さて、今日のテーマは、声優と推し活、その歴史と最新の推し活事情全編です。
アニメやゲームのキャラクターに命を吹き込む声優さん。 今やその人気はキャラクターだけに留まらず、声優さんご自身の活動、いわゆる声優推し活もますます熱気を帯びていますよね。
今日は前編として、声優さんの歴史やその奥深い世界を最新トレンドまでお話しできればと思います。
皆さんの、私の推し声優さんはこの人、こんな推し活してます、といったエピソードや、今日のテーマへのご意見など、ぜひハッシュタグ、推し活未来研究所をつけて、SNSで教えてくださいね。
いつもたくさんのコメント、本当にありがとうございます。
それでは早速本編に入っていきましょう。
まずは、声優というお仕事、そして声優の推し活がどのようにして今の形になったのか、その歴史を紐解いていきましょう。
声優という言葉が生まれる前、声だけで演技をする人々はラジオ役者と呼ばれていました。
1925年、NHKの前身である社団法人東京放送局がラジオ放送を開始し、同じ年に一般募集されたラジオドラマ研究生12名が、日本で初めて声だけで演技を行う専門の俳優、つまり日本の声優第一号とされています。
この当時はまだ声優という言葉はなく、新聞ではラジオ役者と呼ばれていました。
声優という言葉が使われ始めたのは1942年頃からで、読売新聞の芸能記者だった小林徳三郎さんやNHKのプロデューサーだった大岡達夫さんが名付けたという説があります。
この頃はまだ推しという概念はありませんでした。声の演技そのものが純粋に注目されていた時代です。
しかし、声だけで物語を表現する専門の職業が生まれたことが、後の豊かな声優文化の最初の大きな一歩でした。
そして、テレビの普及が声優さんたちの新たな活躍の輪を切り開きます。
これが第一次声優ブームと言われる1960年代頃です。
1961年に5つの映画会社が集まって5社協定を結び、テレビ局への日本映画の供給を停止しました。
これによりテレビ番組のソフトが不足し、海外ドラマや洋画の日本語吹き替え版が多く放送されるようになりました。
この流れが声優さんの人気を高める大きな要因になったのです。
この頃の声優さんは吹き替えのタレント、「あてし」とも呼ばれていました。
例えば、1965年放送の海外ドラマ「0011ナポレオンソロ」で吹き替えを担当された野沢那智さんは大変な人気で、ファンが追っかけをする現象も見られたそうです。
メディア環境の変化が新しいエンターテインメントやスターを生むのは、いつの時代も同じかもしれません。
この頃から、「あの素敵な声は誰?」と声優さん個人への関心が高まり、後の推し勝ちの原点ともいえる動きが見られました。
そして、日本のアニメが世界に羽ばたく時代がやってきます。
そして、2000年代以降、いわゆる第4次・第5次声優ブームと呼ばれる時代に入ると、深夜アニメの急増やインターネットの爆発的な普及が、声優さんの在り方やファンとの関係性をさらに大きく、そして深く変えていきます。
深夜のアニメ作品が増えたことで、特に若手の声優さんたちが活躍するチャンスが増えました。
そして、瑞希奈々さん、田村ゆかりさん、平野綾さんといった方々が声優アーティストとして、声優業だけでなく音楽活動でも大きな成功を収め、その存在感を確固たるものにしました。
瑞希奈々さんは、声優として初めて紅白歌合戦に出場するという快挙も成し遂げています。
また、アイドルマスターシリーズやラブライブシリーズのように、アイドルをテーマにした作品から生まれた声優ユニットが、キャラクターと連動したライブパフォーマンスを積極的に展開し、熱狂的なファンを生み出しました。
そして、この時代の大きな変化といえば、やはりSNSの普及です。
Xやインスタグラムなどを通じて、声優さん自身が日常や仕事の情報を発信し、ファンからのコメントに反応するなど、直接的なコミュニケーションを取ることが一般的になりました。
アイモスやラブライブのような作品は、声優さんがキャラクターとしてステージに立ち、歌い踊ることで、ファンはキャラクターと声優、いわゆる中の人の両方を同時に押すという新しい楽しみ方を見出しました。
そして、SNSの登場は、ファンと声優さんの物理的・心理的な距離を一気に縮めました。
ファンは声優さんのパーソナリティに直接触れ、応援の声をリアルタイムで届け、さらにはファン同士で繋がり、情報を交換し、共感し合う。
推し活のインタラクティブ性が飛躍的に高まったんです。
さて、こうした歴史を経て、現代の声優推し活は本当に多様な広がりを見せています。
具体的にはどんな活動があって、ファンはどんな風に応援しているのか、最新事情を見ていきましょう。
今や声優さんが個人名義やキャラクターとしてCDをリリースしたり、ライブを開催したりするのは当たり前になりました。
その音楽活動も実に多彩です。
個人名義でのCDリリースはもちろん、アリーナクラスやドームといった大規模会場でのライブも珍しくありません。
先ほども触れましたが、瑞希奈々さんは声優として初めてNHK紅白歌合戦に出場し、その歌声を全国に届けました。
アニメ作品から生まれた声優ユニットの活躍も目覚ましいですよね。
ラブライブのミューズやアクア、アイドリッシュセブンやアンサンブルスターズのトリックスターなど、数多くのユニットが音楽チャートを賑わせ、大規模なライブを成功させています。
キャラクターソングも単なる関連商品という位置づけを超えて、作品の世界観を深く掘り下げ、物語を豊かにする重要な要素となっています。
私も音楽に携わる人間として、声優さんの音楽活動のクオリティの高さにはいつも驚かされます。
キャラクターとして歌うときとご自身の名義で歌うときでまた違った魅力があって、それがファンにはたまらないんですよね。
ファンにとって推しに直接会えるイベントは何物にも変え難い特別な時間ですよね。
声優さんのイベントもその形式は本当に様々です。
ファンミーティング、トークショー、CDや写真集の渡し会、握手会など、ファンと声優さんが近い距離で交流できるイベントが数多く開催されています。
また、アニメ作品の先行上映会や公開初日の舞台挨拶に声優さんが登場するのもファンにとっては大きな楽しみの一つです。
コロナ禍以降はオンラインでのイベントもすっかり定着しました。
オンライン朗読会やオンライントークイベントなどは、地方にお住まいの方や海外のファンも気軽に参加できるという大きなメリットがあります。
例えば、朗読イベントの星声。
これは元々はプラネタリウムでの生ライブだったんですが、最近ではオンライン配信に切り替えて開催されているんです。
その時に、デジタル音声広告というネット上の音声CMをうまく活用したそうで、それが新規顧客の獲得につながったり、チケット販売サイトのアクセス数もすごく伸びたんだそうです。
私たち株式会社カザオリが提供している、ククートというファンがオンラインでバルーンを購入して実際のイベント会場を飾ることができるサービスも、こうしたリアルとデジタルの融合という点では神話性が高いと感じています。
さらに声優さんの活躍の場は、声のお仕事やイベントだけには留まりません。
雑誌の表紙を飾ったり、写真集を出版したり、ご自身のウェブサイトやSNS、YouTubeチャンネルで情報を発信したりと、メディア露出は多岐にわたっています。
声優グランプリやボイスニュータイプといった声優専門誌では、人気声優さんが表紙や関東特集を飾り、グラビアとともにロングインタビューが掲載されることも珍しくありません。
個人の写真集も活発に出版されており、その売上ランキングはファンの注目を集めています。
近年特に目覚ましいのが、個人のYouTubeチャンネルの開設と運営です。
花江夏樹さん、杉田智一さんなど多くの人気声優さんがチャンネルを開設し、ゲーム実況、雑談配信、歌ってみた動画、Vlogなどといった様々なコンテンツを配信しています。
新しい動きとしては、最近はVTuber、バーチャルYouTuberの略ですね。
このVTuberとしてのアバターを持ち、活動する声優さんも登場しています。
例えば、今井あさみさんは、バーチャルミンゴスとしてVTuberデビューを果たし話題になりました。
YouTubeチャンネルやVTuber活動は、声優さんが自身の企画力や個性を生かして、ファンとダイレクトにつながり、独自のコミュニティを形成するための強力な手段となっています。
アニメやゲーム、漫画の世界を現実の舞台で再現する、いわゆる2.5次元作品も、声優さんにとって新たな、そして非常に重要な活躍の場となっています。
特に注目されるのは、アニメでキャラクターの声を担当した声優さんが、そのまま舞台版も同じ役で出演するケースです。
例えば、舞台黒子のバスケでは、主人公黒子哲也役をアニメと同じ尾野賢章さんが演じましたし、
けものフレンズの舞台でも、多くの声優キャストがアニメから続投して舞台に出演しました。
また、逆2.5次元と呼ばれる新しい試みも生まれています。
これは、まずオリジナルストーリーの舞台作品を上映し、そこからアニメ化など、他のメディアへと展開していくもので、
声優のバス田俊樹さんがダブル主演の一人を務めた、サビ色のアーマなどがその代表例です。
アニメでいつも聞いていた、あの声の声優さんが、目の前のステージでキャラクターとして話したり動いたりしているのを見ると、
まるで自分が作品の世界に入り込んだような気持ちになりますよね。
いや、こうして見てくると、現代の声優さんの活動が、いかに滝にわたっているかがよくわかりますね。
音楽アーティストとしてドームに立ち、イベントでファンと交流し、雑誌の表紙を飾り、さらには舞台の上でキャラクターとしていける。
もはや声の役者という枠には到底収まらない、まさにマルチタレントというべき存在です。