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2025-03-29 39:30

#42 愛と赦し・カテリーナとドミートリイの名会話シーンの朗読・解説 / ヒョードル・ドストエフスキーの最高傑作『カラマーゾフの兄弟』その11

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今回は、文学史上最高傑作であるヒョードル・ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」です。

私が最も愛読している本です。
文学の魅力はあらすじではなく、具体的なシーンの中に現れます。
あらすじでは省略されるような、でも大事なシーンを集めてきました。
朗読とともに、彼が描いた深いテーマを一緒に深めていきたいと思います。


 

サマリー

ポッドキャスト第42回では、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の名シーンが朗読され、愛と許しのテーマが描かれています。特にカテリーナは、ドミートリーの裁判やアレクセイとの対話を通じて、彼らの関係が深まる過程に焦点を当てています。エピソードの中では、ドミートリーとカテリーナの間に交わされる愛と赦しに関する深い対話が展開され、彼らは互いの愛情と許しを確認しながら、過去の痛みや誤解を乗り越えようとする姿が印象的です。このエピソードでは、ドミートリーとカテリーナの対話を通じて、愛と赦しの重要性が描かれ、彼らはお互いの過去の行為を理解し、真の愛をもって互いに赦し合う姿が描かれています。

エピローグの導入
じゃあ中田さん、今日もお願いします。
お願いします。
いよいよ最終回でございます。
いやー、ついにね。
ついに最終回です。
さっき見直してたら、初回が1月18日放送だったので、
はいはいはい。
2ヶ月ぐらいかけて、
そうだね。
カラマーゾフの兄弟やってきたって感じですね。
そうですね。
今日扱うところは、
裁判が行われた後ですね。
もうエピローグ、
ショーとしてはエピローグって書かれてあるところなんです。
うーん。
そっか、ドミートリの裁判ですよね。
そうそうそうそう。
それが終わって、エピローグ。
そうです。
でこれね、本当に最後の最後また、
アレクセイが子供たちと話すシーンで終わるんですけれども、
そこはそこで、ちょっと今日は扱わないんですけれども、
なんかあの、やっぱり考え深いところがあって、
カテリーナの葛藤
なんですけど、僕としては、
いやーここすごいシーンだなって思うところがやっぱあって、
そこを今日はちょっと読んでいきたいと思ってます。
で、どういう場面かっていうところを最初に説明しておくと、
カテリーナっていましたね。
さすがに覚えましたね、カテリーナ。
そう、ドミートリーの婚約者だった。
カテリーナとアレクセイと長男ドミートリー、この3人が、
まあこう、絡み合う場面なんですよ。
うーん。
それでね、えっとドミートリー、長男ドミートリーが、
カテリーナに会いたいって言ってるんですよ。
ほうほうほう。
で、今から読む場面は、
アレクセイがカテリーナに兄に会ってくださいっていう風に話しかけるシーンなんです。
なるほど。
で、カテリーナはそんな会いに行けませんって言うんですよ。
うんうんうん。
で、これ何でかっていうとね、
まあこれ裁判の場面、結構分厚くやっぱ書かれてて、
そこを今回飛ばしてるんですけれども、またちょっと読んでもらいたくて。
で、ちょっとだけ話すとね、カテリーナがやっぱり裁判の場面で、
とても重要な、本当に分岐点になる人になってたんですよ。
うん。
カテリーナの発言というものが、裁判を犯すような重要な発言をしたんです。
それ、過去の回で触れたイヴァントのやつの話ですよね。
そうですそうです。救世者になるのか破滅者になるのかっていう。
はい。
で、これね、もう結論を話しちゃうんですけど、全然読むときはもう大丈夫、なんかそのそれ以上に面白いから、
一応、なんだろうな、両方の役割をやったんですよ、結果的には。
両方?ちょっとどういうこと?
ドミートリーが裁判での様子を、カテリーナがドミートリーの様子を見たときに、
もうこの人をやっぱ救いたいって思ったんですよ、カテリーナがね。
うん。
救世主の役割をしたんですよ、カテリーナなりに。
それは見事だった、本当に。
カテリーナは自分を犠牲にしてまで、ドミートリーがすごい人なんだっていうことを証明しようと試みたんですよ。
それは自分の恥とかを晒してでも、でもこれでもドミートリーが私を救ってくれたんだみたいな、
まあそういうね、なかなかあそこまで自分の恥ずかしいところを解決することはできないと思ってて、
でもそういう振る舞いをして、ドミートリーって実はいい奴なんじゃないかってみんなが思うわけよね。
だからやってないんじゃないかって。
そこまで空気変えるようなことを言うっていう、一つはやったってことなんですね。
それがすごいんですよ、やっぱカテリーナでね。
でもね、その後いろんな人が証言に立っていって、
イワンが証言する番になって、
イワンが私がやったんですっていうことを話すんですよね。
なんだけど、イワンはやっぱ精神がおかしくなっちゃってるから、
誰もそれを信じないんだけども、インパクトはものすごいあるわけ。
それに対してカテリーナが、まずいって思ったんですよ。
カテリーナはやっぱイワンのこともね、愛してるんですね、やっぱね。
言ってましたよね。
だからこのままだと、イワンもあなたは本当は犯罪者じゃないのにそんなおかしいって言って、
イワンをかまおうというふうに、そういう衝動にとられたんですよ。
それでカテリーナは破滅させるって言って、
ドミトリーが書いた手紙みたいなのを出しちゃって、
一気に流れが変わってしまって、有罪判決になるという。
手紙っていうのはあれですよね、泥棒をするぐらいだったら父親を殺すみたいなことが書いてあったやつですね。
そうそう。
もちろんね、それだけじゃないんですよ。
いろんな要素が入ってて、弁護人がどう弁護するかとか、その辺も興味深いし、読んでほしいんですけど、
本当に部分的に話すとそういうことが起きたの。
だからカテリーナからすると、やっぱりね、自分のせいでドミトリーを有罪に追い込んでしまったっていう追い目があるのね。
アレクセイの説得
だから合わせる顔がないって、そういうことなんですよ。
そういう背景なんですね。
うん、そっか。じゃあ獄中にいるんですか、ドミトリー。
獄中にいます。
はい、なるほど。
じゃあそこに会いに行ってくれないかと。
そう。
アレクセイがカテリーナに会いに行くってこと。
はい。
カーチャって出てくるんですけど、これカテリーナのことなんですよ。
カが同じだからちょっとカテリーナイコールカーチャ。
ロシア語にちょっとあだ名が出てくるんで。
はいはい。
じゃあちょっとそれ踏まえて読んでいきますね。
はい。
アレクセイが言います。
兄が今日あなたに来ていただきたいと言っているのですが、突然しっかり彼女の目を見つめながら彼は口走った。
彼女はびっくりと全身を震わせ、ソファーの上で僅かに身を引いた。
あたくしにそんなことできるはずがないじゃありませんか。
総白になって彼女はしたたらずに言った。
できますとも、そうなさるべきです。
すっかり元気づいてアレオシャは粘り強く言い始めた。
兄にはまさに今あなたがぜひ必要なんです。
もし必要がなかったら僕はこんな話を持ち出さなかったでしょうし、前もってあなたを苦しめるような真似はしなかったでしょう。
兄は病気なんです。
気が違ったみたいになって終始あなたを連れてきてくれと頼んでいるんです。
別に仲直りするために頼んでいるわけじゃなく、ただあなたがいらして、
敷居の上に姿を見せてくださりさえすればいいんです。
あの日以来兄はずいぶん変わりました。
あなたに対して数え切れぬくらい罪を犯したことを兄はわかっているんです。
許していただこうと思っているのではありません。
俺を許すことなんかできないよ。
自分でもそう言っています。
ただあなたが敷居のところに姿を見せてくださるだけでいいんです。
そんな出し抜けに母ちゃんがしたたらずに言った。
この何日かずっとあなたがいつかそう言って見えるだろうと予感はしていましたけれど、
あの人が呼ぶだろうということはちゃんとわかっていました。
無理ですわそんな。無理でもなさってください。
兄が初めてどんなにあなたに侮辱したかに気づいて、
ショックを受けていることを思い起こしてください。
生まれて初めてなんです。
今まで一度としてこれほど完全に理解したことはなかったんですから。
兄は言っています。
もしあなたが来るのを断ったら今後一生俺は不幸になるんだって。
いいですか。
懲役20年の流刑囚がまだ幸福になるつもりでいるんですよ。
これが哀れじゃありませんか。
考えてもみてください。
あなたが訪問なさるのは無実の罪で滅びた人間じゃありませんか。
挑むような言葉が容赦の口をついて出た。
兄の手は汚れていません。
血に染まってはいないんです。
兄のこれからの数限りない苦悩のために今こそ見舞ってやってください。
いて闇の中に兄を送り出してやってください。
戸口に立つだけでいいんです。
あなたはそうすべきなんです。
そうする義務があるんです。
両者は信じられぬほどの力で義務があるという言葉を強調して結んだ。
行くべきでしょうけど、でもできませんわ。
母ちゃんがうめくように言った。
あの人はじっと見つめるでしょうし。
私行けませんわ。
二人の目が合わなければいけないんです。
もし今決心なさらないのだったら、これからの一生をどう生きていらっしゃるおつもりですか。
一生を苦しみ抜くほうがましですわ。
いらっしゃらなければいけません。
いらっしゃる義務があるんです。
再び両者が容赦なく強調した。
でもなぜ今日、なぜ今すぐにですの。
病人を置いていくわけにはちょっとの間ぐらい大丈夫です。
ほんのちょっとの間じゃありませんか。
あなたがいらしてくださいなければ、兄は今夜までに法律を出すでしょう。
僕は嘘を言いません。
同情してやってください。
あたくしのほうこそ同情していただきたいわ。
カテリナは悲痛にせめて泣き出した。
じゃあ、つまり、来てくださるんですね。
彼女の涙を見て、両者が断固として言い放った。
あなたが来てくださると、兄に言いに行っていきます。
ダメ、絶対におっしゃらないで。
カテリナがギョッとして叫んだ。
あたくし、うかがいます。
ですけれども、前もっておっしゃったりなさらないで。
だって、うかがいますけれど、ことによると、中へ入れないかもしれませんし、まだわかりませんもの。
彼女の声が途切れた。
呼吸が苦しそうだった。
両者は帰るために席を立った。
もし、誰かと出会ったりしたら。
再び、総白になって、彼女が不意に低い声で口走った。
向こうで誰にも会わぬようにするためにも、今すぐ出なければいけないんです。
今なら誰も来ません。
これは確かに言えることです。
じゃあ、お待ちしてますから。
彼はダメを押すように言って、部屋を出た。
というので、このショーは一区切りします。
いやー、じゅんさんの朗読もめっちゃ、いつもいいけど、さらに良かったなぁ。
いや、これはベリーラベルですね。
ねー、とか思ってたねー。
アレクセイも、今までのアレクセイの中でもすごい、特段結構熱が入ってたり、
すごく説得したいっていう、そういうパワーを今までの中でも特にこのシーンは感じる。
そうだねー。
これ面白いね。
ある種、強引なんだよね。
強引だよね。意外じゃないですか。
これまでのアレクセイの対話の感じとした時にね。
これも勉強になりますね。やっぱりね。
こういう状況においては、もう強引に行くっていうことが、いいということが、アレクセイの中にあるんでしょうね。
そういうやり方もあるし、どこまで意図的に選んでるかわかんないけど、アレクセイはやっぱり使い分けられるんだね。
なんかねー。
グッとアクセル踏んでいける。
アレクセイがね、そんな使い分けるほど器用な男には見えないんですけれども。
そうだよね。勝手にね。
そう、そうなってんでしょうね。
自然とやってるんでしょうね。
これどっから来るんだろうな。ここまでして、その眼差しにすごい何か大事なものがありそうですよね。
そこまでして、兄とカテリーナに会わなければいけないんだって思ってるんですよね。
本当に。やっぱりこれ両方のことを思って会うべきだっていう確信があるんでしょうね。
愛と赦しの探求
何か確信があるんでしょうね。
長男ドミトリーにとっては、ここまで自分がカテリーナにしてきた過ちというものを認識して謝りたいということを、
そのことがやっぱりすごいことだし、これから長役20年の経営を受けていくという中で、兄に希望を渡したいという、何かそういうものがあるんでしょうね。
そしてカテリーナに対しても、会いたくない会いたくないって心は言ってるけど、もっと深いところは本当は会うべきなんだっていうことを、
会わないと後悔するってことをあなたもわかってるでしょっていうことなんでしょうね。
すごいよね。会いたくないって言ってる人に対して、ここまでアクセル踏んで信じて会ったほうがいいっていうのって、
危険性も伴うじゃない、なんていうの。リスクもあるじゃないですか。
いやーすごいね。この振る舞い、いわんに投げかけた時の勇気ある振る舞いと比べると、
どうだろう、まだこっちの方が少し力強さ増すっていうのは、何かちょっとわかる気はするんですけれども。
でも、やっぱりこのアレクセルの振る舞いは、何か胸打つとこありますね。
こういうふうな人がやっぱり、ドミトリーはカテリーナの中にいるっていうことが、
彼らを彼らにしていくっていう渦を作ってくれてますよね。
すごいよね。
聴くっていうことの深いとこだよね。
会いたくないっていうことで留める効果もあるじゃないですか。
そうですね。
それがあなたの声なんだねって。
そうですね。
それを尊重するみたいな方向性もあるじゃないですか。
そのさらに深いところを聞こうとして、本人もまだ気づいてないようなところに会ったほうがいいって。
ここまで言うって、ある種の本当の凄み感じましたね。
俺じゃあちょっと次読んでいきますね。
ページ飛びましてね、実際にドミトリーのところにカテリーナが来ます。
ドミトリーとアリューシャが喋ってたんですよ。
で、そこにカテリーナが来ます。
これもちょっとね、さっきと同じで少し長いんですけど、とてもいいシーンなのでちょっと読んでいきますね。
ほらあの人です。アリューシャが叫んだ。
この瞬間、突然カーチャがトグチに姿を現した。
一瞬、彼女は何か途方に暮れたような眼差しでミーチャを見つめながら立ち止まった。
ミーチャってドミトリーね。
相手は弾かれたように立ち上がった。
顔におびえの色が浮かび、蒼白になったが、すぐに許しをこうようなおどおどとした微笑が口元にちらと現れ、
彼は突然、こらえきれずに両手をカーチャの方に差し伸べた。
それを見るなり、彼女はまっしぐらに彼の胸に飛び込んだ。
彼女は彼の両手を掴んで、ほとんど無理やり寝台に座らせ、自分も隣に腰を下ろすと、
なおも彼の手を離さずに、すっかりと平然的に握りしめた。
どちらも何度か何やら言おうとしかけてはやめて、また無言のまま異様な微笑を浮かべながら、まるで悲しばれになったようにじっと見つめ合っていた。
そのまま二分ほど過ぎた。
許してくれたのか?それとも違う?やっとミーチャがもつれる舌でいい。
その途端に、ありょしゃを振り返って、喜びに顔をゆがめながら叫んだ。
俺が何を尋ねているか聞いたか?聞いたな?あなたを愛していたのは、あなたが心の寛大な人だからよ。
あなたが心の寛大な人だからよ、突然母ちゃんが口走った。
それに、あなたには私の許しなど必要ないわ。
私の方こそ許していただかなければ。
許してくださろうと、くださらまいと、どうせこれから一生、あなたは私の心に傷跡として残るでしょうし、
私はあなたの胸に残るんですもの。それでいいんだわ。
彼女は息をつぐために言葉を切った。
私がいたのは何のためだと思って?彼女はまたせわしげに苦労しく言い始めた。
あなたの足を抱き、あなたの手を握りしめるためなのよ。
こんなふうに痛いほど、覚えているでしょう?
モスクワにいた頃、こんなふうに握りしめたものだったわ。
それから再び、あなたは私の神だ、私の喜びだ、私は気も狂うほどあなたを愛している、と言うために来たのよ。
苦しみにうめきかのように彼女は言うと、いきなり彼の手をむさぼるように唇を押し当てた。
その目から涙がふと走った。
あれおしゃはドギマギして、言葉もなく立ち尽くしていた。
こんな光景は全く予期していなかったのだ。
ああ、愛は終わったわ、ミーちゃん。
再び母ちゃんが喋り出した。
でも、私には過ぎてしまったものが痛いくらい大切なの。
これだけは永久に覚えていてね。
でも今、ほんの一瞬だけ、そうなったかもしれぬことを訪れさせましょうよ。
また嬉しそうに彼の目を見つめながら、歪んだ微笑を浮かべて、彼女は甘たるく言った。
今では、あなたも他の人を愛しているし、私も別の人を愛しているけれど、
でもやはり、私は永久にあなたを愛し続けるわ。
あなたもそうよ。それを知っていらした?
ねえ、私を愛して、一生愛してね。
何かほとんど脅しに近い震え声に響かせながら、彼女は叫んだ。
ここで、区切ります。
いやー、一行一行に何か味わいを感じながら聞いてたけど、
じゅんさんはこの辺、このやりとりをピックして、どの辺がもうちょっと触れたいみたいなのってあります?
これなんか今、何が起きてるかっていうことを何となく伝わってきました?
うんうん、概要は伝わってきてる。
でも本当の意味の何が起きてるかまでは、多分もう何回も何回も読んで味わうものなんだなって感じてた。
ドミトリーとカテリーナの対話
そうだよね。
会話の流れは理解できてるって感じがする。
そうだよね。
そうなのよ。
これはねえ、読んでても何が起きてるのかって。
でも何かが起きてるっていうのがすごく伝わってくる場面で。
すごい。
なんかね、亜量社もこんな光景は全く予期していなかったって書いてありましたけれども、
なんかそれぐらいすごいことが起きてるんですね、これね。
うん。
愛は終わったわって言って、
ドミートリーもグルシェンカを愛しているってことはカテリーナ知ってるし、
そしてカテリーナもね、別の人を愛しているって言うんですよ。
これはイヴァンなんですよね。
でも、私はやっぱりあなたを永久に愛し続けるわって、あなたもそうよねって言ってると。
すごいよね、なんか。
すごいね。
ここだけで味わえるよね、なんか。
味わえる。愛ってなんだってね。
そうそうそうそう。その数行だけで。
そうなんですよ。
味わえるなって。
いいですね、本当に。
やっぱりカテリーナってね、カテリーナもやっぱりすごく変貌していった感じしますね。
これを見ると。
愛を欲しがっているんですけどね。
なんかやっぱり愛ということがどういうことかカテリーナにはやっぱり分かってないところがあったように思う。
それは、自分が誰かを愛しているということを通じて、結局は自分自身を愛している気がするんですよ。
誰かを愛せている自分を愛している。
それがなんか、もうちょっと深い愛に目覚めていったっていう感じがします。
そっか、この小説の中でいろんな人がそういう変化を遂げてるけど、カテリーナにも起きている気がしんってことを最後に感じましたね。
やっぱりイワンを自分は愛しているんだってことに気づいたというか、その自分がちゃんといるってことを受け止めることができたっていう。
そしてドミニトリーを愛していたのも、カテリーナを愛しているってことを受け止めることができたっていう。
そしてドミニトリーを愛していたのも、それはそれでまた別種の愛だったんだなっていうことにも気づいている。
これが別の形の愛なんですよね、ドミニトリーの愛ってね。
何の形の愛?
別の形の愛なんですよね。
別の形の愛。
別の形の愛、うん。
これが別の形の愛なんですよね、ドミトリーの愛ってね、もうね。
何の形の愛?
別の形の愛なんですよね。
うん。
なんかね、これを同じ愛って言っていいのかっていうのが難しいぐらい、違う言葉にした方がいいんじゃないかって思うぐらいなんですけど。
あー。
なんかね、こういう愛の形でもありますよねって、なんか本当に思ったな。
うんうんうん。
原文でも同じ言葉なのかなぁ。
日本語だと愛が当てられてるよね。
ねー、ほんとだね。
ねー。
うん。
うーん。
そうだよねー。
うん。
あー、じゃあそういう、だから、ドミトリーを愛してるわけじゃない、違う人を愛してるんだってことを開示できてるっていう、その開示の言葉でもあり、
でもそこに連なって、でもドミトリーを愛している。
別の意味で愛しているっていうことが並んでるのすごいなぁ。
そうですね。
うーん。
なんかね、イワンへの愛っていうのは、いわゆる我々が思ってる愛に近い感じがしていますと。
ここにきて、ドミトリーへの愛っていうものは、どちらかというと、
うーん。
自分が自分になるために必要だったことを教えてくれた存在というか、
うーん。
なんかそういう感じがしますね。
うーん。
自分っていうのはカテリーナ自身。
そうそうそう。
うーん。
ドミトリーも同じなんでしょうね。
うーん。
うーん。
そうなってくると、手のひらに口づけするシーンはすごく象徴的っていうか、
うーん。
そういう愛みたいなものを何か象徴的なシーンとして感じましたね、勝手に。
うーん。
ね。
うーん。
これまだもうちょっとだけ、ちょっと続き読んで、
今日紹介したやつラストなんですけど、ちょっと読んでみてもいいです?
はい。もちろんです。
さっきのところ、ちょっと少し遡って読みますね。
私は永久にあなたを愛し続けるわ。あなたもそうよ。それを知っていらした?
ねえ、私を愛して。一生愛してね。
何かほとんど脅しに近い震え声に響かせながら彼女は叫んだ。
愛すとも。あのね、母ちゃん。
一言ごとに息をつぎながらみーちゃんも口を開いた。
知っているかい?
5日前のあの晩だって、僕は君を愛していた。
君が倒れて担ぎ出されたあの時、一生愛すとも。
そうなるさ。永久にそうなるとも。
これあれですね、5日前のあの晩って裁判のことですね。
ちょっと僕もこれ記憶されたかじゃないんですけど、裁判の時にカテリーナもちょっと運ばれちゃったのかも。
倒れて。
その時なんでしょうね。
こんな風にどちらもほとんど意味のない苦しいことによると、嘘かもしれぬことはお互いにつなぎ合っていたが、
この瞬間には全てが真実であったし、彼ら自身が一途に自分の言葉を信じていた。
母ちゃん。
突然みーちゃんが叫んだ。
君は僕が殺したと信じているの?
今は信じていないことはわかるけれど、あの時は証言した時には本当に信じていたのかい?
はい。あの時だって信じていなかったわ。一度も信じたことなんてなくってよ。
あなたが憎くなって、不意に自分にそう信じ込ませたの。あの一瞬だけ。
証言していた時には無理にそう思い込んで信じていたけれど、証言が終わったら途端にまた信じられなくなったわ。
それだけは知っておいて。
私、忘れていたわ。自分を罰するために来たのに。
ドミトリーとカテリーナの対話
つい今しがたまでの愛の囁きとはおよそ似通ったところのない、何やら突然、まるきり新しい表情になって彼女は言った。
という場面です。
もうちょっと続くんですけどね。
あ、そう。なんかちょっと気になるところでしたね。
え、どういうことどういうことってなりました?最後の方とかも。
少し変わってきてる感じなの。そのさっきの流れから。
ここからすごい、またちょっと変わった。展開が変わってくる会話になるんですかね。
いやいや、そんなことない。そんなことないですよ。
そっかそっか。
最後のあたりがちょっといまいちつか見えてなかったかもしれないな。
これちょっともう一回確認するとね。
ミーチャー、ドミトリーはね、言い出すんですよ。
僕が殺したって本当に信じてるのかいって。
これね、この発言が出てくるっていうことがね、まずちょっと注目すべきところだと思ってて。
ドミトリーにとって、自分のことを殺してないと信じてくれているかどうかって、本当に大事な話なんでしょうね。
うん。
アレクセイにね、裁判の前。
そうね。
勇気振り絞って聞いてた。聞いてました。聞いてたけど。
そこで、自分の存在を肯定できたっていう場面がありましたけど、アレクセイが信じてくれてたから。
確かに似てるシーンですよね。似てる問いかけですよね。
やっぱりここが大事なんでしょうね。ドミトリーにとってね。裁判が終わったのにもかかわらずですよ。
そうですよね。
自分が無罪か有罪かという判決以上に、自分が殺してないということを信じてくれるかどうかっていう、このことがのっぴきならないものなんですね。
うーん。
なるほどな。
これドミトリーはもう受け入れて、やってないわけじゃないですか。
はい。
やってないわけで、いや俺はやってないんだっていうことを叫び回ることもできるじゃないですか。
そうですね。そうですね。
なんかそんな感じに見えないのもなんかすごい不思議だなと思って。
ここはね、カテリーナと会ってる場面だから、今そういうふうになってますけれども。
そうなってますよ。
そうなってるよね。
熱病犯しますって言ったくらい、もう狂いそうなんですよ。そんなの。
そういうことだよね。やってないことを。
やってないからね。
なるほどね。
だから国中に入っている、裁判終わった後国中に入っているドミトリーにアレクセイはやっぱり支えるために会いに行ってるんですよ。ずっとアレクセイまで。
必要な言葉を鳴りかけて言ってるんですよね。
うーん。
一応これ小説の物語としてはね、裁判起こる前にイワンが脱出ルートを用意したいっていう話があったじゃないですか。
はい。
その話がもう一回復活してくるんですよこれ。
あ、そうなんだ。
で、実際に逃げたかどうかってことは描かれずに、ここで小説が終わるんですよ。
へー。
そう。
うーん、なるほどね。
そこだから、読者のトリプルというかなんですかね、まあまあいい言われ方ですよね。
はい。
そう。
そっかそっか。でも欲しい言葉だよね、ドミトリーからしたら。自分はやってないと信じてくれてるかっていう。
そうなんですよ。それが大事、大事なんですね。
うーん。
だからここで、ねえ、カテリーナがなんていうか、一度も信じたことないわよって。
あなたが行使者なんてことは信じてないわよって、まあちゃんと言ってくれるわけですけどね。
裁判の時にそう発言してしまったのは、まあその時そういうふうに駆られてしまっただけなんですっていうことを言って。
うーん。
ねえ。
そういうことか。
それがドミトリーは受け取れるのかな。
うーん。
これがだから、愛は一つ、やっぱり許しって言い換えることができますもんね。
だからここに互いに許しという愛があるんですね。
愛と赦しの形
うーん。
ここにね。
ドミトリーもカテリーナにひどいことをしてしまったっていうことをようやく気づいてて、許しても許しきれないものがあるだろうって思っているし、カテリーナも同様に裁判のことで思っている。
うーん。
で、お互いそういうものを持っているから許し合うという愛の形がここに。
そして互いに自分の人生を歩もうっていう愛の形がここに描かれてる。
いいですね。
本当にいいですね。
いいですね。
よかったなあと思いますね。本当にこれは。
うーん。
そうだよね。
現状は変わってないじゃん。
そうそうそう。変わってない。
だけどそれを超えた何かっていうのを感じる。
そうだね。
有罪判決を受けるってことは本当にとんでもないことなんだけど、それ以上に何か大事なことがと言いたくなるぐらいのことが何か起きている。
そういうことだよね。
感じがしますよね。
その何かってなんかうまく言えない。なんだろう。
まだわからない。なんだろう。
簡単にわかったとは言えないような何かが起きているような感じがするみたいな。
ふうに感じて。
ねー。
うん。
こうやってこの小説の物語が終わっていくんで、
ドミニトリーがね、よりドミニトリーになっていく。カテリナがよりカテリナになっていくっていうのが、そういうのを感じさせてくれてるし、
一方イワンはやっぱりイワンで、このまま病に倒れたまま、精神おかしくなったままっていうところで終わっていって。
うーん。
っていうね、なんか。
うーん。
そっか、そう見るとイワンとドミニトリーのこの終わり方も少し対照的というか、
そうですね。
ちょっとこう、並べて感じてみるとまた何か感じることがありますね。
そうですね。
うん。
すごい展開ですよね、ほんとね。
ねー。
まあちょっとじゃあ、今日この辺に終わって、一応トータルで6時間分撮影してると思うんですね、これで。
おー。
さすがにここまで撮ったから最後ちょっと感想、線を中田さんとじっくりやれたらなと思ってますんで、今日は一旦この辺りで終わっておきましょうかね。
おしまいでしょうか。
はい。
いやいや、ありがとうございました。
ありがとうございました。
39:30

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