2024-07-09 24:01

#168 梶井基次郎『檸檬』

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サマリー

ジョン・レノンは言っています。「根本的な才能とは、自分に何かができると信じることだ」と。大人の近代史が始まりました。京都の裏通りで足を止めた果物屋で、主人公はレモンを買います。レモンの存在は彼女にとって特別で、緊張感を与えます。レモンは彼女の好きなものであり、西洋的なものとも結びついています。梶井基次郎の『檸檬』は、レモンという果物を通じて西洋的な価値観に対する皮肉を込めた作品であり、その象徴性を理解しながら読むことでさまざまな意味を感じることができます。

00:04
スピーカー 2
ジョン・レノンは言った、根本的な才能とは、自分に何かができると信じることだ。
始まりました。大人の近代史、よろしくお願いします。
スピーカー 1
よろしくお願いします。ジョン・レノンって言ったら、なんか、おが太郎って感じがするね。
スピーカー 2
全然しないよ。
スピーカー 1
いやいや、何言ってるの。もう、おが太郎、ビートルズみたいじゃん。
スピーカー 2
めちゃくちゃなんだよ。
スピーカー 1
あ、そう?
スピーカー 2
いやでも、なんか、この言葉、ゴロもいいし、かっこいいね。
スピーカー 1
ジョン・レノンが言うと、とりあえずかっこよく聞こえるんだよ。
スピーカー 2
ね。自分に何かができると信じることだ。
スピーカー 1
いや、いいね。俺は何も信じらんないよ。自分のことなんて。
スピーカー 2
長まろ、何ができる?
スピーカー 1
え、俺?俺、何もできないよね。普通の人よりもさ、全体的に能力が劣ってるわけじゃん。
あの、運動にせよ、頭にせよ、なんか、手先の器用さなんて持ってる方だね。確かに。字も下手だし。
何だろうね。俺、取り柄がないのが取り柄?
スピーカー 2
いやいや、顔もいい、足も速い、手も速い。完璧じゃん。
スピーカー 1
ああ、おが太郎のことじゃん、それ。
いいね、上手いね。さすがだよ。
そう、なるで長まろを言ってるかと思いきや、自分のことを言いましたみたいな。素晴らしいね。
スピーカー 2
違うだろ。長まろ足速いじゃん。
スピーカー 1
え、おが太郎速いじゃん。ていうか、俺はあれだよ。足は速いかもしれないけど、運動神経はなかったもん。
スピーカー 2
いやいやいや、まあ、ということで、今回、長まろが私たちに何かできるはずと信じさせてくれる、そんな回だ。
スピーカー 1
ああ、全然そこは違うけど、今日あれだね、ジョン・レノンはね、ドンピシャだよ。
カジー・モトジローのレモン
スピーカー 1
あ、本当に?
うん。今日はカジー・モトジローのレモンをやります。
スピーカー 2
え、何?レモン?
スピーカー 1
そう、レモン。ジョン・レノンでしょ?惜しいでしょ?
いや。
違う、そういうことじゃない。
スピーカー 2
待って、俺、ちょっと知らないからあれだけど、レモンって何?
スピーカー 1
レモンってレモンだよ。
スピーカー 2
そういう文学作品?
スピーカー 1
そうだよ。
スピーカー 2
ああ、そういうことね。
スピーカー 1
これ、ミヨンシーさんからリクエストいただいてて、ちょっとまずコメント、バスで読んじゃうけど、
毎週の放送を楽しみにしてます。過去回ではおが太郎さんのしらとり教えが大好きですでに4巡させていただきました。長まろさんにリクエストしたいです。カジー・モトジローのレモンです。というわけでリクエストいただきました。ありがとうございます。
スピーカー 2
すごいね、俺ちょっと知らない、これ。
スピーカー 1
これね、難しいんだよね。
スピーカー 2
ああ、そうなの?
スピーカー 1
難しいっていうか、すげえ短いのよ。ちょっとページ数忘れちゃったけど、十何ページぐらいかじゃない?
20分あれば読めるよ。10分じゃちょっときついかもしれないけど、20分あれば読める。
スピーカー 2
ちなみに、これは何?長まろは読んでたの?
スピーカー 1
話は知ってた。で、今回やるから、もう一回読んだ。
スピーカー 2
ああ、そうなんだ。
スピーカー 1
そう、Kindleで0円だったのよ。すげえ、0円じゃんと思って。
スピーカー 2
えー。
スピーカー 1
そう、ちょっと読みたい人、アマプラ入ってたら、0円で今売ってるから、Kindleでぜひ読んでください。
スピーカー 2
はい。いや、楽しみです。
スピーカー 1
で、まあこれ話短いんで、今日多分すごい話すぐ終わっちゃうんだけれども、
まずカジー・モトジロー知らない人もちょっといると思うんで、ちょっと簡単にだけ説明するけど、
カジー・モトジローは1901年に生まれて、1932年にハイケッカクで亡くなるんだよね。
はいはい。
で、31歳で亡くなっちゃうんだよ。すごい若くして亡くなっちゃった人なんだよね。
うん。
で、1901年だから、まああれだね、明治の終わりぐらいに生まれて、
昭和の始めぐらいに亡くなっちゃったっていう、そんな感じの時代を生きた人なわけよ。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
そう。で、この人も宮沢賢治にちょっと似てるんだけれども、どちらかというと死後評価が高まってった人なんだよね。
ああ、そうなの。
まあ、亡くなる直前ぐらいには、結構作品がこの作品すごいんじゃないの?みたいな感じで、
結構その分断たちにはこう認められてたんだよね。
だからちょっと界隈では、なんか梶本二郎の作品結構いいよみたいな評判がこうちょっとありつつも、
亡くなっちゃうんだよ、病気で。
へえ。
で、そこからやっぱりそういう分断たちが、あの梶本二郎っていうのをこう、
宮沢賢治と一緒だよ、だから梶本二郎っていうのをこのまま埋もれさせちゃいけないっつって、
ちょっとこう広めるような活動とかをしてくれて、どんどんどんどん評価が上がっていったっていう人で、
だからこの人、本当にこのまま亡くなってたら、
何にもこのレモンなんて作品ももちろん全然世に出ることはなかったんだと思うけれども、
死後評価が上がっていったことで、再注目されている。
そんな感じの人なんだよね。
うん。
カジー・モトジローの作品の特徴
スピーカー 1
そう。で、梶本二郎の作品っていうのは結構特徴的なものが多くて、
どちらかというと自分のこう心境っていうのを投影したような小説が多いんだよ。
はい。
あとはその風景だったり、身近な出来事とかそういったものをこう題材にする。
どっちかっていうとちょっとポエム、詩人的な要素の側面が強いんだよ。
はいはい。
だからちょっとこれも宮沢賢治に似てるよね。
うん。
ただ、何といっても特徴があるのが、この独特な感性、感覚なんだよ。
うん。
で、これがもう他人がもう真似をできないって言われていて、
で、やっぱりそういうところがこういう文壇とかには、
やべぇこの表現すごいよみたいなそんな感じで、なんだか注目を浴びてたんだよね。
うん。
で、今回取り扱うレモンっていうのはもうそのカジー・モトジローの超代表作って言われる作品で、
もうこれを読めばとりあえずカジー・モトジローの魅力が伝わるみたいなそんな作品です。
はい。
『レモン』のあらすじ
スピーカー 1
じゃあちょっとあらすじに入りたいんだけれども、
まずこのレモンっていう作品で、私っていう単語が出てくるんだけれども、
私っていうのはこれカジー・モトジローのことなんだよ。
うん。
そう、常に一人称私はカジー・モトジローのことで、カジー・モトジローの話なんだよね。
スピーカー 2
ああ、はいはい。
スピーカー 1
そうそう。で、まず冒頭これ結構有名なフレーズなんだけれども、
そのまま引用して読むけれども、
得体の知れない不吉な塊が私の心を終始抑えつけていた。
こういう感じで始まるんだよ。
うん。
そう、で、得体の知れない不吉な塊って一体何?とかもうそういうのはあると思うんだけれども、
これね、小説の中でこの得体の知れない不吉な塊っていうものの解説は一切ないのよ。
スピーカー 2
ああ、そうなんだ。
スピーカー 1
そう、だからこういうところなんだよ。
結局さ、解説がないから、
これ何?みたいな感じでどんどん話は進んでいくみたいな。
そんな感じなんだよね。
うん。
まあ、とりあえず冒頭はその得体の知れない不吉な塊が、
なんか私の心にこう乗っかってきて、
なんかギューってしてて苦しいんだろうね、きっと。
まあそんな状況ですと。
で、ここからは引用とちょっとなんだろう、
俺のもう勝手な解釈っていうかさ、
ちょっと語りみたいな感じでちょっとあらすじ喋っちゃうけれども、
はい。
肺の病気や神経衰弱、背を焼くような借金が原因ではなくて、
その、いけないのはその不吉な塊であると私は考えているっていう感じなんだよね。
うん。
そう、なんかこの私の心をしゅしゅ抑えつけてるのは、
なんか、まあ病気なんだよ。
病気なんだけれども病気のせいでもなくて、
借金もあるんだよ。
借金のせいでもなくて、
なんかその得体の知れない不吉な塊が原因なんだよっていう、
そういうことをちょっと言ってるんだよね。
私は借金取りに追われるくらいお金はなかったっていう、
まあそういう状況。
うん。
まあただその追われるくらい金はなかったけれども、
別に不吉な塊とはまあちょっとそこはあんまり関係がないんじゃないかっていうのが
ちょっとこの辺こう匂わせてるんだよね。
うん。
で、かつて好きだった音楽や詩に癒されることもなく、
何かが私をいたたまらずさせるのだっていう感じで言ってるんだよね。
スピーカー 2
おー、はい。
スピーカー 1
そう、かつて好きだったっていうところから、
昔まあ音楽とか詩で、
ああいいなみたいないい音楽、
まあジョン・レノンにちょっと繋がっちゃったけど、
ジョン・レノン聞いてさ、
ああいい音楽だぜみたいなさ、
感じで思ってたのが、
今聞くと別にそういうもので癒されなくなっちゃったみたいな、
そういう心境なんだよ。
スピーカー 2
おー、はいはい。
スピーカー 1
そうそう。
で、ここ完全に引用するけど、
なぜだかその頃私はミスボらしくて美しいものに強く引きつけられたのを覚えている。
っていう表現されるんだよ。
で、これミスボらしくて美しいものっていうのはちょっと難しい話なんだけれども、
これ具体的に例があって、ちょっと具体例を言うと、
まず壊れかかった街。
うん。
で、汚い洗濯物が干してあったりする裏通り。
スピーカー 2
おー、はい。
スピーカー 1
あと、おはじき。
うん。
あと、花火の束。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
これ、花火の束ってちょっとよくわかんないじゃん。
うん。
花火ってさ、閃光花火とかってさ、
結構鮮やかな色してない?
スピーカー 2
うんうん。
スピーカー 1
そう、なんかそんな感じ。
それが束になってるのが、
なんだろう、安っぽいじゃん閃光花火なんて。
はっきり言って見た目は。
うん。
スピーカー 2
でも、それがミスボらしくて美しいものになるわけだよ。
スピーカー 1
おー、はいはい。
そう、こういったものに強く引きつけられたのを覚えているっていうことを言ってるんだよね。
で、ここも完全に引用するよ。
生活がまだ蝕まれていなかった以前の好きであったところは、
例えばマルゼンであった。
で、ここで急にマルゼンって出てくるから、
ちょっとマルゼンもちょっと解説があるから引用しちゃうけど、
スピーカー 1
うん。
引用というか、マルゼンは超簡単に言うと、
美術品とかちょっと最先端なものが置いてある、
なんだろうね、今でいうオシャレなお店みたいな、
そんなイメージだと思ってもらえればいいと思うんだけれども。
はい。
その生活が蝕まれていなかった頃は、
マルゼンが好きだったんだよね。
うんうん。
そう。
果物屋での出会い
スピーカー 1
で、引用するけど、
赤や黄のオードコロンやオードキニン、
シャレたキリコ細工や、
てんがなロココ趣味の浮き模様を持った、
琥珀色や火水色の香水瓶、
着せる小刀、石鹸、タバコ。
私はそんなものを見るのに、
小1時間も費やすことがあった。
っていう感じで、
さっきさ、ミスボらしくて美しいもので、
ちょっと挙げた例があるじゃん。
汚い洗濯物が欲しちゃう裏通りとかおはじきとかさ、
そういうものに比べるとさっき言ったもの、
香水瓶とかさ、
着せる小刀、石鹸、タバコとかっていうのは、
ちょっとオシャレなわけじゃん。
昔はそういうオシャレなものが好きでした。
この作品の今は、
ミスボらしくて美しいものが、
いいなって思っちゃってますって。
この頃の私にとっては、
マルゼンっていうのは、
重苦しい場所になっちゃったって、
いうことも言ってるんだよね。
ある日、京都の裏通りをさまよっている時に、
とある果物屋で足を止めることになるんだよ。
これもちょっと完全に引用するけど、
そこは決して立派な店ではなかったのだが、
果物や固有の美しさが、
最も露骨に感じられた。
で、これもっとカジー・モトジロー流に、
解説してるところがあるんだけれども、
これも引用で、
何か華やかな美しい音楽のアレグロの流れが、
見る人を石に化したという、
ゴルゴンの奇面的なものを差し付けられて、
あんな色彩やあんなボリュームに凝り固まったという風に、
果物が並んでいるという表現。
これすごいよね。
スピーカー 2
すごいね。横文字が入っている。
ゴルゴンとかなんだろう。
スピーカー 1
そうそう。ボリュームね。
アレグロとか。
いろいろ書いてあるけれども、
とにかく、
果物が並んでますよっていうのさえわかれば、
ここはいいと思うんだよね。
表現がすごいんだよ。
見る人を石に化したという、
ゴルゴンの奇面的なものを差し付けられてって、
こんな表現できないでしょ。
スピーカー 2
この人何?海外にいた人?
いや。
スピーカー 1
そうなんだ。
この人は単純に表現がすごいんだよ。
スピーカー 2
引き付けられるね。
言葉が一つ一つが。
スピーカー 1
そう。
この果物屋で足を止めて、
さっきの表現があって、
その日、私はその果物屋でレモンを一つ買うんだよね。
レモン自体は全然珍しいものじゃないんだよ。
当時レモンが珍しかったですとか、
そういうことじゃないんだよ。
その果物屋はただ、
ごくごく当たり前の八百屋みたいな果物屋だったんだよね。
超高級フルーツ店とかじゃなくて、
その辺歩いてたらあるような果物屋というか、
八百屋みたいな感じに過ぎないから、
普段からレモンは置いてなかったんだよ。
レモン自体は珍しくなかったんだけれども、
レモンをそういう八百屋でいちいち扱うかというと、
扱ってなかったわけ当時は。
だから、見かけなかったけれども、
その日は見つけたんだよね。
レモンが置いてあったのよ。
スピーカー 2
ここちょっと引用するけど、
スピーカー 1
一体私はあのレモンが好きだ。
レモンの印象
スピーカー 1
レモンエローの絵の具を
チューブから絞り出して固めたような
あの単純な色も、
それからあの竹の詰まった防水系の格好も、
っていう感じで、
レモンのことをちょっと褒めちぎるんだよね。
スピーカー 2
竹の詰まったってどんなんだろう。
スピーカー 1
レモンってさ、防水系の形してんじゃん。
で、なんかぎっしり詰まってそうじゃんっていう意味ね。
スピーカー 2
あー、はいはい。
スピーカー 1
で、このレモンを握っていると、
自分が終始抑えつけられていた不吉な塊が、
いくらか緩んでくるらしいんだよ。
それはレモンの冷たさが、
ちょっとほてったね、
自分の顔を冷やしてくれたりとか、
レモンの匂い。
その匂いが、
このレモンが、
産地がカリフォルニアなんだけれども、
なんかその産地カリフォルニアが
創造に昇ってきたりとか、
で、あとは、
これはまあ難しいんだけど、
漢文で習った、
倍感謝の言っていうものの一節が浮かんでくる
なんていうことも言ってんだよ。
はい。
で、これちょっと後で言うけれども、
で、久しぶりに丸善に、
そのまんま、
ちょっと気分良くなったから、
ちょっと丸善行ってみようかなみたいな、
ちょっと丸善行くと憂鬱になっちゃうんだけれども、
行ってみようって、
行ってみるんだけれども、
やっぱり丸善行ったら、
なんかまた憂鬱になっちゃうんだよね。
はいはい。
そう。
まあ重苦しい場所だったからね。
で、
まあそれでもちょっと頑張ろうとするわけよ。
なんか次から次に画集をめくって、
見ようとするんだけれども、
なんかこう気持ちがついてこないんだよ。
うん。
で、棚からこう画集を取って広げて、
なんか見る気しないなっつって、
次っつって次のやつこう見てっていう感じで、
どんどんこうそれを繰り返してたら、
で、元にそれを戻す気力もなくって、
なんかどんどんどんどんこう画集が積み上がっちゃうんだよね。
はい。
マルゼンとの対比
スピーカー 1
そう、まあ散らかしたみたいな、
そんなイメージでいいと思うけど。
うん。
で、
そんな時にレモンの存在をまた再び思い出すんだよ。
あ、そういえばレモン買ったじゃんみたいな。
で、レモンを見つけて、
その積み上げた画集の上にレモンを置いてみるのよ。
スピーカー 2
あ、はいはい。
スピーカー 1
で、これ引用するけど、
私はほこりっぽいマルゼンの中の空気が、
そのレモンの周囲だけ変に緊張しているような気がした。
まあこんな表現をするのよ。
うん。
そこで私は思いつくんだよね。
はい。
このままレモンを置いたままマルゼンを出ようっていう。
おお。
今こうマルゼン、
まあなんか本棚がいっぱいあってさ、
でなんかこう自分が読もうとしたけど読めなかった本が積み上がってて、
その上にレモンをひゅって置いたのよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
で、ここ引用するけど、
変にくすぐったい気持ちが街の上の私を微笑ませた。
マルゼンの棚へ黄金色に輝く恐ろしい爆弾を仕掛けてきた機械な圧巻が私で、
もう10分後にはあのマルゼンが美術の棚を中心として大爆発をするのだったらどんなに面白いのだろう。
まあこんなことを想像しながら京都の街を歩いていくっていうところで話は終わるんだよね。
スピーカー 2
おお。
何?レモンが爆発物になったってこと?
スピーカー 1
全然意味わかんないでしょ。
スピーカー 2
いやいやすごいよね、なんか。
スピーカー 1
そう。で、全然意味わかんないっていう話だと思うのでちょっと簡単に解説するけど、
話の流れでなんとなく分かった人は多分分かってると思うんだけれどもちょっとポイントだけ解説するね。
うん。
まずこのレモンっていう作品はその私だね。
主人公が置かれている例えばどういう境遇なんですかとかさ、
主人公ってどういう人なんだろうどういう性格なんだろうとかさ、
そういう描写っていうのは一切描かれてないの。一切省かれちゃってるのよ。
スピーカー 2
うん。
スピーカー 1
で、どちらかというと私が感じたこととか経験した体験みたいなさ、
そういうところだけをこうつらつらつらつら描いてるわけね。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
だからさ、その感覚的な世界にこう没頭するような作品になってるから結構読む人を選ぶというかさ、
いや何言ってるか全然分かんないんだけどみたいな人は多分多いんだよ。そういう作品なんだよね。
うん。
まあだからまあ分かりづらいんだよね一言で言うと。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
そんな分かりづらいレモンはちょっとポイントを抑えると意外とこうスッキリするというか。
えっとまずポイントの一つ目が時間軸なんだよね。
うん。
これね大きく分けると3つの時間軸があるのよ。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
まず昔、でもう一つがその頃、で最後は今なんだよね。この3つの時間軸なんだよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
で今はこれを描いてる時なんだよ。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
だから今からすると昔であったりその頃ってなるわけ。で昔っていうのはいわゆるそのマルゼンが好きだった頃だね。
うん。
でその頃っていうのはそのマルゼンが重苦しくなっちゃった頃。レモンを買った時がそれだね。
うん。
そうこの3つの時間軸があるっていうのを念頭に置いて読むと結構スッキリするのよ。
なんかねだからそこも全然解説がないからあれ今これどこの話みたいな感じにもなるのよ。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
でレモンは何を表してるかっていうところがあとはちょっと分かっておくとなるほどねっていう風になるんだけれども。
うん。
レモンってさ唐突に出てきたでしょ。
はい。
これってさまず時間軸の話にちょっと戻るけど昔はマルゼンに置いてあるような画集とかが好きだったんだよね。
うん。
スピーカー 2
でその頃はそれとかを見ると憂鬱に逆になっちゃうんだよ。
スピーカー 1
はいはい。
昔いいなと思ってたものが昔はちょっと嫌悪感というか憂鬱になっちゃう。
でマルゼンに置いてある画集っていうのはいわゆるちょっとこう西洋的なものっていうイメージなんだよ。
うん。
西洋的なものっていうのがちょっとうーって感じになってるのがその頃になるわけね。
スピーカー 2
あーはい。
スピーカー 1
ミスボらしくてなんか美しいものでさなんか裏通りだったりおはじきだったりっていうのはさ全然西洋感がないじゃん。
スピーカー 2
うんうん。
スピーカー 1
そう。
まぁちょっとそこが分かってるとこのレモンっていうものの存在がちょっと分かってくるんだよね。
スピーカー 2
あーはいはい。
スピーカー 1
そう。でレモンは実はその2つの側面を合わせ持つ存在だっていうのを言ってるのよ。
スピーカー 2
はい。
スピーカー 1
これ産地カリフォルニアだっていうのも言ったじゃんレモンのこの産地が。
うん。
カリフォルニアっていうのは当然ながらアメリカだよね。だから西洋的なものの象徴でもあるんだよね。
はい。
レモンの象徴性
スピーカー 1
だからレモンの産地はカリフォルニアだからレモンは西洋的なものかと思いきやここでさっきあの意味がわかんないよねって言った漢文が出てくんだけれども
なんか漢文で習ったあのバイカン社の言の一節が浮かんでくるみたいなこと言ったんだけれども漢文っていうのは古臭いものっていうちょっと意味でいいと思うここでは。
はいはい。
産地がカリフォルニアで西洋的なものの象徴なんだけれどもなんか漢文のなんか一節を思い浮かべるようななんか古臭さも感じるよねこのレモンはっていうことなんだよね。
うん。
でレモンってさこれカタカナでレモンじゃないんだよちなみにこの作品のタイトルって漢字でレモンなんだよ。
スピーカー 2
あーそうなんだ。
スピーカー 1
そうこれはあえてそうしてるって言われてる。カタカナでレモンだとさ西洋的な印象が強すぎるでしょ外来語だから完全に。
うん。
だから漢字でレモンっていう字を当ててるのよ。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
そうすることで要は西洋的な側面がちょっとこう削られてちょっと古めかしいものになるっていうような感じでレモンっていうのはこの2つを合わせ持つ存在であると。
でそんな超ハイブリッドな果物を今までの常識っていうもの今までの常識っていうのはもうマルゼンってイコールでいいと思うんだけれどもを覆すようなレモン爆弾を西洋的な流行の最先端のマルゼンに置くことでこれまで当たり前に言ってされていたその西洋的な価値観っていうものに対しての皮肉を込めてる。
イロニカルな意味でレモン爆弾っていう言葉を使ってるんだよね。
スピーカー 2
あー難しい。
スピーカー 1
そうすごい難しいんだよ。
でもこれが分かって読むとあーなるほどねレモンはその象徴なんだっていう感じになるんだよね。
スピーカー 2
はいはい。
スピーカー 1
そうまあこんな感じの作品ですというところでちょっと今日の話は以上になるんだけれどもまあ尾形は読んだことがないっていうところでぜひ本当は読んでほしいんだけどねすぐ読めるから感想をお願いします。
作品の魅力
スピーカー 2
そうだね今ちょっと自分の中でもまだポカーンとしている部分が多くてこれちょっと読んでみないとわかんないかもしれないな。
読んでもわかんないかも。
スピーカー 1
でもさっき言った解説を頭に置きながら時間軸がこう3つあってで今どの時間軸をちゃんと喋ってるんだっていうのを把握しながら読む。
であとレモンって何を表しているのっていうのをちゃんと理解してるとなんかその頃と昔を対比していろいろこういう表現してるんだなっていうのがこうわかってくるんでレモンっていうのはとにかくその2つを合わせ持つ究極存在なんだっていうところでまあ俺いまだにちょっとレモン爆弾ってちょっといまいちわかんないんだけどとは言ってもまあでもなんか言いたいことはなんとなくわかるんだよね。
そうそういう側面でもう一回あのちょっとかつて読んだことがあってちょっとまた読んでみたいなっていう人は読んでみるとなかなか楽しめるんじゃないかなっていう作品だと思うよ。
スピーカー 2
でもなんかそのちょっと感じるところはさその自分のその時のタイミングでさ感じるものってやっぱ違う時ってあるなっていうのをすごく美しい言葉で語ってるよね。
スピーカー 1
そうそうあのだからその頃と昔っていうのは全然今感じ方が違うよっていうところをなかなか結構すごい表現を使って表してる作品だよね。
スピーカー 2
例えばこの歴史とかなんてまさにそうだなと思っちゃったけどなんか自分はあんま学生の時にそんなに歴史が大好きだっていう感じでもなかったけどなんか大人になるとあれ日本の今までどう歩んできたんだろうっていうのが知りたくなるっていう時が来たりとかしてそんな感じ。
スピーカー 1
だから若い人って確かにねあんまり歴史とかさその成り立ちがどうとかっていうのは気にしない気にしないというか興味があんまりないんだろうね。なんかやっぱりさこう長く生きてくるとさ深みを感じたくなるというかさなんでこれはこうなんだろうっていうさその根本的なところを知りたくなるっていう欲求はなんか強まるなとは思う。
スピーカー 2
あーそうなんだ。すごいなレモンってタイトルがレモンなんでしょ?
スピーカー 1
そうだよ。
スピーカー 2
レモンって言ったらもう音楽の大ヒットしたレモンが思い浮かんだけど。
スピーカー 1
いや知らない。レモンって誰?
スピーカー 2
あのヨネズさん。
スピーカー 1
誰?友達?
スピーカー 2
ヨネズ剣士のレモンって大ヒットしたじゃん。
スピーカー 1
俺全くピンとこないな。
スピーカー 2
うそー。
スピーカー 1
いや聞けばわかるのかもしんないけど。
スピーカー 2
うんまあそれはいいんだけどさなんか聞いてる人もうわーって惹きつけられた回だったと思うけどねこれ。
スピーカー 1
でもほらこれさ俺思ったんだけどさカジー・モトジローのレモンって多分尾形郎がやった方が面白かったと思うんだよ。これそういう作品だからどっちかっていうと。
スピーカー 2
カジー・モトジローってどのぐらいの時期の人だっけ?
スピーカー 1
だから明治の終わりから昭和の初めぐらい。
スピーカー 2
あーそうなんだ。
スピーカー 1
作品自体は全部昭和だよ。
若くして死んじゃってるからさ昭和になってから出してるから。
スピーカー 2
あそうなんだ。
またレモンっていうのを題材にしたのがちょっと面白いな。
じゃあ多分皆さんの中でなんかこう来るものがあったんじゃないでしょうか。
スピーカー 1
なったよそれ。
スピーカー 2
はいということで今回はカジー・モトジローのレモンでした。
スピーカー 1
はい。
スピーカー 2
きっとね皆さんにも何かできるはずだって思える回になったんじゃないかなって思ってますし、
まずはこの番組のフォローボタンを押すことから始めてみませんか。
スピーカー 1
フォローボタンを押すと尾形郎が喜びます。
スピーカー 2
はいレモン爆弾です。
スピーカー 1
そこでレモン爆弾出てくるんか。
スピーカー 2
ということで最後まで聞いていただいてありがとうございました。
スピーカー 1
ありがとうございました。
24:01

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