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2025-09-22 23:02

時価総額8兆円でサンリオ超え!? LABUBU(ラブブ) 中国初 POP MARTの推し活戦略【推し活未来研究所】

『推し活未来研究所』🎧 毎週月曜あさ7時配信!ビジネスとカルチャーをつなぐ「推し活」の世界を、ほっこりトークでお届けする番組へようこそ!Z世代の推し消費トレンド、社員のエンゲージメントを高める「社内推し活」の可能性、ファンに熱烈に”推される”ブランドやサービスの作り方など、身近でちょっと気になる推し活関連のトピックをピックアップ。難しい専門用語は使わず、「ゆるっと深掘り」していきます。聴いていると元気が出て、明日からのちょっとした活力になるような番組を目指しています☀️▼ パーソナリティ矢澤 綾乃株式会社KAZAORI (https://kazaori.co.jp/) 代表取締役ファンやコミュニティの「好き」や「熱量」を起点に、企業のマーケティング支援、ブランドプロデュース、新規事業開発などを手掛ける。推し活の記念日やイベント等を華やかに彩るバルーン事業なども展開し、「好き」を形にするための多様なサポートを提供している。現役ベーシスト様々なアーティストのライブサポートやレコーディングに参加するミュージシャンとして、現在も活動中。推す側・推される側の視点を持つ「現場あがり」の実践者アーティスト/クリエイター側と、それを応援するファン側の両方のリアルな視点と経験を持つユニークな存在。この経験を活かし、“推し活×ビジネス”の新しい可能性を日々探求し、そのインサイトを番組で分かりやすく発信しています。▼ 応援&メッセージはこちら📣あなたの推し活体験やアイデアが、番組をもっと豊かにします!ぜひお気軽にご参加ください。SNSで参加: 番組へのご感想、あなたの「推し」紹介、熱い推し活エピソード、ビジネス活用アイデアなどを、ハッシュタグ #推し活未来研究所 をつけてぜひ投稿してください!Podcastを応援: SpotifyやApple Podcastで番組をフォローし、レビューや星評価(☆☆☆☆☆)をいただけると、制作の大きな励みになります!専用フォーム: 長文のメッセージや、SNSを使わない方はこちらからどうぞ。 https://forms.gle/zSD7LYrAscxYCoh79▼ 視聴・聴取はこちらから▶️ライフスタイルに合わせて、お好きなプラットフォームでお楽しみください!YouTube: 最新エピソードの視聴やアーカイブはこちら!チャンネル登録もお願いします🔔 https://www.youtube.com/ @oshikatsu_laboSpotify: 通勤・通学中やお休み前など、耳で楽しむならこちら! https://x.gd/9kSbnApple Podcasts: iPhoneユーザーの方はこちらも便利です! https://x.gd/lxYcKそれでは、また月曜あさ7時にお耳にかかりましょう!

サマリー

ポップマートは時価総額が8兆円を超え、中国初のアートトイであるラブブを展開しています。ブラインドボックス形式で販売されるラブブは、キャラクターの独自性により、Z世代の若者を魅了し、グローバルなファンコミュニティが形成されています。ポップマートの戦略は、ラブブを中心とした新しい収集体験を通じてファンの心理を刺激し、SNSを利用したファンの広まりを促進しています。また、中国発のポップマートは、文化を考慮したローカライズやコミュニティの形成にも成功しています。ポップマートのラブ部はキャラクター開発に新しいアプローチを採用し、ファンとの関係構築において独自の文化を創造しています。これは、推し活の未来を示し、体験を重視した新しい価値観を生み出しています。

ポップマートの成功
なんと最高値で8兆円を突破、あのサンリオの約4倍にまで跳ね上がったこともある、中国初のポップマートと、その大人気キャラクター、ラブブです。
通常、全12種類のうち11種類はノーマルで、1種類だけがシークレットに設定されています。
このシークレットの出現率は、
こんにちは、株式会社KAZAORIの矢沢矢乃です。推し活未来研究所へようこそ。
この番組では、ますます盛り上がりを見せる推し活をビジネスの視点から、
そして時には私自身の経験も交えながら、楽しくそして深く紐解いていきます。
私は普段、推し活をテーマにしたビジネスを提供すると同時に、ベーシストとしてアーティストさんのバックを務めることもあるので、
推す側と押される側、両方の視点から推し活の面白さや可能性を皆さんと共有できたらと思います。
YouTubeでご覧の方はチャンネル登録、ポッドキャストでご視聴の方はフォローしていただけると投稿の励みになります。
それでは今日もよろしくお願いします。
さて今日のテーマは、今世界中のZ世代の若者を熱狂させているアートトイ、中国初のポップマートと、その大人気キャラクターラブブです。
私先日出張で香港に行ってたんですが、空港やショッピングモールにポップマートが入っていて、
どこもすごい人気だったんです。
みんなお目当てはラブブだったみたいなんですが、どこも見本は店頭に置いてあるんですが、売り切れなんですよね。
私ももしやったら買おうかなと思ってたんですけど、残念でした。
ラブブ以外にもいろんなキャラクターのフィギュアが置いてあって、日本とはちょっと違う雰囲気があって、すごい可愛いんですよ。
お土産に買おうかなと思えるくらいの価格帯のものもたくさんありました。
このポップマート、実は設立からわずか十数年で企業の価値を示す時価総額は、なんと最高値で8兆円を突破。
あの産量の約4倍にまで跳ね上がったこともある、とてつもない巨大企業なんです。
その大躍進の主役が、今日深く掘り下げていくラブブ。
ウサギのような長い耳と、ちょっと不気味で特徴的なギザギザの歯を持つ、この一見愛くるしくも奇妙なモンスターのキャラクターが、今世界中で大ブームを巻き起こしているんです。
ブラックピンクのリサさんやリアーナさんといった世界的セレブも夢中になり、まさに推し活が生み出した新たな世界的ムーブメントと言えるでしょう。
なぜこの小さな人形がこれほどまでに人々を夢中にさせるのか、そしてポップマートはどのようにして推し活の熱狂を巨大なビジネスに変えているのか。
今日はこのポップマートの成功の秘密について、驚異的な数字データから、キャラクターの魅力、ファンを虜にする巧妙な仕組み、SNSを巻き込んだ戦略、そしてその裏にある課題まで徹底的に深掘りしていきたいと思います。
ラブブの魅力
まずは、このラブブブームを仕掛けたポップマートという会社が、いかにとてつもない存在か、その成り立ちと数字から見ていきましょう。
この会社の始まりは、実は非常に地味でした。
2010年、創業者のワン・ニンさんが、中国北京の大学街にある小さなオシャレな雑貨のセレクトショップとしてスタートしたのが原点です。
当初は経営的にも厳しく、創業者自身ももうダメかもしれないと思った時期があったそうです。
しかし、大きな転機が訪れます。
ある時、日本のソニーエンジェルというフィギュアを、中身がわからないブラインドボックス形式で販売したところ、これが爆発的にヒットしたんです。
この、何が出るかなというワクワク感がお客様の心を掴んだことに、創業者のワンさんは気づいたんですね。
ソニーエンジェルって皆さん知ってますか?
ちょっと見た目はキューピーちゃんみたいな感じなんですが、頭にいろいろな被り物をしているのが特徴です。
そこからポップマートは、自分たちでオリジナルのキャラクター、つまりIPを育てて、ブラインドボックスで販売するビジネスへと舵を切ります。
IPというのはインテレクチュアルプロパティーの略で、日本語では知的財産と言います。
キャラクターや物語など、形のない財産のことですね。
ポップマートは、このIPこそがビジネスの心臓部だと考えたんです。
そして、ポップマートが革新的だったのは、これを子供向けのおもちゃではなく、大人が楽しむアートトイとして位置づけたことでした。
価格は1個あたり約1000円から1300円。
大学生や若手社会人が衝動買いできる絶妙な価格設定で、開けるまで中身の見えないワクワク感とコレクションしたくなる気持ちを巧みに刺激したのです。
その戦略が大当たりします。
2024年の年間売上は130.4億円。
日本円で約2800億円と前年比2倍以上に跳ね上がり、営業利益も186%増という高収益を実現。
特に海外での売上が急激に伸びていて、今や30カ国以上の国と地域で500店舗以上の直営店と2300台以上の自動販売機を展開するグローバル企業へと成長しました。
このように、ポップマートは単なるおもちゃ屋さんではありません。
才能あるアーティストを発掘し、彼らが作ったキャラクターを育て、ブラインドボックスという中毒性の高い売り方で世界中に熱狂的なファンコミュニティを作り出すプラットフォーム企業なんです。
では、そのポップマートを代表するメガヒットキャラクター、ラグブの魅力は一体どこにあるのでしょうか。
ラグブの生みの親は、香港出身でオランダ在住のアーティスト、カシン・ロンさんです。
彼はもともと自動書の作家として活動しており、ヨーロッパの絵本や妖精伝書、北欧神話に深く影響を受けて育ちました。
ラグブも、もともとはカシンさんが2015年に発表した、ザ・モンスターズという絵本シリーズに登場するキャラクターの一人でした。
ウサギのような長い耳、ギザギザの歯、そして時にはちょっと悪そうな表情を見せる、可愛いのにちょっと怖い、不思議と目が離せないキャラクターです。
この絶妙なバランスがラグブ最大の魅力なんです。
英語ではこういう魅力をアグリキュートと言います。日本語だとブサカワやキモカワイイですかね。
完璧に整った可愛さではなく、少し癖があって欠点もある。でも、だからこそ目が離せなくなる。
この少しエッジの効いた見た目が、他とは違う個性を推したいというZ世代の観戦に刺さったのでしょう。
さらにラグブには物語性も備わっています。
絵本の中では、善意で頑張るけどいつもドタバタを引き起こしてしまう、でも憎めない小さなモンスターというストーリー設定があるんです。
いつもニコニコしてトラブルを起こすんですけど、心は優しい、そんなギャップのある性格設定がファンの共感を呼んでいるんですね。
こうした細かなバックストーリーがあることで、ファンは単なる見た目の好み以上にラグブというキャラクターを物語ごと推すことができるんです。
ラグブのデザインが世界中で愛されている理由の一つに、見る人によっていろんな風に解釈できるという柔らかさがあります。
はっきりとした物語やキャラ設定が前に出過ぎていないからこそ、この子癒し系の相棒かもと思う人もいれば、ちょっと危険な感じがかっこいいと感じる人もいる。
まるで空っぽの器のように、見る人の気持ちや価値観をそのまま映し出してくれる。
そんな自由さがラブファンの世界をより多彩で奥深いものにしているんですね。
ブラインドボックスの戦略
次に、ポップマートのビジネスモデルの心臓部であるブラインドボックスについて深掘りしましょう。
なぜ私たちは中に何が入っているかわからない箱にこれほどまでに引き付けられてしまうのでしょうか。
以前にこの番組でもガチャシステムについて特集したので、興味のある方はぜひそちらも聞いてみてくださいね。
ブラインドボックスの魅力って、実は脳のご褒美を感じる仕組み、つまり報酬系という部分に深く関係しているんです。
特に大きなポイントは、何が出るか、いつ出るかわからないというドキドキ感。
この予測できなさが脳にとってすごく刺激的なんですね。
行動経済学では、この仕組みのことを完結強化スケジュールや変動報酬と呼びます。
例えば、パチンコやスロットがやめられなくなるのも、次こそはって思わせるこの予測できないご褒美のせいなんです。
もし10回やれば必ず当たると決まっていたら、作業になってしまってドキドキ感は薄れてしまいます。
次こそは当たるかもしれない、次こそシークレットが出るかもしれないという期待感が、私たちの社交心、つまり偶然の成功を願う気持ちを強く刺激し、もう1回だけという勾配行動へと借り立てるんです。
さらに巧妙なのは、レアなシークレットの存在です。
通常、全12種類のうち11種類はノーマルで、1種類だけがシークレットに設定されています。
このシークレットの出現率は約144分の1です。
100個買っても当たるかどうかという確率の低さです。
収集欲と推し活
この手に入りにくさが希少性という価値を生み出し、自分だけがこのレアなものを持っているという優越感や満足感が非常に強い魅力になります。
実際、ある限定カラーのラブブは、コレクター間のオークションで、なんと108万人民元、日本円にして約2200万円もの高値が付いたこともあるんです。
そして、人間の持つ収集欲も巧みに刺激されます。
シリーズが12種類あると聞くと、全部揃えたい、コンプリートしたいという気持ちが湧いてきませんか?
これは、最軽肉効果と呼ばれる心理効果とも関係していて、人間は完成していないものを気持ち悪く感じ、完成したいと強く思う傾向があるんですよね。
我らの社交心、収集欲、希少性への欲求という3つの心理的トリガーが、ブラインドボックスという仕組みには完璧に組み込まれています。
これはまさに、私たちが推し勝つで感じる感情とそっくりですよね。
ポップマートは、この推し勝つの心理を誰もが手軽に体験できるエンターテイメントに昇華させたのです。
ブラインドボックスという強力な仕組み、しかしポップマートの本当の凄さは、それをSNSと結びつけて、ファンがファンを呼ぶ巨大なムーブメントを作り出した点にあります。
その中心にあるのが、開封動画です。
箱を開ける瞬間のドキドキ感、中から出てきたキャラクターに対するリアクション、この一連の体験は非常にSNS映えします。
TikTokやInstagramでハッシュタグラブグと検索してみてください。
世界中のファンが投稿した膨大な数の開封動画が見つかるはずです。
誰かが楽しそうに箱を開けて、シークレットを引き当てて絶叫したりしているのを見ると、自分もそのドキドキ感を味わいたくなりますよね。
つまりファンが投稿するUGC、ユーザー生成コンテンツが何より強力な広告になっているんです。
そしてこのブームに決定的な火をつけたのが、世界的スーパースターたちの影響です。
きっかけはブラックピンクのリサさんでした。
彼女がラブブのチャームをエルメスなどの高級バッグにつけてSNSに投稿したことから、世界中のファンがこのキャラクターに注目し始めたのです。
この現象が重要なのは、単なる商品紹介ではなく、ライフスタイルの提案として受け取られたことです。
この高級品とポップカルチャーの融合という新しいトレンダは、瞬く間に他のセレブにも広がりました。
リアーナさん、ジャスティンビーバーの妻ヘイリービーバーさん、キムカーダシアンさん、そしてデビットベッカムさんまで、彼らがSNSでラブブを紹介することでまさに雪だるま式に人気が拡大し、
ラブブは単なるコレクション問いの枠を超え、みんなが欲しがるファッションポップカルチャーの象徴にまで登り詰めたのです。
ポップマートはこの流れを巧みに活用しました。
セレブが投稿するたびに公式アカウントがリポストして感謝のメッセージを発信。
この流れは現代のマーケティングにおける理想的なバイラル戦略と言えるでしょう。
さらにファン同士の交換文化も非常に活発です。
欲しいキャラクターが出なかったとき、ファン同士でSNSや公式が開催する交換イベントを通じてトレードする。
この過程で新しいコミュニティが形成され、ラブブを通じて世界中の人々につながっていく。
ポップマートはこの共有される不確実性を中心とした新しいコミュニティ文化を見事に作り上げたのです。
ポップマートの戦略で特に注目すべきはIPに対するアプローチです。
従来の多くのおもちゃメーカーが既存のキャラクターのライセンスに依存していたのに対し、ポップマートは独自のIP開発に注力しました。
現在同社の売上の9割以上がラブブのような自社化開発IPや専属契約アーティストのキャラクターによるものです。
これによりライセンス量に依存しない高い利益率を確保しています。
実際、2024年度の売上総利益は67%で、これはエルメスの72.3%やルイビトンの67%とほぼ同等という驚異的な数字なんです。
ポップマートは世界中の有望なデザイナーやアーティストと提携し、彼らの作品をアートトイとして商品化するアーティストインキュベーターのような役割を果たしています。
ラブブ以外にも、モリー、スカルパンダなど数多くの人気キャラクターがいて、一つのキャラクターのブームが過ぎても次のスターが控えているという強固なIPポートフォリオを構築しているのです。
この戦略の面白いところは、キャラクターではなく体験を売っているということです。
ブラインドボックスを開ける瞬間のワクワク感、コレクションを完成させる達成感、レアアイテムを手に入れる優越感、これらの感情体験こそがポップマートの真の商品なのです。
CEOのワン・ニン氏は、ポップマートのキャラをディズニーやサンリオのようにメディアミックスで長く愛されるIPに育てたいと語っており、今後はアニメーション制作や映画化、さらにはテーマパークといったエンタメ分野への進出も検討しているそうです。
グローバル戦略の成功
キャラクターを単なるフィギュアに留めず、総合エンターテイメントIPに育てようとしているんですね。
中国で生まれたポップマートの熱狂は、今や国境を越えて世界中に広がっています。そのグローバル戦略は非常に巧みです。
まず、海外売上の伸びが凄まじいです。
2024年には海外市場の売上が前年の3.75倍に急成長し、ついに総売上の4割近くを占めるまでになりました。
特に東南アジアは最速で拡大した市場で、売上が前年の7倍近くにも成長しています。
背景にはやはり、タイ出身であるブラックピンクのリサさんの影響が絶大でした。
欧米市場での展開も加速しています。
アメリカには、2025年時点で37店舗の直営店と52台の無人販売機を展開しており、さらに拡大中です。
イギリスのロンドン、フランスのパリといったカルチャーの最先端都市にも次々と期間店をオープンさせています。
ポップマートのグローバル戦略が上手いのは、ただ商品を輸出するだけでなく、各国の文化に合わせたローカライズを丁寧に行っている点です。
例えば、2023年には、パリのルーブル美術館で期間限定ショップをオープンし、ラブブたちをモナリザ風などにアレンジした、ザ・モンスターズアートシリーズを限定販売しました。
中国初のキャラクターが、欧州の伝統芸術と融合したこの試みは大きな話題を呼びました。
また、販売チャンネルにも工夫があります。
直営店の他に、ロボショップという自動販売機型の店舗をショッピングモールや空港、駅などに設置。
この手軽さが、新規のファンを獲得する入り口になっているんですね。
このように、グローバル統一ブランドでありながら、現地的にもこたらない戦略が構想し、
ポップマートは明治すともに、メイドインチャイナからクリエイテッドインチャイナへの転換を象徴するグローバル企業となったのです。
ビジネスの課題
これだけ世界的な人気を誇るポップマートですが、その成功には光だけではなく影の部分も存在します。
特に深刻なのが、転売問題と市場の加熱です。
ブラインドボックスの仕組み上、シークレットや人気のキャラクターは非常に入手困難になります。
その結果、フリーマーアプリなどで、定価の何倍もの値段で取引されるようになります。
特にラブブのあるシリーズのシークレットは、定価1500円程度に対し、
転売市場では一時20万円以上もの高値で取引されるという異常事態にまで発展しました。
これはもはや、個人のファンが楽しむというレベルを超えて、当機の対象になってしまっています。
この状況に対し、ポップマートが取った対応が非常に興味深いものでした。
普通、企業は希少性を保つために生産数を絞ることが多いのですが、
ポップマートはなんと、この高額転売されていたラブブのシリーズを大量に増産し市場に供給したのです。
その結果、市場に商品があふれ、あれだけ高騰していた転売価格は一気に暴落しました。
これは短期的な利益よりも長期的なファンとの信頼関係を重視した非常に賢明な判断だったと言えるでしょう。
また、ブラインドボックスという販売方法そのものへの批判もあります。
特に中国本国では、その社交性の高さから子供のギャンブル依存を煽るのではないかという懸念の声が上がり、政府が規制に乗り出しました。
現在では、8歳以下の子供に対してはブラインドボックスの販売を禁止するなどの法律が作られています。
どんなビジネスにも、光と影は付きものです。
重要なのは、その影の部分から目を逸らさず、誠実に対応していくこと。
ポップマートがこれからも持続的に成長していけるかどうかは、こうした課題への向き合い方にかかっているのではないでしょうか。
最後に、ポップマートの成功がこれからの推し活にどのような未来を示しているのか、日本のサンリオや世界のディズニーと比較しながら考えてみたいと思います。
ポップマートのアプローチ
まず、キャラクター開発の哲学ですが、ディズニーが物語ありき、サンリオが詳細な設定で共感を呼ぶのに対し、ポップマートのラブ部はデザインのインパクトとコンセプト先行型といえます。
物語で訴求するより、遊び心あるコンセプトでファンの想像力をかきたてるアプローチですね。
次に、ファンとの関係性です。
サンリオは、キャラクター対象という人気投票のように、ファンが主役となり、一緒にお祭りを作り上げるのが非常に上手です。
一方、ポップマートのファン参加は、今のところ商品収集を通じた交換会やSNSでの交流が中心です。
これは、コレクションする推し活という新しい文化を作ったといえます。
アイドルのトレカを集める感覚で、ラブ部のフィギュアをコンプリートしたり、レア版をお迎えしたりする熱狂は、まさに現代の推し活そのものです。
そして、ポップマートが私たちに見せてくれたのは、IP推し活という新しい文化の巨大な可能性です。
これまで推し活は、アイドルや俳優といった人間、あるいは物語に付随するキャラクターが中心でした。
しかし、ポップマートは、ラブ部のようなオリジナルのキャラクターそのものを推しの対象にすることに成功したのです。
そこには、所有から体験と共有への価値の移行が見て取れます。
ファンはただフィギュアを買うだけではありません。
箱を開けるドキドキ感を体験し、その様子をSNSで共有する、このプロセス全体が推し活の楽しみになっている。
物消費からこと消費へ、という時代の流れをポップマートは完璧に捉えているんですね。
ラブ部が示したいのは、推し活に正解はないということです。
それぞれが自分なりの楽しみ方を見つけ、それを他の人と共有し、新しいコミュニティを作っていく。
そして自由で想像的な推し活の未来が、このキャラクターを通じて見えてきたような気がします。
推し活文化の変化
さて、ポップマートとラブ部の戦略を詳しく見てきましたが、いかがでしたでしょうか。
この事例が示すのは、推し活の形が根本的に変わりつつあるということです。
従来のキャラクターをめでる推し活から、不確実性を楽しむ推し活へ。
物語を消費する文化から、体験を共有する文化への転換です。
私自身も調べているうちに、すっかりラブ部の不思議な魅力にはまってしまいました。
ただし、一方で課題もあります。
ちょうどまさにこのラブ部をリサーチしている時に、ビット機のブームの加熱が落ち着き、ポップマートの株価が最高値から下落したという報道がありました。
一家制のブームに終わらせず、長期的なブランド価値をいかに維持していくかが今後の大きな課題でしょう。
それでもこの事例から学べることはたくさんあると思います。
確実性より体験性、完成品より参加型、そして単一解釈より多様性。
これらの要素は、これからの推し活文化を考える上で、非常に重要なキーワードになってくるのではないでしょうか。
皆さんは、今日のテーマについてどう感じましたか?
ぜひ番組の感想や、私の推し活とブラインドボックス体験など、SNSでハッシュタグ、推し活未来研究所をつけて教えてください。
皆さんの声一つ一つが、当研究所にとって貴重な研究データになります。
それでは、今日の推し活未来研究所はこの辺で、また次回お会いしましょう。
推し活をもっと楽しく深く研究していきましょう。
ここまでのお相手は矢澤彩乃でした。
素敵な推し活ライフをお過ごしください。
23:02

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