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2024-10-03 22:34

S2E17 猫の奇妙な味覚;カリフラワーの好き嫌い

科学系ポッドキャストの日の配信です。共通テーマ「味」で各科学系番組が配信しています。

エピソードがまとめられたSpotifyプレイリストがあるので、ぜひ「科学系ポッドキャスト」で検索してみてください。


今日は最初に、番組アーカイブから、ネコの味覚に関する話をした後に、カリフラワーを嫌いな人がいる理由について、アオイさんと話しています(こちらは新作)。


https://www.science.org/content/article/why-do-cats-love-tuna-so-much-scientists-may-finally-know

https://academic.oup.com/chemse/article/doi/10.1093/chemse/bjad026/7238703


https://pubs.acs.org/doi/full/10.1021/acs.jafc.1c03889

https://www.livescience.com/study-why-some-kids-hate-broccoli-cauliflower

サマリー

このエピソードでは、猫の味覚の特徴と、特にカリフラワーに対する嗜好についての研究が取り上げられています。猫が持つ味覚の受容体の変異や、イノシン酸やヒスチジンが猫の嗜好に影響を与える理を探求しています。猫がカリフラワーに対する好き嫌いを持つことが、個人差による味覚の違いに関連していることを示した論文が紹介されています。この研究では、子供と大人の唾液に含まれる匂い物質の違いがカリフラワーの好みと関連し、家族間での味覚の似通いについても言及されています。

猫の味覚のイメージ
みなさん、こんにちは。今日は、科学系ポッドキャストの日の配信です。今回は、「存在理科の時間」という番組がホストで、共通テーマが味になります。
このテーマで、多くの科学番組が配信をしていて、それがまとめられたSpotifyのプレイリストが10日に公開されます。ぜひチェックしてみてください。
当番組の今日のエピソードですが、まずはじめに番組アーカイブから、猫の奇妙な味覚についての話を流します。
そしてその後に、こちらは新作で、カリフラワーやブロッコリーが嫌いな人がいる理由を示唆する研究について、葵さんと話したものをお届けします。
では、その本編がこの後始まります。ぜひお聞きください。
猫は魚が好きだというイメージがあるんですよね。サザエさんのテーマソングなんかがまさにそうなんです。
日本だと魚をよく食べるわけで、そこで飼われている猫が魚を好きなのは、そんな不思議な感じはしないわけなんです。
こんなふうに、猫が魚好きなのは日本だけのことだと思っている人も多くて、あまり魚を食べない地方の猫は魚よりも肉が好きなんだという話を聞いたことがある人というのもいるかもしれないです。
でも実際は、欧米でも猫は魚好きというイメージがあるんです。
特に欧米のイメージだとマグロ好きという感じなんです。
もちろん日本でもマグロ、ツナのキャットフードというのはよく売れているわけです。
猫というのは肉食動物なので、動物を食べるというのはよくわかるんです。
でも特に魚が好きだというのは不思議といえば不思議なんです。
というのは猫の祖先のヤマネコというのがいるんですね。
そういったヤマネコが約1万年前に人間と共生しだして、今のイエネコに進化していったんです。
それが起きたのが中東の砂漠地方だと言われているんです。
だから今のイエネコの祖先の動物というのは魚のいないところに住んでいた魚なんか食べない動物だったということなんです。
だからそんなヤマネコから進化した今の猫が魚を好きというのは不思議なんですね。
今日はこの猫の奇妙な味覚について調べていった研究を紹介したいと思います。
ポッドサイエンティストへようこそ。
今日紹介する研究はワルサムペットケア科学研究所のスコット・マグレインらによって行われた研究で、
2023年8月にケミカルセンスに掲載されたものです。
ちなみにこの研究所というのはマーズという会社のものなんですね。
マーズというのはお菓子の会社でスニッカーズを作っているところなんです。
でもペットフードでも大手で、ペットフード部門の研究所ということになります。
そもそも味覚とはというところなんですけれども、
5種類の味があるんです。
甘い、しょっぱい、酸っぱい、苦い、それに加えてうま味というのがあるんです。
うま味というのは味の素の味とか出汁の味ですね。
イノシン酸とヒスチジンの影響
酸っぱい、苦い、酸味、苦味というのは有毒なものを避けるために、
そういう味覚があると考えられています。
それから甘味というのは砂糖とか糖の味なわけです。
糖というのは炭水化物なので、
甘味というのは栄養素として炭水化物を検出するためにあるということなんです。
甘味を感じるのは舌、そのベロの細胞に甘味の分子と結合する分子があるからなんですね。
そういうふうに、舌というのは甘味の分子と結合する分子があるからなんです。
舌というのは甘味の分子と結合する分子があるからなんです。
そういうふうに特定の分子と結合して、その細胞の中に情報を伝えていくものを受容体というんです。
その甘味の受容体というのがすでにわかっていて、
TAS1R2というのとTAS1R3という2つの分子が結合したものなんです。
猫では、このうちのTAS1R2に変異があるということがすでにわかっているんですね。
それでこの受容体が機能しなくなって甘味を感じなくなっていると考えられているんです。
猫は肉食なんですよ。
だから人間みたいに穀類とか果物を食べているわけじゃないんですね。
なので甘味を感じる必要がないんで、そういうふうに受容体が機能しなくなってしまってそのままなんだろうというふうに考えられます。
それから猫を含めてなんですけれども、肉食動物は、
じゃあ猫は何を味として感じているんだろうというところなんですけれども、
猫が食べている肉が多く含むのは、うま味なんです。
うま味の成分としては、アミノ酸とかカルシウムなどが含まれているんです。
こういった成分というのは、肉とか魚にたくさん含まれているわけなんです。
そして、こういった成分というのは、アミノ酸としてはグルタミン酸、それからカルシウム酸、アミノ酸、アミノ酸酸、アミノ酸酸、アミノ酸酸、アミノ酸酸というのが含まれているわけなんです。
こういった成分というのは肉とか魚にたくさん含まれているわけなんです 出汁の味ですから他には昆布とかキノコとか一部の野菜に多く含まれています
で旨味の需要帯なんですけれども TAS1R1と3がくっついて旨味の需要帯を形成しています
そのさっき出てきた甘味の需要帯は2と3だったんですけど こっちは1と3なんです
1と3に関しては猫でもちゃんと遺伝子はあるし 舌でこの遺伝子が働いているっていうことをこの論文で明らかにしています
この論文ではこの遺伝子の配列をもう少し詳しく調べていったんですね でそうすると
グルタミン酸と結合する場所に異常があるということがわかったんです だから旨味成分であるグルタミン酸とは結合しないっていうふうに考えられるんです
じゃあ旨味は猫は感じないのかっていうところなんですけれども バイオ細胞に猫の遺伝子を入れて検証していっています
でこの猫の旨味需要帯を作るバイオ細胞で調べてみたら 確かにグルタミン酸には反応しなかったんですね
でも違う旨味成分のイノシン酸には反応するっていうことがわかったんです
だから確かにその猫の需要帯っていうのはイノシン酸であれば旨味に反応することができるっていうことがわかったんです
グルタミン酸を含めてアミノ酸には反応しないんですけど いくつかのアミノ酸とイノシン酸を混ぜるとイノシン酸単独の時よりも強い反応があるということがわかったんです
この効果が特に強いアミノ酸としてヒスチジンというのがあったんです つまり猫の旨味需要帯っていうのはヒスチジンがそこにあれば強くイノシン酸に反応するということがわかったわけです
次はですね 猫そのものでテストをしていったんですね
水を入れたボウルを2つ準備して調べていったんですけれども片方にはただの水を入れておいて もう片方には旨味成分を溶かしたものを入れておいたんです
それで猫がどちらを好むかっていうのを調べたんですね イノシン酸で調べてみるとそのイノシン酸が溶けている水の方を
ただの水よりも好んでいたという結果がまず出ました その旨味成分1種類っていうだけではなくて複数の組み合わせっていうのもやっていったんですね
いろんな組み合わせをやっていったんですけれどもイノシン酸とヒスチジン どちらも猫が強く好むっていうことがわかったんです
だからバイオ細胞を用いた実験でも猫そのものの嗜好を見るっていう実験でも イノシン酸とヒスチジンによく反応するっていうことがわかったわけです
で過去の文献を見てみると種類にもよるんですけれども マグロにはイノシン酸がたくさん含まれているっていうことがすでにわかっているんですね
さらに注目すべき点はヒスチジンがマグロには大量に含まれているんです
でも豚肉とか牛肉とか鶏肉にはヒスチジンはほとんど含まれていないっていうことがすでに報告されていたんです
ヒスチジンというのはタンパク質の成分ですからタンパク質の長い鎖の中には確かに入っているんですよ
でも旨味の需要帯に結合できるフリーな状態のヒスチジンというのは肉にはほとんどないんだけどマグロにはたくさんあるっていうことなんです
だから今回の研究で猫の旨味需要帯っていうのはイノシン酸とヒスチジンによく反応するんだけれども
そのマグロにはイノシン酸とヒスチジンがたくさん含まれていて これが猫がマグロが好きな理由ではないかっていう
猫と文化の関係
そういうことを示している研究だったんです
でまぁなぜ猫がこんな需要帯を持つようになったのかっていうところなんですけれども
この論文を解説した記事では一つの可能性を述べています
紀元前1500年くらいのエジプトで猫が何か魚を食べているような絵が残っているんですね
さらに中世の中東の港では猫が魚を食べていたという記述があるらしいんです
だからもともとは砂漠にいた生き物なんだけど人間と生活するようになって
場所も移動してで魚も食べるようになってそれで好みが変化していったと
そういうことなのかもしれないと そういう解説がされていました
ただまぁこういうことに対する理由っていうのはなかなか証明のできることではないんですよね
その今の状態でも肉の猪さんを猫は感じることができるわけなんです
だから例えば今のアメリカの中央部みたいに魚なんてほとんど食べないところで魚が好きであっても別に困らないわけなんです
なので単に偶然そんな変異が起きてでそれが別に困らなかったから今こういう状態であるっていう可能性も残されていると思います
でまぁ今回の論文ではですね特に猫とマグロの関係っていう風に話が進められていたんですけれども
他にカツオとかサバとかサンマもヒスチジンが多いんですね
カリフラワーの個人差
だから猫がサンマを食われて盗んでいくみたいな描写がたまにあるんですけれどもこれも確かに猫はサンマが好きそうでツジツマがあっていて
なかなか興味深いなというところでした
こんにちは葵さん
こんにちは佐藤さん
今日はカリフラワーの好き嫌いについての論文なんですが佐藤さんはカリフラワーとかブロッコリー好きですか
僕はカリフラワーもブロッコリーも苦手なんです特にカリフラワーダメですね
一応食べられますけどドレッシングをたっぷりかけて味を紛らわせて食べるって感じですかね
そうなんですねカリフラワーの味の何がダメなんですか
いや何って言われると困るんですけどなんか気持ち悪くなりません
全然そんなことないと思うんですけどねなんか私は美味しいとしか感じないしカリフラワーもブロッコリーも大好きです
でもこうやって人によって感じ方に違いがあるのって不思議じゃないですか
最近この個人差を説明している論文を見つけたので紹介しますね
はいお願いします
カリフラワーみたいな油中の植物というのはSメチルLシステインスルホキシドという物質を持っているんですね
長い名前なんですけれどもスルホキシドというのが大事なところでサルファつまりイオン原子を持つ分子なんです
でこの物質がシステインスルホキシドリアーゼという酵素によって反応すると色々な分子ができて臭いイオン臭がするようになるんだそうです
植物はこの酵素も持っているんですけれども普段はこの物質と酵素は別の場所にあるので反応はしていなくて植物が潰れた時にだけ反応するようになっているんです
でこれが植物が動物から身を守る防御機構と考えられています
だから普段は臭くないんだけど動物が食べようとして潰されると臭くなるっていうことですか
はいその通りです
でも人間の口の中に住んでいる細菌もこのリアーゼという酵素を持っていて唾液に出てくるリアーゼのせいでさらにこの嫌な匂いが作られるということがわかっていたんですね
それでこの論文では口の中の環境とカリフラワーが好きかどうかの関係を調べています
まず最初にブロッコリーやカリフラワーの成分を分離して特に人が嫌う匂いの分子を特定しています
そのために6歳から8歳の子供100人くらいとその親に分離した成分の匂いを嗅いでもらったんです
その結果大人でも子供でもジメチルトリスルフィドという物質の匂いが嫌だと感じることがわかりました
次にこの人たちから唾液を採取して生のカリフラワーと混ぜるということをしてしばらく置いておいた後にできてくる匂い物質の分析をしています
そうするとジメチルトリスルフィドみたいな匂い物質の量が人によって違ったということなんです
つまり人ごとに唾液の中にある酵素の種類か量が異なっていて最初のカリフラワーは同じなんだけどできてくる匂いの強さが違うというわけですか
はいそうなんです それで次はこれがカリフラワーが好きかどうかと関係があるかを調べました
まずそれぞれの人に生のカリフラワーを食べさせてどれくらい好きかを評価してもらって各自カリフラワーの好きな度合いのスコアをつけます
でこのスコアと唾液でどれだけ匂い物質が作られるかとの間に相関があるかを調べたんです
その結果子供では相関が見られてカリフラワーが嫌いな子供ほど口の中で嫌な匂いがする物質がたくさん作られる傾向があるということでした
なるほど面白いですね
でこの論文ではそれ以上は調べていませんが唾液中の酵素の量の違いは口の中に住んでいる細菌の違いではないかという想像していました
次回の予告
実際親子では匂い物質の酸性量が似ていたので同じ環境に住んでいると口の中の細菌が似ていてこうなっているのではという推測もされていました
まあもちろん遺伝の可能性も否定はできないんですけどね
ちなみに子供では相関があったということですけど大人ではどうだったんですか
大人では匂い物質の酸性とカリフラワーの好き嫌いには関係が見られないという結果でした
これについては大人の味ってあるじゃないですか苦味とか酸味とかに慣れて好きになっていくみたいな
なので大人は慣れているんだろうということが書いてありました
でもそうなってくると佐藤さんは舌が子供のままってことかもしれませんね
まあそうかもしれないですねいやいやでも大人だからちゃんと残さず食べてますよ
今日の論文はどこの論文でしたか
2021年のジャーナルオブアグリカルチャル&フードキミストリーでオーストラリア連邦科学産業研究機構のデミアンフランクラによるものでした
今日も面白い話どうもありがとうございました
ちょっとここで来週の予告があります
この番組は大体僕が一人で研究を紹介するっていうのが多いわけなんですけれども
次回は初めてですねその一人でしゃべるパートを葵さんがやるという形になります
まだ録音はしてない段階なんですけれども
葵さんどうですかちょっと意気込みとかがあればお願いします
はいそうですね私にとって初めての一人で論文を紹介するパートということで
これを任せていただけたことがまず嬉しいんですけれども
同時に少し新たな挑戦というところでドキドキしている面もあります
次回紹介する論文というのは新しいもので興味深い内容だったので
その面白さを皆様にお伝えできるように頑張りたいと思います
ありがとうございますそうですねぜひ次回お聞きいただければと思います
今日はこれで終わりにしたいと思います
最後までお聞きいただきありがとうございました
ありがとうございました
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