アルコールによる胎児への影響とアルコール性疾患
みなさんこんにちは、こなやです。
お酒の缶とか瓶とか、注意書きがありますよね。
その内容の一つが、20歳未満だと飲酒をしてはいけないということなんだけど、
もう一つ書いてあって、こんなことが書いてあるんです。
妊娠中や授乳期の飲酒は胎児・乳児の発育に影響する恐れがあります。
これって名言はしてないんですけど、母親がお酒を飲むと赤ちゃんに悪影響があるっていう、そういうことを言ってるわけです。
特に胎児にアルコールの影響があった場合を胎児性アルコール症候群って言うんですね。
これは先天性の疾患で、知的障害、学習障害なんかが起きるんです。
他には痙攣が見られることがありますし、低体重で生まれることが多いんです。
さらに特に脳が小さく生まれることが多いです。
知的障害を伴う先天性疾患っていうのは他にもあるんですけど、
このアルコール症候群っていうのは特徴的な見た目、要望があるんですね。
だから顔の形っていうのがアルコールの影響で特徴的なものになるんです。
だからその障害がアルコールによるものなんだっていうことが大体検討がつくわけなんです。
この病気なんですけれども今のところ治療法がないんですね。
でもアルコールさえ飲まなければ100%予防できる病気なので、
妊娠中はお酒を飲むべきではないっていうことなんです。
どれくらいの量だったら安全っていう量がないんですね。
だから全く飲まないしかないっていうところなんです。
父親のアルコール消費が子供に与える影響を調べた実験
どうしてこんな病気になるのかなんですけれども、
基本的には赤ちゃんの発達にアルコールが悪影響を及ぼすっていう考え方なんです。
精子と卵子が最初にあって、それが受精をして一つの細胞ができるわけですよね。
その細胞受精卵がどんどん分裂していって、
細胞ごとに機能を持つようになって、それで体が作られていくんです。
この成長の過程にアルコールが悪影響を与えると考えられるんです。
この発達っていうのは母親の体の中で起こるわけで、
だから母親がアルコールを飲まないのが大事だって、そういうことになるわけなんですね。
それから最初の精子と卵子なんだけど、卵子っていうのは精子に比べるとずっと大きくて、
受精卵が最初に成長するための成分っていうのは卵子が持っているわけなんです。
だから卵子がアルコールにさらされるのも良くないだろうって考えられていて、
こちらも母親から来ているわけなんです。
なので妊娠前も母親はアルコールを飲まない方がいいわけなんですよね。
それに対して精子っていうのはずっと小さくて、
精子って動くんですけど、動かすための部分以外には、精子の中には遺伝子ぐらいしかないんですよ。
なので父親がお酒を飲んでいても受精卵にはあんまり影響がないだろうと考えられていて、
でもマウスの研究ではあるんですけど、そうではないっていう父親の影響もあるんだっていう論文が最近発表されて、
今日はその話をしていきたいと思います。
この論文なんですけれども、カラー・トーマスらによって行われた研究で、
ジャーナル・オブ・クリニカル・インベスティゲーションという医学系の一流誌に掲載されたものです。
マウスでも、母親が妊娠期間中にアルコールを摂取すると子供の顔の形が変わる、さらに脳が小さくなるということが分かっているんです。
すでにマウスで父親、オスのアルコール消費が子供に与える影響を調べた研究っていうのはあったんですね。
なんとなく影響がありそうだっていうことは分かってたんですけど、いまいちはっきりしてなかったんです。
今回の論文の筆者らによると、過去の研究では強制傾向投与、つまり無理やりアルコールを流し込むっていうのが行われていて、
このせいでよくわからない結果になっていたっていうことを言っていたんです。
多くの動物っていうのはアルコールを好まないんですね。
だから無理やりアルコールを流し込むわけなんですけど、でもやっぱりそれっていうのはマウスにとって負担でストレス反応が起きるんです。
それが生死、乱死に悪影響を与えて、それでよくわからない結果になっていると。
そういうことを筆者たちは言っていたんです。
なんですけど、ある系統のマウスは理由はよくわからないんですけれども、多くの人間のようにアルコールを好むんです。
放っておけば勝手にアルコールを飲むんで、この系統のマウスを使って自由にお酒を飲ませることによって今回は実験をしたんです。
この研究では4つの条件で実験をしています。
1つが父親母親、オスもメスもお酒を飲まないという条件です。
他にはオスだけアルコールを飲ませる、メスだけ飲ませる、さらにオスとメス両方に飲ませるという条件で飼育して、
その後子供を作らせてその子供への影響を調べています。
オスに飲ませる場合はずっとアルコールを飲ませたんですね。
でも受精後というのは一緒に暮らすわけではないので影響がないということになります。
メスの場合は妊娠期間中ずっと飲ませるのではなくて、
受精前と受精後10日間アルコールを摂取させるという条件で実験しています。
人間の場合も計画せずに妊娠した場合というのは、
妊娠に気づいてからお酒をやめるという場合が多くて、
その状態を真似たような条件で今回は実験したということになります。
この結果なんですけれども、父親がアルコールを飲んだ場合でも生まれてきたマウスに顔の形の変化が起きていたんです。
母親が飲んだ場合も起きるんだけど、父親が飲んだ場合の方が効果が大きいくらいだったんです。
だから今回の実験ではマウスではあるんだけど、父親がアルコール消費をすることによって
胎児期の成長とアルコールによる悪影響
アルコール症候群のようなことが起きるということが明らかになったんです。
胎児期の成長というのは母親の体の中で起きるわけですよね。
だからこの実験では父親の影響というのは精子だけなんですよ。
ということはアルコールが精子に何らかの影響を与えているということなんです。
この実験だけからではわからないんですけれども、エピジェネティクスというものがあってその影響ではないかと考えられます。
その遺伝子というのはDNAなんですけれども、DNAにくっついているものというのがあるんですね。
その状態が変わると特定の遺伝子が働きやすくなったり働きにくくなったりするんです。
そのDNAにくっついているものの状態が変わることによって情報が伝わるみたいな現象のことをエピジェネティクスって言うんですけれども、
このアルコールもそういったメカニズムで精子で引いては受精卵へ影響を与えているとそういう可能性が考えられます。
というわけで現時点では人間でもそうかはわからないんですけど、
妊娠よりも前の段階で父親が飲酒しているかどうかが生まれてくる子どもに影響を及ぼす可能性が十分にあるということが
この研究から明らかになったんです。
このアルコール症候群なんですけれども診断のための定義っていうのが定められているんですね。
アメリカCDCの定義なんかを見てみるとですね、
発育の障害、顔の要望、見た目のことですね。
それから神経系の障害、さらに母親のアルコール摂取っていうのが含まれているんです。
ですからアルコール症候群が疑われる場合には母親への聞き取りが行われるんです。
明らかにアルコールの影響が疑われる場合でもアルコールを摂取していたことを否定する母親は多いんですね。
まあ飲んではいけないっていう警告があるのに飲んでしまって、
その結果子どもに障害が生まれたなんていうのは恥だし後悔があると思うので、
そういう風に嘘をついているっていうケースもあるんだと思います。
でもはっきりと否定をしている母親っていうのも結構いて、
それでも明らかなアルコール症候群の症状が見られているケースっていうのがあるんだそうです。
アルコール症候群っていうのは母親の影響だけで起こるっていう考えがあるんですよね。
だからきっと母親が嘘をついているんだろうって考えて片付けられてしまうっていうことがあるみたいなんです。
これだけじゃなくって一般的に子どもの健康、特に胎児の健康は母親の問題であるっていう考えがあって、
だから何か問題があった場合は母親が非難されてしまうっていうのがあるんです。
でも今回のこの研究っていうのは父親の飲酒によってもアルコール症候群になる可能性があるっていうことを示しているんですよね。
だから人間でもそうなのかっていう研究を行う必要は絶対にあるわけなんです。
飲酒控えるべき理由と注意点
さらにこの論文の筆者は妊娠を望んでいる場合は父親も飲酒を控えるべきだと言っているんです。
お酒にある警告表示のラベルなんですけれども、
妊娠中や授乳期の飲酒は胎児乳児の発育に影響する恐れがあるっていう書き方なんですけれども、
受精の前のアルコールも影響があり得るっていう点には触れてないんですよね。
でも妊娠前から気をつける必要がありますし、しかもそれは母親だけではなくて父親もそうである可能性があるっていう、そういうことなんです。
今日はこの辺で終わりにしたいと思います。最後までお付き合いありがとうございました。
ご視聴ありがとうございました。