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第19回 歴史のバトン【戦国編】第13走者 篤姫(3/3話)
2026-07-22 08:46

第19回 歴史のバトン【戦国編】第13走者 篤姫(3/3話)

篤姫の第3話

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こんばんは、今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。
ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
さて、篤姫の物語も、今夜で第3話。
彼女の激動の人生を締めくくる、感動の最終章をお届けします。
前回は、夫である徳川家貞や、両夫の島津成明らとの相次ぐ悲しい別れを乗り越え、
王国のトップである天章院となった厚姫の強さを見てきましたね。
降下してきた和宮との対立と深い絆、そして江戸城無欠会場の裏側で、
ふるさとの最後を高森へ命がけの手紙を送り、
徳川家と江戸の民を最悪の悲劇から救い出したお話でした。
江戸城の引渡しが無事に完了し、天章院は長年暮らした王国を後にしました。
女王出るとき彼女の懐には、たったの金三枚しか残されていなかったといいます。
王国に仕えていた何百人もの女性たちのこれからの生活や、
家臣たちの退職金のために、自分に割り当てられていた全てのお金や家財道具を全て分け与えてしまい、
自分の手元にはほとんど何も残さなかったのです。
どこまでも自分の名誉や財産に執着せず、ただ関わる人々の幸せを願い、
その生活を守るために全てを投げ出す。
その器の大きさは、かつて彼女を王国へ送り出した野部、島津成明そのものでした。
女王出てからの天章院の暮らしは、それまでの贅沢極まりないお姫様生活とは打って変わり、
江戸の街中でのつつましく静かなものでした。
しかし、徳川の家を守るという彼女の本当の戦いは、女王出てからこそが本番だったのです。
新しく始まった明治の時代、徳川家は将軍の地位を失い、一人の家族として新しく再出発することになりました。
その徳川家を新しく継いだのは、まだ幼い男の子、徳川家里でした。
天章院は、この幼い跡継ぎの男の子を、自分の本当の子供のように深い愛情をもって大切に育て始めました。
かつてのような華やかな王国も、ヒレフス家臣たちもいません。
それでも彼女は、一人の母親として、そこで徳川の歴史を守る者としてのプライドを失うことはありませんでした。
これからの新しい時代、徳川の人間がただの過去の遺物として埋もれてしまってはならない。
明治という新しい日本を支えるにふさわしい、国際的な視野を持った立派な紳士として、この子を育て上げなければならない。
天章院は、家里に最高の教育を受けさせるため、厳しい財政状況の中でも身を削るようにしてお金を苦免し、
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英語や西洋の学問を徹底的に学ばせました。
その深い愛情と厳しい教育に応えるように、幼い跡継はすくすくと立派に成長していったのです。
厳しい時代の移り変わりの中で、天章院が文字通り自分の身を削るようにして育て上げた徳川の新しい跡継、家里。
彼は天章院の期待にしっかりと応え、非常に成績優秀でイギリスへの留学を果たすほどの素晴らしい青年に育っていきました。
これこそが天章院が自分の全てを捧げて掴み取った新しい徳川の未来の姿だったのです。
また城を出てからの静かな暮らしの中で、天章院はかつてのライバルであり、後に固い絆で結ばれた和宮とも本当の姉妹のような暖かい交流を続けていました。
二人はかつて江戸城の多くで激しく対立したことなどを懐かしく語り合い、一緒にお茶を飲み、歌を読みながら穏やかで優しい時間を共有していました。
激動の時代を共に戦い抜き、生き残った二人の女性だけが分かち合える、言葉には表せないほど深い魂の絆がそこには確かに存在していたのです。
やがて和宮が病のために若くしてこの世を去ってしまったとき、天章院は深い悲しみに暮れながらも彼女の分まで徳川の家を最後まで見守り続けることを静かに墓前で誓いました。
天章院はかつての生まれ故郷である薩摩藩の人々が新政府のリーダーとなり、どれほど輝かしい権力を握ろうとも決して彼らに頭を下げることはありませんでした。
それどころか、自分を支援しようと尋ねてきた薩摩の関係者たちに対して、私は徳川の人間として誇り高く生きておりますから一線の援助も必要ありません、と言い放ち、その高潔なプライドを守り通したのです。
彼女にとってかつて過ごしたあの短いけれど温かかった夫との日々、そしてその夫から引き継いだ徳川の家を守るという使命こそが人生のすべてでした。
自分のためではなく、常に大切な誰かのため、そして愛する家族の未来のために、その強くて優しい知恵を絞り戦い続けた天聖院。
彼女の凛とした生き様は、明治という新しい時代を生きる人々にとっても一つの大きな光となって輝き続けていました。
徳川家の新しい跡継ぎである家里が、イギリス留学から立派に成人して帰国した姿を見届けたとき、天聖院は自分のすべての役目を終えたことを悟りました。
若くして夫を亡くし、王国という巨大な戦場で戦い続け、城を出てからも一人の母親として徳川の火を絶やさぬよう命がけで走り抜けた日々。
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彼女の体はいつの間にか、長年の苦労と病によってすっかり細く弱くなっていました。
ある冬の寒い日、天聖院は東京の静かなお屋敷の中で、大政の愛する家族やかつての部下たちに見守られながら、静かに眠るように息を引き取りました。
去年、47、彼女が亡くなったとき、その枕元に残されていたのは、かつて王国へ腰入れしたときに持参した薩摩の始末の家紋が美しく入った化粧箱と、最愛の夫であった家貞が大切にしていたいくつかの片身の品だけだったといいます。
財産や贅沢な暮らしには一切目もくれず、ただ夫への愛と家族の未来、そして約束を守り通した最高に美しく、誰よりも強い真のお姫様の生涯でした。
彼女の遺体は徳川家の歴代将軍たちが眠る上野の関栄寺というお寺に埋葬されました。
それは、愛する夫家貞のすぐお隣の場所でした。
厚姫はおよそ25年という長い年月の旅路を経て、ようやくあの愛しい夫のもとへと帰り、今度は永遠に二人で穏やかな時を過ごすことができるようになったのです。
さて、第13章社厚姫の物語はこれでおしまいです。
自分の信念を貫き通し、どんな困難な嵐の中でも凛と咲き誇った美しい一輪の大輪の花。
彼女の残した愛と覚悟の物語は、今も私たちの心を優しく強く揺さぶり続けています。
これで厚姫から次なる奏者へと、いよいよ最後のバトンが渡されます。
本編のグランドフィナーレを飾る第14奏者は、厚姫と共に江戸城無欠会場を見届け、徳川家、そして日本の歴史上、最後の将軍として全ての重荷を背負って新時代を開いたあの人物です。
その最後の奏者がどのようなラストを飾るのか。
それはまた別のお話。
今夜はどんな嵐にも決して折れることのなかった厚姫の強くて優しい心にそっと守られながら、どうぞ安心して心も体も深くゆったりと休ませて、暖かい布団の中で心地よい眠りについてくださいね。
それではおやすみなさい。
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