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第19回 歴史のバトン【戦国編】第13走者 篤姫(1/3話)
2026-07-18 10:59

第19回 歴史のバトン【戦国編】第13走者 篤姫(1/3話)

篤姫の第1話

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こんばんは。今夜もまた、おやすみ歴史ラジオの時間がやってきました。
ベッドに入って、一番リラックスできる姿勢で聞いてね。
さて、今夜から新しく始まるのは、第13走者となる篤姫の物語。
その第1話をお届けします。
前回まで駆け抜けた西郷隆盛と同じ、南国の薩摩に生まれながら、
武力によって時代を動かすのではなく、
その類稀なる聡明さと、全てを包み込むような深い愛情によって、
江戸幕府の最後を内側から見守り抜いた、美しくも真の強い女性の生涯をたどっていきましょう。
時代は、黒い巨大な外国船が日本の海に現れ始め、
国中がこれまで経験したことのない不安と緊張に包まれていた頃のことです。
篤姫は、薩摩藩を治める島津家の分家にあたる、
今泉島津家というお屋敷で生まれ育ちました。
本家のお殿様と比べれば少し気楽な立場であったため、
彼女は金光湾に吹き抜ける潮風と、
南国の明るい太陽の光をたっぷりと浴びながら、とても大らかに成長していきました。
幼い頃の彼女は、ただ静かにお琴を弾いたり、
お花をいけたりするだけのお姫様ではありませんでした。
古い歴史の書物を開いては時間を忘れて読みふけり、
父親や教育係の大人たちを捕まえては、
なぜ昔の武将はこのような決断を下したのか、
この時どのような感情だったのかと、
大人が返答に急するほどの鋭い質問を次々と投げかけるような少女でした。
知識を吸収することに喜びを見出し、
物事の本質を自分の頭でじっくりと考えることができる、
大変賢く頼もしい女の子だったのです。
そんな彼女の波外れた才能に目を止めたのが、
後にあの才能を高森を見出して歴史の表舞台へと引き上げることになる名君、
当時の薩摩藩主である島津成明でした。
成明は、迫りくる外国の脅威から日本を守るため、
古い式たりに囚われている江戸幕府と全国の力のある藩が、
固く手を結ばなければならないという強い危機感を持っていました。
そして、幕府の考えを良い方向へ導くための最大の秘策として、
自分の娘を江戸の将軍系統を嫁入りさせ、
王国という幕府の中心部から直接働きかけるという、
とてつもなく壮大な政治の計画を立てていたのです。
しかし、日本の頂点に立つ将軍の性質、
五代どころという立場は、
ただ美しく家柄が良いだけのお姫様が務まるような、
生優しいものではありませんでした。
何千人もの女性たちがひしめき合う王国という巨大で複雑な組織をたった一人で束ね、
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さらには将軍の最も身近な相談相手として対局を見極めるだけの賢さと、
どんな困難にも決して動じない鉄のような精神力が必要だったのです。
成明は始末一族のあらゆる女性たちを密かに見比べ、
ついにたった一人だけこの家国で重大な役目を任せられる人物を見つけ出しました。
それこそが文家の屋敷でのびのびと、
しかし誰よりも聡明に育っていたあの少女、厚姫だったのです。
ある日突然厚姫の下に藩主である成明の幼女として本家へ迎え入れるという、
信じられないような命令が下されました。
それは武家の娘として大変名誉なことであると同時に、
これまで深い愛情を注いで育ててくれた本当の父親や母親と完全に縁を切り、
二度と元の家族の下へは戻れないという、
あまりにも残酷で大きな人生の別れを意味していました。
最愛のみの両親のもとを離れ、
始末成明の幼女として鹿児島城に入った厚姫。
そこで彼女を待っていたのは、
ただのお姫様としての贅沢な暮らしではなく、
国を揺るがすような重大な密明でした。
養父である成明は彼女の目をまっすぐに見つめ、
今回の縁組に隠された本当の目的を打ち明けました。
現在、江戸幕府の第十三代将軍である徳川家貞という人物は、
非常に体が弱く、
次の将軍となる後継ぎを誰にするかという問題で、
幕府が二つの派閥に激しく分かれてしまっている。
日本が外国から攻め込まれるかもしれないこの危機の時代に、
次の将軍には聡明で力のある人物を選ばねばならぬ。
厚姫、おはんを将軍の妻として江戸城へ送り込む。
王国の中から、次の将軍にふさわしい人物を選べるよう、
力を尽くしてほしい。
それは、まだ十代後半の若い女性が背負うには、
あまりにも重すぎる日本の未来を賭けた大博打のカードでした。
しかし、厚姫は怯えるどころか、
養父の熱い思いをその聡明な頭脳でしっかりと受け止め、
静かに覚悟を決めました。
自分の生まれ育った薩摩を離れ、
誰も味方のいない江戸の王国という未知の世界へ飛び込む。
それが天から自分に与えられた使命であるならば、
喜んでその運命を引き受けましょう。
こうして厚姫は、数え切れないほどの家来や荷物を従え、
故郷の鹿児島を旅立ちました。
それは、二度と薩摩の土を踏むことのない、
生きては戻れぬ片道切符の旅でした。
陸路を何か月もかけて進み、
京都を通り、ついに遠い江戸の薩摩藩邸へと到着したのです。
しかし、江戸に着いたからといって、
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すぐに将軍のもとへお嫁に行けるわけではありませんでした。
将軍の性質になるためには、
言葉遣いから立ち振る舞い、歩き方、お辞儀の角度に至るまで、
京都の区下のような最高峰の教養と貴品を身につけねばならず、
厚姫には来る日も来る日も厳しいお姫様修行が課せられました。
さらに、多くの古くからいる女中たちは、
南国の薩摩という田舎からやってきた厚姫のことを、
あまり心よく思っていませんでした。
言葉の鉛を陰で笑われたり、
わざと難しい仕切りを試されるような、
陰室で冷ややかな仙霊が彼女を待ち受けていたのです。
普通のお嬢様であれば、
そのプレッシャーと孤独に押しつぶされて泣いてしまうところでしょう。
しかし厚姫は違いました。
彼女の胸には、誇り高き始末の地と、
尊敬する養父から託された大きな使命が燃えていたのです。
嫌がらせのような厳しい作法も、
厚姫は持ち前の摩天機の強さと聡明さで、
すべて完璧にこなしていきました。
そればかりか、自分をいじめるような女中たちに対しても、
常に凛とした美しい態度を崩さず、
むしろその器の大きさで、
周囲の人々を次第に圧倒していったのです。
そうして、江戸に到着してから実に3年という長い準備期間を経て、
ついに彼女が江戸城の大奥へと入る日がやってきました。
何百人もの美しい女性たちが美を競い合い、
様々な思惑が渦巻く巨大な女のその江戸城の大奥、
その最も奥深くへと進んだ厚姫は、
ついに夫となる第十三代将軍、
徳川家貞との婚礼の儀式を迎えました。
周囲の噂では、将軍家貞は大変に体が弱く、
人前に出ることを極端に嫌い、
時々子供のようにお菓子作りに没頭するなど、
奇妙な行動を繰り返す風変わりな人物だと言われていました。
厚姫は一体どのような人物なのだろうかと、
緊張と期待の中で初めて夫の姿をその目で見つめました。
確かに家貞はお世辞にもたくましい武将とは言えない、
痩せて頼りなげな姿をしていました。
儀式の最中にも急に顔を背けたり、
落ち着きなく視線を動かしたりして、
周囲の家臣たちをハラハラさせていました。
しかし厚姫はその鋭い観察眼で、
夫の本当の姿を見抜いていました。
家貞のその奇妙な振る舞いは、
生まれつきの病弱さゆえのものであると同時に、
幼い頃から将軍の後継をめぐる激しい大人の権力争いに巻き込まれ、
誰も信じることができなくなった果ての、
悲しい自己防衛の姿だったのです。
いつ誰に毒をもられるかわからない、
誰も自分の本当の味方はいない、
そのような息の詰まるような孤独の中で、
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家貞は心を閉ざし、
わざと愚か者のふりをして自分を守っていたのかもしれません。
婚礼の夜、二人きりになった部屋で、
厚姫は家貞に向かって、
優しくしかし凛とした声で語りかけました。
上様、私は薩摩から参りました。
これから私は生涯、あなたの味方でございます。
どのようなことがあっても、あなたをお支えいたします。
そのまっすぐで嘘偽りのない厚姫の言葉に、
家貞は驚いたように目を丸くしました。
そして、それまで見せていた怯えるような表情をふっと和らげ、
まるで幼い子供がようやく安心できる居場所を見つけたかのような、
穏やかな微笑みを返したのです。
養父である島津成明らから託された、
次の将軍を決めるという重大な政治の密命。
しかし厚姫はこの風変わりで孤独な夫の心に触れたとき、
ただの政治の道具として大多くにいるのではなく、
一人の妻として、この傷ついた将軍の心を命がけで守り抜こうと、
新しい決意を固めたのでした。
誰も味方のいない大多くという戦場で、厚姫と家貞、二人の奇妙で、
しかし誰よりも深い絆で結ばれた新婚生活が、
こうして静かに幕を開けました。
しかし、そのお話はまた次のお話。
今夜のお話はこれでおしまいです。
過酷な運命をすべて受け入れ、
誰も味方のいない場所でも凛として自分の居場所を築いていった厚姫の
強い優しさにそっと守られながら、
今夜はどうかすべての重荷を下ろして、
暖かい布団の中で深く心地よい眠りについてくださいね。
それではおやすみなさい。
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