2021-03-01 06:49

#8 番組レビュー This American Life : ストーリーテリングのプロ

音声業界の海外市場が見えてくる番組 ポッドキャストアンバサダー

今回はポッドキャスト人気番組のレビューです。
第6話で取り上げた、2020年米国ポッドキャストランキングの第4位にランキングした、アメリカの長寿番組を取り上げます。

おすすめのポッドキャストリンクはこちら

https://www.thisamericanlife.org/

テキスト版でご覧になりたい方はこちら

https://note.com/rinaarailevia/n/n6c146fecb1cc


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音声業界の海外市場が見えてくる番組、ポッドキャストアンバサダー。
この番組では、自称ポッドキャストアンバサダーことあらいりなが、海外で人気のポッドキャスト番組のレビューやおすすめ、そして業界の注目ニュースまで様々な視点でお送りしています。
さて、今回はポッドキャスト人気番組のレビューです。
この番組の第6話で取り上げた、2020年米国ポッドキャストランキングの第4位にランキングしたアメリカの長寿番組。
アメリカでは知らない人はいないという人気番組を取り上げたいと思います。
テキスト版でご覧になりたい方は概要欄にリンクを貼っておりますので、そちらからご覧ください。
さて、今回は2020年米国ポッドキャストランキングの第4位にランキングしたアメリカの長寿番組、This American Lifeをご紹介したいと思います。
この番組、1995年から放送開始していて、既に四半世紀も配信し続けている長寿番組なんです。
ストーリーテリングタイプのプロ中のプロ、アメリカでは知らない人はいないとも言える番組です。
毎週更新される番組なんですが、長さはだいたい1時間。毎回テーマが設定されていて、それに沿った2、3種類の違うミニストーリーで構成されています。
テーマというのも、例えば今日は金融とかファッションとか、そういうジャンル的なものではなくて、
例えば、The Empty Chair、誰も座っていない椅子とか、Same Bed, Different Dreams、同じベッドで違う夢を見るとか、ちょっと抽象的な時には詩的なタイトルがついているんですね。
どちらかというと、それぞれのミニストーリーをいろんな視点で切り取って、その共通点をタイトルにしているといった感じの作りです。
今回は、そんな長寿番組の中でも2本を取り上げたストーリーを含む回をご紹介したいと思います。
今回紹介するエピソードのタイトルは、One Last Thing Before I Go、訳すと、私が行く前の最後の一言。
この抽象的なテーマに沿った3つの異なるストーリーが今回登場します。
簡単にそれぞれの内容を紹介していきましょう。
1つ目は、コロナウイルス感染者を看病する看護師が、その患者家族につづったメッセージについて。
コロナウイルスに感染して入院をすると、その患者家族の面会というのは、遮断されている病院が今でもあると思います。
そんな中、看病する看護師が唯一、入院している家族の様子を見て伝えることができる人物なんですね。
そんな看護師が家族につづったメッセージを取り上げたミニストーリーです。
そして2つ目、こちらは東日本大震災の後、風の電話に訪れる人々のドキュメンタリーです。
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風の電話とは、岩手県にある電話ボックスの中に設置された、どこにもつながっていない黒電話のことです。
ある庭師の方が亡くなられた家族と話せるようにと設置をして以来、東日本大震災で大切な人を失った多くの人が伝えたかった最後の言葉を、この受話器を通じて相手へ届けようと、今でも訪れているといいます。
今回の2つ目のストーリーは、そんなNHKのドキュメンタリー番組をもとに制作されたということで、実際の日本語での会話に英語のナレーションがかぶさるという形で収録されています。
そして最後3つ目のストーリーは、何十年も恩親不通の兄弟を再会させる、その息子のプロジェクトです。
すでに引退して高齢の兄弟が、実はある仲互いが原因で何十年も恩親不通になっているというところを、30代ぐらいの息子がその2人を再会させて仲直りさせるというプロジェクトを取り上げたドキュメンタリーたちのストーリーです。
この1つ1つのミニストーリーだけでも重厚で盛りだくさんな内容なんですが、このクオリティを毎週配信しているというのもすごい力を持った番組です。
そこでこの番組一番の特徴であり、多くのリスナーを魅了し続ける理由なんですが、それが音声だけで生まれる没入感です。
これ前回のエピソードでも取り上げたポッドキャストのタイプで言うとストーリーテリングタイプなんですが、この構成だからこそ生まれてくる特徴とも言えると思います。
映像がないメディアであるポッドキャストだからこそですね、情景や人の行動なども言葉で表されるんですね。
それらが生きてくるのはやはり生の人間の声があるからなんです。
特に2つ目のストーリーは東日本大震災の内容ということもあって、日本人にとってはもちろん忘れられない出来事でもあります。
今回はあくまでもポッドキャストの構成という観点からという意味合いで言いますが、そのストーリーに登場するのがやはり演技をしている俳優でもなく生の人間なんですね。
それこそ言葉にならない空白の時間やその後にやっと出た一言など、映像ではないからこそその一人一人の話に入り込んで、まるで自分がその人と対話をしているような感覚にも陥ってくるんです。
この声の強さというのはもちろん、ポッドキャストはどんなタイプの番組でも声だけで伝えるメディアであることには変わりはないんですが、
このストーリーテリングタイプのプロ中のプロであるというこの番組は一層その強みを生かした番組構成をしていると思います。
声が伝える情報は言葉だけではなくて人の本音ということが感じられる番組です。
さて今回は2020年ポッドキャストランキング4位にもランキング入りした長寿番組This American Lifeを紹介しました。
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実はこの番組のパーソナリティでありプロデューサーでもあるアイラグラッシー、この方もですね、ポッドキャスト界では知らない人はいないという大御所です。
今や有名な数多くのストーリーテリングタイプのポッドキャスターたちは、この人と一緒に仕事をしてきたという人も多くて非常に尊敬される人でもあります。
またの機会に有名ポッドキャスターについては取り上げることにしたいと思います。
最後までお付き合いいただきありがとうございました。
ポッドキャスターアンバサダーの新井理奈がお送りしました。
それでは次回のエピソードで。
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