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2025-09-01 27:18

昭和・平成のJ-POPがリバイバルヒットする理由【推し活未来研究所】#ORANGE RANGE #奥田民生 #松田聖子 #さくらんぼ #ripslyme

『推し活未来研究所』🎧 毎週月曜あさ7時配信!ビジネスとカルチャーをつなぐ「推し活」の世界を、ほっこりトークでお届けする番組へようこそ!Z世代の推し消費トレンド、社員のエンゲージメントを高める「社内推し活」の可能性、ファンに熱烈に”推される”ブランドやサービスの作り方など、身近でちょっと気になる推し活関連のトピックをピックアップ。難しい専門用語は使わず、「ゆるっと深掘り」していきます。聴いていると元気が出て、明日からのちょっとした活力になるような番組を目指しています☀️▼ パーソナリティ矢澤 綾乃株式会社KAZAORI (https://kazaori.co.jp/) 代表取締役ファンやコミュニティの「好き」や「熱量」を起点に、企業のマーケティング支援、ブランドプロデュース、新規事業開発などを手掛ける。推し活の記念日やイベント等を華やかに彩るバルーン事業なども展開し、「好き」を形にするための多様なサポートを提供している。現役ベーシスト様々なアーティストのライブサポートやレコーディングに参加するミュージシャンとして、現在も活動中。推す側・推される側の視点を持つ「現場あがり」の実践者アーティスト/クリエイター側と、それを応援するファン側の両方のリアルな視点と経験を持つユニークな存在。この経験を活かし、“推し活×ビジネス”の新しい可能性を日々探求し、そのインサイトを番組で分かりやすく発信しています。▼ 応援&メッセージはこちら📣あなたの推し活体験やアイデアが、番組をもっと豊かにします!ぜひお気軽にご参加ください。SNSで参加: 番組へのご感想、あなたの「推し」紹介、熱い推し活エピソード、ビジネス活用アイデアなどを、ハッシュタグ #推し活未来研究所 をつけてぜひ投稿してください!Podcastを応援: SpotifyやApple Podcastで番組をフォローし、レビューや星評価(☆☆☆☆☆)をいただけると、制作の大きな励みになります!専用フォーム: 長文のメッセージや、SNSを使わない方はこちらからどうぞ。 https://forms.gle/zSD7LYrAscxYCoh79▼ 視聴・聴取はこちらから▶️ライフスタイルに合わせて、お好きなプラットフォームでお楽しみください!YouTube: 最新エピソードの視聴やアーカイブはこちら!チャンネル登録もお願いします🔔 https://www.youtube.com/ @oshikatsu_laboSpotify: 通勤・通学中やお休み前など、耳で楽しむならこちら! https://x.gd/9kSbnApple Podcasts: iPhoneユーザーの方はこちらも便利です! https://x.gd/lxYcKそれでは、また月曜あさ7時にお耳にかかりましょう!

サマリー

昭和・平成のJ-POPがリバイバルする現象が、特にTikTokやインフルエンサーのダンスチャレンジを通じて起きています。曲の持つ楽しさや影響力が世代を超えて新たなファン層を形成し、国境を越えたヒットも見られます。リバイバルヒットの背景には、テイストメーカーや音楽の発掘が関連しています。また、オレンジレンジやキンキキッズの楽曲が新たな形で評価され、Z世代に新鮮さを提供しています。現在、J-POPのリバイバルヒットの理由には、楽曲のエモさやシンプルな感情表現が現代の若者に新鮮さを与えていることが挙げられます。さらに、TikTokのダンスチャレンジや国境を越えたミーム化が名曲の再評価を促しています。

リバイバルの波
オレンジレンジは、リバイバルが自然発生するのを待つのではなく、自ら仕掛けにいったんです。
奥田富代さんの扱いは、スポティファイのグローバルバイラルチャートにランクインするという、
韓国でさくらんぼは社会継承ともいえる大ブームを巻き起こしました。
こんにちは、株式会社KAZAORIの矢澤彩乃です。
推し活未来研究所へようこそ!
この番組では、ますます盛り上がりを見せる推し活をビジネスの視点から、
そして時には私自身の経験を交えながら、楽しくそして深く紐解いていきます。
私は普段、推し活をテーマにしたビジネスを提供すると同時に、
ベーシストとしてアーティストさんのバックを務めることもあるので、
推す側と押される側、両方の視点から推し活の面白さや可能性を皆さんと共有できたらと思います。
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さて、最近TikTokとかインスタのリールで、私が学生の時に流行っていたような平成のJ-POPがよく流れてくるんですよ。
オレンジレンジのイケナイ太陽とか、この曲は歌詞に合わせたダンス動画を上げるのが流行ってるみたいなんですよね。
なんだか懐かしくて嬉しいなーくらいに思ってたんですが、
平成リバイバルでいろんな曲がZ世代に、まるで自分たちの世代の新曲みたいな勢いで使われているんです。
イケナイ太陽がリリースされたのは2007年、これって今のZ世代の子たちがまだ物心つくかつかないかという頃のはずですよね。
少し前なら、親が聴いていたからって説明がついたかもしれませんが、今この熱狂は明らかに違います。
彼らにとって、これらの曲は親の世代の夏メロではなく、今まさに自分たちが楽しむべき現役のヒットソングとして使われているんです。
この現象はオレンジレンジに限りません。
リップスライムの熱帯夜がTikTokでダンスチャレンジとして大流行したり、20年以上前のキンキキッズの楽曲が今もなお多くのアーティストにカバーされ歌い継がれています。
一体なぜ平成を彩った名曲たちが、令和の今、これほどまでに若い世代の心を掴んでいるのでしょうか。
そこには単なるノスタルジーでは片付けられない、現代のメディア環境とZ世代の価値観が複雑に絡み合った非常に興味深いメカニズムが隠されています。
そこで今回のテーマは、昭和平成J-POPの名曲が今リバイバルヒットする理由です。
ダンスチャレンジの影響
今日はTikTokのアルゴリズムから国境を超えるMemeの力、そしてアーティスト自身の戦略まで、このリバイバルヒットという現象を多角的に分析し、その背景にある現代の音楽消費の形、そして推し勝つの未来について考えていきたいと思います。
まずリバイバルヒットを語る上で絶対に欠かせないのがショート動画プラットフォーム、特にTikTokの存在です。
TikTokは単なるSNSではなく、過去の名曲を現代に召喚する強力なタイムマシンとして機能しています。
その最も代表的な手法がダンスチャレンジです。 最初に紹介するのは2007年にリリースされたリップスライムの熱帯夜です。
当時、コカ・コーラのCMソングにも起用され、まさに平成の夏のテーマソングでした。 リアルタイムで聴いていた30代の方にとっては甘酸っぱい夏の思い出が蘇る一曲なのではないでしょうか。
この曲が再ブレイクしたきっかけは非常に現代的です。 2023年の春頃、ある高校生のグループがTikTokに投稿した
ハッシュタグ熱帯夜ダンスが始まりでした。 そしてその日を大きなムーブメントに変えたのが人気ティックトッカーのローカルカンピオネさんです。
彼らがこの曲に合わせたオリジナルダンス動画を投稿すると、これが爆発的にヒット。 関連動画の再生回数は累計で6500万回を超えるほどの勢いになりました。
このダンスの特徴は曲の心地よいグルーブに合わせた軽快で誰でも真似しやすいステップです。 体育館や教室で有心グループで楽しそうに踊る動画が次々と投稿され、
ハッシュタグ熱帯夜チャレンジはTikTokの日本楽曲チャートで8週連続ランクインするというロングヒットを記録しました。
さらに興味深いのは、このムーブメントに対してリップスライムの公式アカウントが非常に巧みに反応したことで、
メンバー自らが振付動画を投稿しファンと交流することでブームにさらに油を注いだんです。 この事例からわかるのはTikTokにおけるヒットの連鎖反応です。
まず楽曲の持つ夏祭りのような楽しさがJET世代のみんなで一緒に楽しみたいという欲求と結びつきます。 そこに影響力のあるインフルエンサーがお手本となるフォーマットを提供し、公式アーシティストがお墨付きを与えることで、
ムーブメントは一気に加速する。 当時のファンは懐かしいと胸を熱くし、JET世代はこの曲めっちゃ上がると新鮮な自分たちの歌として受け入れる。
新旧のファンがSNS上で交わる理想的なリバイバルヒットの形と言えるでしょう。 続いては同じくダンスチャレンジから火がついた
オレンジレンジのオシャレ番長です。 2008年に餌木栗子のポッキーチョコレートのCMソングとして大ヒットしました。
それから17年の時を経て、この曲がTikTokで突如として蘇りました。 きっかけはやはりハッシュタグオシャレ番長ダンスチャレンジと名付けられたダンス動画の流行です。
この曲の持つコミカルでポップな雰囲気が、短い尺でインパクトを残すTikTokのフォーマットと見事に合致したんです。
このブームをさらに大きなものにしたのは、乃木坂46のような元気のトップアイドルや ティーンに絶大な人気を誇るインフルエンサーたちが次々とこのダンスチャレンジに参加したことでした。
彼女たちの投稿は、楽曲の認知度を飛躍的に高め、オレンジレンジの公式アカウントもAKB48のメンバーとコラボ動画を投稿するなど、積極的にこの流れに乗りました。
結果として楽曲はTikTokの音楽チャートを駆け上がっていったんね。
ダンスチャレンジが引き起こす現象は国内にとどまりません。
その拡散力がいかに強力で予測不能であるかを示す最高の事例が、2003年にリリースされた大塚愛さんのサクランボです。
この曲のリバイバルは非常に複雑で多段階的な、まさにグローバルな旅でした。
まず日本国内での再評価のきっかけは、2017年頃のお笑いコンビにゃんこスターの縄跳びダンスネタでした。
国境を越えたヒット
しかし、本当の爆発はこの後海を越えてから起こります。
第一の飛躍は、韓国の人気俳優イー・ジョンスクさんがにゃんこスターのダンスを真似てTikTokに投稿したことでした。
これが韓国での最初の火種となります。
次に2019年には、K-POPグループJYJのジュンスさんがコンサートでこの曲をカバー。
その動画がファンの間で拡散され、楽曲への注目がさらに高まります。
そして2020年末から2021年にかけて、YouTubeの韓国音楽チャートで10位にランクインするほどだったそうです。
驚くべきは、この韓国でのブームが逆輸入される形で、再び日本のTikTokでハッシュタグサクランボダンスとして大流行したことです。
日本のZ世代にとっては、韓国で流行っている新しいトレンドとしてこの曲が新鮮に移ったんです。
韓国の若者たちは、日本語の歌詞の意味を理解して踊っていたわけではありません。
彼らを惹きつけたのは、曲の持つ明るいエネルギーとダンスのコミカルな楽しさそのものです。
ダンスチャレンジというフォーマットが音楽を言語の壁から解放するんですね。
さて、TikTokのダンスチャレンジのように、ある程度ヒットの法則が見えるリバイバルがある一方で、全く予測できない偶然の出会いから生まれるグローバルなヒットも存在します。
その最も象徴的な例が、1998年にリリースされた奥田富代さんのサスライです。
この曲は、日本でも旅番組のテーマソングとして知られ、特に上の世代には馴染み深い曲ですよね。
この曲が、2023年、思わぬ形で世界的な注目を集めることとなります。
きっかけは、中国の中年男性が街角で楽しそうに踊る、何の変哲もない一本の動画でした。
ある日、誰かがこの動画のBGMにサスライを当ててみたところ、そのリズムと男性の動きが奇跡的と言えるほど完璧にシンクロしたんです。
この動画は通称サスライおじさんとして、瞬く間に世界中に拡散されました。
人々は、元の動画に別の映像を合成するミームを次々と生み出し、本曲はBGMとして大量に使用されることとなりました。
その結果、リリースから25年の時を経て、サスライはスポティファイのグローバルバイラルチャートにランクインするという日本の夏メロとしては極めて異例の回帰を成し遂げたんです。
この現象において、楽曲の歌詞や日本での文脈は全く関係ありませんでした。
世界中の人々を惹きつけたのは、国境や文化を越えて共鳴する、この曲が持つ心地よいテンポと自由で開放的なフィーリングそのものだったんです。
これはつまり、現代では、時には楽曲の意味よりもフィーリングの方が影響力を持つことを証明しているのだと思います。
サスライのヒットが完全な偶然の産物だったのに対し、松田聖子さんの青い珊瑚礁のケースは、影響力のある人物によるキュレーションがきっかけでした。
ここで言うキュレーションとは、数ある情報やコンテンツの中から価値のあるものを選び取り、整理して紹介すること。
単なるシェアではなく、影響力のある人が、これは面白い、これがおすすめと選んだものだからこそ、多くの人の興味を惹きつけ、ムーブメントの火種になったんです。
1980年にリリースされたこの曲は、日本の80年代アイドルポップスを象徴する、まさに伝説的な一曲です。
この曲が近年、韓国のZ世代の間でリバイバルヒットするという現象が起きました。
その直接のきっかけは、2023年、世界的に絶大な人気を誇るK-POPグループ、ニュージーンズのメンバーであるハニーさんが、ライブでこの曲を日本語のままカバーしたことでした。
そのパフォーマンスを収めた動画がSNSで拡散されると、韓国の若者たちの間で、日本の80年代の曲、新鮮で可愛いと大きな話題になったんです。
80年代J-POPの復活
ハニーさんという若者世代から絶大な信頼を集めるテイストメーカーが、この曲はクールだと紹介したことで、一気に注目が集まりました。
テイストメーカーとは、音楽やファッションなどで、これがいいと発信することで、多くの人の価値観や流行に大きな影響を与える存在のことです。
多くのファンが安心して80年代J-POPの世界に足を踏み入れることができたんですね。
この一つのカバーが呼び水となり、韓国では近藤雅彦さんの銀ギラ銀にさりげなくなど、他の日本の夏メロが次々と発掘される80年代日本歌謡ブームにまで発展したんです。
これは近年世界的に盛り上がっている、日本のシティポップブームと実続きの現象です。
海外のDJやインフルエンサーが日本の過去の音楽を発掘し、新たな文脈で紹介することで、その魅力が世界中の新しいリスナーに届く。
そしてその海外での評価が日本にフィードバックされ、国内の若い世代にも自分たちの国の音楽は海外でこんなに評価されているんだという新たな発見をもたらす。
こうしたグローバルな文化の循環がリバイバルヒットの新たな流れを生み出しているんです。
実は先日、はやみゆうさんのコンサートにお邪魔する機会があったんですが、そのMCでとても素敵な話を聞きました。
1982年に発売されたファーストアルバムの中に収録されているボンドラムーンという曲があるんですが、
はやみさんの娘さんがアメリカで友達から最近この曲にハマってるんだよって教えてもらって聞いてみたら、なんとそれが自分のお母さんの曲だったそうなんです。
友達も娘さんもびっくりだったんだろうなぁと思うし、アルバムの中の1曲でシングルカットされている曲というわけでもなかったはずなのに、
こうして時を越えて人に届いているのって本当にすごいなって思いました。どこでどんな曲に火がつくか本当にわからない時代だなぁと改めて感じました。
このボンドラムーンという曲をコンサートで聞いてから私もすごいハマってて最近よく聞いています。
心地よい曲なのでぜひ一度聴いてみてください。
ここまでTikTokや海外でのバズといったある種偶発的な要因によるリバイバルヒットを見てきました。
しかしもちろんすべてのサイヒットが偶然の産物というわけではありません。
アーティスト自身の戦略的なアクションや楽曲そのものが持つ普遍的な魅力によって再び輝きを取り戻すケースも数多く存在します。
その代表格が冒頭でも触れたオレンジレンジのイケナイ太陽です。
この曲の近年の盛り上がりは決して偶然ではありませんでした。
そこにはアーティスト側による巧みで計算された戦略が存在します。
第一の夜は絶大な影響力を持つYouTubeチャンネルThe First Takeへの出演でした。
一発撮りの生々しいパフォーマンスは楽曲の持つ生演奏のエネルギーとメロディーの力強さを改めて見せつけ数百万回再生を記録。
リアルタイム世代には懐かしさとともにその実力を再認識させ、若い世代にはオレンジレンジってこんなにかっこいいバンドだったんだという新鮮な驚きを与えました。
第二の夜は全く新しいミュージックビデオの制作です。
人気お笑いコンビのマユリカさんを起用し、平成あるあるネタを72個も詰め込んだ電話バージョンのミュージックビデオを公開しました。
これはノスタルジーをくすぐられたオリジナル世代と面白いコンテンツとして楽しみたいZ世代、その両方にアプローチする非常にクレバーな一手でした。
SNSでは懐かしすぎて泣ける、平成が大渋滞してるといった声があふれ、ミュージックビデオは700万回再生を超える大ヒットとなりました。
そして第三の夜は現役の人気アーティストとの積極的なコラボレーションです。
音楽番組でINIの西ひろとさんとコラボパフォーマンスを披露するなど、世代の垣根を超えて楽曲を届ける努力を惜しみませんでした。
オレンジレンジはリバイバルが自然発生するのを待つのではなく、自ら仕掛けに行ったんです。
彼らは自分たちの過去のヒット曲が時代を超えて通用する強力な資産であることを深く理解しています。
そして、THE FIRST TAKEやTikTokといった現代的なプラットフォームを戦略的に活用し、その資産の価値を最大化させることに成功したんです。
Z世代の音楽体験
これは、過去の名曲を持つ多くのアーティストにとって大きなヒントになるのではないでしょうか。
最後に紹介するのは、これまでのどのケースとも異なる特別な輝きを放り続ける1曲、キンキキッズの愛の塊で。
この曲のリバイバルはTikTokでの突破的なバズとは全く異なります。
それは20年以上にわたって燃え続ける静かで、しかし非常に力強い本能のようなものです。
実は私、小学校の頃はキンキキッズが大好きで、よく母と一緒にコンサートに行ってました。
近畿の曲が最近サブスク解禁になってまた聴いているのですが、懐かしさもあるけれど、やっぱり良い曲だなぁと思う曲がたくさんあって魅力を再認識したところです。
サブスク解禁以来、キンキキッズの再生ランキングでずっと1位なのが愛の塊です。
私もこの曲大好きで、ライブでも何度か演奏したことがありますね。
この曲が特別なのは、まず2001年にリリースされたシングル、「Hey!みんな元気かい?」のカップリング曲、つまりB面曲であるという点です。
それでありながら、ファン投票では常に1位に輝くなど、まさに伝説的な存在でした。
そして何より重要なのが、作詞をドウモトツヨシさん、作曲をドウモトコウイチさんが手掛けた、まさに2人の才能の結晶であるということです。
この曲のポテンシャルは主に3つあると思います。
1つ目は、歌詞の持つ普遍的な深さです。
女性目線で描かれた恋人への深く、時に少し重いくらいの愛情。
歌詞の繊細な描写は多くの女性の共感を呼びました。
特に、「クリスマスなんていらないくらい日々が愛の塊」という一節は、恋愛における一つの理想形として今や伝説的な名フレーズとなっています。
2つ目は、この楽曲が生まれた背景にある物語です。
当時、Aメイン曲の明るいポップスに納得がいかなかったコウイチさんが、近畿ギッツらしい曲を作ろうという反骨精神でメロディーを生み出し、それに応える形で千代氏さんが歌詞を書き上げたというエピソードは、ファンにとってこの曲を唯一無二の存在にしています。
これは、2人の才能が最も純粋な形で表現された作品なのです。
この曲はコーラスワークがすごく巧みで、ハモりたくなるメロディーも魅力なのかもしれません。
そして3つ目が、多くのアーティストによるカバーを通じてその価値が継承され続けていることです。
事務所の後輩はもちろん、様々なジャンルのアーティストがこの曲を歌い継ぐことで、愛の塊は単なるアイドルの曲ではなく、J-POPのスタンダードナンバーとしての地位を確立しました。
このように、長年大切にされてきた宝物のような楽曲でしたが、その秘められたエネルギーが目に見える形で爆発するためには、強力な起爆剤が必要でした。
その起爆剤こそが、2025年5月5日に行われた全356曲に及ぶ大規模な音楽配信の前面回帰になったのです。
このイベントは大きなニュースとなり、史上に凄まじいインパクトを与えました。
さらに巧みだったのが、ただ解禁するだけではなく、その価値を再発見させるための洗練されたプロモーション戦略です。
数十組の著名人が参加して、オリジナルのプレイリストを公開するKinki Kids Playlist Libraryという企画が実施されました。
これは、信頼できるたくさんの案内人が、それぞれのフォロワーに、この宝の地図は本物だよと一斉に教えてくれるようなものです。
この戦略的なキュレーションによって、旧来のファンは懐かしい名曲と再会し、若い世代は信頼するインフルエンサーの紹介で、全く新しい神曲として愛の塊に出会うことができたのです。
つまり愛の塊が示したのは、TikTokの偶発的なバズとは全く違うリバイバルの形です。
これは、楽曲の力とそれを届けるための知恵が見事に融合した最高の成功事例と言えるでしょう。
ここまで、名曲がリバイバルヒットする様々なメカニズムを見てきました。
では、そもそもなぜZ世代は、自分たちが生まれる前の夏メロにこれほどまでに引き付けられるのでしょうか。
その真相心理を探ってみましょう。
Z世代が夏メロに触れた時に、よく口にするのが、知らないはずなのになぜか懐かしいという感覚です。
この不思議な感情の正体は、彼らが育った音楽の聴き方にあります。
PotifyやApple Musicといったストリーミングサービスが当たり前になった今、音楽の歴史はいつでもどんな曲にもアクセスできる横並びの状態になりました。
アルゴリズムが生成されるプレイリストは、2024年の最新曲の隣に2003年の曲や1980年の曲が並ぶことも珍しくありません。
彼らにとって、楽曲はリリースされた年代で区切られるものではなく、全てが等しく、今、発見できるコンテンツなんです。
つまり彼らにとっては、2007年の曲も先週リリースされた曲も同じタイミングで出会えば、どちらも同じ新曲なんです。
私たちが思う、脱メロという感覚はそこに存在しないんですね。
そのため、彼らが感じているのは、当時を知る世代のノスタルジーとは少し違います。
それはむしろ、アナログ時代の少しざらついた音質や、現代の洗練されたポップスとは異なるメロディーライン、コード進行に対して感じる新しさです。
デジタルネイティブである彼らにとって、その不完全さや人間味が、逆に本質的な感覚として響いているんだと思います。
また、Z世代の消費行動を語る上で欠かせないキーワードがタイパー、つまりタイムパフォーマンスです。
この価値観は、音楽の聴き方にも大きな影響を与えています。
そして、実はここに、90年代から2000年代のJポップがリバイバルする非常に重要な構造的要因が隠されています。
考えてみてください。
CDが最も売れていた時代、ヒット曲が生まれる最大の舞台は、テレビCMやドラマ主題歌、そしてラジオでした。
リバイバルヒットの理由
これらのメディアで、リスナーの心を掴むためには、15秒や30秒という短い時間で、いかに強烈なインパクトを残せるかが勝負でした。
その結果、当時のJポップの多くは、一度聴いたら忘れられない、非常にキャッチーでパワフルなサビを持つように作られていったんです。
このインターネット以前のメディア環境に最適化された楽曲構造が、数十年後、奇跡的ともいえる形でTikTokのフォーマットに適合したんです。
TikTokの動画は、基本的に15秒から30秒。
その短い時間で視聴者の興味を引き、次の動画にスワイプさせないためには、冒頭からインパクトのある音楽が不可欠です。
つまり、かつてCDを売るために磨かれたキラーフレーズが、今TikTokでバズるためのキラーフレーズとして完璧に機能している。
これはメディアの進化が生んだ幸福な偶然と言えるかもしれません。
Z世代が昔の曲を語る時によく使う言葉がエモイです。
このエモイの正体は、楽曲が持つ感情の純度と熱量にあると私は考えています。
現代の楽曲が、より複雑で内省的な歌詞や少し皮肉めいた視点を持つことが多いのに対し、平成のヒットソングたちは喜び、悲しみ、切なさといった感情を非常にストレートに、時には少し気恥ずかしくなるくらいまっすぐに表現しています。
愛の塊が歌うような全てを捧げる恋愛感や、いけない太陽が放つ理屈抜きの夏の紅葉感。
そうした感情のピュアさが、かえって現代の若者たちには新鮮で、心を揺さぶるエモさとして受け止められているのではないでしょうか。
情報型で複雑な現代社会を生きる彼らにとって、そうしたストレートな感情表現は、一種の救いや憧れとして機能しているのかもしれません。
ここまでいろいろなケースを見てきましたが、名曲がリバイバルヒットする背景には、いくつかの特徴的なパターンがあることが見えてきました。
ここで少しポイントを整理してお話ししたいと思います。
推し活の新しい形
まず一つ目は、TikTokのダンスチャレンジがしつけ役となるパターンです。
リップスライムの熱帯夜や、オレンジレンジのおしゃれ番長がこの代表例ですね。
誰でも真似しやすいダンスが、Z世代のみんなで楽しみたいという気持ちと結びついて一気に広がっていきました。
二つ目は、国境を越えてミームとして拡散していくパターン。
大塚愛さんのサクランボが韓国経由で再ヒットしたり、奥田民雄さんのサスライが中国の男性のダンス動画をきっかけに世界でバズったように、もはや国内の文脈とは関係なく、面白さや心地よさだけで世界に広がるケースです。
そして、アーティスト自身が仕掛けたり、楽曲そのものの力が時代を越えて評価され続けるパターンもあります。
オレンジレンジがTHE FIRST TAKEへの出演などで、いけない太陽を再びヒットさせた戦略的な動きや、多くのアーティストにカバーされ歌い継がれることで伝説的な存在となっている近畿技術の愛の塊などがこれに当たります。
さて、昭和平成J-POPの名曲が今リバイバルヒットする理由というテーマで見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
これらの楽曲のリバイバルヒットは、私たちファンの推し活にも新しい視点を与えてくれています。
推し活はもはや新しいリリースを追いかけるだけのものではなくなりました。
自分の好きなアーティストの全キャリアを深く掘り下げ、その魅力を新しい世代に伝える、いわば語り部や案内役のような役割も担うようになっているんです。
自分が若かった頃の青春を彩った曲が、全く新しい世代に彼ら自身の言葉で、彼ら自身の楽しみ方で愛されている国境を目にするのは、本当に特別な喜びがあります。
それは、アーティストとのつながりだけでなく、世代を超えた新しい形のコミュニケーションを生み出してくれる素晴らしい体験です。
私自身、一人のミュージシャンとして、この現象には非常にワクワクさせられます。
いい曲は、本当に時間も国境も超える力を持っている。
そのことを私たちは今、リアルタイムで物当たりにして、良いものを作るという価値を改めて実感しました。
それでは、今日の推し勝つ未来研究所はこの辺で。
YouTubeでご覧の方はチャンネル登録、ポッドキャストでご視聴の方はフォローしていただけると投稿の励みになります。
最後までお聞きいただきありがとうございました。また次週お会いしましょう。
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