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2025-03-22 37:59

#41 無神論がもたらす結末・イワンとスメルジャコフの名場面の朗読・解説 / ヒョードル・ドストエフスキーの最高傑作『カラマーゾフの兄弟』その10

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今回は、文学史上最高傑作であるヒョードル・ドストエフスキーの「カラマーゾフの兄弟」です。

私が最も愛読している本です。
文学の魅力はあらすじではなく、具体的なシーンの中に現れます。
あらすじでは省略されるような、でも大事なシーンを集めてきました。
朗読とともに、彼が描いた深いテーマを一緒に深めていきたいと思います。


 

サマリー

エピソードでは、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』を通じて無神論と隣人愛の闘争が描かれ、イワンとスメルジャコフの重要な対話が紹介されます。イワンの内面的な葛藤と彼の決意が、幸福感を伴う瞬間をもたらします。ポッドキャストでは、ドストエフスキーの『カラマーゾフの兄弟』の重要な場面であるイワンとスメルジャコフのやり取りを考察し、無神論がもたらす悲劇について議論します。スメルジャコフの自殺やイワンの内面的葛藤がテーマとなり、信仰と罪の意識の複雑な関係が描かれます。『カラマーゾフの兄弟』のエピソードでは、イワンとスメルジャコフの深い対話を通じて、無神論がもたらす結末について探求されます。この物語の中で描かれる彼らの人間性や痛みは、ドストエフスキーの文学的な視点を際立たせています。

イワンの決意
これもドストエフスキーは見事だなと思うんですけど、この会話終わった直後のイワンの振る舞いを描いている描写が凄いですよ。
ねえ、気になるよ。気になりました。
ちょっと読んでいいですか?
もちろん。
すぐ次のページなんですよ、これ。
読みます。
いずれ明日な、イワンは叫んで帰ろうとしかけた。
待ってください。もう一度そのカネを見せてください。
これそのカネってお父さん殺して取ったカネなんですよ。
そのカネを、これイワンに渡してるんですよ、もう全部。
はい。
そのカネをもう一度見せてください。
イワンは札束を取り出して示した。
スメルジャコフは10秒ほど見つめていた。
さあもうお帰りください。
片手を振って彼は言った。
イワン・ヒョードル・ウィッチ。
彼は不意にまた、イワンの後ろ姿に声をかけた。
何のようだ。
もはや歩きながらイワンは振り返った。
さようなら。
明日までな。
イワンはまた叫んだ。
小屋を出た。
内面の変化
ここからなんですよ。
ちょっとね、このシーンもすごいシーンなんですよね。
これ実はね。
ちょっと後で、読みたかったのはこの次で。
吹雪は相変わらず続いていた。
最初の五六歩、彼はさっそうと歩いたが、
不意にその足がふらつき始めたかのようだった。
これは肉体的なものだろうと苦笑して彼は思った。
さながら喜びに似た気持ちが今や彼の心に湧いた。
彼は事故の内部に限りない意思の健康さを感じた。
最近、あんなにひどく自分を苦しめていた迷いも、
いよいよこれで終わりなのだ。
決意はできたし、もう変わることはない。
幸福な気持ちで彼は思った。
って書いてあるんですね。
これ何が起きてるかわかります?
わからなかった。
意外だった。
すごいことになりました。
これ今中田さんも感じてくれてると思うんですけど、
真実を知ったんですよね。
明日の法廷で証言せねばならないと。
俺は、
イワンは、
あなたは言いませんよ。
そんな自分の人生を棒に振るようなことって。
これ多分言われれば言われるほど、
イワンは多分決意が固くなってるんですよ。
俺はちゃんと正しいことを言うって。
それはもう自分の人生がこれから牢獄で暮らすっていう人生を
歩むってことを覚悟してるんですよ。
すごいんですよ。だからこれイワンはね。
で、その決意があるということが、
幸福な気持ちだったって書いてあるんですよ。
喜びに似た気持ちとか幸福な気持ちっていうのか。
そうなんですよ。
そこなー。
これすごいよね。
それでね。
これちょっと後でまとめて回収しますね。
これ次のところね。
その途端、突然何かにケツまずいて危うく倒れそうになった。
立ち止まって足元をよく見ると、
さっき彼に突き倒された百姓が、
相変わらず同じ場所に気を失ったまま、
身動きもせずに倒れていた。
これあの、イワンが
ツメルジャコフの家に行くときに
会った人なんですよ。
百姓。
その百姓が気を失ったまま倒れていたと。
行くときも倒れてた。
そう。で帰り際もまた見たわけですよ。
吹雪がもはやほとんどその顔全体を埋めていた。
イワンはいきなり百姓を抱え担いだ。
右手の家に明かりが見えたので歩み寄り、
鎧戸を叩いて応答したこの家の持ち主である町人に、
百姓を警察へ運ぶのに手を貸してくれるよう頼み、
その場でサンルーブルの妥賃を約束した。
町人は支度をして出てきた。
私はここで、この時イワンが守備よく目的を果たし、
すぐに医師の診断を受けさせるために、
百姓を警察に担ぎ込み、
その際にまた経費一切分として気前よく支払ったことを
詳しく書くつもりはない。
って書いてあるんですよ。
これその倒れてる百姓を担いでね、
お金を払ってまでこの人を手当てして。
スメル・ジャコフに会いに行く行きの時はしなかった行為を
帰りはしたっていうことなのかな。
そういうことなんですよ。
そういうこと。
それはスメル・ジャコフとのやり取りの中によって、
内面に変化が起きているっていうことの一つの象徴という感じなんですか。
そういうことですよ。
これね、聖書にある
幸福と崩壊
良きサマリア人のたとえっていう話があるんですよ。
聖書の中ですごく有名な話で、
隣人愛とかを説いてる話なんですよ。
その話と同じ話なんですよ。
良きサマリア人のたとえって、
旅家福音書に書かれてあって、
どういう話かっていうとね、
ある人が旅の道中で強盗に襲われちゃうんですよ。
身ぐるみを剥がされてしまって、
瀕死の状態になっちゃうんですね。
そこに3人の人が通るんですよ。
最初は司祭が通ります。
なんだけど、司祭は見るんだけども、
助けずに通り過ぎちゃうんですね。
司祭は本当は困ってる人を助けないといけない人なのに、
そういうことを体現しないといけない人なのに、
通り過ぎちゃうんですよ。
次にレビ人っていう法律の専門家みたいな人がいて、
そういう人も人を助けるというある種の法を
よく理解している人のはずなのに、
彼も通り過ぎてしまったんですよ。
3番目に通りかかったサマリア人という人がいて、
彼はそばに来ると、
この瀕死になった人を助けたんですよ。
包帯を巻いてあげて、
自分のロバに乗せて、
宿屋まで運んで、解放したんですよ。
翌日になったら、
宿屋の主人に、この怪我人の世話をお願いしますって、
ここにお金を置いていきますって言って、
お金まで払って行ったっていう。
そういう話なんですよ。
イエスが言うんですよ。
この例え話の中で、
これが一番隣人に対する振る舞いとして、
良いものか。
それはサマリア人です。
助けた人ですって。
あなたも同じようにしなさいと。
そういう話なんですよ。
これと同じことが起きてるんですよね。
明らかにそれをモチーフにしながら書かれてるシーンってことなのかな。
そうなんですよ。
だから、
イワンが嫌っている、
このキリスト教の中に大事にされている、
隣人愛というか、愛の働きというものを、
彼は無心論者にも関わらず着せずして推している。
そっか。
そこの意味内も付与されると確かにまた違って見える。
ロストエフスキーは、
無心論者という人であっても、
その人の中には聖なる力が働いているんだってことを描いてるんですよね。
でもこれ不思議っすよね。
アノスメルジャコフとのやりとりで、
そうなんですよ。
何のトリガーにどうなったっていうのが、
まだ僕の中ではいまいち消化されてない感じっていうか。
そうなんですよ。
ここに飛躍があるから、
この本の読み応えがあるところなんですね。
なるほどね。
そんなに詳しく書かれてないってことか。
書かれてない。
俺これさ、
戒心が起きてる話じゃん。
カラマゾフの兄弟っていろんな人が、
いろんな人が戒心して聖なるものが宿してっていうことが描かれていて、
これ今まさに戒心が起きたような感じに見えるわけ。
自分は罪を引き受けて、
今まで見ないふりしてきた、
この通りすがりの他者のために生きようっていう風な、
意思の現れじゃないですか、このシーンって。
そう見えますよね、明らかにね。
だからね、これ僕ね、やっぱり改めて読んでみてね、
ここでイヴァンが戒心していくっていう展開があったと思うんですよ。
違うのね、この後の結末的にね。
この後、イヴァンはこの幸福を感じてたにも関わらず、
精神が崩壊していくんですよね。
そうか、そういう。
ちらっと聞いてたけど、そうかそうか。
そう。
壊れるんだよね。
じゃあ一瞬の煌めきのように描かれるんだ、このシーン。
しかもそれが説明なく。
そういうことなんですよ。
壊れ、すごいでしょ。
改めてやっぱすごいね。
あ、いやこれだからね、小説でもこのシーンね、
なんかよくわからずに読み飛ばしちゃう人多いと思うの。
うーん。
うん。
そうだよね、ほんの数行数ページって話なんでしょうね、ほんとにこれ。
うんうんうん。
でも、現実世界もそうなんだって、なんか思ったりするわけ。
うんうん。
こういう、一瞬にその人の中に聖なるものが
開花されてる瞬間っていうのが本当はあって、
それを私たちは見逃してるんだって、
いう感じがしてならない。
そう考えるとなんか人間ってそういう聖なるものにこう、
一直線の道を歩んでって、より聖なるものになってくっていうことより、
うん。
なんだろうね、その元々持っていて、
それがこう出たり出なかったりみたいな、
うんうんうん。
ようなものなのかな、なんか今そういうことを聞きながらすごく思った。
うん。
なんかシンプルな一直線の数直線上の話っていう風に捉えるものじゃないように感じながら、
今、聖なる橋を聞きました。
そうでしょうねー。
うんうんうん。
いや、なんかありくせえみたいな、もう開花されまくってる人に、
そういう振る舞いを見るということは簡単なことで、
うんうん。
で、そうじゃない人の中にそういうことを見出すということが、
大事だし難しいことで、
僕は読書をする中でその練習をしてる気がした。
えー。
こうやって、こうやってこのシーンをこうやって拾うということで。
そう見えない人の中の聖なるものってものをこう、
見つけるような練習みたいな感じ。
うんうんうん。
僕はもう中田さんと一緒に仕事してるから、
自分がそういうふうに人にレッテル貼って振る舞っていることがあることもちょっとわかっているんで。
そうですからね。みんなやっちゃうからね。
うん。
うん。
はー、すごいね。なんか。
でもこれをじゅんさんがピックアップしてくれたこともなんか今、
すげー嬉しいなっていうか、なんだろう。
うん。
うーん。
そっかー。
そうなんだー。
うーん。
じゃあこれはある種契機だったんだけど、
うーん。
人生の流れはそういう方向にはいかなかったんだね、この後。
そうだね。だから僕もそこちょっと考えて、
うーん。
彼はやっぱり決意していて、
実際この後法廷で言うんですけどもの、言うんですけど、
うーん。
っていうことさえやってるんだけども、
うーん。
これ彼、あのあれですよ、この後自分の家に帰って、
あの、悪魔がいるっていう話が続くんですよ。
うーん。
自分の家に悪魔が座ってるって。
あのね、幻を見て、もう見ちゃうくらい、
まあ、精神がおかしくなっちゃうんですよ。
うーん。
ちゃんと言えたのにね。
うん、そうなんですよ。
そこで言わないって選択取ってね。
うーん。
罪悪感から蝕まれていくとかじゃなくて。
うーん。
だから多分言ったとしても、言っても言えども、
もう償いきれないほどの罪を自分は犯してしまったっていうことなんでしょうね。
うーん。
それぐらい彼の罪と責任の重さは重く感じていたから、
うーん。
精神が折れなかったっていう。
うーん。
うーん。
いや、これそれでね、あのね、スメルジャ君もね、ちょっとすごい展開になるんですよ。
そうなんですか。
あとね、スメルジャ君もね、ちょっと、あの、言うとですね。
はい。
ちょっと待って、俺これ今ページさ、何ページかとかさ、ちょっとなんか貼ってないからさ、ちょっとどこだったかな。
全然大丈夫ですよ。
これもうだからもう下巻の本当に終盤なんですか。
もう本当に最後、下巻のもうちょうど真ん中ぐらいというか。
うーん。
あった。
イワンと悪魔の対話
これね、あのどういう場面かっていうと、まあイワンは家に帰って悪魔と対話する場面があるんですよ。
うーん。
まあそれも見応えがあるところなんで、読んでほしいんですけどね。
はい。
で、その悪魔と対話しているときに、アリオシャが駆けつけてくれるんですよ。
イワンの家に。
へー。
もうイワンの家。
一人ですよね、イワンは。
そう。
一人で喋ってて、悪魔と。
そこにアリオシャが入ってくる。
そう。
まあ宿なのかな。
泊まってるやつなのかな。
部屋にね。
うん。
うん。
で、ノックするんですよ。
で、窓のところへ飛んで行き、通風口を開けた。
アリオシャ、ここへは来るなと言ったはずだぞ。
彼は奮然として弟を怒鳴りつけた。
一言で言え。何の用だ。一言だぞ。
いいな。
一時間前に、スネルジャコウが首を吊ったんです。
外からアリオシャが答えた。
表階段へ回れ。すぐ開けるから。
イワンは言って、アリオシャに扉を開けてやりに行った。
ってこの章はあるんですよ。
スメルジャコフの選択
俺、スネルジャコフは自ら命を…
でね、スネルジャコフはテーブルの上に遺書を書いて自殺したんですよ。
うん。
その遺書何て書いてあるか。
誰にも罪を着せぬため、自己の意志によって進んで命を絶つ。
って書いてあるんですよ。
ちょっと心がついていけないですね。
そうなんですよ。
なんかまたこれも本当に…
アリオシャを本当にわからない展開が続きますね。
だってスネルジャコフは何も悪いことしてないって思ってるわけですよね。
罪の意識もなかったように聞こえてましたが。
これだからここをどういう風に受け止めて、なんで彼が死んだんだろうか。
彼はどういう意識持ちで命を絶ってしまったんだろうかってことを考えるのが大事なんですけど。
これちょっと読んで考えてほしいところなんですけどね。
ちょっと言えるのはね、どうなんだろうな。
スネルジャコフは本当に悪いことをしてないって本当に思えたのかなって。
言葉ではそう言ってるけど。
彼の中にも神を信じたい気持ちがあるし、
命を大事にしたいって気持ちがあるんじゃないかなって。
あえて動物をね殺してしまう人ですけど。
そういうことに苦しんでる人じゃないかなって。
でも大きかったのは明らかにイヴァンが裏切ったように思えたことだと思います。
やっぱり彼はもう自分なんて生まれてこなかったらよかったって思っていた人だから、
その状態で生まれてこなかったらよかったって思っていた人だから、
その絶望を支えてくれたというか、そこに新しい道しるべになったのがイヴァンの思想だった。
自分はこれで人間になれる。
自分の人生を歩むことができるって思ったと思うんですよ。
お金を大金をゲットして。
これで自分はもう救われるって。
活躍してやるんだって。
自分のせいをすごいと思わせるんだって。
世の中の人に言って。
自分のせいを肯定させにいこうっていうことを思ってたと思うんですね。
でもそれがやっぱり違ったっていうことになったんだと思うんですよ。
イヴァンの自然と人間の違いが。
やっぱり違ったっていうことになったんだと思うんですよ。
イヴァンの思想。
イヴァンがお前何やってんだって。
それは違うんだぞってお前ってなったときに、なんでこれが違うんだって思ったと思うんですよ。
やっぱり神様いないわけじゃないんだねって。
だから自分が犯した罪ってことを感じたんじゃないかなっていう気もするし。
なんか自分がこれからこういうふうに生きていこうと思っていたことが崩れてしまった。
その支えを無くしてしまって、もう彼は生きることができなくなったっていう。
イヴァンの思想みたいなものもそうだし、イヴァンという存在そのものを予測みたいな感じだったもんね。
そうでしょうね。
それがイヴァンがああいうふうになってしまったっていうのも大きかったんでしょうね。
イヴァンからすると、まあそれも重なったんでしょう。
それがもうやっぱり最後の藁というか、もう崩れるパーツだったのかもしれないですね。
自分が父親の殺しに関わったっていうことでさえも大きいのに、
スミル・ジャクフを死に追いやってしまった自分があって。
いやー、読んでられないなあ、ほんと。
しかもそこで章が終わるんだ。
そうなんですよ。
スミル・ジャクフの描写は全くないですからね。
もうあのイヴァンとの会話で終わり。
だからイヴァンが最後出るときにさ、10秒間、もう一回お金を出してくださいって言ってたじゃん。
俺はもうあれどういう思いで見てたんだろうと思ってさ。
ある種、予感してたってことでもあるのかな。
どんな思いで見てたんだろうね。
そう、たぶんあれもだからもう死ぬって決心が、もしかしたらもうできてたのかもしれない発言だったね。
私はお金を見つめる10秒間っていうのは、やっぱりあのお金が、
本当はね、自分のこれから道を切り開いていくためのお金だったから、
それを見つめて、やっぱり違ったかっていうか、なんか、すごいなスミル・ジャクフ。
だからお金を見てたわけじゃないって、その先の何かを見てたんだよね。
そうなんですよ。
これ、スミル・ジャクフの描写って、
スミル・ジャクフの描写って、
スミル・ジャクフの描写って、
スミル・ジャクフの描写って、
その先の何かを見てたんだよね。
そうなんですよ。
これ、スミル・ジャクフもすごい葛藤したんじゃないかなぁ。
葛藤ってのは?
葛藤というか苦しんだと思うなぁ。
こういうはずじゃなかったのになぁ。
これまたなんかこう全然違う角度になっちゃうかもしれないけど、
スミル・ジャクフはさっきの会話の中でスミル・ジャクフが言ってる言葉をそのまま使うならば、
ある種こう、要は人を殺してもいいっていう思想の中で生きてるじゃないですか。
そうですね。
で、イヴァンが証言するって言ったじゃないですか。
だから、例えばですけどね、
イヴァンを殺す、口封じするっていうような行為も、
言っている思想的には成り立つようにも思う。
だからその最後の別れ際のシーンっていうのは、
見送らないっていう選択肢も、
一読者から見たらあるように思えるんだけど、
そうしなかったっていう。
これも何なんだろうって。
やっぱりその、人を殺しても許される、全ては許されるっていう思想自体が、
もう崩壊したんですよ、スミル・ジャクフも。
そういう、もう崩壊してるんだろうね、ここのもう。
それはイヴァンが、やっぱりこの事件に対して、
お前何やってんだって言われてしまったことによって。
そっか、言葉ではまだ言ってたけど、主張してたけど、
もうスミル・ジャクフの中では崩壊してたのか、そこで。
だから人を殺してはいけないっていう、スミル・ジャクフはやっぱ分かってる。
分かってるからこの遺書を書いて。
命を絶ってる。
この遺書を書いたらさ、
誰にも罪を犠牲ぬため、自己の意思によって進んで命を絶つって。
この遺書さ、俺この後読むんですよ、法廷で。
この遺書をイヴァンが読む?
この遺書を知るんですよ、裁判官たち、売信員たちは。
なのに、読者からすると、じゃあイヴァンが殺したんだって思うじゃん。
スミル・ジャクフが殺したんだって思うと思ったよ、俺。
スミル・ジャクフが父を?
そう。
この自死をしたことによって、売信員の人たちも含めて、みんなそう思うじゃんってこと?
そう。
誰にも罪を犠牲ぬため、自分の意思によって進んで命を絶つって書いてあるから。
そうですよね。
でもこれみんな、スミル・ジャクフが殺したって、この遺書を読んでも思わないんですよ。
この物語の中では?
そう。
そうすると長男だってことになるってこと?
そうなんですよ。
そうなんだ。
そう。
で、イヴァンが証言しても、イヴァンも精神がおかしくなってるから、
あのこいつは何言ってるかわかんねえって扱いされて。
これスミル・ジャクフの言葉も、なんか多分周囲の人は、なんか意味わからんこと言ってるわ、みたいな感じなんでしょ?
そうなってくんだ。
受け取られないんだ、この言葉を持ってる意味が。
もうそこまで行くかって感じでしょ?なんかこの世界。
そうだね。
これね、ほんとだから、
無神論の恐ろしさ
あー、ドステウスキーはね、これね、無心論のサロシスターが書いてるんですよ、これ。やっぱりこの事件。カラマーゾフの兄弟ってね。
で、えっとね、最近読んでたんですよ。何の本だったかな。
えっと、あ、そうだ。小林秀夫さんのドステウスキーの本読んでたんですよ。
そしたら、カラマーゾフの兄弟っていうのは、えっと、無心論と題して物語が考えられていたって書いてあって。
うん。
うん。
だから無心論が、やっぱりこう、核なんだよね。
うん。
この恐ろしさをやっぱり、ここまで落ちていくっていうことを。
うーん。
描いている。
うーん。
だから簡単に神様がいないなんてことを言ってはいけないし、思ってもいけないっていうことでもあるし。
うーん。
人間から聖なるものを失ってしまう恐ろしさみたいなものも、書いてくれてるようにやっぱ思うな。
うーん。
二人ともね、ある種破滅的に向かっていくってことだもんね。明確に描かれてますもんね。
うん。
僕、イワンがさ、やっぱり、これイワン精神おかしくなって、で、それで、まあイワンの描写って終わるんですよ。
無神論の探求
あの、法廷の発言も意味わからなくてっていうのでまあ終わって。
うーん。
で、まあ最後、うーん。
イワンはもう、もう長く生きられないかもしれないって。
ハルクセイが言って。
イワンの発言はそれで、イワンの言及はそれでもあるんですけど。
うーん。
うーん。
でもね、やっぱり今日話したように、イワンってね、大きく変貌する景気は来てると思ってて。
うん。
うん。
スメル・ジャコームの運も生きてほしいな、イワンに。
うーん。
うん。
そうだねー。
そこは描かれずに物語は終わっていくってことなんですか?
そう。
うーん。
そうだねー。
そう思わずにはいられないよね。
うーん。
ほんとに。
うーん。
でもやっぱりスメル・ジャコフのその前半の話を聞いておいてよかったなと思って。
ドストエフスキーの文学
すごくこう、スメル・ジャコフの物語として読むとまた違う風に見えるし。
そうだねー。
うーん。
なんかスメル・ジャコフがなぜか残った、自分の中で。
いろんな人の話が出てきた。
うん。
うんうん。
ね。
うん。
とね、イワンもね。
そう、イワンもね。
ねー。
うーん。
うん。
うーん。
一見すると、神様から最も遠い二人だからねー。
そうですよねー。
うん。
うん。
長谷さん5分間だけ間奏線行けますか。
行きましょう行きましょう。
うん。
いやー、すごかったねー。
うん。
どうした?どうでした?13的には。
いやー、ここほんとにやっぱ大事なとこだったなーって、なんか。
うーん。
なんか俺今回語って、
うん。
より一層感じれた。
うーん。
やっぱり。
うーん。
大事ってとこもうちょっとどういう感じなんですか?
なんかー、なんだろうなー。
うーん。
レッテルで見てる恐ろしさねー。
なんかこう、人を、人への眼差し、やっぱり自分があるレンズでずーっと見続けているっていうことに対する恐ろしさみたいなものを、まあ感じた。
うーん。
うん。
あとは、なんだろうな、やっぱドステウスキーの小説家としての力量みたいなものを、めちゃくちゃ感じたなー。
すごいよね。
うーん、すごい。
あのー、スメルジャコフが最後にもう一回だけ、お金を見捨ててくださいって10秒間見つめるシーンとか、その後さよならって言った言葉とか。
いやー。
でー、うーん。
イワンがあの後、スメルジャコフから帰った後に、
ユキサマリア人の例えみたいな振る舞いを入れてくるところとかも、
すごいなーと思ったなー。
うーん。
そうやって見てる人じゃないと描けないよね、姉は。
人間をそれこそ一面で見てたら描けない。
そうだねー。
いや、すごすぎる。なんか。
うーん。
そうなんだよな。僕は全然読んでないからだけど、10秒そのお金を見つめるっていう、あれが入ることで、スメルジャコフが自分の中に焼き付くんだよね。
なんだろうな。
スメルジャコフが自分の中に入ってくる、なんだろう。
息づくみたいな。
うーん。
なんていうんだろうな。なんでかわかんない。
すごいそういうシーンだなーと思って。
うーん。
素晴らしい。
すごい。
なんか、すごい。
うーん。
なんかあのー、えっと、やっぱ非常に詩的だなーと思った。
詩的?
詩の言葉って秘訳を含んでるし。
あー、はいはいはいはい。説明しきらないもんね。
そう。説明しきらない。要因を持たせる。
で、これ、この大長編の中にそういうものがめちゃくちゃ入っていて。
えー、確かに。
すごいよな。
でもそうだよね。その、イワンのその快心の一瞬の変化もあまりフフフは触れないし、スメルジャコフが最後自首を選ぶことも触れないっていう。
描ききらないっていうことを。
そうです。そうなんです。
うーん。
でもなんかさ、なんていうんだろう。そうだよね。すげー詩的だし。
なんか人生のさ、こう、実感覚に意外と接近してるってか近くない?なんかちょっと近い感じだよな。別に全部説明できないっていうか。
スメル、誰かと喋った後に、なんか意味わからんけど、確信するとかわかんない。なんかその。
そういう飛躍ってものが実は、人生の中に飛躍がないっていうことじゃなく、飛躍があるっていう方に、なんかよりリア、リアルを感じる?
うーん、そうだわ。
そう言えるなってちょっと思った、なんか。
それを見過ごしたくないですね。
うーん。
このイヴァンのこの感じね。
でもなんかさ、あるなと思って。あるなっていうか、なんか全然レベルは違うけど。
うーん。
なんかこう突き上げてくるもの、幸福な気持ちみたいなもので、なんかね。
やるよねー。
近い感じがする人生により。
うーん。
うーん。
いやー、これだな。
最後のスメル・ジャコフのこの言葉をさ、誰も受け取ってくんないってこともね。
これねー。
なんていうの?
うーん。
ある種すごく、最後にスメル・ジャコフが見つけた、なんか美しい言葉じゃないけど、なんて言うんだろうな。
うーん、そうだよねー。
純さんの言葉を変えると、聖なるものを宿す言葉にも聞こえたんだが、最後はそれを受け取られない。
うーん。
サマリア人の例えで言うと、すごい位の高い人たちが全員それを無視していくんだよな。
うーん、ほんとだね。
なんかそれもねー。
うーん。
悲しかったなー。
そうだねー。
今日まで読まれるだけあるなー。
んー?
ここまで読まれるだけありますね。
ほんとねー。絶対読もうって思ったなー。
ははははは。
嬉しいなー。
絶対読みたいなーとか。
それこそコバイシレオさんがどう読むんだろうとかもすごい興味あるし、なんか。
そうだよねー。
うーん。
でもまずは読んでみたい。
うんうんうん。
原作を。
うん。
今日そんなところで終わっときますか。
うーん。
じゅんさんはいいですか?今日ここまでの最後。
大丈夫です。
大丈夫ですか?
はい。
うんうん。
これはじゃあもうあと1回、最終回がある感じですか?
そう、最終回。
まあ、あの裁判が起こるんですけれども。
裁判の詞に入っていきます。
えー、ここはここであの読みどころがあるところなんですけれども、
あのー、
裁判終わった場面をちょっと次回。
まあ、ここもものすごいいい場面です。
はい。
うん。
それをご紹介したいと思います。
いよいよラストですね。
はい。
いやいやいや、ありがとうございました。
ありがとうございました。
37:59

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