんの詩「旅情」と「幻の花」、「暮らし」が紹介され、各詩のテーマや内容が深く考察されています。特に「旅情」では秋の到来が表現され、「幻の花」ではさまざまな花の現れが取り上げられ、日常生活に根ざした「暮らし」の重要性が論じられています。また、彼女の詩集『表札など』の内容についても深く掘り下げられ、生活や自然に対する視点が探求されています。

旅情の探求
次はですね、旅情、旅の心、旅情。
本当ですか? 旅情、私の大好きな言葉。
ねえ、中田さんの好きな言葉だね。旅情、旅心、旅の…
気になる。
じゃあ、読んでいきますね。
旅情
ふと目覚めた枕元に秋が来ていた。
遠くから来た、と云う。
去年からか?と聞く。
もっと前だ、と答える。
一昨年か?と聞く。
いや、もっと遠い、と云う。
では、去年私の所に来た秋は何なのか?と聞く。
あの秋は別の秋だ。
去年の秋は、もうずっと先の方へ行っている、と云う。
先の方と云うと未来か?と聞く。
いや、違う。
未来とは、これから来るものを指すのだろう、と聞かれる。
返事に困る。
では、過去の方へ行ったのか?と聞く。
過去へは戻れない。
そのことは、お前と同じだ、と云う。
秋が来ていた。
遠くから来た、と云う。
遠くへ行こう、と云う。
なんか、すっげぇたまんなかったです。
たまんなかったですか?
はい。
ほんとに。
なんか、すっごい好きな詩になりました。
ほんとですか?
なんだろう、それは。
何が?
旅が好きなんですけど、旅の旅心でうまく言葉にできなくて、
いつも人に説明するときもマゴマゴしちゃうんですよ。
なんか、
この詩に何かが詰まってるな、と感じる。
勝手に感じました。
そっかそっか。
いいね。
これは?
これもう一回、ちょっと一回読むだけじゃあれだと思うから、
ちょっと最初から少し触れていくと、
ふと目覚めた枕元に秋が来ていた。
これまずここでも面白いね。
ふと目覚めたらね。
枕元に秋が来ていた。
その表現もいいね。
いいですね。秋と対応するわけですね。
遠くから来たと言うから、去年からか?と聞く。
もっと前だと答えるって言うんですよね。
遠くから来たって言うから去年ですか?って言ったら、もっと前だと答える。
じゃあ、去年じゃないんだったら一昨年?って言ったら、もっと遠いんだって言うんですね。
じゃあ、去年私のところに来た秋は何?って聞いたら、
あの秋はまた別の秋ですよ。
去年の秋はもうずっと先の方に行ってますんで、
って言うんですよ。
で、先っていうのは未来ですか?って言ったら、いや違いますって言うんですよ。
じゃあ先ってどこなの?って感じじゃないですか。
未来って、未来はこれから来るものでしょう?って言われるかもしれないし、
で、返事に困るわけですね。
で、「じゃあ、未来じゃないんだったら過去ですか?」って聞いたら、
過去へは戻れません。
もうあんたと同じですよ。って言う。
そうだね。
トンチみたいな英語ね。
トンチみたいですね。
が遠くから来たってまあ言ってた そして遠くへ行こう
最高ですねー 遠くへ行こう
大好きですねー
これねー これだから
その遠くとか先とかねこういうものが 過去現在未来の時間軸じゃないところから来てるって
ことなんですよ だから過去とかじゃない未来とかでもないってこと言ってるんですよ
うーんねー そうだよねそれが人間の直感感覚からすると少し変だから
会話がかみ合ってないですよ そうでもないんだって話だった
じゃあ遠いって何っていう そうなんですよ
うーん ねー
そうなんですよ これは
独ちゃんの取り文ですけれどもね なんかねこの遠くっていうのはなんかもうあれでしょ
過去現在未来とかじゃないもの だから例えば何か永遠の世界に
から私たちは来てそしてまた永遠の世界に帰っていくんだ だから遠くへ行こう
遠くから来て遠くから行こう この旅心っていうのはある意味人生という旅
本当だねー そうだよね
でも中田さんが言うようにいわゆる我々がする旅も
なんかそうかもしれないですね いつもとは
異なる世界に 遠くへ行こう
うん なんかなりますね
そうですよね いわゆる旅みたいな話と人生っていうのもそもそもがちょっとこう
幻の花について
フラクタク なんてフラクタクっていうかなんていうか そういう構造の中にありますからね
旅心っていうのはもうもはやそうですね 人生というもののエッセンスを含んでいるでしょうね
うん
すっごいいいなぁ
これはまたしかも面白く読みやすいというかスッと
そうだねー 物語ってか童話みたいな
童話みたいなかわいさもちょっとあるっていうか
いいねー
秋なのもいいねー 秋なのもいいねー
トークっていう言葉ほんとだね読者の取り分ですね
うん じゃあ次の作品行きましょうか
いいですねはい 次は
幻の花 幻の花
はい 行きます
幻の花 庭に
今年の菊が咲いた 子供の時季節は
目の前に一つしか展開しなかった 今は見える
去年の菊 おととしの菊
10年前の菊 遠くから
幻の花たちが現れ 今年の花を
連れ去ろうとしているのが見える ああこの菊も
そうして別れる 私もまた
何かの手に惹かれて なんかさっきの作品とちょっとこう
ねえ去年の菊おととしの菊 そうです
そして遠くという言葉もね うーんとなっててこれこのさっきの詩とこの詩は間にでも何
ペンが挟まってるんだねこれね うーんでえっと僕はちょっと飛ばしてこれこっち紹介したんだけども
これ面白いよねこれがなんかその詩のこの順番の妙なんですよね ああ順番を変えることによって生まれ出る
意味や物語っていうものが出るっていう ああ
さっきの聞いたから今の方がそうなった感じ方があってそうそう はぁはぁはぁ
本当ですね
庭に今年の菊が咲いたって言って 子供の頃は
ねえ季節は一つ目の前に一つしか展開しなかった でも今は見える去年の今年の菊に去年の菊もおとしの菊も10年前の菊も
後半がすごいですよ 遠くから幻の花たちが現れ
今年の花を連れ去ろうとしている いやー
遠くっていうのはなんかすごいやっぱねー もう一つの世界なんですね
なんかねー そうして別れる私もまた何かの手に惹かれて
言うんですけど これはあれじゃないですかこれはなんかそのいや
うーんそんなの死にたくないよーとかというよりかはもうあれなんじゃないですか やっぱ雷豪図なんじゃないですか
お札たちが 派生してきて
手を引いて連れて行ってくれるってことなんじゃないんですかねー うんうんうん
幻の花たちが現れてるって言うんですよ
これちょっと石森美智子さんの幻の花をちょっとやっぱり なんかこれ思わざるを得ないですね
これ本当に ちょっと次の回になるのかな
いやこれ配信順番変えようかな 変えてもいいかもねー
石森美智子さんがあの花っていうのはメイドに行く花あかりなんだっつって 出た花でもあるし
ねえ亡き者たちをしのぶための様子がなんだとも言ってましたよねー そういういろんな役割をするんですねあの花っていうのはね
日常の暮らし
もうあれはもう菩薩の現れですよねー 素晴らしい作品だなこれは
本当に こういう符号があるのもなんかいろんな作品に触れる面白さですね
うーん そしたらちょっと次ラストの作品
紹介してもいいかな ぜひはい
えっとね次はね暮らしっていう作品なんですね ねー
あの ここまで紹介してきたもの
って何だろうなぁ えっと
まあ なんだろうな 石森美智子さんの作品本当に豊かだから
あの少し世界観としてはやっぱり石森美智子さんとかね そういうところに近しいものがあるんですけれども
今から読む暮らしっていうのはね非常に日常的なねー 作品なんですよでこっちの方が多いんですよ
石森美智子さん? 石垣凛さんっていうのね
はい こっちの方が多いんですよ
まあちょっと読んでいきますね はい
暮らし 食わずには生きてゆけない
飯を 野菜を
肉を 空気を
光を 水を
親を 兄弟を
死を 金も心も
食わずには生きてこれなかった ふくれた腹を抱え口を拭えば
台所に散らばっている人参の尻尾 鳥の骨
父の腹綿 四重の日暮れ
私の目に初めて溢れる 獣の涙
なんか日常みたいなことを聞いてたので
ちょっとまた違う角度を感じて すいません
びっくり 確かに
石垣りんと詩の世界
そうだね いや僕もこれ今さっき言ったけど 改めて読むと
地続きの世界観だね これね 入り口が暮らしの中であって
ねー 確かにね
ねーこれ ねー
すごいですね これね そうだよねー
親を 兄弟を そう 死をつつは死生の死なんですよ
あーそういうことか
これ面白いね これ食わずには生きていけない 飯を野菜を肉をっていうのはね分かりますね
そうだねそうだねと思って聞いてました
でもそこから変わってきますね ちょっとね 空気を光を水を 光を
これ空気確かに吸ってますね まあそうだね 光浴びてるし 光浴びてね
光浴びることによって私たちなんかいろんな効果あるんでしょう なんかあのちゃんと目が覚めて
でちゃんと夜が眠れるようななんか物質に変わっていくみたいなねこともあるでしょ
で水をってここの水はねこれね 飯を野菜を肉を水をって言った時の水と
このね 空気を光をって言った後の水ってね これ水が違うんですよ
あーなるほどね この順番で出てくる水っていうのはね
これもう私たちを支えている ありとあらゆる水を含んでますね なんかねこれ
あーなるほどなぁ コップ一杯で飲む水というよりはもっと中小度というか何だろうな
そう 水たる水
そう私たちの例えば血とかね 血も私の体内って水で多いから血も水ですしね
なるほど 海も水ですしね雨も水ですしね
なんかいろんなものが入ってるんでしょうねこれね なるほど
で 親を兄弟を師匠を
この辺になってくるとこれねすごいことなってきますねこれね そうそう油断してましたから
ねー でもねこれもね本当にどう捉えるかですけれども 例えばの捉え方ですけど
うーん
まあやっぱなんでしょうね 親を食うってことはあるかもしれないですねなんかね
親の 親に育てられますね だけどもあるフェーズからはこの
親を超えていくというかね親をしずえにしてやっぱり生きていくってことになる でしょうし
ねえ親がかけてくれたこの期待っていうものから来る何か私たちの無意識にこの 住みついてしまった縛りというものを自ら解放させるってこともなんかあるでしょ
ねえ うん
で師匠っていうのは
ねえ これもまああるんでしょうねだから親と同じような感じで師匠の教えを主張りとして
超えていくっていうことがやっぱりあるから師匠を食うみたいなことが何かあると いうかで
なぁ 家庭家庭にしていくみたいな感覚にも近いんですか
おでしょうね いいですがですね
食べ物って家庭ですもんね 家庭
そうなんでしょうね うーん
そして金も心も 金も心も
詩の朗読と解説
ねえ わずか大秘もやばいねー
大秘もすごいねこれねー 金も心も 月とロックペースみたいな感じだね
そうだね 体も心もとかねなんかそういう
ならまだすっか金も心も なんか並列にならないのか面白いなぁ
わずには生きてこれなかった 触れた腹を抱え血を拭えば
台所に散らばっている 人参の尻尾
鳥の骨 まあここまではねなんかこうまたさっきと同じで
飯を野菜を肉をみたいなね生活感のある風景として浮かびますねー そっからね父の腹綿
言うんですよねいやー 始終の日暮れ私の目に初めて溢れる
獣の涙
ちなみに始終というのはの40のことですかそうですねー うんこれは
うーん これまぁどうなんだ40歳40歳にしてってことなのかな
を4読めますねうん 直感的にはうーん
40歳にして 初めて溢れる獣の涙
みんなはちょっといろんな何が含んでますねー ん
先ほどまでのと遠く遠くみたいなものを運んだんだここになっ なんだろうな
そういうものとの 何か重なりも勝手には感じてしまいましたが
どうなんだろうなぁ ねー
ワンカンの思いが 生んだ
涙ですねー
これ私あの 古書をねですよ一応これねで
古書を買うってことは誰かが読んだ後の本なんですよ はいで確かにこれ
古書を買うミルクの一つなんですけどね うーんあのこの作品の下にねこれね
死が書かれてあるんですよ鉛筆で えーほんとだなこれ死がね7、8行くらいの死が書かれてます
そう何ページかねこれ次もね 次はこれ洋都っていう死なんですけどそれも全くねまた同じように長い
死が書かれてあるんですよ 余白にね鉛筆書かれてる
これはもう完全模写というか写狂したんじゃなくて 新しい作品として書かれてるってことですか
そうこれ読むね 読み人知らずの
そうなんですよ こういうのと出会うっていうのもねこれ
古書の魅力ですねほんとね 中にいいですね
いい それじゃあ読んだんですかその作品も
うーん読みましたもちろん うーん
なんか読んでて浮かんできたものを書いたのかな うーんそうだと思いますね
うーん これ
なんともいいですね なんともいいんですよ
なんともいいわ なんともいいですね
うーん
なんか どっから来たのってあの秋に聞いた感覚をなんかその本に投げかけてみたくなったなぁ
うーん なんか
すごい いいなぁ
ねー確かに いつの時代の誰が書いたかわかんないです
ねー それこそもう生きていらっしゃらない方かもしれない
死ねない
いいじゃないですか
じゃあ このあたりで終わりましょうかね
終わっていきましょうか はいありがとうございましたありがとうございました
22:29

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