まずタマゴッチです。タマゴッチって、そもそもいつ生まれたか覚えてますか?
1996年11月23日、バンダイから発売されました。つまり2026年でちょうど30周年を迎えるんです。タマゴッチめちゃくちゃ懐かしいです。
当時は売り切れ属質で、なかなか買えなくて、抽選でやっと当たってすごく嬉しかったんですよね。
当時は学校に持って行くのが禁止で、学校に行ってる間は母にお世話をお願いしてたんですけど、家に帰ると死んじゃってたりして、すごくショックだったことがありました。
これも今でもはっきり覚えてます。あの時代のシンボル的なおもちゃですよね。
そのタマゴッチが2025年7月末時点で、なんと国内外の累計出荷数1億個を突破したんです。
1億個ですよ。しかもこの数字を30年でじわじわ作ったわけじゃなくて、直近数年で一気に伸びているのがポイントなんです。
象徴的だったのが、2025年7月12日に発売された最新機種、タマゴッチパラダイス。
なんと前作タマゴッチユニと比べて予約が400%超え。あまりにも申し込みが殺到しすぎて、予約上限に到達してしまったんですよね。
そして面白いのがコラボ戦略です。
2025年12月にはユニクロUTとのコラボが発売されました。
UTオリジナルのタマゴッチ本体が2,990円、Tシャツが1,990円。
本体には初代のソフトが搭載されていて、英語版で遊べる仕様になっているんですよ。
他にも、アナスイさん、サンリオさんといろんなブランドとコラボを重ねていて、もはやファッションアイテムとして扱われているんですよね。
ここで注目したいのが、タマゴッチをおもちゃではなく、推し勝ちデバイスとして捉えているZ世代の動きなんです。
TikTokでは、ハッシュタグタマゴッチのタグが10万件超えで、彼女たちはお世話動画を撮って育成記録をSNSで共有している。
つまり、推しをシェアしてファン同士でつながるっていう、今のアイドル推し勝ちと同じ構造をタマゴッチでやってるんです。
これ本当に象徴的だなと思っていて、90年代の私たちは友達と見せ合うのが推し勝ちでした。
でも、2026年のZ世代は、SNSでフォロワー全員と共有するのが推し勝ち。
同じタマゴッチというデバイスなのに、推し勝ちの形が時代に合わせて進化しているんですよね。
ちなみにバンダイさんは、こうやって世代や国境を超えて売れるIPのことを、ノンジェネ玩具、つまり世代を超えるおもちゃって呼んでいるんです。
タマゴッチはまさにその代表例。日本のZ世代にも、海外のミレニアル世代にも、子供の頃に触れた30代40代の親世代にも全員に刺さる。
これが既存IPリバイバルの最大の強みなんですよね。
次はプリクラです。プリクラ。正式名称はプリントクラブ。
日本に誕生したのが1995年の7月。セガとアトラスが生んだ大ヒット製品で、2025年でちょうど30周年なんですよ。
すごいですよね。90年代の文化アイコンが次々と30周年を迎えています。
私も高校生の頃、放課後はプリクラ取りに行ってましたね。
プリ帳っていうシール大使のノートにみんなでプリクラを貼ってメッセージを書き合って、実は今も実家にあって、本当に当時を一瞬で思い出せる記録アルバムみたいなものだなと思ってます。
さて、プリクラ業界の現在地なんですが、ちょっと意外な数字なんです。
最盛期のプリクラ市場は約1000億円規模だったんですが、現在は約2割、200億円程度にまで縮小しています。
あれ、衰退してないって思いますよね。でもこれ違うんです。
プリクラ機を作っているフリューさんという会社があるんですけれども、この会社が今、国内プリクラ機の設置台数シェアでなんと約94%。
もう実質独占状態なんです。プレイ回数が年間約330万回。
これ計算すると、1秒に1回、日本のどこかで誰かがプリクラを取っている数字なんですよね。
すごくないですか?市場規模は縮小したけど、熱量は全然衰えていない。
むしろプリクラを取る文化が今の若い子たちの生活にしっかり根付いているんですよね。
さらに、撮ったプリクラ写真をスマホに保存できるピクトリンクという有料会員サービスがあるんですけど、累計利用者数が約2500万人。
東洋経済産によれば、令和の10代女子の86%がプリクラ利用経験ありなんだそうです。もはや日常インフラですよね。
ここからが本当に面白いんですけれども、不流産の2024年3月期決算で、ついに世界間ビジネスというIPグッズ事業の売り上げが主力のプリクラ事業を初めて上回ったんです。
つまり、プリクラの会社がいつの間にか推し活グッズの会社に変貌しているということなんですよね。
これすごく象徴的な話で、プリクラってもともと自分と友達を取るためのツールだったじゃないですか。
それが今、不流産は推しとファンをつなぐ世界観を売る会社にシフトしているんです。
推しとプリクラを取るという新しい文化まで生まれているんです。
推しキャラと一緒に映れるコラボプリキがあって、撮ってSNSにアップする。
プリクラが推し活の記録装置として再定義されているんですよね。
90年代のプリクラは自分が主役。
2026年のプリクラは推しが主役。
同じ機会なのに役割が完全に変わっている。
これ、平成レトロブームの中でも特に面白い進化だなと思います。
3つ目はセーラームーンです。
セーラームーンは竹内直子先生の原作漫画が雑誌なかよしで1992年2月号から連載開始。
アニメ放送はその翌月の1992年3月にスタートしました。
だから2022年に30周年を迎えていて、今もその記念プロジェクトが拡張中というIPなんですよね。
私くらいの世代でセーラームーン嫌いなんていう人はいないんじゃないでしょうか。
未だにやっぱりずっと好きですし、コラボグッズとかもよく出るんですけど、私もちょこちょこ買っちゃいますね。
セーラームーン店とかも行ったことがあります。
ちなみに私世代の女の子たちは、惑星の名前はセーラームーンで覚えてます。
さてここで、普通のカイコブームと決定的に違うのがセーラームーンの消費者層なんです。
六本木ミュージアムで2022年7月から開催された30周年展が、その後福岡、大阪、名古屋に循環して2025年からは海外展開まで広がっている。
そのメインターゲットが30代から40代の女性なんです。
つまり子供の頃にセーラームーンを見ていたリアル世代が大人になって出戻ってきているということなんですよね。
なぜこの出戻り現象がこれほど強力なマーケットを生むのか。
ここが今日ぜひお伝えしたいポイントの一つなんですけど、30代から40代女性って、押し勝つ市場で最も購買力が高い層の一つなんです。
過処分所得があって、かつ自分の好きなものに投資することへの罪悪感が薄れている世代。
その証拠にコラボの規模が桁違いなんです。
例えばジミー・チューとのコラボ第2弾が2024年10月に発売されました。
ジミー・チューなんてハイブラントとのコラボってすごいですよね。
これが伊勢丹新宿店や阪急梅田本店、海外のポップアップでも展開されて、コレクターカードまで付いてくるという豪華仕様。
他にもユニクロUT、アナスイ、サマンサタバサ、サンリオ、ウンナナクール、明治さんまで、アパレルからコスメ、食品まで本当に全方位に広がっているんですよね。
これ若い子向けのIPではありえないコラボ規模なんです。
だって若い子はお小遣いでTシャツを買うそうで、でも30代から40代の女性は自分へのご褒美でジミー・チューを買えるそう。
IPの単価が全く違うわけです。
さらにセーラームーンが強いのは、母から娘へのバトンタッチが起きているということなんです。
プリキュアの世界では子供の2倍以上の大人が視聴しているっていうデータもあって、セーラームーンも構造は同じ。
お母さんが娘を六本木ミュージアムに連れて行ったり、一緒にコスメを使ったり、一つのIPで親子2世代を同時に囲い込めるんですよね。
ここで思い出していただきたいのが、前回取り上げた名探偵コナン30周年の回。
あの時も30年押され続けるIPの話をしましたよね。
セーラームーンもまさに同じで、長寿IPこそが押し勝つの真の勝者。
なぜかというと、新しいファンが入ってくるスピードよりも、既存ファンが離れていくスピードの方が圧倒的に遅いからなんです。
30代から40代の女性が50代になった時、彼女たちはまだセーラームーンを押している可能性が高い。
これがIPの本当の強さなんですよね。
劇場版美少女戦セーラームーンコスモスの前後編が2023年6月に公開されて、ネットフリックスで世界配信もされました。
もう完全にグローバルIPとして確立しているんですよ。
90年代の日本アニメが30年以上経った今、世界中の大人たちの推しになっている。
この現象本当にすごいことだと思います。
4つ目はコムロファミリーです。
ここ、実は少し切ない話も含んでいます。
まずコムロファミリーって改めて何かというと、1990年代の音楽シーンを制覇した音楽プロデューサー小室哲也さんが手掛けたアーティスト群のことです。
グローブ、TRF、アムロナミエさん、カハラトモミさん、ひとみさん、鈴木アミさん、そしてダウンタウンの濱田正人さんと組んだHジャングルwithTまで。
当時は街を歩けば小室哲也さんのプロデュース曲が必ずどこかで流れている、そういう時代だったんですよ。
代表的なのがグローブ。
1995年デビューで、翌年1996年に発売されたファーストアルバムグローブがなんと400万枚超え、シングルでバーチャルズはダブルミリオン、つまり200万枚以上を売り上げました。
90年代の音楽マーケットの熱量って本当に異常だったんだなぁと改めて思います。
その小室哲也プロデュース楽曲群が今、最注目されているんです。
哲也小室アーカイブスというプロジェクトで、アムロさん、グローブ、浜崎あゆみさん、ひとみさん、TRFの楽曲が現代の音で蘇っている。
ネットフリックスの恋愛リアリティ、ラブ上等の主題歌にグローブのラブアゲインが起用されたりと、ちゃんと2026年のコンテンツに接続されているんですよね。
そしてここまでは明るい話なんですけど、実はこのテーマ、切ない話が一つあるんです。
皆さん、アムロのみえさんの楽曲って、今サブスクで聞こえるか知ってますか?
実は、2019年6月にApple Musicで全曲独占配信が始まって、9月にはSpotifyやAmazon Musicにも広がったんです。
当時引退されたアムロさんの曲が、また日常で聴けるようになって、ファンは本当に喜んでいました。
ところが、2023年11月16日、アムロさんの楽曲がサブスクからほぼ全面的に消えてしまったんです。
原因は、契約に関する問題だと言われています。
今聴けるのは、ごく一部のリミックス版やコラボ曲だけで、オリジナル音源は事実上アクセスできなくなってしまったんですよね。
これ、現代の推し活における大きな問題を象徴していると思うんです。
前回、動画配信プラットフォームの独占配信の闇を扱った時に、「推しはどこ?」という問いを立てましたよね。
あれと全く同じ問題が、音楽の世界でも起きている。
サブスクで聴けるって、自分で所有しているわけじゃないんです。
権利者の都合一つで、明日にはアクセスできなくなるかもしれない。
90年代にアムロちゃんのCDを勝手に持ってた人は、今もCDを持っていれば聴ける。
でも、2019年以降にサブスクで初めてアムロさんと出会った人は、ある日突然推しが消失する経験をしてしまったわけです。
この話、平成レトロブームの文脈ですごく大事だと思っていて、
フィジカルに残っているものの価値が改めて見直されているんですよね。
だからこそ今、昔のCDやカセットテープを買い戻すZ世代も出てきている。
プリチョーもそう、たまごっちもそう。
手元に残る推しの価値が、デジタル時代だからこそ上がっているんです。
リアルタイム世代としてデパージャーズを聴いていた私としては、
Z世代が90年代の名曲をTikTokで掘り出して何億回も再生してくれるのは本当に嬉しいんですよ。
でも、その喜びと推しの音源が消えるリスクは常に表裏一体なんだよなと感じています。
ここまで4つの象徴的な領域を見てきました。
ここで、根本的な問いに戻りたいんですよね。
なぜZ世代は自分が生まれる前の時代にここまで夢中になれるのか。
これ一番大事なポイントだと思うんです。
だって普通に考えたら、自分の青春時代のカルチャーにはまるのが自然じゃないですか。
でも彼女たちは一度も体験していない1990年代を推している。
ここには、世代論だけでは説明できない何かがあるのではないかと思っています。
一つ、面白い概念を紹介させてください。
フォラムニストの荒川和久さんが提唱しているエモ消費という考え方です。
これって、頭で考えて買うというより、
なんか懐かしいなとか、これちょっとワクワクするなという気持ちが先に動いて、
思わず買ってしまうような消費行動のことなんです。
面白いのは、その懐かしさって必ずしも自分が実際に経験した思い出から来ているとは限らないんですよね。
ここで心理学の一つを挟ませてください。
プルースト効果って聞いたことありますか?
これ、フランスの小説家マルセル・プルーストの作品に由来する言葉なんですけど、
特定の匂いとか音とか映像が過去の記憶を強制的に呼び起こす現象のことなんです。
スマホの登場以降、Z世代はSNSで90年代の動画や写真を浴びるように見ているんです。
実際に体験していなくても、90年代って明るくてポップでキラキラしていて楽しそうっていう、
いわば想像上の記憶がどんどん積み上がっていっている状態で、
その想像上の記憶が本物の記憶以上にエモーショナルな価値を持ち始めているということなんです。
これって従来のノスタルジー消費と決定的に違うんですよね。
年配の方が、俺たちの若い頃はさって言って、昭和歌謡を聞き直すのとは構造が全く違います。
Z世代は、自分の記憶じゃない記憶を推しているのかもしれません。
ビジネスの視点で面白いのは、Z世代が閉塞感の中で育った世代だということ。
Dマンショックアートの不景気、東日本大震災、コロナ禍、社会が明るくなるっていう体験をあまり持っていないんです。
だからこそ、バブル崩壊前後のあの明るい空気が彼女たちにとっては眩しいユートピアに見えるのかもしれませんね。
これは、二世代IPの強さともつながっています。
セーラームーンとかタマゴッチみたいに、親世代が昔楽しかったって話して、子供世代が私も体験したいって参入してくる。
記憶が世代を超えて受け継がれている推し活。
これは単なるブランド戦略では作れない現象で、だからこそ企業側は今この流れに全力で乗っているんですよね。
もう一つ大事なのが、Z世代はデジタルネイティブだからこそアナログに植えているという構造です。
生まれた時からスマホがあって、何でもワンタップで完結する世代にとって、タマゴッチのボタンでお世話をする手間、
プリクラで物理的なシールが出てくる質感、カセットテープを巻き戻す時間、こういう面倒くさい体験こそが逆に新鮮に移るんです。
平成レトロブームの本質って、デジタル図家でした時代のアナログ回帰でもあるんですよね。
推し活の進化系として、今、面倒くさくて時間がかかる体験が再評価されている。
これ推し活ビジネスを考える上で、本当に重要な視点だと思います。
さて、今日は平成レトロブームをテーマに、タマゴッチ、プリクラ、セーラームーン、小室ファミリーの4つの領域を見てきました。
最後に、ここから見えてくる推し活の本質を3つにまとめたいと思います。
1つ目は、長寿IPこそ最強という真実。
タマゴッチは30年、プリクラも30年、セーラームーンも30年以上。
30年以上押され続けたIPは、そこからさらに30年押され続ける可能性が高いんです。
なぜなら、リアルタイム世代の出戻り、下の世代の新規参入、そして海外ファンの流入、この3つのエンジンが同時に回るからなんですよね。
全く新しい作品やキャラクターを一から作るよりも、既に知られていてファンの記憶に残っているIPをもう一度活用する方が、かけたお金や労力に対して成果が出やすいんですよね。
これは、これからの推し活ビジネスの大きな原則になると思います。
2つ目は、推し活は記憶ビジネスだということ。
プルースト効果の話をしましたが、推し活って結局、ファンの人生のどの瞬間と結びついているかが全てなんですよね。
10代の頃に聴いた曲、高校生の時に撮ったプリクラ、小学生の時に育ててたたまごっち、これらは単なる商品じゃなくて人生の時間そのもの。
だからこそ企業側は、その記憶をどう再転化するかを真剣に考えなければいけないんだと思います。
3つ目は、推しは消えるリスクがあるという継承です。
アムロナミエさんのサブスク撤退の話をしましたが、デジタル時代の推し活って、プラットフォームや権利者の都合で一瞬にしてアクセスを失うリスクがあるんですよね。
だからこそ、今改めてフィジカルな推し活、CDを買う、たまごっちを手元に置く、プリクラをアルバムに貼る、この価値が見直されている。
これは平成レトロブームが私たちに突きつけているすごく大事なメッセージだと思います。
平成レトロブームは、推し活とかエンタメの原点ってなんだっけっていうことをZ世代の子たちが改めて教えてくれているような気がしています。
90年代、2000年代、2010年代、そして2026年、推し活の形は時代に合わせて変わっていく。
でもその根っこにあるのは、好きなものを好きだと周りに伝えたいっていうとてもシンプルな気持ちなんですよね。
さて、いかがでしたか?
今日は、平成レトロ再来、90年代カルチャーはなぜ2026年の推し活として蘇ったのかというテーマで、たまごっち、プリクラ、セーラームーン、小室ファミリーの4つの視点から掘り下げてみました。
皆さんの平成レトロの推しって何ですか?
10代の頃に好きだったカルチャーで、今また推し直しているものはありますか?
ぜひ、ハッシュタグ推し活未来研究所でシェアしてくださると嬉しいです。
それでは、今日の推し活未来研究所はこの辺で。最後までお聞きいただきありがとうございました。また次回お会いしましょう。