不登校の新たなアプローチ
東京都北区初の女性区長、山田カナコ。
彼女の描く展望や、未来を描くゲストとの対談など、北区の新たなビジョンを語るこの番組。
今日は、どんな北区未来予想図が描かれるのでしょうか。
皆さん、おはようございます。北区長の山田カナコです。
本日7月1日火曜日、今日も元気にお届けいたします。
今日から7月ということで、夏がやってきましたね。
夏といえばですね、皆さん何が食べたいなと思いますか。
私はですね、とうもろこしが好きなので、夏になったら美味しい甘いとうもろこしだなと思ってます。楽しみです。
食事面でも熱中症対策をしながら、夏を楽しみましょうね。
さて、今月のトークテーマは、区と大学の教育連携についてであります。
そして今日のゲストは、東京家政大学特任教授、半澤義博先生をお迎えしております。
どうぞよろしくお願いいたします。
まずは半澤先生のご経歴と、現在のお仕事内容についてお伺いしたいと思いますが、半澤先生よろしくお願いします。
はい、よろしくお願いします。
私は長年小学校の教員をしておりまして、特に障害のある子どもの指導に携わってきています。
そしてその後、教育委員会の仕事に携わり、特別支援教育を中心に養成経験を積んできました。
なるほど。
その後、今から17年前ですが、東京家政大学に来て、小学校教員の養成の仕事をしています。
特に専門領域としては、特別支援教育やインクルーシブ教育、学級経営や教育課程に関する講義なども行っています。
また、現在大学以外でも、知的障害者の方の育成会の仕事とか、障害者スポーツ、教科書会社の仕事など、教育や福祉に関わる仕事を行ってきています。
先生、これは児童教育のまさにスペシャリストですね。
家政大学の皆さまとはきたく、これまでも包括連携協同を組ませていただきまして、さまざまな場面で一緒の取り組みを行ってまいりましたが、
今年度から新たな取り組みをさせていただくということで、不登校対策の一つとして、家政大学大学内に校外別室、別名ホットルームを開設いたしました。
ホットルームといいますのは、皆さま、今、きたくの不登校対策としては、学校の中の教室は別で校内別室という居場所を作ること、
多様な学びの場の必要性
それから学校とは別で、区内の児童館などを活用して、校外の居場所、校外別室、そしてバーチャル、インターネット上で皆さんが集まってこれるようなバーチャル上の別室、第4弾として、
今回は、家政大学の大学内にお部屋をお借りし、ホットルームという不登校のお子様たちの居場所を作っていただいている取り組みであります。
このホットルームでの対応をしていただく先生方、また教員を目指すカウンセリングや教員を目指される学生さんも一緒に子どもたち、またお母様、お父様、保護者の方々へも対応していただけるということで、児童、生徒と学生さん、双方どんな心理的な意味や効果が期待できるかということを、まず先生に伺いたいと思いますが、いかがでしょうか。
はい。ホットルームでの大学生の存在というのは、子どもたちにとっては先生でもなく、親でもないと、少し年上のお姉さんという距離感で、安心して心を開きやすい相手になっています。
一方で、大学生自身も子どもたちと関わることで、教育や心理、また福祉の分野に関連する実践的な学びを得ることができます。お互いにとって成長の場となっています。これはまさに、共に育つ教育の場だというふうに感じています。
教えるのはいくではなくて、共に育つ教育。いい言葉ですね。素敵ですね。児童生徒に、これまで帰宅、先ほどお話ししたとおり、校内別室、校外別室、それからバーチャルなど、さまざまな居場所を作ってきたんですけども、それからもう一つは、一番最初はフリースクールに通う費用の補助も、今もさせていただいておりますが、
とにかく学校以外でも、家から出て、誰かと接して、何かを体験してもらいたいなという思いで、こういった校内、校外、バーチャルなど、学校以外の選択肢を増やす居場所づくりを行ってきたんですが、半澤先生、この取り組みについてどのように感じられますか。
はい。今の子供たちの多くが、一人一人、多様な背景や感受性を持っています。ホットルームのような場所は、学校とは異なる空気感の中で、自分らしくいられる場所として機能しています。
今、全国で不登校対策として、学校以外に多様な学びの場が増えてきています。それが一つの場ということではなくてですね、自分で選べることができるとか、それから自分に合った場所があると、そういう選択肢としてですね、いろんな形でですね、用意をしていくということ。
これが重要であって、それが子供たち一人一人の自己決定権とか、安心感にもですね、つながって、再び学びに向かうきっかけになるのではないかというふうに考えています。
素晴らしいですね。本当にその様々な背景や感受性を持っている子どもたちが、またその時々の状態によって居場所をそれぞれ選択していくことができるということはですね、それが安心感や自己決定感につながっていくって本当に大切なことだなということを改めて先生の話で感じました。
北区としても不登校の子どもたちが増えています。特にこれ全国的に先生そうだと思うんですけども、コロナ後やっぱり変わりましたよね。区としてもそのコロナを終えて、それがきっかけだったのかどうかということも検証しながらですね、不登校の子どもたちを見ていかなければいけないなと思っているんですが、区内の不登校の児童生徒500人を超えています。
これは大変重く受け止めて、しっかりとした対応していかなきゃいけないなということは、教育委員会だけではなく、区長部局も併せて総出で取り組んでいくことが必要だと思っています。教育現場では今どんな要因が子どもたちの不登校につながっていると先生は分析考えられていますか?
これは一人一人やっぱり要因は違うというふうに考えておりますので、一概には言えませんけれども、多くはですね、やはり教室内での人間関係とか集団生活への負担感、それから何か対人関係のトラブルがあって自己肯定感が低下している。こういった要因が多いのではないかというふうには感じています。
また最近はですね、20歳以外の子どもたちも含めてですね、感覚の個人差があったり、また一人一人の認知特性などが違っていると、そういったものも関係している場合があるのではないかというふうに言われています。
子どもたちがそれぞれの感覚の個人差とか、そういったものを表現していいんだという社会にむしろなってきているんだろうな、認知特性なども統一感ではなくて、自分の個性をですね、出してそれに合わせた居場所や取り組みをしていいんだという社会にむしろなってきているのかなということを今先生の話を伺いながら感じていましたが、
子どもとのコミュニケーション
一方でですね、不登校という現象を子どもたち自身、子どもの目線でいくとどう捉えるべきでしょうかね。
この子どもの目線で捉えるという視点が一番重要なのかなというふうに思っています。
一人一人ですね、異なる不登校の状態の背景とか要因をしっかり把握してですね、学校に行けないというそのことだけではなくてですね、子どもが抱えている様々な不安やどう行きたいかという、そういう声にですね、耳を傾けていく対応が一番重要じゃないかというふうに思っています。
そして子どもからのですね、本当にかすかな発信、これにですね、気づく関わり方ですね、これが一番大切だなというふうに感じています。
それはもう先生の今の言葉、胸にズシーンときますが、これ本当に教育現場だけじゃなくて、自分も息子いますけども、やっぱり家族、周辺の大人、みんながその感覚を持って、学校現場の皆さんと一緒にどう子どもたちが感じているか、どう行きたいかということに感覚をまた耳を傾けていく、そういう感覚を持つということをしなきゃいけないんだなって、
先生の言葉で今すごい私、ズシーンときました。
具体的にですね、ちょっとコツを教えていただきたいんですけども、子どもが学校に行きたくないと言ったときにですね、保護者、大人の向き合い方はどんな言葉掛けや姿勢が大切になるんでしょうか。
特にこういった対応というのは重要だと思いますが、まず大切なのはですね、行かないことをそれ自体をですね、否定しないということが大切だと思います。
子どもが行きたくないというときはですね、それは助けてというサインかもしれません。行かなきゃダメでしょってそのときに言ってしまうよりもですね、
どうしたの?話してくれてありがとうって。まずですね、受け止める言葉がですね、必要なんですね。
そしてその後ですね、今は学校じゃない形でもいいから、あなたが安心して過ごせる場所をですね、一緒に探そう。
なるほど。
そういうふうに伝えると。そういう選べる余地があるというね、そういうふうに子どもが感じることがですね、回復への第一歩になるのではないかと思っています。
行ってほしいって。
心では思っちゃうんですよね。
思っちゃうんですよね。それをこうグッと、こらえて、どうしたの?話してくれてありがとう。子どもの視点で受け止める。
はい。
すごく勉強になります。
そうですね。不登校の経験を否定的なものではなくて、学びや成長につながる過程として前向きにですね、捉えるにはどうしたらいいんでしょうか?
そうですね。非常に難しいところですけれども、よくあるのは不登校をですね、失敗とかですね、悪いことっていうふうに捉えてしまう見方がありますよね。
不登校は決して失敗とかね、悪いことではないんだと。その子なりの生き方の一つの表現なんだと。
学校に行けなかった日々の中でもですね、子どもたちは人との関係とか、自分自身との対話もあるし、それから自分でできる好きなこととの出会いもあります。
そこでたくさんの学びをですね、重ねているわけです。周囲の大人がその時間にも意味があるんだと。そういうふうに信じてあげるってことがですね、大切だと思います。
子どもにあなたの歩んできた道がね、それはあなたにしか歩めない大切な道なんだよ。そういうような気持ちや意図をですね、子どもに伝えていくということですね。
そういう語り直しという言い方をしますけどね、それがやはり本人にとってもですね、自分の経験を肯定的に捉える力になってくると考えています。
素晴らしい言葉なんですけど、なかなか難しいですけど。
本当に涙が出るかと思っちゃうような今のお話に胸がいっぱいになりましたが、たぶんこの言葉をお父さんお母さんや周りの大人が言ってあげたときに、お父さんお母さんも癒されるというか、
お母さんお父さんが経験していることそのものも決して失敗ではないし、学びだし、その時間にも意味がある親子関係としてとても重要な時間なんだ、大切な道なんだということを、お父さんお母さんも思ってほしいなあということを感じますね。
全ての経験には意味があって、学びにつながっているんだということを改めて先生の話で感じました。
ぜひこういったことを私たち施策としても支えていけるように頑張っていきたいなと思います。
そういった中で子どもたちが学校に行けないって思いながら、行きたいけど行けない、もしくは行かないと決めているもしかしたら子どもたちもいるかもしれない。
そんな中でどんな選択をした子どもたちでも、やっぱり教育を受ける権利っていうことは、行政としてしっかり保障することが大切であるとも思っているんですね。
その実現に向けてどんな支援や環境づくりが必要になってくるでしょうか。
不登校と学びの環境
教育を受ける権利については、憲法や教育基本法、また最近では子ども基本法でも重視されている教育を受ける権利ということになりますが、
一番大切なのは学びの継続性ということと、もう一つ安心できる環境、これを両立させて設定していくと、これが大切だというふうに感じております。
そういった意味ではホットルームで、学校に行けない間も人とのつながりとか、学習の継続性を支えるということで、置き去りにされていないという感覚を子どもが持てるようにしていく努力をしています。
現在、文科省でも次の学習指導要領の改定を進めているところですけれども、今審議している内容を見ますと、今後はオンラインによる学習とかハイブリッドな学びのあり方とかですね、
そういったようなものに少し重点が置かれてきて、そういったものも用意していこうと、そういう方向性に変わってくるのではないかというふうに考えています。
本当に学びの継続性とともに安心できる環境の両立、それと、やっぱり何より子どもが置き去りにされていないという思いに至るかどうか、そこがすごい大切なんですね。
行っていないというだけで何か引き目を感じたり置き去りにされているような感覚を持ちやすい中で、勉強はついていけている、置き去りにされていないという感覚を持ってもらえるような場作りって、なるほど勉強になります。
ありがとうございます。
児童生徒はもちろんですね、私やっぱり処理を支えている、見ている、一番身近で見ている保護者の方々も同じように苦しかったり悩んだり、どうやって対応してあげたらいいんだろう、自分が悪かったのかなって自分を責めてみたりとか、いろんな思いを持たれていると思うんですね。
なので、やっぱり一番身近な保護者の方々がどうドシッといられるかみたいなことは、児童生徒にすごく影響があると思うんですけど、そんな保護者の方々へのケア、これも本当に重要だと思うんですが、重要性について、山添先生、どのようにお考えですか。
ホットルームを始めてですね、保護者への支援の重要性ということについてですね、改めて認識を深めたところです。初めてすぐですね、保護者の方からメールで相談もあってですね、やはりそういったところを重点的に、私どもの大学でもですね、機能していくことが大切だというふうに感じました。
そういった意味で、このホットルームでもね、年10回ほどですけども、保護者懇談会をですね、開催して、特にうちの大学、心理の専門の先生もおりますから、その先生を中心にですね、家庭での対応のアドバイス、こういったものをしてもらったり、それからやはり保護者同士が安心できるですね、ネットワークもですね、作っていきたいというふうに考えています。
先ほどお話しいただきましたように、お子さんが不登校になりますと、保護者の方は自分のせいではというふうにですね、悩まれるケースが少なくありません。私たちは保護者の孤立感を和らげることもですね、子ども支援の第一歩だというふうに考えています。
そういった取り組みをしてですね、フラットですね、来てもらえるように、見学の受け入れとか、メール相談なんでもね、さらに充実して適切に応えていくようにしてですね、私どもも親御さんと一緒に子どもの成長を捧げていく関係づくり、こういったものを作っていきたいというふうに心がけています。
ありがとうございます。ホットルームはですね、登録いただいた児童生徒の皆さん、月に大体3回ぐらいですね、それが1年間通じて、継続的に専門の心理や教育の専門の先生と、それからそれを目指す学生さんがケアをしながら、安全な場所を作って勉強もしながら、コミュニケーションをとっていくという場ではあるんですけども、ここにやっぱり保護者の方々が開催していく。
保護者の方にも来ていただいて、子どもたち、児童生徒とは別に心理の専門の先生にアドバイスを受けれるというのは本当に心強いですよね。しかも継続的にですから、年中児童生徒の様子をですね、先生が理解してくれていて、それを見ながらその保護者の方々の連携がしていただけるというのはすごくですね、素晴らしいなと。
子どもだけじゃなくて保護者も継続して同時進行で様子の変化を感じながら対応策を一緒に考えてくださるというのはすごく保護者にとっても心強いですし、先ほどの話の中で孤独感を和らげる。これは多分自覚してないと思うんですね。保護者の方々って。
でも言えないとか誰に言ったらいいかわからないというところで、気がついたら孤立している。この部分をやっぱり無意識の部分を意識化してそれを和らげていくって素晴らしいなと思いますし、期待しています。
区としてもですね、年に2回専門の方の講演会を行って、その後保護者の方々のコミュニケーションをとるような交流会も行っているんですけども、やっぱり継続的にということを安心できるメンバーで専門家の先生方とコミュニケーションをとるということは本当に重要だと思いますので、児童生徒とともに保護者一緒に支えていただけるような関係づくり、私たちも区として応援していきたいと思いますので、これからもどうぞよろしくお願いいたします。
はい、私もまた視察にお邪魔させていただきたいと思います。一回にお邪魔させていただいて、先生方や本当に志の高い学生さんの思いを見て、本当に感動しました。
ぜひこれからもよろしくお願いいたします。ありがとうございます。今回お話しさせていただいた不登校児童生徒支援も踏まえて、次回はインクルーシブ教育についてお話を伺っていきたいと思います。次週も先生どうぞよろしくお願いいたします。
またよろしくお願いします。ありがとうございます。皆さん次回もぜひお楽しみに。それでは素敵な1日をお過ごしくださいね。パーソナリティ山田 貴子でした。