叱られることの意味
この番組は、ティーチャーティーチャーで親御さん向けのペアレンツプログラムの講師をしているkumiが、日々の気づきをシェアしていく番組です。
ということで、今回は、「叱られることは嫌なこととは限らない」というテーマでお話をしてみようと思います。
なぜこのテーマにしたかというと、先日、日々コミュニティの相談会があったんですけど、その時に何気なくこの話題が出て、
叱られるのって嫌なことのはずなのに、なんで何度叱られてもまたやるんだろうねっていうことで、少し話が盛り上がりました。
で、子育ての中で一度は、一度と言わず何度も思ったことがある方っていうのは多いんじゃないかなというふうに思います。
叱られているのになぜ繰り返してしまうのか。で、その理由についてはいろいろあると思うんですけど、
そこはまた後日深めてお話しできればいいなっていうふうに思ってるんですけど、
今回は叱られることが本人にとって嫌なことではなく嬉しいことになっている可能性もあるよっていうお話をしたいと思っています。
私たち大人はつい叱られるのは嫌なことで、嫌がって当然っていうふうに頭のどっかで思っちゃいがちなんですけど、
でも実は子供にとってはそうじゃない場合もあるよということが行動分析学の視点で見てみるとよりよくわかるのかなっていうふうに思っています。
必ずしも叱られることが本人の嫌なことではなかったり、逆に褒められることが本人の嬉しいことじゃない場合もあるっていうことに気づくことができれば、
なんで叱っているのに変化しないのとか、なんで褒めているのに変わらないのっていう疑問について解決の糸口が見えてくるんじゃないかなと思っています。
では本題なんですけど、行動分析学では行動の前に起こる出来事がその行動を増やす効果を持っているとき、その出来事のことを行使というふうに呼びます。
これまでのペアレントークでも何度かこの行使という言葉が出てきたと思うんですけど、好きという字に子供の子で行使というふうに呼びます。
発音は行使なのか行使なのかちょっと私もわかんないんですけど、これはどんなものかっていうとちょっと事例を出してお話ししたいんですけど、
例えば我が家に2歳児のモンスターがいるんですけど、その2歳児の息子がお片付けをしましたとすると、私がすかさず偉いね、すごいね、お兄ちゃんだねっていうふうに言うんですよね。
そうすると2歳児、さらにお片付けをしてくれるんですよ。皆さんイメージできると思うんですよね。
これが行使ですね。偉いね、すごいね、お兄ちゃんだねっていう働きかけが本人にとっての行使だと言えるんです。
なぜならその後にお片付けっていう行動が増えているからです。
ここで大事なのが、その行使というものがいいことだったりご褒美とは限らないっていう視点を持つことが大事なんですよ。
行動の後を観る
例えば今の偉いね、すごいね、お兄ちゃんだねっていうのを、最近思春期に入った5年生の息子に言ったとします。
さあ、お片付けをするでしょうか。皆さん想像ができると思うんですけど、おそらくしないですよね。
つまりこの偉いね、すごいね、お兄ちゃんだねとかいうその言葉っていうのは、5年生の息子にとっては行使ではないんですよね。
つまり何が言いたいかというと、一般的に喜ぶだろうとか、いいことだろうって思うことが本人にとって嬉しいことだとは限らないということです。
じゃあどうすればそれが本人にとって嬉しいこと、行使だと言えるのかっていうと、その行使が提示されたその後に行動が増えているかどうかを見るということが大事です。
なので、叱られるっていう出来事であっても、それによってその後の行動が増えているのであれば、それは見た目にはいやなことであっても、本人にとっては行使になる場合があるというわけです。
ご褒美あげたのに効果がないとか、叱ったのに効かないっていうのも、大人が何を与えたかじゃなくて、子どもがどう受け取ったかっていうのが全てだということです。
頭を撫でられて喜ぶ子もいれば、触られるのが苦手な子もいるし、褒められて伸びる子もいれば、人前で褒められて萎縮する子もいますよね。
叱られている時に注目されているっていう感覚が心地いいっていう感じる子も実際にいるんですよね。
だからこそ、大人がすべきことは、これはいいことのはずだからっていう見方じゃなくて、その後にまた同じ行動をしているかどうかっていうところを見ることが大事なんです。
このことを行動分析学では機能的に見るって言ったりするんですけど、行動が増えているのであれば、それは何かしらの格子が作用しているっていうふうに見ることができるんですよね。
それが叱られることであっても同じということです。
こうした視点を持つと、どうしてこの子はこんなことを何回も繰り返すんだろうっていう疑問に、少し別の角度から光が当たるんじゃないかなと思っていて、
そうすると聞き分けが悪いとか、言うことを聞かないとか、ちょっと否定的に子供を捉えずに済むので、少しこちらにも余裕が出てくるんじゃないかなっていうふうに私は思います。
今日の話を少しまとめますと、行詞っていうのは行動を増やすきっかけになるもの。
それは嬉しいかどうかっていうのは本人次第であって、周りの大人が思っていることが必ずしも本人にとって嬉しいことではないよっていうこと。
そしてそれが行詞であるかどうかは、行動の前じゃなくて後を見るとわかるよということ。
そして叱っているのにやめないということは、叱ることが行詞になっている可能性もあるんじゃないかというお話でした。
ちょっと今日は理論的なお話が中心になってしまったんですけど、ぜひ皆さんの子育てに結びつくお話にはなっていると思うので、子育てのヒントになってくれれば嬉しいです。
ということで、番組の感想や聞きたいことなどがありましたら、お便りフォームのリンクを概要欄に貼っておりますので、ぜひぜひお寄せいただければと思います。
それでは最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回の配信でお会いしましょう。