| 今回は、小児外科医である松永正訓の『運命の子 トリソミー』です。 本書との出会いは、街録chでの配信がきっかけでした。 このラジオを通じて、 ・松永先生の生きる姿勢や ・障害児をもつ両親の葛藤と受容するプロセス を深めていきたいと思います。 街録chでの放送回 https://youtu.be/a7pmeD86ML0?si=WoWGvha7-drqt0R5 |
サマリー
このエピソードでは、障害児を持つ兄弟の気持ちや祖母の視点が語られています。特に、朝日くんの兄が抱えている複雑な感情や、おばあちゃんが家族をどのように支えているかが描写されています。また、家族間の共感やそれぞれの悩みにも焦点が当てられており、障害児を持つ家庭の複雑な感情が表現されています。
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はい、続きなんですけれども、次第六章入るんですけど、ちょっと第六章、第七章、二つセットで部分的にちょっと紹介したいなと思っています。
兄の心情
で、第六章はね、兄の心の中にあるものっていうタイトルになってるんですけど、これあのお話戻って、あのこの朝日くんって、お兄さんがいますと。
で、その子の心情のことが少し書かれてあるんですね。
すごく、何だろうな、ああそうか、こういうことになるのかってことが、大事な視点取得だなと思って、この兄弟に焦点を当てるということが。
なので、ちょっとこの一部分を読んでみます。
はい。
はい。
確かに親子って話は結構扱われやすいけど、そこにいる兄弟とか、同じくね、子供の時代を育っていくその子たちの話か、確かにあんまりなかなか出てこない話かもしれないですよね。
そうなんですよ。いやあ、確かになって思いますね、本当にこうなってしまうんだな、こうなってしまいがちなんだなって。
ああ、さっきのその精神的なダメージがって話。
そうそう。で、疎外観とかをどうしても覚えてしまう。そういうのが出てきてしまうと、両親はさらにつらいですね。そういうふうなことをさせたくないのに、そういうふうな疎外観を覚えさせてしまってるって。
これね、実は7章のところで、おばあさんが語るんです。おばあさんというのは朝日くんのおばあさんが語ってくれるところがあるんですね。これはあれですね、お母さん慶子さんのご両親はもう亡くなっていて、お父さん信敏さんのご両親はまだ生き残っているから、お父さん信敏さんの方のおばあちゃんですね。
が、そのおばあちゃんが朝日くんのお兄ちゃんのこと、孫2人いるわけですよ、おばあちゃんからすると。弟が朝日くんで、お兄ちゃんがいて、そのお兄ちゃんのことをおばあちゃんからどういうふうに見えてるかってことが語られてるんですよ。
この章、それは次の章。
祖母の独白
そうそう、第7章ではね、祖母の独白。ちょっとお兄ちゃんのところだけピックアップしようと思って、第7章、おばあちゃんの独白って章の中にあるちょっと一部分を読んでみたいと思います。
おばあちゃんが言います。朝日のお兄ちゃんの心は結構複雑なんです。先日もプールに連れて行く約束をしていました。それで自宅にお兄ちゃんを迎えに行ったんです。
するとなぜかお兄ちゃんが家の前で、家の中じゃなくて、家の前で私を待っているんです。私が、お兄ちゃんちょっと待って、朝日くんに会いたいからちょっといい?って聞くと、お兄ちゃんは大むくれになるんです。
って言ってるんですね。祖母が朝日くんに会うってことをブロックしようと玄関で待ち構えていたってことなんですよ、お兄ちゃんが。
おばあちゃんが言ってます。
お兄ちゃんは朝日が生まれてくることをものすごく楽しみにしていたのに、病気で生まれて本当にがっかりしていました。でも朝日が好きで、でも一緒に遊べないとイライラしてしまうんです。
そして周りが朝日を可愛い可愛いと言うと、ものすごくやきもちを焼くんです。お兄ちゃんの気持ちは簡単じゃないと思いますよ。外では絶対に朝日の話をしませんから。本当だったら学校で弟ができたって自慢したかったと思うんですよ。
昨日もお兄ちゃんはここに遊びに来たんです。ボールを放ってそれをバットで打つんですね。するとお兄ちゃんは、10回のうち5回バットに当てたらおばあちゃんは朝日に触っちゃダメって言うんです。あの子の気持ちを考えると何とも言えない思いになりましたよって言ってるんです。
お兄ちゃんもどうしていいかわかんないっていうかね。子供心で受け止めきれないというか、自分がどう何を思ってるかもうまくわからないしみたいな感じなのかな。
うちの兄貴、長男の子供男さんにいて、真ん中の子はもっとかまってほしいって感じ見えますけどね。
だからそういうのって兄弟に起きる気はするんですけど、でもこういうケースはまたもうちょっと特殊なケースでもあるというか。
親がお兄ちゃんのことをちゃんと可愛がってあげたくても、どうしても介護で可愛がってあげれない、入院で一緒にいることができないみたいなことがどうしても出ちゃいますからね。
どうしても物理的な時間を均等にしようとするのは難しかったりするでしょうしね。
でも自分も兄貴なんで、全然状況は違うけど、その心情のところに身に覚えはありますね。状況は違いますよ。深さも違うし。
そっかそっか。そうだよね。俺はさ、四人兄弟の末っ子だからさ、あんまりこういう感覚がなかったんだけどね。
最初は自分が可愛がられてるからね。弟が生まれてくる前は。その後それはある種失う感覚になるから。またちょっと違うんでしょうね。弟からの視点と。
うーん。何とも言えないですね。
ほんとね。だって絶対好きじゃないですか、朝日君のこと。
兄ちゃん。
そうなんですよ。
でもそれを言っちゃう。何とも言えない。
一緒でございます。
そっかそっか。あれ、六章のお兄ちゃんの語りはないんだ。
六章のね、お兄ちゃんの語りありますよ。
それが今回の本編っていうか、ではなかったですか。
あんまりそこは今回省略しないでいいかなと思って、あえてピックアップしなかったんですけれども、書いてあります。
松永先生も朝日君とこのお兄ちゃんの兄弟関係っていうものがどういうふうになってるのかってことに対してやっぱり気になって、
お兄ちゃんに話し気がしてほしいって、お母さんに、けいこさんに言って、松永先生とお兄ちゃんが喋る場面もあるんですね。
へー。
でもまださ、小学1年生だからさ、うまくあんまり答えれないんですよ。
で、照れ隠しみたいなことが起きて、みたいな感じの様子が書かれてありますね。
でもね、読んでるとね、お兄ちゃんはお兄ちゃんでね、お兄ちゃんなりにこの弟を可愛がってるんですね。
そうでしょうね。
弟可愛がってるんですよ。それがすっごく伝わってきました、本当に。
そうだよね。大人になったお兄ちゃんが今この描写を読んだらまた違い、いろんなことを感じそうですしね。
ね。本当に。なんか優しいお兄ちゃんになっていくような感じしますよね。
そうなんですよね。
家族の支え
そうなんですよ。それでちょっとせっかくなんでね、第7章、祖母の独白、これおばあちゃんの心情みたいなこともちょっと書かれてあるんですよ。
そこもせっかくなんで少し紹介していいですか。
もちろん。
これね、松永先生がおばあさんと話をする場面なんですけれども、
さっきお兄ちゃんの話を聞けたのはそこなんですけど、これ前提としておばあちゃんなんか自分で小料理屋やってるんですって。
そこに食べに行って、客が誰もいなくて、そこで松永先生とおかみ、おかみっておばあちゃんなんですけど、朝日区のおばあちゃんなんですけど、話すっていう、そういう感じになっています。
では、次の話を読んでいきます。
信俊の母は私の目をじっと見つめると、この日一番痛かったことを真っ先に言った。
言いながら彼女の目にはたちまち涙が浮かんでいった。
おばあちゃんのセリフです。
朝日の病気は染色体異常って言うんでしょう。
13トリソミーって聞いています。
朝日が生まれて、うちの家族の中で一番打撃を受けたのはケイちゃんじゃないでしょうか。
自分が産んだ赤ちゃんに病気があって、女としてすごくショックだと思いますよ。
ケイちゃんには両親がいないでしょう。早くに亡くなられて。
だから私たちがケイちゃんの両親の分まで支えになってあげたいんです。
言うんです。
続き、本当だったらもっとケイちゃんを助けてあげたいんだけども、私こういうお店をやってるでしょう。
そうするとケイちゃんは遠慮してあれこれ頼んでこないんです。
だからそれが本当にかわいそうというか、痛々しいというか、もどかしいんです。
自分の親がいれば、普通はもっと甘えたり、愚痴を言ったり、いろいろ言うでしょう。
だけどケイちゃんにはそれが一切ないんです。だからケイちゃんが不憫なんですよ。
って言うんですよ。
すごいですね、これ。
シュートメスさん、すごいですね。ここまで汲み取ってくれて。
改めてケイ子さんのご両親がいないって、そうかそうかそういうことなんだなって、
読んでて意識がそこまでいけたんですけど。
いやそれでね、これね、ちょっと印象的な会話があるんですよ。
ちょっと読んでみますね。
これね、おばあさん、初めてあさひ君に会った時に、
痛ましくて怖かったって言うんですよ。
でね、怖くて会いに行けなかったって言ってるんですよ。
そのおばあちゃん。
おばあちゃんも。
でね、その時に、今はでも怖いなって言うんですよ、あさひ君も。
だからどういう変化があったんだろうってことを松永さんが聞いたんですよ。
すると、おばあちゃんが言います、これ。
あさひが生まれて10日くらいかな、のぶと氏がこの店に来て怒りだしたんですよ。
母さんはあさひをお兄ちゃんと差別している。あさひを認めていないって。
私差別しているなんていう気は全然ないんですけど、のぶと氏にはそう見えたんでしょう。
お互い感傷的になりましてね。
ちょっと距離を置いて冷静になろうと分かれましたけど、のぶと氏は完全に不敵されてましたね。
それから何日かして、のぶと氏が謝りに来たんです。
なんでもそのことをけいちゃんに話したら、けいちゃんがのぶと氏をものすごく叱ったそうなんです。
それでのぶと氏は反省して、おふくろごめんな、この間は悪かったって。
私はそれを聞いて、勇気を出してもう一度あさひに会ってみようと思いました。
って言ってるんですよ。
これで、会ってみたらものすごく可愛かった。
で、抱っこしたら、やっぱり可愛いって言って授与するんですって話になってくるんですけど、
ここのぶと氏さんがすごい怒った場面だったんですよ。
これまでの印象とかから考えるとね。
これすごい大事な怒りですよね。
それもうちょい聞くと。
お母さんはあさひを兄ちゃんと差別してる。あさひを認めてないって怒ったって言うんですよ。
で、これここまで怒ったからこそ、これお母さんってかね、おばあちゃんですけど、
もうなんか響いたところがあったっていうか。
いいえ、そんなつもりはないよってなって、
なんかその恐ろしい気持ちと向き合うことになったというか、
こう言われたからってことが起きたように見えて。
なんかそこに間に、けいこさんでしたっけ?
そうね。
けいこさんに怒られて、
謝りに来たっていうのも入ってんのも、
なんかね、味わい深いっていうか。
要は、切れて説得したみたいな話じゃないんですよね。
切れて、後日反省して息子に謝らせちゃったみたいな話。
なんかそのあたりも含めて最後おばあちゃんが動かされたっていうか。
そうなんですよね。
これけいこさんはやっぱりおばあちゃんの気持ちわかるんだと思うんですよ。
けいこさんも見るのが怖かったっていう話。
前々回ぐらいでしたと思うんですけど。
兄弟と祖母の心情
その気持ちがやっぱりすごくわかるし、それが一般的なんだよってことを、
のぶとしあなたが特殊なんですよっていうことを言ったんだと思うんですよね。
だからそんなに怒っちゃいけないって。
その気持ちもちゃんと受領してあげなきゃってことを、
多分そういう類のことをけいこさん言ったんでしょうね、これね。
だからのぶとしさんもあ、そうかっつって、すまなかったなっつって謝りに行ったと。
そののぶとしさんもいいし、中田さんおっしゃる通り、
これおばあちゃんはおばあちゃんで、謝られてしまった手前。
ね、そののぶとしさんの後も感じるだろうし。
なんかスーって心が動いたのかなと思った。
スーってそのまま。
心と体が動いて会いに行けたって感じなのかな。
確かになんか印象的。
すごいいいですよね、これ。
だからこうやって見るとさ、兄弟の気持ちもあるし、
おばあちゃんの気持ちもあるしっていうのももちろんあって、それぞれに。
で、このおばあちゃんはこのご両親だからこういうふうなことが起きたんですよね。
こういうドラマが。
確かに確かに。
この周囲にいる人たちっていうところの想像力はやっぱりどうしても抜け落ちちゃうところがありますね。
こういう話の時ね。
そうなんですよ。
だからすごいなんか読んでて、やっぱ入って行っちゃったし。
そうか、おばあちゃんにはおばあちゃんの、お兄ちゃんにはお兄ちゃんの悩みがあるんだなって思えて。
そういう意味でもちょっとすごくぜひなんか読んでみてほしいなって気になる方は。
ね。
思います。
家庭の共有体験
一旦ちょっとこれで終わりましょう。
はい。
また続きあります。
で、僕としてはここからさらにちょっとすごいことが起きてくるので、また次回ぜひ扱えればと思います。
ありがとうございました。
ありがとうございました。
今回収録後に2人で感想を話しているところありますので、おまけでつけておきます。
いい本だなあ。
いい本ですね。
なかなか声にならない声みたいなところの話だったなと思って、6章は。
救われる人いる章なんじゃないかなと思う。別の角度で思った。
そうですよね。
なかなか扱われないテーマだったりするのかな。
そういう意味でこういうことにやっぱり関係がある人って多いんですよね。実はね。
いっぱいいらっしゃるんでしょうね。
なんかいいですね。お兄ちゃんの心情、中田さんが自分もちょっと近しいところ感じますって言ってくれたじゃないですか。
また全然ね。質感は違うけどね。
違うけど、でも少しわかる部分、少し共鳴する部分あるじゃないですか。
それ多分全お兄ちゃんが感じられる部分だと思ってて。
それはそれですごい大事だなって思って。
確かになんかうまく言えないけどすごいそんな気がする。
なんかそうなんだよなぁ。
なんかそんな気がしますね。
別のケース、なんか全く別の家族のケースなんです。
っていう感じでもないっていうかなんだろうな。
やっぱり家族、兄弟ってそこは共有してる感じするねみたいな。
なんかそこって別にその病気とか障害とかもあるし超えたところで
なんか共有してる体験としてなんかね。
それがなんかすごいうまく言えないけど大事。なんか嬉しい。
いやーそんなんだよなぁ。
じゅんさんまた4人兄弟の折行、さっきから折行の対談もあると思うけど。
いやいやいや。
でも俺あのお母さんにさ、あれなんだよな。
お母さんにインタビューというかさ、そういうのしてた時がなんかあったのね。
お母さんがどういう風に生まれてきて、どういう子供時代に生きてきて、
お母さんはおばあちゃんとの関係性どうだったのとかね。
そういうの聞いてた時期あったんですよ僕。
そういうの聞くのがすごい好きで。
そういうのがみゃくみゃくと自分に流れてきてんだなって思って、
なんかよく聞いてたのね。
で、なんかね、なんかある時ね、そういう話してる時にね僕ね、
実は寂しかったんだみたいな話をしたんですよ、親に。
うちの親って結構子育て方針があって、
可愛い子には旅をさせようとかなんだろうな。
よくうちの母は捨て育てって言ってたんですけど、
とにかく徹底的に甘やかさないっていうことを徹底した人なんですよね。
で、僕も覚えてるんですよ。
一人で留守番してたんですよ、もうちっちゃい頃から。
今ではあんまり考えられないような気がするんですけれども、
時代も時代があって。
そういうのがすごい寂しかったっていうのが僕の記憶の中に残ってるんですよ。
で、その話をしたのね。
で、そしたらお母さんが申し訳なかったって言ってくれたんですけど、
なんかね、僕申し訳なかったって言ってほしかったわけでもなかったんだよなって思って。
申し訳なかったって言わせたごとに申し訳ないって思ってしまったみたいなことがあったんですよ。
なんだよな。
いやいや、そんなことないんだよ。
だって、ねえって言って。
俺もカバーする言葉出したんだけど、その場です。
うーん。
だからね、申し訳ないって言われたら、この言葉聞きたかったんじゃないんだ。
だよな。
でも俺もなんか、なんで言ったんだろうな。
そうですよね。
じゃあ俺なんでこれ言いたかったんだろうって。
ねえ。
でも言いたくなったっていう。
ちょっともう今となっては思い出せないんですけど。
なんか会話の流れで、なんかなったんですよね。
うんうんうん。
そうだったんだ。
電話越しに1時間半ぐらい喋ってたんですけどね。
うちの母が泣いてた気しますね、ほんとに。
うーん。
でもなんかそういう記憶が、今この本に触発され、
なんか自分の中で蘇ったってことも、なんかいいよね。
なんかいいよねというか。
そうなんですよね。
すごくいい読書体験ってこういう感じですよね。
なんかそんな気がするよね。
自分の中の大事なことが思い出されてくるっていうね。
確かにね。
頭だけでなんか理解しようとか。
なんか咀嚼しようって感じとか。
そういうことじゃないところをね。
時間過ぎてから終わりましょう。
すいませんね。
すいません長い間。
いい時間でした。
いやいやいや。
こちらこそいい時間でした今回も。
はい。
じゃあまた。
ありがとうございます。
またまた。
ありがとうございますジョンさん。
25:48
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