ミラーニューロンの紹介
こんにちは、ズーディープダイブです。
今回はですね、私たちの脳の中にある、ちょっと不思議な鏡の話。
鏡ですか?
はい。それと、なんで周りの人の意見とか感情にすごく影響されちゃうことがあるのか。
あー、ありますね、そういうこと。
ですよね。神経科学のミラーニューロンと、心理学で言う他人軸って言葉ありますけど、
はいはい。
この2つがもしかしたら繋がってるんじゃないかってあたりを、ちょっと深く見ていきたいなと。
なるほど。脳の仕組みと心の在り方、面白そうですね。
私たちの脳って、他の人の行動とか感情を、なんかこう、自分のことみたいに映し出す細胞があるんですよね。
そうそう、それです。
それが人との繋がりを助ける一方で、まあ時として自分を見失う他人軸の状態にも関わってくるかもしれない。
うーん。
そのあたり、資料を見ながら探っていきましょうか。
はい、お願いします。まずはその脳の中の鏡、ミラーニューロン。
これなんか偶然、猿で見つかったって聞いたんですけど、本当ですか?
あ、そうなんですよ。有名な話で。
へー。
研究者が猿にピーナッツか何かをあげようとしたときですね。
はい。
猿が自分で掴むときと、研究者が掴むのを見てるとき、なんと同じ神経細胞が活動したと。
え、見てるだけでも?
そうなんです。びっくりしますよね。
具体的には、マカクザルだとF5余っていう運動の計画に関わるあたりとか、あと下等調小場、IPLって呼ばれる場所。
ふむふむ。
人だとそれに相当するだろうと考えられているC前頭蓋、IFGとか同じくIPLあたりで活動が見られると。
なるほど。
これはつまり、他人の行動を自分の体でなぞるように。
なぞるように。
えー、内部シミュレーションしてるんじゃないかって考えられてるんです。
内部シミュレーション。
そうです。それによって相手が何をしようとしているのか、その意図を理解したり、あとはモノマネ学習ですね。模倣したり。
あー、学習法にも。
ええ。さらには他人の感情を感じ取る、いわゆる共感。
共感。
ええ。その神経的な基盤の一つじゃないかってことですごく注目されたわけです。
なるほど。じゃあ、例えば誰かが悲しい顔してたらこっちもなんとなく悲しくなっちゃうのかとかも関係してるかもしれないですね、このミラーニューロンが。
その可能性はありますね。ただ、発見された当初はちょっとこう、これぞ人間を人間たらしめるものだとか。
他人軸の概念
あー、なんかすごい期待感。
そうそう。文明を作ったニューロンだ、みたいなちょっと過剰な期待というか、そういう見方も一部にはあったんですよ。
へー、でも今はちょっと違う。
えー、まあ、少し冷静になってきています。
というのも、人の研究って脳の活動を直接見るのは難しいので、FMRIみたいに間接的に測る方法が主流なんですね。
はい。
なので、そのデータの解釈にはやっぱり慎重さが必要だと。
ふむ。
それに、このミラー特性って生まれつき全部備わってるっていうよりは、もちろん経験を通して、見た動きと自分の動きを結びつけて学習する。
肯定的に獲得されるものじゃないかという考え方もあるんです。連合学習、ASL理論なんて呼ばれてますけど。
あ、学習で身につく可能性も?
ええ、有力な説です。
ですから、共感とか言語とかあるいは自閉症みたいな複雑なことをミラーニューロンだけで全部説明しようっていうのはちょっと難しい。
なるほど。
今はもっと広い脳のネットワーク全体の中で、社会的なプロセスに関わる重要な要素の一つくらいに捉えるのがより現実的かなという感じです。
なるほどですね。他者を理解する基盤かもしれないっていうのはすごく興味深いんですけど。
ええ。
一方で、その他者に影響されすぎる状態。
はい、他人軸ですね。
それです。これって心理学的にはどういう状態を指すんですか?よく自分軸と対比されますけど。
えっと、他人軸っていうのは言葉の通りなんですけど、自分の考えとか感情とか行動を選ぶときの基準、その軸が自分の中じゃなくて、他人とか周りの状況とかそういう外にある状態ですね。
外にですか?
そうです。周りはどう思うかなとか、期待に応えなきゃとか、そういう他人の評価とか意向が判断の中心になっちゃう。
ああ、なるほど。
そうすると、自分の本当の気持ちとか、本当にやりたいこととかがだんだん見えにくくなってしまう。
うーん。
一方で、自分軸っていうのは、自分の内側にある価値観とか感情とか欲求とか、そういうのを基準にして、物事を判断して行動する状態。
うんうん。
だから一番の違いは、何かを決めたり、自分を評価したりするときのその参照点が、自分の内にあるか外にあるかっていうそこですね。
なるほどな。でもどうして人はそんなに他人軸になりやすいんですかね。なんか新しい環境に入ったときとか、つい周りに合わせすぎちゃって、後でドッと疲れるみたいなこと結構ある気がするんですけど。
ああ、それはね、本当にいろいろな要因が絡み合ってるんですよ。
はい。
例えば、小さい頃に自分の意見をあまり聞いてもらえなかったとか、逆に過干渉だったりとか。
うーん。
あるいは、過去に何かで失敗したり拒絶されたりした経験が、自信をなくしてしまう自己肯定感が低くなっちゃうと。
ああ。
そうすると、人から認められたいっていう気持ちがすごく強くなって、それが他人軸を強める原因になったり。
なるほど。
あとは、そもそも自分の価値観とか感情がよくわかってないっていう自己理解の不足とか。
うん。
あるいは、人と対立したり拒絶されたりするのがもうすごく怖いとかね。
はいはいはい。
特にその低い自己肯定感っていうのは、他人軸の原因でもあるし、他人軸でいることの結果、さらに自己肯定感が下がるみたいな。
うわー、苦潤感。
そうそう、そういう悪循環を生みやすい面があるんですね。
具体的には、頼み事を断れないとか。
ああ、ありますね。
つい周りに合わせて自分の意見を言えないとか。
うんうん。
自分でなかなか決められないとか。
いつも人の目が気になるみたいな、そういう行動とか考え方に出るんですね。
まさにそういうパターンですね。
結果的にすごく疲れちゃったり、ストレス溜まったり、何だか満たされない臭しい感じになったりすると。
ええ、おっしゃる通りです。
ただここで一つ大事なのは、健全な共感性とか他人への思いやりとはまた別だってことです。
ミラーニューロンと心理の関係
あ、そこは違うんですね。
ええ、他人軸の根っこには結構自分を否定する気持ちとか、嫌われたくないみたいな恐れの感情があったりすることが多いんですね。
なるほど。それでここからが本題というか、確信に近づいていくわけですけど。
はい。
脳が持っているその他人を打つミラーリング機能、これと今話した心理的な他人軸の状態。
ええ。
これってどういうふうに結びつく可能性があるんでしょう。
まだ仮説の段階だとは思うんですが。
そうですね、あくまで可能性を探るという段階ですけど、いくつか接点は考えられるかなと。
一つはそのミラーニューロンシステム、MNSって言ったりしますけど、それが関わる無意識の自動的な共感とか感情の伝線。
はいはい。
これがですね、自分と他人の感情をちゃんと区別する能力。
区別する能力。
ええ。自己多釈別、SODなんて言ったりもしますか。
それとか、自分の感情をコントロールする力、感情調整能力ですね。
うん。
そういうのがもしちょっと弱い場合に、他の人のネガティブな感情とかにグッと飲み込まれやすくなっちゃうという可能性。
ああ、なるほど。引きずられちゃう感じ。
そうそう。
他人との関係の影響
つまり、ミラーシステムの感受性がすごく高いとか、あるいはそれをうまく調整する機能がまだ未熟だと、結果的に他人軸に傾きやすい筋になるかもしれないと。
人と繋がるための脳の仕組みが、使い方というかバランスによっては自分を見失う原因にもなり得ると。面白いですね、それ。
そういう見方もできますね。他にもですね、MNSが関わる社会的な学習のプロセス。
はい。
周りの人の期待とか、社会のルールみたいなものを、あまり深く考えずに、そのまま自分の内側に取り込んじゃう。
うんうん、無批判に。
ええ。それが、他人軸的な考え方のパターンとして、神経回路レベルで強化されちゃう、なんて可能性も考えられなくはない。
なるほど。
そらに言うと、自分と他人を区別するためには、また別の脳の領域も関わっているんですね。
右側の側頭頭頂接合部、RTPJって言いますけど、ここは相手の視点に立つ、みたいなことに関わるところ。
ほうほう。
あとは、前頭前野、PFC、計画立てたり判断したり、そういう高度な機能ですね。
はい。
こういう、自分は自分だって保つ働きと、他人を映すミラーリングの働き、このバランスが崩れちゃって、他人をシミュレーションする方が過剰に優位になっちゃう状態。
あー、天秤みたいなのが傾いちゃう感じ?
まさにそんなイメージです。
もう片方に他人を真似る力、もう片方に自分は自分だと区別する力が乗ってて、そのバランスがちょっと他人軸側に傾いちゃってる、みたいな。
それが関係してる可能性もあるかなと。
でもそれはあくまで関連性もしかしたらということであって。
そうなんです。
ミラーニューロンが他人軸の直接の原因だって単純に言えるわけではないんですね。
そこはすごく大事なポイントです。
単純な神経還元主義っていうか、全部脳のせいか、みたいに考えるのは避けるべきですね。
他人軸っていうのは確かに神経的な素質みたいなものももしかしたらあるのかもしれないですけど、それだけじゃなくて、やっぱり育ってきた環境とか、学んできたこと、思い込み、文化的な背景とか、いろんな要因が複雑に絡み合って形作られる神秘状態ですから。
特に自分なんてダメだ、みたいな自己否定的な考え方とか、そういうもっと高次の認知プロセス、考え方の癖みたいなものがすごく大きく関係していると考えられています。
なるほどな。つまり私たちの脳って他人と深くつながって共感するための素晴らしい仕組みを持ってるんだけど、それと同時に意識して自分っていう軸をちゃんと保つ努力も必要になってくるっていうことなんですね。
そういうことだと思います。今回の話で見えてきたのは、ミラーニューロンっていうのは共感とか学習の土台を与えてくれるすごく大事なものだけど、それが私たちの行動とか心理状態を一方的に決めてるわけじゃないよと。
そして他人軸っていう状態は本当にいろんな心理的な要因が絡み合ってできていて、その要因の一つとして、もしかしたら神経的な感受性の個人差みたいなものもあるのかもしれないねと。
自分軸の育成
だから自分軸を育てていきたいと思ったら、まずはやっぱり自分自身の感情とか何を大事にしたいのかっていう価値観にちゃんと気づくこと。
自己認識ですね。
そうです。それから人との間で健全な境界線、どこまでが自分でどこからが相手かっていうのを学ぶこと。
境界線大事ですね。
そして外からの評価にいちいちグラグラしないような内的な自己価値観。これを育てていくことがやっぱり重要になってくるんだろうなと思います。
なるほど。最後にこれを聞いてくださっているあなたにもちょっと考えてみてほしい問いかけがあるんですが。
何でしょう。
もしミラーニューロンの特性がさっき話に出た連合学習説みたいに、経験によって後から形作られる部分があるんだとしたら。
はい。
だとしたらですよ、自己認識を深める努力とか健全な境界線を引く練習とかを意識して続けていくことで、
もしかしたら私たち自分と他人を区別する脳の働きそのものを、より自分らしいすくやかなバランスの方へと少しずつ変えていくことだってできるんじゃないでしょうか。
それは面白い視点ですね。経験が脳を変える神経化蘇生という観点からも可能性はありますね。
ですよね。この問いがあなた自身のさらなる探求の何かヒントになれば嬉しいです。
ぜひ考えてみていただきたいですね。
というわけで今回はこのあたりでありがとうございました。
ありがとうございました。