EP21【理論と視点】 【第4回】怒りの「ハイジャック」はなぜ起きる?(全5回)
2026-04-25 09:29

EP21【理論と視点】 【第4回】怒りの「ハイジャック」はなぜ起きる?(全5回)

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「頭では分かっているのに、どうしても止められない」。 その瞬間、あなたの脳と体では何が起きているのでしょうか。第4回では、意志の力や性格の問題ではなく、私たちの生存を支える「インフラ」の仕組みに迫ります。

怒鳴ってしまうのは、脳の奥にある警報装置「扁桃体」が作動し、自律神経を通じて全身が「戦闘モード」に作り変えられてしまうからです。この時、冷静な判断を司る脳の司令塔は一時的に「停電」状態に陥ります。

なぜ「6秒待つ」ことが不可能なのか。その物理的な理由を知ることで、自分を責める回路から抜け出し、解決への第一歩を共に踏み出しましょう。

同じ内容をYoutubeにアップロードしています。

スライドを見ながら聞きたい方はそちらへどうぞ。

https://youtu.be/XOZri4_mMg8


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【プロフィール】 野田徳子(Noriko Noda) ニュージーランド在住。総合診療科医、メンタルヘルスプラクティショナー。独自のモダリティ「親も育つ子育て™︎」を提唱。

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サマリー

怒りの「ハイジャック」は、脳の警報システムである扁桃体が作動し、冷静な判断を司る前頭前野が一時的に機能停止することによって引き起こされます。これは意志の力や性格の問題ではなく、生存のための防衛本能が働いた結果です。この仕組みを理解し、自分を責めるのではなく、まず「停電」に気づくことが、解決への第一歩となります。

怒りのメカニズム:脳の警報システム
こんにちは、野田徳子です。
前回までは、どうして私たち親がイライラしたり怒ったり怒鳴ったりするのかということについて、心の中のパーツについてお話ししてきました。
でも、どんなに自分の心を理解して見つめようとしても、いざ子供を前にすると、体が勝手に怒り、怒りモードになってしまうと感じることはありませんか?
今日は、私たちの脳と体に備わっている警報システムの仕組みについてお話しします。
私たちの脳の奥深くには、私たちの環境が安全かどうか、それを24時間監視している返答体という警報装置があります。
この装置が危機を察知すると、瞬時に脳幹などを通じて全身に指令を送ります。
この指令を全身の臓器、筋肉などに伝えるのが、通信網の役割を果たす自律神経です。
多分皆さん、自律神経って聞いたことあると思うんですけれど、交換神経、副交換神経、そういうのですね。
ステファン・ポージス博士が1990年代に提唱したポリベガル理論というのがあります。
それまで、人間の自律神経というのは、交換神経と副交換神経の2種類、交換神経がアクセル、副交換神経がブレーキとされていました。
そこにポージス博士が提唱したポリベガル理論は、もう一つの考えを足しました。
副交換神経を休憩するブレーキである副交換神経の80%を占めているとされる、瞑想神経というのがあるんですが、
この瞑想神経に2種類のものがある、そういう2つの違ったルートがあるということを提唱したんですね。
では、この3つのモード、交換神経と2種類の瞑想神経ですけれど、これはどういうものなんでしょう。
自律神経の3つのモード:ポリベガル理論
まず一番新しいのが、安心つながりのモード、複足瞑想神経。
これは心拍が安定し、冷静に対話ができる、内静ができる、心がオープンで、そういうことをしても安全だと感じる、そういうモードですね。
これは哺乳類にしかないということで、一番新しい自律神経の回路です。
その次に新しいのが、戦うとか逃げるのモード、交換神経ですね。
危険を察知したときに、それを避けて逃げたりするために心拍を上げたり、筋肉を緊張させたりする、戦闘体制に入る、
逃走、戦う逃走か逃げる逃走か、そういうモードです。
多分皆さんこのモードは、よくご存知というか、胸がドキドキして、ちょっと腹が立ったりとか、そういうことでよく感じていると思います。
そして最も古くて、宇宙類も持っているこの自律神経が、停止とかシャットダウンのモード、拝息瞑想神経のモードです。
これは、もう逃げることもできない、そういうストレスが大きいときに、エネルギーを最小限にして、死んだふりをして、身を守るという状態ですね。
怒りのハイジャック:脳の司令塔の停電
ここで心の中のパーツと脳の返答体がつながるんです。
例えば子育ての現場で、あるパーツがこのままでは自分が壊れてしまうとか、強い危機感を感じたときに、その激しい刺激が戦闘体を刺激して警報を鳴らします。
すると自律神経を通じて全身に戦闘開始の合図が飛んで、一瞬の間につながりモードが解除されて、戦うモードへ全身が作り変えられてしまうわけです。
そうすると胸がドキドキしたりとか、肩や体中に力が入ってしまったりとか、そういうことになります。
さらに全身がこの戦うモードにセットされると、脳内でも変化が起きます。脳には、物事を冷静に判断する司令塔である前頭前夜の役割があります。
ただ、戦闘体制のときには、生き残るためのエネルギーを筋肉とか他の部分に使わないといけないので、このパーツの感情が警報を鳴らした瞬間に、あなたの冷静さを司令塔が物理的に働かなくなる、停電になったような、ブレーカーが起きたような状態になるんですね。
よくアンガーマネジメントとかで、腹が立ってきたら5秒とか6秒とか数を数えましょう、そうやって落ち着きましょうと言われますけれど、これは結構難しいですよね。やられた方もいらっしゃるかもしれませんけど。
パーツの感情が脳の変異系の警報システムを動かすスピードは、本当にコンマ数秒の世界なんです。私たちの思考というのは、もう少し遅いシステムなので、この落ち着こうという考えが立ち上がる頃には、もうすでに神経系が心拍を上げ、筋肉を固めて戦う準備をしているんです。
この速度の差がある以上、根性とか意思の力だけでイラッとしたとき、腹が立って怒鳴りたいときに、意思の力で対抗するというのは、結局物理的にはかなり大変なことであるわけですね。
自分を責めない:仕組みの理解とメタ認知
そこでまず、私たちがしたら役に立つなと思うのは、自分を責めるのをやめて、仕組みとして理解する。また怒鳴ってしまった。とっても耐性なんかできない。そう自分を責める必要はありません。
怒鳴ったときに耐性するということ自体が、さっき言ったように脳の善と善悪は働かないので難しいんです。あなたが止まれなかったのは、あなたの性格の問題ではない。
あなたのパーツが必死な思いで体の警備システムを動かして、脳の司令塔を停電させた、ブレーカーを落としたわけです。こういうことをすることによって、あなたが生き延びられるように。
これは極めて正常な防衛本能が働いた結果です。なので、まず私たちがすると役に立つことは、この停電が起きているとき、善と善悪のブレーカーが落ちているときに、まずそれに気がつくこと。
これが自分を責めるサイクルから抜け出す第一歩になります。ほんの少しのメタ認知ですね。自分の頭で何が起こっているのかちょっと気がつく。それでこの仕組みを理解して、最後のステップとして、頭が働かないときに、善と善悪が働かないときに何ができるかというと、体からアプローチをする。
体からのアプローチと親自身の安心
それを次回お話ししたいと思います。一度ハイジャックされて停電してしまった脳を戻すのは、停電した脳ではできません。
次回の最終回では、この脳に体から安全信号を送り、脳の司令塔を再起動させる、そういうリセット方法をお伝えします。
私の話の中では何度も繰り返しますが、大切なのは、親である私たち自身が安心できる状態であること。自分の心が悲鳴を上げているときに、お子さんを助けることはとても難しいです。
まるで飛行機で緊急時に起きてくる酸素マスクを使うときと同じです。まず私たちが酸素マスクを使うことで、子どもたちを効果的にサポートできるのです。
では次回、シリーズ最終回の体からのリセットの回でお会いしましょう。
もしも私の動画が少しでも役に立つと思われたら、高評価とフォローしていただけるととても励みになります。よろしくお願いします。では次回。
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