脳のエネルギー使用
さて今回は、止まらない思考、脳燃費を改善する、というテーマでいただいた資料、一緒に見ていきたいと思います。
なんかこう、頭がずーっと働いてて休まらないなーっていう感覚、これ結構ありませんか? あーありますねー、すごくよくわかります。
今日はですね、その見えない疲れの背景にある脳の仕組み、それから思考のエネルギーをまあうまく管理していくヒント、これを探っていきましょう。
まず注目したいのが、私たちが特に何もしてないなーって感じている時でも、脳って実はかなりエネルギーを使っているってことなんです。
資料にもありましたけど、特にデフォルトモードネットワーク、訳してDMN、この神経回路がその中心にいるみたいなんですね。
デフォルトモードネットワーク、DMNですか。なるほど、資料で見たやつですね。例えば、深夜までついダラダラ作業しちゃったりとか。
あーはいはい。あとは休みの日なのに、なんか無意識に仕事のことを考えちゃってるとか、まさに集中してるわけじゃないのに、なぜか休まらないっていうあの感じですかね。
そうなんです。それがまあ先ほど触れたDMNの活動の一端かもしれないんですね。これ驚くことに、脳全体のエネルギー消費の60%から多い時だと80%近くがこのDMNによるものだと言われてるんですよ。
60から80%、それはすごいですね。
ええ、いわば脳が常にアイドリングしているような状態なんですね。
アイドリングですか。
はい。ただ、誤解しないでいただきたいのは、このDMNって自己反省とか、未来の計画を立てたりとか、他人の気持ちを想像したりとか、そういうすごく人間らしい大事な思考にも不可欠な役割を持ってるんです。
なるほど。じゃあ単にエネルギーを無駄遣いしているわけじゃないんですね。
そういうことです。
で、そのDMNと深く関わるのが、マインドワンダリング。心のさまよいでしたっけ?
マインドワンダリングですね。
これがまた面白くて、会議中に全然関係ない、でも良いアイディアがパッと閃くみたいな、想像的な側面もあれば。
はい、ありますね。
一方で、過去の失敗とかをずっと繰り返し考えちゃって、集中できないし、なんか気分も落ち込む日みたいな、そういう面もあると。
まさにその通りなんです。諸波の剣と言えるかもしれませんね。
脳の働きをざっくり分けると、今お話しした内政とかマインドワンダリングを担うDMN、それと目の前のタスク、これに集中するためのECN、実行制御ネットワークですね。
ECN、実行制御ネットワーク。
ここからが重要なんですが、このDMNとECN、どっちを優先させるかを判断して、切り替えを支持する役割のSN、サリエンスネットワークというのがあるんです。
SN、サリエンスネットワーク、それが切り替え役。
はい、このSNを、なんて言うんでしょう、脳の中の重要度検出器とか、あるいはスポットライトの操作乖離みたいに考えてみると分かりやすいかもしれません。
スポットライト操作乖離、面白い例えですね。
ということは、その操作乖離、つまりSNがなんかうまく機能しなくて、DMNの方にばっかりスポットライトが当たり続けちゃうと。
そうなんです。
それで、なんか思考が止まらないぞとか、仕事モードから全然抜け出せない、みたいな状態になっちゃうわけですか。
まさに、資料によると、これって意思が弱いとかそういう問題というより、むしろ脳のネットワークの連携、特にSNによる切り替えがスムーズにいかないことに原因がある場合が多いみたいなんですね。
なるほど、意思の問題じゃないと。
じゃあ、どうすればそのスポットライト操作乖離の働きを助けて、うまくモードを切り替えられるようになるんでしょうか。
資料には具体的な方法もいくつか載ってましたよね。
はい、ありましたね。
一つが、マイクロシャットダウン。
マイクロシャットダウン。
ええ、ほんの3分くらいでできる、まあ、脳のクイックリセット法みたいな感じです。
3分で。
やり方は3ステップで、まず1、視線をこう遠くに映す、窓の外とか。これは外界への注意を促すんですね。
ふむふむ。
次に2、体の一部、例えば手のひらとか足の裏なんかに意識を向けて、ふーっと力を抜く。これは身体感覚に注意を戻す。
なるほど。
そして最後に3、最後に、あ、今自分なんか考えてるなって、自分の思考にこう客観的に気づく、メタ認知。
メタ認知。
これらをやることでDMNの活動をちょっと抑えて、ECNへの切り替えを助けると考えられてます。
へー、たった3分で、しかも具体的なアクションがあるっていうのはすごく試しやすいですね。
そうですね。
それからもう1つ、えーっと、思考の予算管理っていう考え方。これもユニークでした。
えー、面白かったですね。これは1日の活動を、例えば集中モードとか、対応モード、あとは回復モードみたいに自分で分類してみるんです。
モード分けするんですね。
はい。そしてそれぞれのモードに使う思考エネルギーの量、まあ予算というかトークンみたいなものを割り振るイメージで管理するアプローチです。
予算、トークン、なるほど。
これをやると自分が今どのモードにいて、どれくらい脳のエネルギーを使ってるかなっていうのが、こう客観的に把握しやすくなるんですね。
確かに可視化される感じですかね。
そうそう。結果として意識的に、あー、そろそろ回復モード取らなきゃと、みたいに脳のオーバーヒートを防ぐ助けになるだろうと。
資料にあった事例だと、この方法を3週間試しただけで睡眠スコアが15ポイントも改善したなんて人もいたみたいですよ。
新しい関係の構築
15ポイント改善。それは具体的で分かりやすいですね。効果がイメージできます。
ええ。
ということは、つまり思考が止まらなくて疲れちゃうっていうのは、別に何というか、自分が負けてるとか意志が弱いとかそういうことじゃなくて、
ええ。
脳の特定のネットワークが過剰に活動してたり、あるいはモードの切り替えがうまくいってなかったりする、そういうサインかもしれないってことですね。
まさにそういうことだと思います。重要なのは、そのDMNとかマインドワンダリングを頭ごなしに悪者だって決めつけるんじゃなくて、
まずは、あ、今DMNが活発になってるなとか、あ、今心がさまよってるなってその存在に気づくこと。これが第一歩ですね。
気づくことですか。
ええ。そしてさっきのマイクロシャットダウンとか、思考の予算管理みたいな方法を使って、意識的に関わり方を調整していく術を身につけていく。
なるほど。
そうすればそのマインドワンダリングも、時にはうちなる探求者みたいになって、あなたの想像性とか自己理解を深める、むしろ味方になってくれる可能性だってあるわけです。
へえ。付き合い方次第で味方にもなり得ると。面白いですね。
そうですね。
さて、最後にですね、資料の締めくくりにもあった問いかけを、これを聞いてくださっているあなたにもしてみたいと思います。
はい。
今この瞬間、あなたの脳は何を考えていますか。ほんの少しだけでいいので、ご自身のその内側の声にちょっと耳を澄ませてみてください。
うーん。
その気づき自体が、もしかしたら止まらない思考との新しい関係を築く、すごく大切な最初の一歩になるのかもしれないですね。